お肉は生で食べないで!
食肉は、カンピロバクター属菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、E型肝炎ウイルス、寄生虫などに汚染されている可能性があり、新鮮なものかどうかに関わらず、生や加熱不十分な状態で食べることで重篤な食中毒を起こす場合があります。
このような食中毒の発生を防止するためには、食肉の衛生的な取扱いや生食の危険性を十分に理解しておくことが必要です。
カンピロバクター属菌
○ カンピロバクターは、鶏や牛、豚などの動物の消化管内にいる細菌です。市販の鶏や牛などの食肉やレバーはカンピロバク ターに汚染されている可能性があります。
○ 通常、食中毒菌は食品中で大量に増加して食中毒を起こしますが、カンピロバクターは100個程度と少ない菌量で食中毒 を起こします。
○ 潜伏期間は2~5日で、症状は下痢、腹痛、倦怠感、頭痛などです。
○ 10℃以下の低温で長期間生存しますが、75℃以上で1分間以上加熱すれば死滅します。
腸管出血性大腸菌O157
○ O157などの腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜や人の糞便中に時々存在します。
○ 人に感染すると、3~8日間の潜伏期間をおいて、ベロ毒素と呼ばれる毒素により激しい腹
痛、水様性の下痢、血便などの症状が出るほか、HUS(溶血性尿毒症症候群)など重篤化する
こともあります。
○ 腸管出血性大腸菌は75℃1分間以上の加熱で死滅しますが、100個程度と少ない菌数でも
発症します。
サルモネラ属菌
○ サルモネラは、動物の腸管や自然界に広く存在します。生肉、特に鶏肉と卵はサルモネラ属菌
に汚染されている可能性があります。
○ 潜伏期間は6~72時間で、症状は激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐などです。
○ 75℃以上で1分間以上の加熱で死滅します。
E型肝炎ウイルス
○ E型肝炎ウイルスに汚染された食物、水等の摂取により感染することが多いとされています。
○ 平均6週間の潜伏期の後に(稀に数日の倦怠感、食欲不振等の症状が先行する場合もある)、
発熱、悪心・腹痛等の消化器症状、肝腫大、肝機能の悪化が現れます。
〇 大半は、安静臥床(ベッドの上で動かずに安静を保つこと)により治癒しますが、まれに劇症
化するケースもあります。
○ 63℃で30分間と同等以上の熱処理で感染性を失います。
寄生虫(トリヒナなど)
○ シカやイノシシ、クマ等の野生動物は、飼料や健康状態等の管理が行われていないことから、
寄生虫(トリヒナ等)を保有していることがあります。
〇 トリヒナ症の症状は、筋肉痛、発熱、悪寒、浮腫、好酸球増多が特徴的ですが、重症の場合に
は、呼吸麻痺等で死に至ることもあります。
〇 冷凍しても死滅しませんが、中心部まで十分に火が通るよう加熱を行うことにより感染を予防
できます。
食中毒予防のポイント
■ 生や半生での肉料理の喫食は避け、肉の中心部の色が変わるまで加熱(中心部で75℃以
上、1分間以上)を徹底しましょう!
■ 特に結着や漬け込み加工された食肉は、十分な加熱調理が必要な旨が表示されていますので、
必ず中心部までしっかり加熱しましょう。
■ また、飲食店等においても、結着等の加工処理がされた食肉を、お客さんが自ら加熱調理する
形態のサービスもありますので、提供時に説明された方法で適切に加熱調理しましょう。
■ このほか、焼肉では専用のトングなどを使用したり、生肉と他の食材の皿を分けるなど、生肉
から他の食品への交差汚染を防止しましょう。