妊娠のこと

女性の体について

女性は、出生時に「一生分の卵子のもと」を卵巣に持って生まれてきます。成長に伴って卵子の数は減っていき、途中で増やす方法はありません。一方、卵巣の機能が成熟し女性ホルモンのバランスも整って妊娠・出産に最も適している年代は20~30歳くらいまでと言われます。

早い時期に出産すれば、ママにも体力があり子どもが成長した後の再就職もしやすいなどのメリットがありますが、社会人経験が不足していたり収入が安定する前に子育てをしたりしなければならない場合もあるでしょう。

逆に、年齢が上がってからの妊娠では、社会経験を積み産後の職場復帰への足掛かりを作った上で出産できたり、経済的にもある程度安定した上で余裕を持って子育てができたりするメリットがあります。その分、高齢出産に伴うリスクや育児に対する体力的不安などのデメリットも考慮する必要があるかもしれません。

妊娠の兆候

妊娠の兆候には個人差がありますが、一般には次のようなものがあります。

  1. 周期的に訪れている月経が5~7日間以上、遅れた場合。
  2. 予定月経の時期になっても基礎体温が下がらず、高温相がそのまま続いている場合。
  3. からだが熱っぽく、だるいとき。かぜの症状と似ているので、かぜとまちがいやすいのですが、妊娠の可能性もあります。
  4. 乳房が張った感じで重い。色が黒ずんでくるなど、乳房がより敏感になります。
  5. 胃がムカムカしたり、おなかがすくと吐き気がしたり、生つばが出たり、食欲がなくなるなど、いわゆるつわり症状が現れます。

薬局で購入でき手軽に使える妊娠診断薬もありますが、診断薬で妊娠の正常・異常(子宮外妊娠、胞状奇胎など)は分かりません。陽性の場合は、すぐに産婦人科での確定診断を受けましょう。陰性の場合は基礎体温を測って高温が続くなら検査をやり直し、「おかしいな」と思うことがあれば、やはり早めに産婦人科を受診することが大切です。

子宮外妊娠について

妊娠診断薬で陽性だった場合、特に注意が必要なのが子宮外妊娠です。

子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の場所で着床してしまうもので、残念ながら出産には至りません。

その多くは卵管に着床しますが、受精卵の発達にしたがって卵管が耐え切れなくなり、流産や卵管破裂などを起こします。卵管破裂はお腹の激痛をともない、短時間のうちに母体の命を奪うケースもあります。

検査薬で陽性となった場合には早めに産婦人科を受診し、妊娠の状態を確認する必要があるのです。

病院選び

出産をする施設には、産科のある病院、助産所などがありますが、近年では出産可能出産可能な施設が減りつつあり、社会問題にもなっています。

何よりも大切なのはママと赤ちゃんの安全です。妊娠後はできるだけ早く出産施設を探しましょう。

特に里帰り出産を希望する人は、早めに主治医に相談するとともに、受け入れ先の病院を探す必要があります。

出産可能な施設一覧(日本産科婦人科学会HPへ)

妊娠中の母胎の変化と胎児の発育

妊娠期間中、母胎はめまぐるしく変化するとともに、胎児もめざましい発育を遂げます。

それぞれの時期に合わせて日常生活の中でも適切な注意を払い、ケアを行っていくことが必要です。

関連情報リンク

母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」

母子健康手帳交付

「母子健康手帳」、通称「母子手帳」は、妊娠中の健康記録はもちろん、出産後もお子さんの健康や成長、予防接種の記録などに長く使用するものです。

交付の時期は決まっていませんが、妊娠が確定した8~12週頃に受け取るケースが多いようです。各市区町村役場の担当窓口(保健課、福祉課、子育て課など)や、保健センター、保健所に妊娠届出書を提出することで交付を受けられ、本人以外の代理人が受け取ることも出来ます。

