[S.37.12.27指定・11,692ha]
MAP
概要
雄大な根釧台地の水平景観を背景とし、ラムサール条約に登録されている野付半島・風蓮湖を中心に、海跡湖・砂丘やそれをとりまく森林・湿原などからなる道東らしい風景を特色とする公園です。海岸湿原・湖沼群には湿生植物・野鳥が多数生育・生息しており、植生・野鳥観察のために訪れる人も多数見られます。
地域
海岸性で夏季は霧が発生しやすく冷涼である一方、冬は雪が少なく晴天の日が多くなります。
自然
この公園の中でも、特に春国岱は、一地域としては非常に豊かな鳥類相を有しており、これまでに220種以上が記録されています。渡りの時期によって、種・個体数共に変化します。3~5月はオオハクチョウやヒシクイ、カモ類、シギ・チドリ類等の千島列島や北極圏等で繁殖する鳥類が渡りの中継地として多数飛来します。
6~7月は、タンチョウやアカアシシギなどの湿原性鳥類や、キクイタダキ等の森林性鳥類が繁殖します。9月中旬からは、ヒシクイ、カモ類、オオハクチョウの飛来が始まり、しばし羽を休めた後、湖が結氷する頃南へ去っていきます。代わって10月下旬から2月頃まで、オオワシやオジロワシが多数越冬し、日中は結氷した湖面で過ごし、夜は周辺の森林をねぐらにとります。
タンチョウ
全身白で首と羽の一部と足が黒く、頭のてっぺんが赤いのが特徴です。春から秋にかけて野付半島や春国岱、温根沼などの湿原で巣作りをし、子育てをします。
1~2月の越冬期には湖面が結氷し餌がなくなるため、ほとんどが釧路湿原周辺の給餌場へ去っていきます。国の特別天然記念物に指定されています。
シギ・チドリ
シギ・チドリ類の総称を俗に「シギチ」と呼び、これらは風蓮湖などの干潟に春と秋にやってきます。
オジロワシ・オオワシ
道東の象徴とも言うべき、どちらも天然記念物(国指定)の大型のワシ類です。オオワシは冬鳥として、野付半島や風蓮湖にやってきますが、オジロワシは風蓮湖等で繁殖するものもあります。
オオハクチョウ
その名のとおり、親鳥は全身白いのですが、当年生まれの若鳥は灰色をしています。10月頃北からやってきて、風蓮湖や野付湾でアマモ等を食べて冬を過ごし、5月頃また北へ去っていきます。
カモ類
オオハクチョウと共に、冬鳥としてやってきます。オナガガモ、ヒドリガモ、コガモ、マガモなどが主にやってきます。
森林性鳥類
野付半島中央部や春国岱などには、大きな森があります。アカゲラやキビタキ、アオジ、アカハラ等は両方に共通ですが、ルリビタキやキクイタダキといった針葉樹を好む鳥は春国岱だけに、ヤマシギ、ハリオアマツバメといった広葉樹を好む鳥は野付半島の森にしか見られません。
エゾシカ
北海道に生息する大型哺乳類を代表するもののひとつで、公園内でよく見ることができます。ただし、道路に飛び出してくることが多いため、車を運転する際はスピードダウンを心がけましょう。
キタキツネ
これも北海道に生息する哺乳類の代表で、公園内でよく見ることができます。 ただし、エキノコックスという寄生虫に感染していることが多いため、人慣れしないようにむやみに餌をあげたり、手で触ったりするのは絶対にやめましょう。
湿地の植生
野付半島の野付湾側の海と接するあたりや、春国岱砂丘列間低地の汽水域には、砂泥質の塩湿地が広がっています。湿地のいちばん海側の低地にはシバナやヒメウシオスゲの株があり、その間の裸地にはアッケシソウが生育しています。アッケシソウは、秋には赤紫色に染まるためサンゴソウの別名もあります。
また、風蓮湖に流れ込む川の河口付近は三角州が発達し広大なヨシ低湿地となっており、周辺の丘陵地から遠望することができます。
森林
野付半島中央部や、春国岱には大きな森林がありますが、それぞれの森は様相が大きく違います。
野付半島中央部の森は、林縁部が樹高の低いミズナラやダケカンバ、エゾイタヤなど広葉樹の茂みで、森林内部はミズナラにトドマツ、エゾマツが混生しています。
また、春国岱には世界的にも珍しい砂丘上のアカエゾマツ林が存在し、内部は湿地となっており、ミズバショウやザゼンソウが林床に生育しています。
海岸植生
野付半島や春国岱、走古丹で、砂の移動がある不安定な浜から背後のやや安定した砂地には、ハマニンニクやコウボウシバが群落をつくっています。センダイハギ、エゾフウロ、ハマボウフウ、ツリガネニンジンなど多くの植物が季節ごとに花を咲かせます。また、春国岱などの砂丘上では丈の低いハマナスが大きな群落の帯を作っています。
