○ 環境影響評価準備書に係る知事意見 (平成26年12月5日)
事業者は、以下の事項について十分に検討を加え、その結果及び検討経緯を環境影響評価書(以下「評価書」という。)に記載するとともに、事業の実施に当たっては、環境保全に万全を期する必要がある。
1 総括的事項
(1)評価書の作成に当たっては、予測及び評価の手法等についてわかりやすく解説するとともに、環境影響が実行可能な範囲内でどのように回避又は低減されているかを丁寧に説明すること。
(2)対象事業実施区域及びその周囲の概況のうち、動植物に係る文献その他の資料による調査は、当該地域に係る動植物相の全体像を把握するため、適切な調査範囲を設定した上で、入手可能な最新の資料を用いて漏れなく網羅的に行うこと。
2 個別的事項
(1)騒音及び超低周波音
ア 工事用資材等の主要な運搬ルートに福祉施設が面していることから、工事関係車両の走行台数の平準化を徹底すること等により、当該施設に対する道路交通騒音による影響について可能な限り回避、低減を図ること。
イ 風の影響を受けない時期を選び、あらためて現況騒音の測定を行った上で予測及び評価を行い、可能な限り環境影響の回避、低減を図ること。また、風力発電設備の騒音及び超低周波音による心身への影響については不確実性があることから、稼働開始後に影響が確認された場合の対策について検討すること。
(2)水環境
ア 対象事業実施区域内に湧水を水源とする簡易水道施設の取水口があることから、専門家等の意見を聴取し、さらに、水道管理者との協議を踏まえ、風力発電設備及び管理用道路の設置等に伴う土地の改変位置を集水域から外すなど、当該水源への水質及び水量への影響を回避すること。
イ 水の濁りについては、安全側の雨量想定に基づく予測を行い、その結果を踏まえて適切な環境保全措置を検討し、可能な限り環境影響の回避、低減を図ること。
(3)動物
ア 動物相(鳥類相を除く。)の調査を行っていない土地改変区域については、適切な時期に当該区域を網羅する追加調査を実施して出現種リストを作成した上で、重要な種を再選定して適切に予測及び評価を行い、必要な環境保全措置を講じること。
イ 事業実施区域内及びその周辺では、マガン及びコハクチョウ等の水鳥類の渡りが確認されており、また、オジロワシ、ハヤブサ及びハチクマ等の希少猛禽類の飛翔が高頻度で確認されていることから、これらの風力発電設備への衝突が懸念される。このため、専門家等の意見を聴取した上で、風力発電設備の配置等の変更を含めた環境保全措置を検討し、希少鳥類の生息に係る環境影響を可能な限り回避、低減すること。
また、鳥類の衝突に係る予測には大きな不確実性が伴うことから、より精度の高い結果が得られるよう事後調査の頻度及び方法等について再度検討を行い適切に実施するとともに、バードストライク等の生息環境への影響が生じた場合は、稼働制限等を含む環境保全措置の実施について検討すること。
(4)植物
植物相の調査を行っていない土地改変区域については、適切な時期に当該区域を網羅する追加調査を実施して出現種リストを作成した上で、重要な種を再選定して予測及び評価を行い、土地改変位置の変更を含め、生育環境の保全を基本とする環境保全措置を検討すること。また、造成工事における切土及び盛土等の施工に当たっては、表土の移動及び人工裸地の出現等に伴う侵略的外来種の生育域拡大の防止について検討すること。
(5)景観
磯谷高原からの景観については、ニセコ積丹小樽海岸国定公園区域の積丹半島から連なる海岸線とニセコ山塊や羊蹄山及び蛇行する尻別川などから成る眺望景観全体を対象に予測及び評価を行い、風力発電設備の配置、構造又は色彩等を検討し、環境影響の回避、低減を図ること。
また、本眺望点に隣接する風力発電設備については、稼働に伴う騒音等の影響により、その優れた眺望景観をはじめ自然との触れ合いを求めて来訪する利用者の快適性が損なわれることのないよう、可能な限り離隔する配置を検討すること。
(6)廃棄物等
12号機の設置が予定されている区域は石綿含有産業廃棄物を含む可能性のある安定型最終処分場の跡地であり、掘削等による石綿の飛散の可能性を否定できないことから、風力発電設備の配置の変更を検討するなど、環境影響の回避、低減を図ること。なお、当該跡地の掘削を行う場合は、それにより生ずる廃棄物等の種類、性状及び量並びに処理方法を明記すること。