各市区町村のホームページに案内がありますので、参考にしてください。妊婦健診の無料受診券を交付していますので、効果的にママと赤ちゃんの健康を守りましょう。

妊娠中に気をつけること

妊娠そのものは病気でないとはいえ、女性の体の中にもう一つの命を育む特別な期間なので、さまざまな点で注意が必要です。

母体に関する注意

感染症

細菌やウイルスが原因となって起こる病気を感染症といいます。妊娠中にかかると、胎児に影響が出るものもありますので注意が必要です。感染症の疑いのある人との接触を避けること、外出後の手洗い・うがいを忘れないことを心がけましょう。

歯科衛生

妊娠中はホルモンの影響や食事回数が増えることもあって、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。「妊娠中だから歯科治療はできない」「妊娠中はまったく麻酔を使えない」というのは間違いです。妊娠中であることを必ず歯科医師に告げて診察を受けましょう。

太りすぎ

妊娠すると母体は急激に脂肪を貯めようとしますが、太りすぎによって「妊娠中毒」「妊娠糖尿病」「腰痛・背中痛」「便秘」などのリスクが高まります。望ましい体重増加はもともとの体格によっても変わりますが、妊娠中の体重変化にはしっかりとした注意が必要です。ただし自己流のダイエットは禁物。医師・助産師に相談しながら体重管理を行うようにしてください。

薬について

当然のことながら、妊娠中の服薬は胎児への影響を考慮する必要があります。不必要な薬を飲むことは避け、服薬に関しては医師に相談してからにしてください。なお、妊娠初期のまだ妊娠に気づかなかった時期に飲んだ市販薬の心配をする人もいますが、胎児に重大な影響を及ぼす危険は薬は一般に市販されていないもの。あまりクヨクヨと気に病む必要はありません。

車の運転

妊娠中だからと言って車を運転してはいけない、ということはありません。つわりで気分が悪い時の運転や体に負担のかかる長距離運転を避けるなどの注意をしてください。なお、妊婦にはシートベルトの着用が免除されていますが、安全の上からは着用したほうがよいとされています。

食事に関する注意

つわりがつらい時期は、無理せず食べられるものから少しずつ摂ることが大切です。「バランス」を意識しすぎてストレスを持つのではなく、食べられる物を少しずつ食べるよう心がけましょう。いろいろな物を試しても、「一日何度も吐き、食事や水分が摂れない」などの症状がある場合は、無理をせず早めに産婦人科に相談しましょう。

それ以外の時期は、妊娠中の食事は「バランスよく、適量を」が基本です。「〇〇が体によい」と聞いたからと言って、一つの食べ物ばかりをたくさん食べるのはNG。一食で、ご飯やパン、麺類などエネルギー源となる「主食」、たんぱく質を多く含む肉や魚、大豆製品など、血液や筋肉を作る「主菜」、野菜やきのこ類などからだの調子を整えるビタミンやミネラルを含む「副菜」、乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に摂ることが理想です。

【葉酸摂取について】

胎児の神経管ができる時(受胎後およそ28日)におこる神経管閉鎖障害という先天異常の発生リスク低減のために、妊娠を計画している女性や妊娠初期は、食事に加え、サプリメントなども上手に活用しながら、葉酸を摂取しましょう。ただし、サプリメントのとりすぎには注意が必要です(付加的に一日あたり400マイクログラム)。

妊娠中の食事については、妊婦健診時、医師や助産師等から栄養相談を受けられる場合や、お住まいの保健センターへも相談できますので利用してみるとよいでしょう。

「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針について」(こども家庭庁ホームページ)

 

病気に関する注意

切迫流産・切迫早産

流産や早産の兆候がある状態です。

原因には子宮頸管無力症や子宮筋腫、感染症などさまざまなものがあるほか、原因不明の場合も少なくありません。定期的な妊婦健診をきちんと受けること、出血やお腹の張りなど異常を感じたらすぐに受診すること。また冷えや過労、腹部への打撃を避けることが対策となるでしょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠後期に多く「高血圧」「タンパク尿」「むくみ」が代表的な症状です。

