道内では、在来種であるニホンザリガニのほか、特定外来生物であるウチダザリガニとアメリカザリガニの生息が確認されています。
外来生物法に基づく特定外来生物は、飼養したり、生きたまま保管・運搬したりすることなどは原則禁止されています。ただし、アメリカザリガニは、特定外来生物のうち、一部の規制が当分の間適用されない条件付特定外来生物であり、飼養したり、生きたまま保管・運搬したりすることなどは禁止されていません。(販売や野外への放出などは他の特定外来生物と同様に禁止されています。)
生息域の拡大を防止するため、防除にご協力いただくとともに、外来生物法違反とならないようご注意ください。
防除の際の注意等
- 特定外来生物は、生きたまま保管・運搬することが禁止されているため、捕獲した場合は、その場で殺処分したうえ、必ず持ち帰り、一般廃棄物として処分してください。
- 北海道では、地域における捕獲(防除)活動を推進するために、市町村等を対象に捕獲用カゴの貸出を行っています。詳しくは、各(総合)振興局環境生活課へお問い合わせください。
なお、ウチダザリガニをカニカゴ等を用いて捕獲する場合には、北海道漁業調整規則に基づく採捕等の許可が必要となります。詳しくは、各(総合)振興局水産課へお問い合わせください。
北海道に生息するザリガニ類
特定外来生物に指定されているウチダザリガニ及びアメリカザリガニと在来種のニホンザリガニについて紹介します。
各ザリガニの成体の外見的な比較は、さらに下をご覧ください。
なお、詳しい特定外来生物の見分け方については、環境省の特定外来生物同定マニュアル(甲殻類)などを参考としてください。
写真提供:写真家 林 直光 氏(無断転載等は禁止)
ウチダザリガニ(特定外来生物)
ウチダザリガニは、道内40市町村において、生息が確認されており、ニホンザリガニや他の在来種への影響が懸念されています。
※令和6年度「特定外来生物の市町村別侵入状況の把握のためのアンケート」調査の結果について
- 学名:Pacifastacus leniusculus
- 原産地:北アメリカ北西部
- 特徴:茶褐色、暗緑色、青褐色。孵化後1~3年で成熟し、寿命は約10年といわれる。
- 大きさ:体長15cm程度
- 繁殖期:10~11月頃交尾(抱卵したまま越冬する。)
- 生息環境:淡水に生息するが、汽水環境にも耐性がある。冷水性の河川や湖沼に生息する種であるが、温泉水が流入する高水温性の小河川にも生息が確認されている。
<参考文献>
- 一般財団法人自然環境研究センター(編著). 最新 日本の外来生物. 平凡社, 2019, p.248-249.
- 豊田 幸詞, 関 慎太郎(著), 駒井 智幸(監修). 日本産淡水性・汽水性甲殻類102種 日本の淡水性エビ・カニ. 誠文堂新光社, 2014, p.103.
- Nakata, K., K. Tsutsumi, T. Kawai and S. Goshima (2005) Coexistence of two North American invasive crayfish species, Pacifastacus leniusculus (Dana, 1852) and Procambarus clarkii (Girard, 1852) in Japan. Crustaceana 78: 1389-1394.
参考
アメリカザリガニ(条件付特定外来生物)
アメリカザリガニは、道内17市町村において、生息が確認されており、ニホンザリガニや他の在来種への影響が懸念されています。
※令和6年度「特定外来生物の市町村別侵入状況の把握のためのアンケート」調査の結果について
- 学名:Procambarus clarkii
- 原産地:北アメリカ南部
- 特徴:暗赤色、赤色。生後1~2年で成熟サイズに達し、寿命は約4年。
- 大きさ:体長12cm程度
- 繁殖期:春と秋。(条件が良ければ1年に2回繁殖する)
- 生息環境:湖沼や河川、水田など。高水温・水質汚濁に耐性がある。
<参考文献>
- 一般財団法人自然環境研究センター(編著). 最新 日本の外来生物. 平凡社, 2019, p.252-253.
- 豊田 幸詞, 関 慎太郎(著), 駒井 智幸(監修). 日本産淡水性・汽水性甲殻類102種 日本の淡水性エビ・カニ. 誠文堂新光社, 2014, p.106.
参考
ニホンザリガニ(在来種)
ニホンザリガニは、北海道と東北の一部に生息している在来種であり、種の保存法(※)に基づく特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売・頒布などを目的とした捕獲、譲渡し等は禁止されています。
(※)絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
- 学名:Cambaroides japonicus
- 生息地:北海道、東北の一部
- 特徴:茶褐色。寿命は10年程度。
- 大きさ:体長7~8cm程度
- 繁殖期:産卵は年1回。
- 生息環境:清澄な河川の源流、湖沼
<参考文献>
- 豊田 幸詞, 関 慎太郎(著), 駒井 智幸(監修). 日本産淡水性・汽水性甲殻類102種 日本の淡水性エビ・カニ. 誠文堂新光社, 2014, p.112-113.
- 中田 和義, 中岡 利泰, 五嶋 聖治. 移入種ブラウントラウトが淡水山甲殻類に及ぼす影響:絶滅危惧種ニホンザリガニへの捕食. 日本水産学会誌, 2006, 72(3), 447-449.
各ザリガニの成体の比較
このページに関する注意事項
このページは、阿寒マリモ自然史研究会、斎藤和範氏、林直光氏らの協力により作成しています。写真等を転写するなど無断で使用することはできません。協力者それぞれの許可が必要です。