マタニティブルーや産後うつ
女性にとって、妊娠、出産は大きな出来事です。
うれしくて喜ばしい一方で、妊娠からくる体や心の変化によりストレスが現れてくるときでもあります。
産後には、妊娠や出産によって大きく変化した体が元に戻るために心身に色々な変化が起こります。
疲れやすかったり、些細なことで気持ちがゆらぎやすくなったりします。
そこに育児の日常が加わり、ストレスがたまりやすい時期でもあります。
マタニティーブルーをご存じですか?
出産直後から、数日後頃までにみられ、気分が変わりやすく、涙もろくなったり、心身の不調があったりします。
その他、不安や緊張感、物忘れや集中力の低下、疲労度、食欲不振、頭痛などの症状が現れますが、一過性のものであり、治療の必要はありません。
産後うつ病をご存じですか?
出産によって、女性のライフスタイルは変化します。
これまで、産後の肥立ちが悪い、育児ノイローゼなどと扱われてきたものの中にも産後うつ病などのような治療やサポートが必要である場合があることがわかってきました。
「産後うつ病」は、10~20人に1人の割合で、お母さんが赤ちゃんを産んだ後に体験するものです。その発生時期は出産後1~2週間から数ヶ月以内です。
産後うつ病はマタニティーブルーに比べて症状が多く、比較的持続するのが特徴です。
原因
産後のホルモンなどの体の内部変化や、慣れない育児の疲れなどが原因とされています。
症状
気分が沈み、日常生活で興味や喜びがなくなるのが中心となる症状です。
また、食欲低下または増加、不眠または睡眠過多がみられます。疲れやすく気分が減退し、思考力や集中力が減退します。必要以上に自分を責めてしまう場合もあります。
これらの症状が2週間以上続き、そのために、著しい心理的な苦痛を感じたり家事や育児に困難をきたす場合にうつ病と診断されます。
対処方法について
あなた自身の心や体に変化を感じたら、つらいことを一人で抱え込まずに周りの人に相談しましょう。
産後うつ病などの周産期の心の病気は治療により改善する病気です。一般的に早期対応が病気を長引かせないコツですので、育児に追われて対応を後回しにしてしまうことのないようにしましょう。
また、医師、助産師、保健師への相談や、身近な相談機関を活用しましょう。
妊娠中から心がけたいこと
物ごとの優先事項を決めてみましょう
家事も育児も一度に完璧にすることはできません。
今日したほうがよいことと、明日でもよいことをわけて1日を過ごしてみましょう。
休養を充分にとりましょう
体や気持ちが疲れたと感じたときや、息抜きがしたいと思うときには、赤ちゃんを家族や知人に預けて休養をとることも一つの方法です。
自分のための時間をつくりましょう
赤ちゃんを育てていくあなた自身が心地よいと思える時間を持つことは、気持ちにゆとりを取り戻してくれます。
友人との付き合いを大切にしましょう
赤ちゃんといるだけであっというまに一日が終わります。
でもこれまでの友人とのつきあいを続けることは、心の健康にとっても大切です。
自分の気持ち伝えましょう
産後は生活する上での役割が大きく変わります。
夫や姑にあなたの気持ちを理解してもらいましょう。時間をかけて一つずつ伝えましょう。そして相手の話も聞きましょう。
お互いに感謝の気持ちがもてるとよいですね。
ご家庭へ
誰でもストレスがたまると心が不安定になります。
しかし、周囲の人々の支援があれば、お母さんの心が不安定になるのを防ぐことができます。
ご家庭の皆さんは、お母さんをあたたかく見守ってください。体調を気遣ったり、お手伝いできることはないのか、声をかけたりしてください。『困ったらすぐ助けるよ』という気持ちを伝えてください。
周囲の関心も赤ちゃんが最優先になり、お母さんの変化を見過ごしがちです。お母さんの心身の状況を理解して、ゆったりと落ち着ける環境をつくるようにしましょう。
産後うつ病のような様子を感じたら、医師、助産師、保健師に相談しましょう。
保健福祉機関や医療機関を利用しましょう
保健センター
市町村では身近な母子保健サービスを提供しています。サービスの内容は、新生児訪問、乳幼児健康診断、育児相談等が行われており、子育てに関するあらゆる相談に応じています。
保健所
北海道には26道立保健所と、札幌、函館、小樽、旭川に保健所があります。道立保健所では市町村と連携しながら、専門的な相談に応じています。専門的な相談とは、未熟児や障害児についての相談、エイズ、難病、感染症などです。
精神保健福祉センター
北海道には、北海道立精神保健福祉センターと札幌市精神保健センターの2カ所があります。
医師、精神保健福祉士、保健師等が心の相談などについて専門的な立場で相談に応じたり、医療機関や民間機関の情報を提供する精神保健に関する専門機関です。