泊発電所3号機の安全対策等に関する北海道電力への要請(令和7年12月24日)
令和7(2025)年12月24日、知事が北海道電力株式会社の齋藤社長に、泊発電所3号機の再稼働へ向けた政府からの理解要請に同意した旨をお伝えし、その安全対策等に係る10項目について要請しました。
北海道電力齋藤社長と知事との面談(令和7年12月24日)

令和7年12月24日、北海道電力株式会社の齋藤晋社長と面談し、泊発電所3号機の再稼働へ向けた政府からの理解要請に同意した旨をお伝えするとともに、泊発電所3号機の安全対策等に係る要請を行いました。
齋藤社長へは、常に規制以上の安全レベルの達成に向け、最新の知見を収集し、適時・適切に反映するとともに、様々なリスクを想定し、施設設備などのハード面と、運営体制等のソフト面の両面から、保安体制の充実、強化に不断に取り組むなど泊発電所3号機の安全対策に万全を期すことや、原子力防災対策に関し、道や関係町村はもとより、万が一の事態に避難を受け入れる自治体への対応を含め、事業者として支援・協力することについて要請しました。
また、泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて、道民の皆様の関心も高いことから、値下げの内容や考え方については、様々な機会を通じて道民の皆様に分かりやすく、丁寧な説明を行うとともに、道民負担の更なる低減に向け最大限の企業努力を行い、その成果についてはできるだけ早期に道民に還元すること、さらに、北電グループとして、本道におけるデータセンターや半導体、AIなどの産業集積を図るため、泊発電所3号機の再稼働とあわせて、送電網をはじめとした電力供給インフラ整備を着実に進めるとともに、再生可能エネルギーの導入促進にも積極的に取り組むことなど、10項目について、事業者として適切な対応をいただくよう要請しました。
面談記録
1. 日時 令和7年12月24日(水) 16:50~17:10
2. 場所 北海道本庁舎3階 知事会議室
3. 内容
(鈴木知事)
泊発電所3号機の安全対策等について、事業者として、適切な対応をいただくよう、要請をいたします。
(齋藤社長)
お受けいたします。
※回答文手交・記念撮影、その後着座
(水口部長)
本日はお越しいただき、ありがとうございます。まずはじめに、齋藤社長からお話があると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。
(齋藤社長)
本日は、ご多忙のところ、お時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
はじめに一点お伝えし、お詫び申し上げたいことがございます。昨日、「設計及び工事計画認可に係る審査会合」が開催されました。第3回補正として、竜巻・火山などの自然現象に関する設備の強度計算書などの概要を説明いたしました。また、第1回および第2回補正にて提出した資料について、数値誤りを確認したことから、これらの記載の適正化を実施いたしました。
今回の事象を厳粛に受け止めまして、資料のチェックに関する対策を確実に実施し、同様の事象の発生防止に向けた取り組みを徹底するとともに、品質の高い資料を目指し、改めて気を引き締めて真摯に審査に対応してまいります。大変ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
(水口部長)
それでは、知事からお願いいたします。
(鈴木知事)
それでは、私から要請についてお話をさせていただきたいと思いますがその前に、ただ今、お話しをいただきました設計及び工事計画認可に係る数値の誤りということであります。既に記載は適正化されたということでありますが、原発は何よりも安全性の確保が最優先であります。原子力規制委員会で適切に審査をしていただく、このためには、申請内容が正確である、このことが大前提であるため、再発防止と資料の品質確保を徹底していただくよう、お願い申し上げます。
それでは、さきほど手交させていただきました、そちらの文書に基づき、要請をさせていただきます。
泊発電所3号機について、私は、道民の皆様からいただいた声、関係自治体のご判断やご意見、道議会での様々なご議論を踏まえ、熟慮を重ね、再稼働に同意する判断をいたしました。先週18日に、赤澤経済産業大臣と面談をし、私の判断を直接お伝えをしたところでございます。
