○計画段階環境配慮書に係る知事意見 (H26年3月27日) 1 総括的事項
(1)本事業計画のさらなる検討に当たっては、本配慮書で検討した計画段階配慮事項に加えて、2の個別的事項についても、事業計画の熟度に応じた適切な方法により調査、予測を行い、その結果に対する専門家からの意見を聴取した上で、各環境要素に係る重大な環境影響の程度を評価し、その結果を本事業の構造・配置又は位置・規模の決定に反映すること。
また、当該調査、予測、評価の結果及び当該評価結果に基づく構造・配置又は位置・規模に係る検討の経緯等について、方法書に記載すること。
(2)本配慮書では、土木工事に伴い発生する残土の発生量を約69,000立方メートル又は86,000立方メートルと推計し、「これらの残土は、すべて事業予定地内で処分」する計画となっていることから、本事業計画のさらなる検討に当たっては、残土の発生を抑制するとともに、風力発電設備及び管理用道路等の配置のみならず、残土の処分場所及び処分方法等の検討においても、森林の伐採や土地の改変等による水環境、動物、植物及び生態系等に対する環境影響を回避、低減するよう十分に配慮すること。
(3)具体的な風力発電設備の構造・配置又は位置・規模の決定に際しては、地元住民の意見に十分に配意することにより、地域の生活環境等に配慮すること。
2 個別的事項
(1)騒音及び超低周波音
本配慮書では、風力発電設備の配置に関してA案(均等配置)及びB案(緩衝配置)の複数案を設定し、計画段階配慮事項の検討を行っているが、事業実施想定区域の周辺には住居が存在しており、当該住居と風力発電設備との離隔距離等から判断して、複数案のいずれの配置の場合であっても、当該住居に対して騒音(低周波音を含む。以下同じ。)及び超低周波音に係る重大な環境影響を生じさせるおそれがある。
ついては、本事業計画のさらなる検討に当たっては、騒音のみならず超低周波音についても、事業計画の熟度に応じた適切な方法により調査、予測及び評価を行い、その結果重大な環境影響が認められる場合には、本事業の構造・配置又は位置・規模を含めて再検討すること。
なお、低周波音について、環境省の「低周波音の測定方法に関するマニュアル」では、「およそ100Hz以下の低周波数の可聴音と超低周波音を含む音波」とされているが、国際的には定義されておらず、複数の国のガイドラインにおいては、約200Hz以下の周波数の騒音とされていることから、これらの知見についても十分に考慮し、周波数が20ヘルツから200ヘルツまでの帯域に係る調査、予測の実施について可能な限り検討すること。
(2)水環境
事業実施想定区域の南側の地域は、北海道水資源の保全に関する条例で指定する五の沢貯水池地区水資源保全地域であり、森林法に基づく石狩市森林整備計画において水源涵養林又は保健・文化機能維持林に指定される森林が所在する区域である。なお、当該地域は、付近の水田にかんがい用水を供給する五の沢貯水池の周辺区域でもあることから、風力発電設備の構造・配置又は位置・規模の検討に当たっては、森林の伐採や土地の改変等による水環境への影響及び水資源の保全上の影響を回避、低減するよう配慮すること。
また、本配慮書では、「八の沢は、昭和35年まで石油採掘で栄えてきた地域」であるとされており、事業実施想定区域の地下に一定程度の石油等が存在する可能性があることから、風力発電設備の設置のために行う掘削調査及び工事の実施等で石油等を浸出させることにより、周辺の水環境に係る汚染等の影響を生じさせないよう配慮すること。
(3)動物
本配慮書では、既存資料調査において、事業実施想定区域及びその周辺で、希少猛禽類であるオジロワシや希少種であるコハクチョウが確認されているほか、樹林域においてもハイタカ、オオタカ、クマゲラ等の種が生息する可能性があるとされているため、風力発電設備の構造・配置又は位置・規模の検討に当たっては、これらの重要な種等に対するバードストライク及び森林の伐採等による生息地への影響を回避、低減するよう配慮すること。
(4)生態系
本配慮書では、事業実施想定区域内に「一部胸高直径50cm程度以上の大径木を含む林分」の存在が確認されている。当該大径木を含む林分は、一度改変すると回復が困難な脆弱な自然環境のまとまりの場に該当する可能性があるため、風力発電設備の構造・配置又は位置・規模の検討に当たっては、森林の伐採や土地の改変等による当該林分及びその周辺の生態系への影響を回避、低減するよう配慮すること。
(5)風車の影
本配慮書では、風力発電設備の配置に関してA案(均等配置)及びB案(緩衝配置)の複数案を設定し、計画段階配慮事項の検討を行っているが、事業実施想定区域の周辺には住居が存在しており、当該住居と風力発電設備との離隔距離及び位置関係等から判断して、複数案のいずれの配置の場合であっても、当該住居に対して風車の影による重大な環境影響を生じさせるおそれがある。
ついては、本事業計画のさらなる検討に当たっては、事業計画の熟度に応じた適切な方法により風車の影に係る調査、予測及び評価を行い、その結果重大な影響が認められる場合には、本事業の構造・配置又は位置・規模を含めて再検討すること。
(6)人と自然との触れ合い活動の場
事業実施想定区域は、北海道自然環境保全指針で選定する八の沢自然林に隣接していることから、風力発電設備の構造・配置又は位置・規模の検討に当たっては、住民や地元自治体からのヒアリング等の追加調査を行い、伐採等による当該自然林への影響を回避、低減するよう配慮すること。
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