○環境影響評価方法書に係る知事意見 (平成15年4月2日)
1 総括的事項 (1) 事業予定地については、農地・山林等が広がり、軽種馬育成地や重要な動植物も見られることから、こうした地域特性を十分に勘案し、専門家の意見を聴いた上で、調査地点を選定すること。 (2) 計画路線の具体的なルート、構造の設定等にあたっては、実行可能な範囲において、環境保全措置について複数案の比較検討を行うことにより、環境影響が回避・低減されているかどうかの検証を行うとともに、よりよい技術の導入の検討を行うこと。 (3) 環境影響評価を行う過程において、環境影響評価の項目及び手法の選定等に係る新たな事情が生じたときは、必要に応じ項目及び手法を見直し、追加的に調査、予測及び評価を行う等適切に対応すること。
2 個別的事項 (1) 大気環境 ア 大気質及び騒音について、事業実施区域や住居等の保全対象との位置関係、さらに地形の状況を踏まえて、調査地点を選定するとともに、その選定理由を準備書に記載すること。 イ 現状で騒音の環境基準値を上回っている地域について、計画交通量が現状よりも増加する場合は、騒音の予測地域に、現在の静内町国道235号沿線の市街地を含め、面的な予測、評価を行うこと。 ウ 事業実施に伴う資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に伴う騒音について、道路に面する地域の騒音に係る環境基準との整合が図られているかどうかについて予測、評価を行うこと。 (2) 水環境 切土工又は掘削工が予定される区域においては、水底等の掘削や降雨時における土工部(建設発生土の保管場所等を含む。)からの濁水の流出による公共用水域の水の濁り、水生生物や底生動物への影響のおそれがあるため、必要に応じ「水の濁り」について調査、予測及び評価を行うこと。 (3) 地下水 掘割構造物・トンネル構造物は地下水の流れを遮断するおそれがあるため、必要に応じ「地下水の水位」について調査、予測及び評価を行うこと。 (4) 地盤変動 事業実施区域に砂防指定地及び地すべり防止区域が含まれるため、これらの区域が施工区域となる場合は、「地盤変動」について調査、予測及び評価を行うこと。 (5) 低周波音 橋梁や嵩上式構造物の周辺に住宅等の保全対象が存在する場合は、低周波音の影響が懸念されるため、必要に応じ「低周波音」について調査、予測及び評価を行うこと。 (6) 電波障害 橋梁や嵩上式構造等の周辺に住宅等の保全対象が存在する場合は、電波障害が懸念されるため、必要に応じ「電波障害」について調査、予測及び評価を行うこと。 (7) 動物、植物、生態系 ア 沿岸部の大部分に藻場があることを踏まえ、施工区域が海岸側となり、影響が懸念される場合は、調査、予測及び評価を行うこと。 イ インターチェンジ等の夜間照明による野生動植物などへの影響が懸念されることから、必要に応じ調査、予測及び評価を行うこと。 ウ 事業実施区域周囲にオオワシ等の重要な猛禽類の生息が確認されているため、猛禽類の調査に当たっては二営巣期に渡り行うなど、「猛禽類保護の進め方」(1996年9月、環境庁)に沿って、専門家の意見を聴いた上で、予測、評価を行うこと。 エ 概況把握区域に北海道レッドリストの絶滅危機種であるエンビセンノウ、サカネランが確認されているため、専門家の意見を聴いた上で、適切な調査、予測及び評価を行うこと。 オ 生態系に与える影響の調査、予測に際しては、専門家の意見を聴いた上で、抽出した注目種・群衆の生息・生育環境、生活史を考慮した現地調査を行うとともに、可能な限り個体数・現存量などの把握を踏まえた定量的な予測手法を用いること。 カ 地域を特徴づける生態系における注目種・群集に特殊性を有するものはないとしているが、さらに現地調査や専門家の意見を聴いた上で、必要に応じ選定すること。 キ 凍結防止剤、融雪剤の使用により動植物への影響を及ぼすおそれがある場合は、特に水生動植物の分布を考慮して、調査、予測及び評価を行うこと。 ク 「丘陵地-低地に分布する自然林・植林」及び「河川及びその周辺の潅木林」を「地域を特徴づける生態系」として選定すること。なお、「地域を特徴づける生態系」の選定の理由・考え方を、準備書に具体的に記載すること。 (8) 景観 計画路線の配置、高さ、形状によっては、にいかっぷホロシリ乗馬クラブ及び新冠温泉からの眺望が阻害されるおそれがあるため、必要に応じこれらを眺望点として追加し、調査、予測及び評価を行うこと。 (9) 人と自然との触れ合いの活動の場 人と自然との触れ合いの活動の場の調査に当たっては、必要に応じ地域住民等へのヒアリングを実施するなど、適切な調査、予測及び評価を行うこと。 (10) 廃棄物等 事業実施により発生する建設発生土及び廃棄物について、事業実施区域内で再生利用されるものと区域外に搬出されるものに区分し、可能な限り定量的に発生、処理状況について予測、評価を行うこと。 |