DVって何?
配偶者や交際相手など親しい関係のパートナーから加えられる暴力を配偶者暴力(DV:ドメスティック・バイオレンス)といいます。
DVは、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、男女平等参画社会の実現を妨げになるものです。
様々な暴力の形態
配偶者暴力は、殴る、蹴るといった身体的暴力だけに限りません。
相手を自分の思いどおりに支配(コントロール)しようとする態度や行動、これがDVです。
暴力の種類 | 内容 |
---|---|
身体的暴力 |
・平手で打つ
|
精神的暴力 | ・大声で怒鳴る ・「だれのおかげで生活できるんだ」、「かいしょうがない」などと言う ・何を言っても無視して口をきかない ・人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言う |
性的暴力 | ・見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌を見せる ・いやがっているのに性行為を強要する ・中絶を強要する ・避妊に協力しない |
経済的暴力 | ・生活費を渡さない ・お金を取っていく ・借金を負わせる ・外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする |
子どもを利用した暴力 | ・子どもに暴力を加えたり、暴力を見せる ・「子どもに危害を加える」と言って脅す ・子どもに相手を非難させたり、中傷することを言わせる |
配偶者暴力に関するQ&A
【 Q 】DVってケンカと同じじゃないの?
【 A 】DVとケンカは違います。
ケンカは、お互いが対等の立場で意見をぶつけ合う一時的なものですが、DVはどちらかから一方的に継続して振るわれる暴力で、その間には支配と従属の関係があります。
DV関係にある場合、暴力を受けている人は自分の意見を言うことができず、何をするにも相手の許可を必要とし自由がありません。
【 Q 】ごく一部の人たちの間で起こることじゃない?
【 A 】国の調査では、女性の31.3%、男性の19.9%が配偶者から暴力を受けたことがあると回答しています。
これを1年以内に被害にあったことのある人に限っても、配偶者がいる(いたことがある)女性の10人に1人が、何らかの被害にあっていると回答しています。
また、交際相手からの被害については、女性の約5人に1人、男性の9人に1人が受けており、特に20歳代の女性では、36%の方が被害を受けたことがあると回答しています。
【 Q 】加害者は誰にでも暴力を振るう人なんじゃない?
【 A 】加害者は職業や学歴、年齢などに関係なく、決まったタイプがありません。
誰に対しても粗暴な態度を取る人もいますが、職場や友人の間では明るく人当たりがいい人もいます。
【 Q 】暴力を振るわれる人にも問題があるんじゃない?
【 A 】暴力を振るわれていい人はひとりもいません。
暴力は人の心を傷つけ、その人の気持ちを混乱させます。信頼している人から暴力を受けた場合はなおさらです。
被害者は、その混乱の中で、恐怖によって相手に支配されてしまうのです。被害者ではなく、加害者に問題があるのです。
【 Q 】別れればいいと思うんだけど・・・?
【 A 】被害者は収入や子どものことなど、別れることによって生じる問題を考え、ずっと悩んでいます。
また、暴力を振るわれ続けることによって無力感を感じていたり、相手も反省していつかは暴力を振るわなくなるんじゃないかと期待することもあったりするので、なかなか決断できません。
DVの影響
被害者への影響
暴力が被害者にへ与える影響ははかり知りません。身体に対する暴力は、骨折やあざ、切り傷など、体を傷付け、場合によっては、被害者が亡くなってしまうという痛ましい結果になることがあります。
また、暴力は被害者の身体だけでなく、心にも大きな影響を及ぼします。被害者の中には、暴力による精神的衝撃などから、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などにより、心の健康を害してしまう人もいます。
PTSDになると、体験した暴力が繰り返し思い出され、強烈な恐怖心がわき起こってきたり、物音や刺激に過敏に反応し、不眠やイライラが続いたり、反対に無感情になったりするなどして、日常生活にも支障が出ることがあります。
子どもへの影響
子ども自身が直接危害を加えられなくても、暴力の場面を日常的に目撃することは、子どもにとって大きな衝撃であり、心身の発達に有害な影響を及ぼします。
児童虐待防止法では、児童が同居する家庭におけるDVその他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うことは、児童虐待に当たるとされています。
DVのある家庭の子どもは、いつも暴力におびえ、不安感を持ちながら生活せざるを得ません。
また、恐怖や不安などの心理的虐待だけでなく、子ども自身が身体的虐待を受けているケースも見られます。
もし、あなたが相談されたら・・・
「あなたは悪くないよ」「よく相談してくれたね」という態度で、話を最後までじっくり聞いてください。
「どうして殴られたの」「別れればいいのに」などと、被害者を責めるような言い方をしないでください。
被害者の暴力体験を興味本位に聞き出したり、他言したりしないでください。
相談機関や窓口に連絡するようにアドバイスを行ってください。