道では、ラピダス社の立地を契機として、北海道に半導体の製造、研究、人材育成が一体となった複合拠点を実現し、すべての産業へのDX化を進めることで、その効果を全道に波及させることをめざす「北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン」に基づき様々な取組を実施しており、その中核的な事業として、北海道大学及び公立千歳科学技術大学の持つリソースを活用して取り組む「次世代半導体をトリガーとした半導体の複合拠点の実現と地域経済の活性化」事業について、札幌市及び千歳市と共同で地方大学・地域産業創生交付金の申請を行い、採択されました。
(注) 今後、各自治体において、関連する予算案を議会に提案予定
事業の概要(案)
(1) 実施主体:道、札幌市、千歳市、北海道大学、公立千歳科学技術大学
(2) 事業期間:9年間(R7(2025)年度~R15(2033)年度)
※ R11(2029)年までの5年間は本交付金を活用予定
(3) 実施内容
① 人材育成
学部から大学院まで一貫した半導体教育体制を北大において構築し、人材育成プログラムや「半導体プロトタイピングラボ」を活用した実習プログラムを、道内他大学・高等専門学校に提供することで、道内全体へ半導体人材育成体制を波及
② 教育研究拠点整備
人材育成・研究の実践の場として、設計・前工程・後工程・評価に係る一連の設備を備えた「半導体プロトタイピングラボ」を北大内に整備し、他大学・高専、企業にも開放。また、北大にヘッドクォーター組織として半導体フロンティア教育研究機構を新設
③ 研究開発
北大及び千歳科技大において、ラピダス社や道内半導体企業等との産学共同の先端研究を実施し、企業の技術力向上と新産業創出を推進するとともに、先端半導体のユースケースを開拓
④ 産学官ネットワーク構築
地域や企業のニーズ・課題を踏まえ、コーディネーターを配置して産学官のネットワークを構築し、道内企業の参入促進や地域の教育機関と企業との連携を進め、道内の半導体エコシステムの形成を促進
採択に係る知事及び関係者のコメントについて
北海道知事 鈴木 直道 のコメント
ラピダス社の北海道千歳市への立地表明から約2年が経過し、本年4月には、いよいよパイロットラインが稼働するなどプロジェクトが本格化する中で、今回採択された事業は、「北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン」で掲げる半導体の複合拠点を実現し、エコシステムを構築するための中核的な事業になると考えています。
「GX2040ビジョン」の案では、クリーンエネルギーが豊富な地域への産業集積を目指すこととされ、北海道は、GX型の産業構造の転換に繋げていく地域として明示されています。道では、この事業を進めていくことにより、本道への半導体関連産業や研究機関の集積と、それを支える人材育成を一体的に進め、北海道経済の持続的な発展や雇用の創出に繋げていきます。
また、本道の優位性を活かした研究開発と実証などに取り組むことにより、北海道だけではなく、日本全体の課題解決にも貢献していきたいと考えています。
札幌市長 秋元 克広 のコメント
札幌市では、ラピダス社による千歳進出を本市の産業振興や経済活性化を進める上での絶好の機会と捉え、教育研究機関の集積や高い人材供給力、充実したオフィス環境といった強みを活かし、半導体関連産業の誘致や人材育成などに取り組んでいます。
今後は、今回採択された地方大学・地域産業創生交付金を活用しながら、北海道、千歳市、北海道大学、公立千歳科学技術大学との緊密な連携のもと、半導体・デジタル関連産業の拠点形成に向けた取組を一層進め、札幌経済の発展はもとより、北海道の経済活性化にも繋げていきたいと考えています。
千歳市長 横田 隆一 のコメント
千歳市では、ラピダス社のプロジェクトを支える道路・上下水道などの都市基盤整備や半導体関連企業の受入環境の構築を進めておりますが、今後の北海道経済を牽引する半導体産業が持続的な発展を遂げるためには、この発展を支える人材の育成が喫緊の課題であると認識しています。
今後、北海道や札幌市のほか、北海道大学や公立千歳科学技術大学などの高等教育機関、さらには先端企業を含めた新たな産学官連携によって取り組む本事業が果たす役割は大変大きいものと考えており、本市におけるラピダス社を中心とした半導体産業の拠点化を強く推進し、北海道、国の経済発展に貢献してまいります。
国立大学法人北海道大学総長 寳金 清博 のコメント
北海道大学は、2030年をターゲットイヤーとした全学的ビジョンである「HU VISION 2030」を策定しております。本交付金事業は、北海道というフィールドを最大限活用した半導体分野の教育研究の高度化”Excellence”と、その成果の地域課題への展開”Extension”、さらにこれらの統合による好循環・エコシステムの創成につながるものと考えており、本学の使命として、本年4月に新設する半導体フロンティア教育研究機構を中心として、強力に推進します。
2026年に創基150周年を迎えるにあたり、創基150年目のSecond Ambitious Challengeとして、本交付金事業を通して、半導体での国内外・地域の課題解決に貢献してまいります。
公立大学法人公立千歳科学技術大学理事長・学長 宮永 喜一 のコメント
公立千歳科学技術大学は、ラピダス社に近接した場所に位置しており、地域の半導体産業との連携を重要なミッションとして考え、いろいろな取り組みを進めています。本事業では、半導体に関わる高度専門人材の育成と地域企業との産学共同の先端研究を推進してゆく予定です。人材育成では、データサイエンス・AIを活用した半導体設計・製造・管理に関する技術を身に付け、北海道を拠点に分野横断的かつグローバルに活躍できる高度DX人材を育成します。
また、地域企業との産学共同の先端研究では、半導体技術を活用したスマート農業用超小型センサーを開発し、地域における先端半導体のユースケースとして、北海道の農業が直面する担い手不足や高齢化の課題解決を目指します。
地方大学・地域産業創生交付金事業について
「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律」(平成30年法律第37号)に基づく事業であり、首長のリーダーシップの下、地域の産官学が連携し、産業創生・若者雇用創出を中心とした地方創生と、魅力的な地方大学づくりに一体的に取り組む地方公共団体を重点的に支援するもの。