見どころ
風蓮湖
風蓮湖は、周囲58km、面積5,210haの広い湖で、汽水湖としては日本で第5位の大きさです。湖には、大小17河川が流入しており、風蓮川、別当賀川等大きな4河川の河口では三角州が形成されています。
また、湖畔は湿地・湿原部が多く、多様な生物相が見られます。風蓮湖から根室湾への流入口は、広大な砂州となっており、左岸砂州を走古丹、右岸砂州は春国岱と呼ばれています。
冬には、氷結した湖面にオオワシやオジロワシが多数飛来し、ワカザギ釣りの人々でにぎわいます。
2005年(平成17年)には、「風蓮湖・春国岱」の地域がラムサール条約に登録されました。
温根沼
根室半島の付け根に横たわる、面積4.9km2南北に細長い汽水湖で、海への開口部は国道44号の温根沼大橋がかかるところにあり、湿地が開口部と最奥部にあります。
長節湖
温根沼の東1km、太平洋岸に面する小さな海跡湖で、湖の周囲は、一周4kmの歩道が整備され、森林・草原・湿原のハイキングや野鳥観察に利用されています。また、冬はワカサギ釣りの人々でにぎわいます。
野付半島
道東と千島の国後島とに挟まれた根室海峡に、エビの尻尾のように曲がった細長い崎が飛び出ているのが目を引きますが、これが野付半島です。その付け根から先端までの全長は26kmもあり、日本一の砂嘴です。野付湾側のなだらかな斜面やトドワラ駐車場より先の砂丘列の上は、北海道の海岸景観を特徴づける原生花園が広がり、春から秋まで色とりどりの花が目を楽しませてくれます。また、野付湾内側の海と接するあたりは、満潮時には海水が入り込む砂泥質の塩湿地が広がっており、シバナ、ヒメウシオスゲ、アッケシソウ等が生育しています。
2005年(平成17年)には、「野付半島・野付湾」の地域がラムサール条約に登録されました。
トドワラ・ナラワラ
野付半島の曲がり目の所、森林が繁茂した「オンニクル」という所があり、トドマツやミズナラの大木が森林をつくっていますが、地盤の沈下により海水が入り込み、塩湿地と接している所ではすっかり枯れてしまった木々が並んでいます。「ナラワラ」はミズナラの、「トドワラ」はトドマツの枯れた木々の立ち並ぶ所です。
春国岱
風蓮湖の砂州のうち、右岸にあたる春国岱は、延長約8km、総面積592ha(1977年(昭和52年)現在)に及ぶ広大な砂州で、野付水道を南下する潮流と風蓮湖に流入する河川水系の相互作用によって形成されたものです。外洋側から第1~第3の3列の砂丘が並び、その間を低湿地がつないでいます。
植生は、地形により植物群落の明瞭な帯状分布が認められ、砂丘の海岸斜面のハマニンニク群落、砂丘頂部のハマナス群落、低地のヒメウシオスゲ群落となっています。また、春国岱のアカエゾマツ林は、我が国唯一の砂丘系アカエゾマツ林として貴重であり、アカエゾマツ林の成立・推移を知る上でも重要な存在です。
2005年(平成17年)には、「風蓮湖・春国岱」の地域がラムサール条約に登録されました。
春国岱原生野鳥公園
根室市では、春国岱を中心とした貴重な自然環境を保全し、自然と親しみながら人と自然の共存について考える場として、1995年(平成7年)にネイチャーセンターをオープンさせました。ここでは専門の職員が常駐し、自然観察指導や各種の調査研究を行っています。
走古丹
風蓮湖の左側の砂州である走古丹は、冬はエゾシカの大規模な越冬地となっています。
野付湾
総面積4,800haの、野付半島との間に挟まれた非常に浅い湾で、底にはアマモが繁茂しており、白い帆をいっぱいに広げ湾内に浮かぶホッカイシマエビ漁の打瀬船は、初夏の風物詩となっています。
2005年(平成17年)には、「野付半島・野付湾」の地域がラムサール条約に登録されました。
ボンニタイ
野付半島に入ってすぐのところで、代表的な湿原植物であるワタスゲの大群落があります。
尾岱沼
野付湾に面した市街地で、温泉や近くに青少年旅行村があり、野付地区観光の拠点となっています。
白鳥台
12月から3月にかけて、数千羽を越える白鳥が集まるポイントとして知られています。ここにある北方展望塔からは、野付半島やオホーツク海に浮かぶ北方領土・国後島が一望できます。
利用に関する注意事項
お問合せ
北海道根室振興局 保健環境部 環境生活課
TEL 0153-23-6823