ついては、泊発電所3号機の再稼働に向け、次に申し上げる事項について、事業者でああります北海道電力として、適切な対応をしていただくよう、お願い申し上げます。
まず、常に規制以上の安全レベルの達成に向けて、最新の知見を収集し、適時・適切に反映をするとともに、様々なリスクを想定し、施設設備などのハード面と、運営体制等のソフト面の両面から、保安体制の充実、強化に不断に取り組むことなど、このあと申し上げる事項も含め、泊発電所3号機の安全対策に万全を期すよう、要請をいたします。
次に、原子力規制委員会における設計及び工事計画認可や保安規定変更認可等に係る審査については、先ほどもお話しをさせていただきましたが、真摯に対応されるよう、要請をいたします。
次に、泊発電所3号機の再稼働については、長期停止後の運転再開であるということに特に留意をするということとともに、防潮堤等の安全対策工事は作業員の方々の安全と品質の確保、どちらも妥協せずに確実に進めるよう、要請をいたします。
また、万が一の重大事故に備え、可搬型設備等が確実に使用できる環境や、重大事故時の対策拠点であります緊急時対策所などにおいて、災害対策要員が安全に作業できる環境の整備を図るよう、要請をいたします。
次に、事業者として、安全最優先の姿勢で臨むとの安全意識を、協力会社を含めて常に持ち、慣れや思い込みなどによるヒューマンエラーの防止を徹底するよう、要請をいたします。
次に、泊発電所に対するテロの未然防止のため、原子力施設の警備体制の充実・強化を図るとともに、上空からの小型無人機等の侵入防止については、関係機関と連携し、具体的な対策強化に取り組むよう、要請をいたします。
次に、燃料等の事業所外運搬やプルサーマル計画も含め、泊発電所の安全対策等について、地元はもとより、関係自治体や道民の皆様に対して丁寧に説明をするよう、要請をいたします。
次に、安全対策を確実に実施できる組織体制の保持・充実を図るため、人材確保を着実に進めるということとともに、更なる安全性向上に向けて、社員教育や訓練等のより一層の充実と、訓練を通じて発見された課題への改善策を適切に反映させるなど、対応力の一層の向上に努めるよう、要請をいたします。
次に、原子力防災対策に関して、道や関係町村はもとより、万が一の事態に避難を受け入れる自治体への対応を含め、事業者として支援・協力するよう、要請をいたします。
次に、道内の電気料金は、全国で最も高い水準であります。道民の皆様の生活や道内の経済に大きな影響を与えている中、先般公表された泊発電所3号機再稼働後の電気料金の値下げ見通しについて、道民の皆様の関心も高いことから、値下げの内容や考え方については、様々な機会を通じて道民の皆様にわかりやすく、丁寧な説明を行うということとともに、あわせて、国が1月から3月の冬季に実施する電気料金支援の内容等についても、事業者として、利用者である道民の皆様にわかりやすく周知をするよう、要請いたします。
また、道民の皆様の負担の更なる低減に向け、聖域を設けない経営効率化について可能なものから取り組むなど、最大限の企業努力を行うとともに、その成果については、できるだけ早期に道民の皆様に還元をするよう、要請をいたします。
最後になります。道内の電力の安定供給を担う責務を有するほくでんグループとして、本道におけるデータセンターや半導体、AIなどの産業集積を図るため、泊発電所3号機の再稼働とあわせて、送電網をはじめとした電力供給インフラの整備を着実に進めるとともに、再生可能エネルギーの導入促進にも積極的に取り組むよう、要請をいたします。
以上、泊発電所3号機の再稼働に向け、10項目について要請をさせていただきました。
いずれも、北海道として大変重要な事項であると考えております。事業者として、適切な対応をいただくよう、重ねて、お願いをいたします。私からは以上です。
(水口部長)
続きまして、齋藤社長からお願いいたします。
(齋藤社長)
鈴木知事におかれましては、道民の皆さまのご意見、関係自治体のご判断やご意見、北海道議会でのご議論を踏まえて、泊発電所3号機の再稼働に同意をいただきまして、誠にありがとうございます。
ただいま、知事からお話いただいた事項については、当社として、しっかり対応してまいります。それぞれの事項について、回答させていただきます。
