1.海岸事業の概要
北海道の海岸の総延長は、3,099km(北方領土を除く)で、全国の約9%に相当し、単調な砂浜海岸が多いため、潮流、波浪による侵食、欠壊を受けやすいところが多く見られます。
このため、保全を要する海岸(要保全海岸)は、総延長の61%、1,902kmに及んでおり、このうち、要保全海岸の92%に相当する1,756kmが、海岸保全区域として指定されています。
海岸の整備は、国土交通省水管理・国土保全局、国土交通省港湾局、農林水産省水産庁、農林水産省農村振興局により、高潮対策事業、侵食対策事業、海岸環境整備事業等を進めています。
2.海岸事業の整備
海岸事業は、昭和31年に海岸法が制定されましたが、昭和34年の伊勢湾台風、昭和35年のチリ沖地震津波と相次ぐ海岸災害を契機として、海岸保全事業の計画的な実施が必要と考えられるようになり、昭和45年から第1次海岸事業5箇年計画により整備を進めています。
(1)高潮対策事業
強風による高潮と重なり合い、水面が上昇し浸水の危険が高くなる地域や、津波に対する防護を必要とする地域において、堤防などの整備を行っています。
(2)侵食対策事業
本道沿岸では、砂の移動の微妙なバランスが崩れ、砂浜の後退が多く見られます、侵食対策事業は、そのバランスを取り戻すため、離岸堤や人工リーフなどの整備を行っています。
(3)海岸環境整備事業
古来から人は海と遊び、海辺を憩いの場としてきました。最近ではレジャーの多様化に伴ない海洋レクリェーションへの関心も高く、多くの人々が気楽に海とふれあえる空間が求められています。このようなニーズに応え、安全でうるおいのある海辺づくりを行うため、人工リーフなどの施設や砂浜を創出する養浜を行っています。
(4)局部改良事業
(1)高潮対策事業と(2)侵食対策事業と同じ目的で、規模の比較的小さい箇所で、海岸保全施設の整備を行っています。
(5)補修事業
老朽化等により著しく機能が低下した海岸保全施設の補修を行っています。