(仮称)北部事業予定地一般廃棄物最終処分場事業環境影響評価方法書に対する知事意見

○方法書に係る知事意見(H19.8.20)

 

 

1 総括的事項

 1 事業特性の明確化

   環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)の作成にあたっては、環境影響評価の項目並び

  に調査、予測及び評価の手法を選定するに当たっての前提となる工事の内容や供用時の状況等

  の事業特性を具体的かつ分かりやすく記載すること。

   また、当該事業は、泥炭土の上に処分場の設置を計画していることから、遮水シートの破損や水

  質、土壌など周辺の環境への影響を防止するため、必要に応じて行われる沈下防止対策なども具

  体的に準備書に記載すること。

 2 地域特性の把握

   地域特性の把握に関し、重要な地質の分布状況が把握されていないことや社会的状況について

  も記載されていない施設等があることが送付された意見書で指摘があったことから、可能な限り周

  辺地域の現況の把握に努め、準備書に記載すること。

 3 環境影響評価項目の選定

   環境影響評価方法書では、事業特性の記載内容が不十分であることから、影響要因の特定が難

  しく、結果として、環境影響評価の項目の選定根拠が不十分になっているものが見受けられます。

   このため、事業特性によって定まる様々な影響要因を明らかにし、環境影響評価の項目の選定

  根拠について、準備書に分かりやすく示すこと。

   また、調査の結果、新たに周辺住民の生活環境や自然環境に対して影響及ぼすおそれが生じた

  場合は、環境影響評価の項目を追加するなど適切に対応すること。

 4 調査手法等の選定

   調査、予測及び評価の手法については、その環境に与える影響の重要性に応じ詳細な調査、予

  測の手法を選定すること、又は簡略化した手法を選定することなど事業特性に応じた手法の検討

  を行うこと。

   また、調査地域は、環境影響を受ける範囲であると認められる地域とし、事業特性や地域特性を

  踏まえ、環境項目ごとに検討し、適切に設定すること。

 5 事業規模設定の基本となる計画について

   「さっぽろごみプラン21」において定めた目標値(平成26年度)については、平成17年度において

  既に目標値を達成していることを踏まえ、埋立処分量の一層の削減を進め、環境への負荷を可能

  な限り低減するよう努めること。

 

2 個別的事項

 1 大気質・騒音・振動

  1 事業予定地周辺は石狩湾の方から吹く北西風が多いため、予定地の風下における大気デー

    タも把握するよう努めること。

  (2) 粉じん等の発生要因を明らかにし、調査、予測及び評価の手法の選定根拠と併せて準備書に

   記載すること。

  (3) 騒音の調査では「車両の運行が予想される道路の沿道の状況」及び「道路構造及び当該道路

   における交通量に係る状況」を調査することとしていますが、これらの調査内容は車両走行に伴

   う大気質及び振動に係る予測及び評価の際にも必要であると考えられます。

    このため、大気質及び振動の調査内容に騒音の調査内容と同様に「車両の運行が予想される

   道路の沿道の状況」及び「道路構造及び当該道路における交通量に係る状況」を加えた調査、

   予測及び評価手法について検討すること。

  (4) 騒音及び振動に関する調査地点の設定について、建設資材及び廃棄物運搬車両の輸送経路

   を明らかにし、調査及び予測地点の設定根拠を準備書に記載すること。

 2 水質・地下水

  (1) 水質汚濁に係る調査地点及び予測地点は、浸出水処理水の排出先や雨水排水の排出先など

   を明らかにしたうえで、適切に選定することとし、準備書に、調査地点等の選定根拠を記載する

   こと。

  (2) 水質汚濁に係る調査地域については、水質の濃度に一定程度以上の影響を及ぼすと想定され

   る範囲(河川においては低水流量時に排出水が100倍に希釈される地点を含む流域とする)を考

   慮して設定すること。

  (3) 水質について、廃棄物の存在・分解による浸出水が影響要因になることも想定されることから、

   影響要因の追加について検討すること。

    また、処分場を複数の区画に区切る場合、未使用の区画では雨水排除が行われ、また、使用

   部分と未使用部分が単一区画で存在する場合では浸出水量、雨水排除量が様々異なり、さら

   に、最終覆土をいつ行うかでも浸出水発生量が異なることから、予測時期は、供用が開始された

   段階ごとの設定を検討すること。

  (4) 地下水の予測及び評価を適切に行うため、文献等の既存資料による調査に加え、必要に応じ

   ボーリング調査等の現地調査を実施すること。

 3 地形・地質

  (1) 地形については、「日本の地形レッドデータブック(日本の地形レッドデータブック作成委員会)」

   による豊平川(渓谷・扇状地地形)が保全すべき地形として選定されていますが、詳細な位置につ

   いては明記されていないとのことで、環境影響評価の項目に選定していませんが、現況の把握な

   どに基づく重要な地形に対する認識について明らかにすることなどを選定理由に示し、準備書に

   記載すること。

  (2) 当該地の地質は高位泥炭土壌であり、「わが国の失われつつある土壌の保全をめざして~レッ

   ド・データ土壌の保全~(日本ペドロジー学会)」による石狩泥炭地の高位泥炭土と思われるの

   で、環境影響評価の項目の重要な地質として選定するよう検討すること。

 4 動物、植物、生態系

  (1) 動物の調査にあたっては、その動物の生態等を把握し、適切な調査時期、方法等を設定する

   こと。

  (2) 地下水の予測評価と併せて、地下水位等の変化によって生じる動植物の生育・生息環境や生

   態系への影響の程度についても検討し、その結果を準備書に記載すること。

 5 景観

   当該処分場は土堰堤構造により高さが10mを超え、地域住民の日常生活の場からの眺望に対

  する影響が懸念されることから、景観の予測は主要な眺望点からの眺望の他に、日常生活の場か

  らの眺望や地域を特徴付ける景観という観点からの景観資源を抽出するなど、調査、予測地点の

  選定について検討すること。

 6 温室効果ガス等

   予測で用いる他の処分場の引用事例は、処分予定の廃棄物の種類、量及び割合等の類似性な

  どを勘案しながら適切に選定するとともに、引用した処分場の状況と比較した評価結果を準備書に

  分かりやすく記載すること。

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