1点目、泊発電所の安全対策についてですが、新規制基準に基づく厳格な安全対策を着実に実施するとともに、事故の可能性をよりゼロに近づけるべく、ハード・ソフトの両面において、引き続き安全性向上に向けた不断の努力を継続してまいります。
2点目、審査対応についてですが、引き続き、「設計及び工事計画認可」あるいは「保安規定変更認可」に係る審査に真摯に対応してまいります。
3点目、まず、長期停止後の運転再開や安全対策工事についてですが、引き続き、作業員の方々の安全と品質の確保、どちらも妥協せずに、細心の注意を図りながら、しっかりと取り組んでまいります。
また、災害対策についてですが、可搬型設備等が確実に使用できる環境を整えるとともに、緊急時対策所も含め、災害対応環境の一層の整備に努めてまいります。
4点目、安全意識の確保とヒューマンエラー防止についてですが、泊発電所では複数人でチェックを行うなど作業等における潜在的なエラーを最小限に抑えるように取り組んでおり、引き続き、協力会社を含めて安全意識の向上に努めてまいります。
5点目、原子力施設の警備体制の充実・強化等についてですが、九州電力玄海原子力発電所における事案を踏まえ、小型無人機等の侵入に関するさらなる対応力強化に向けて取り組んでいく所存でございます。引き続き、国や関係機関と連携しながら核物質防護の強化に取り組み、泊発電所の安全・安定運転に万全を期してまいります。
6点目でございます。安全対策等に関する丁寧な説明についてでございますが、立地地域の方々をはじめ広く道民の皆さまにご理解いただくことが大切であると考えております。これまで、説明会やお客さま訪問時など様々な機会を捉えてお伝えしてきたところであり、引き続き、丁寧な説明に努めてまいります。
7点目でございます。原子力人材の確保と育成についてでございます。引き続き、着実に採用活動を進めるとともに、運転未経験者の技量維持や向上、それと訓練を通じて発見された課題への改善策の反映、訓練の継続など、常時・非常時の対応能力も一層向上させることに努めてまいります。
8点目になります。原子力災害時の住民避難への対応についてでございますが、国及び関係自治体と連携のもと、原子力災害に対する緊急時の対応のさらなる充実・強化に取り組んでまいります。
9点目、まず、再稼働後の電気料金の値下げについてでございますが、先日お示しした値下げ水準の内容や考え方を道民の皆さまにご理解いただけるよう説明を尽くしてまいります。経営効率化の取り組みについても、効率化の可能性を余すことなく追求することで、成果を最大限に引き出し、お示しした値下げ水準の見通しを達成できるよう、不断の努力を重ねてまいります。また、国による電気・ガス料金支援については、当社のホームページや、その他のツールも活用し、情報発信に努めてまいります。
10点目、まず、電力供給インフラの整備についてでございますが、北海道のさらなる発展にはGX産業立地が重要と認識してございます。電力供給インフラの整備を着実に進めるとともに、お客さまニーズを捉えた提案等を行うことで、北海道への産業集積に貢献してまいります。また、再生可能エネルギーについては、ほくでんグループとして、2035年度までに開発規模で300万kW以上の導入目標を掲げているほか、北海道電力ネットワークにおいても、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーの、系統への受け入れ拡大などに取り組んでいきます。引き続き、ほくでんグループとして、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、積極的に取り組んでまいります。
各項目への回答は以上となりますが、本日いただいたご要請はいずれも非常に重要なものと受け止めております。今後も、鈴木知事をはじめ北海道の皆さまの声を真摯に受け止めながら、泊発電所の運営をはじめ当社事業をしっかりと進めてまいります。本日は、誠にありがとうございました。
(水口部長)
本日は以上でございます。ありがとうございました。
(鈴木知事)
しっかり対応いただくよう、よろしくお願いいたします。
(齋藤社長)
承知いたしました。ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
