(1)新耐震基準のめざす耐震建築
新耐震設計法の誕生
昭和53年6月12日、仙台を中心とする広域を襲ったマグニチュード7.4の宮城県沖地震は、死者28名、負傷者1,325名を出す被害をもたらしました。このとき、ピロティ形式の建物や耐震壁配置と重量分布のバランスの悪い建物が大きな被害を受けました。
これより先の昭和47年より、建設省は総合技術開発プロジェクトとして新耐震設計法の開発に着手、昭和52年には、建物のねばり強さを構造計算に含める新耐震設計法(案)を示しました。
宮城県沖地震はこの新耐震設計法(案)の妥当性を証明、昭和55年にはこの考え方を盛り込んで建築基準法施行令耐震基準が改正されました(昭和56年より適用)。これが現行の耐震基準です。
新耐震設計法のめざすもの
(1) 中規模地震動への対応
建物の耐用年数内に数度は遭遇する可能性のある程度の地震に対し、各部に損傷等が起こらず再使用を可能とする設計をします。
(2) 大規模地震動への対応
建物の耐用年数内に一度あるかないかの極めてまれな大地震に対しては、最低限人命が守られるよう、崩壊を免れる構造を求めています。