重症化すると、胎盤機能が低下して胎児に十分な酸素や栄養を送れなくなるなど、母子ともに危険です。原因ははっきりとは分かっていませんが、「肥満」「塩分の取り過ぎ」「高齢妊娠」「過労」「多児」などでリスクが高まることが知られています。

貧血

妊娠中は、胎児や胎盤の発育のために鉄の必要量が増え、鉄欠乏症貧血になりやすくなります。

軽いと自覚症状はほとんどありませんが、重症化すると動悸や息切れ、疲れやすさの原因にもなります。出産時に血が止まりにくかったり難産になる傾向も見られるので、意識し鉄分を取るとよいでしょう。

【鉄分が豊富な食物】小松菜、ほうれん草、チンゲン菜、高野豆腐、ヒジキ、レバー、赤身の肉、しじみ、さば、カツオ、マグロの赤身、プルーンなど。

妊娠糖尿病

糖尿病は血液中の血糖値を下げるインスリンというホルモンが不足し、血糖値が高い状態。小児期に発症するものや生活習慣病として発症するものが知られていますが、妊娠中に一時的になるものもあり、胎児に悪い影響を与えます。予防には食べ過ぎや甘いものの取り過ぎをおさえ、太り過ぎを防止すること。医師や栄養士に相談して食生活をただすことは、産後の生活のためにも大切です。

性感染症

性行為によって感染する病気を性感染症と言いますが、その中には出産時の感染で胎児に影響を与えるものも!

ヘルペス、クラミジア、B群溶連菌、尖圭コンジローマ、カンジダ膣炎などがそれにあたります。妊娠中にしっかりと治療しておきましょう。夫婦での治療が必要なものもあります。

妊婦健診について

「妊婦健康診査」、通称「妊婦健診」は妊娠が順調かを定期的にチェックし、ママとお腹の赤ちゃんの健康を守る大切な機会です。

妊娠が順調でああれば、「妊娠23週までは4週に1回」となっていますが、異常があれば回数を増やします。健診では、毎回「子宮底・腹囲の測定」「胎児の大きさ・位置・心音の確認」「尿検査(タンパク・糖)「体重測定」「血圧測定」「むくみの有無」を調べますが、このほか、感染症や貧血の有無、肝・腎臓機能検査などを行うこともあります。

「妊婦健診」は、各市町村で公費負担制度があり、「受診券」が14回分交付されます。「妊婦健診」を受けずに出産することは母子ともに大変危険です。必ず妊婦健診を受けましょう。

こんな時はすぐ産婦人科へ!

妊娠中、こんな症状が出たらすぐに産婦人科を受診しましょう。心配がいらないケースもありますが、放置すると危険な場合もあります。

出血

なんらかの異常がある場合が多いので、初期・中期・後期問わず必ず受診してください。流産・早産の兆候のほか、前置胎盤剥離や常位胎盤早期剥離のような重大な異常の可能性もあります。

お腹の張り・痛み

しばらく横になって治るようであれば、生理的な張りであることが大半です。定期的な張りは陣痛の可能性もあります。異常に強い張りや痛みを伴う張り、どんどん強くなる場合、出血や発熱を伴う場合はすぐに医師に連絡し、状況によっては救急車を呼んで病院に向かってください。

強い頭痛

強い頭痛が長く続く、目に火花が散る、チカチするなどの症状は高血圧のサインかもしれません。

前期破水

陣痛が起こる前に胎児を包む卵膜が敗れ、羊水が流れ出すことを言います。妊娠36週目以前なら流産・早産になりますが、妊娠後期であれば入院治療によって無事に出産できる可能性もあります。その場合も、破水後は細菌が子宮内に侵入して子宮内感染を起こすことがあるので、なるべく体を動かさないようにして早急に診察を受ける必要があります。

急に胎動がなくなった

出産が近づくと一時的に胎動が弱まることもありますが、「昨日まで元気に動いていたのに半日以上動かない」「胎動が極端に弱くなった」という場合には、赤ちゃんが弱っている可能性もあります。
受診して原因を調べる必要があります。

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