第1回懇談会・会議結果概要(環境・エネルギー室)
第1回深地層研究所計画懇談会・会議結果概要
1 日時:平成12年2月7日(月)13:30~15:50
2 場所:ホテル札幌ガーデンパレス4階「真珠の間」
3 出席者:加藤委員、傳法委員、古市委員、三浦委員、山科委員
(説明者・事務局等)
科学技術庁廃棄物政策課 青山課長、千原課長補佐
核燃料サイクル開発機構 中神副理事長、圓山立地推進部長、鶴巻札幌連絡所長、
石川グループリーダー、山崎研究主幹
北海道経済部 堀経済部長、本多参事、村井、板谷、村本
4 議事概要
(1)座長互選について
- 傳法委員を座長に選出
(2)深地層研究所(仮称)計画について
- 科学技術庁から資料5「高レベル放射性廃棄物処分への取組みと深地層の研究施設について」に沿って説明
- 核燃料サイクル開発機構から資料8「深地層研究所(仮称)計画の概要(OHP集)」に沿って説明
(3)質疑
- 懇談会のあり方について
懇談会で議論するのは、国の方針や技術的な課題や研究について行うのではなく、道の考え方に限定して行う。報告書に対し専門分野の異なる委員が、それぞれの立場でコメントを述べる。懇談会として提言は行わない。
- 次回について
次回は2月14日開催とし、疑問及び内容について具体的に検討する。
[質疑概要]
○委員
- 懇談会で議論するのは、国の方針に関わる技術的な課題や研究について行うのかどうか。そうではなく、懇談会の設置要綱の中では、討議事項として道の考え方の整理に係る事項ということであるので、その辺に限定して話をするのかどうかを整理していただきたい。
○事務局
- 報告書に対して専門の立場から意見を伺いたい。どこか修正すべきところがあるのかどうか。具体的に指摘していただきたい。
○委員
- 立地について特定の幌延町だということだが、研究施設を実施することに対して事業アセス的な検討をここでするのか。
- 協定内容が確実に実行できるかどうか、チェックシステムが担保されるかどうかについて議論すればいいのか、それに加えて技術、研究内容に立ち返って、議論するのか。
○事務局
- アセスについては、今直ちに事業アセスが発生するわけではなく、道民合意が得られて施設が受け入れられるという前提になったときに、事業実施主体において具体的になってくる。
- 担保措置については、アイデアがあったら、忌憚なく提案いただきたい。
○座長
- 技術的なことなどは、これまで開かれてきた検討委員会でも検討されている。それを繰り返すということではないと基本的には思う。ただし、道民の方々が疑問に持っていることに対して全く無関係で通り過ぎることはできないので、専門の立場で意見等があれば、言っていただく。
○委員
- この懇談会に出席するに当たっては、検討委員会の報告書の中身について、それぞれの専門分野の異なる委員がその立場で、この報告書に対して、個人的な意見、コメントを述べることだろうと理解している。したがって、この懇談会でまとめ、こうあるべきだという提言をするようには理解していないが、よろしいか。
○座長
- 私もそう思っている。
○委員
- 私自身の個人の責任で発言しているということで理解していただきたいし、各委員の方がどういう発言されたかということ、それから専門の分野の先生方がどういう考えを持っているかということを道民の皆様方によく知っていただくという点においては、この懇談会は非常に大事な役割を持っているのではないか。ただ、私どもが結論をだすというような筋のものではないと理解している。
○座長
- 今回の報告書の大きな骨子に、担保の有効性の問題などあると思うので聞いていきたい。
- 平成8年から岐阜県瑞浪市で同じような研究所が行われていると伺った。その時の住民の方々の不安などがあったと思うが、サイクル機構の立場で考えて、何か違いがあるのか。
○サイクル機構
- 研究所の性質は、基本的には変わらないが、東濃の場合はいわゆる硬い結晶質岩系を対象にした研究施設、幌延の場合はやわらかい堆積岩系を対象にした研究施設であることの違いがある。東濃の研究施設は、地層処分の研究の基盤、いわゆる地層科学研究を中心にしようとしている。幌延の場合は、いわゆる処分の技術的な研究、当然廃棄物を持ち込むとかそういうことは考えていないが、処分場の施工技術とか、掘削方法などを幌延であわせてしたいという違いがある。
○委員
- 日本は、いずれはどこかに何らかの形で処分が必要なのである。科技庁としては、どういうタイムスケジュールを考えているのか。
○科学技術庁
- 既にガラス固化体が発生している観点からいっても、2030年代から2040年代半ばまでの操業は不可避であると考えている。
○委員
- 原子力発電を盛んにしているフランスの場合、処分開始予定時期が未定となっているが、どういうシナリオを実際持っているか。
○科学技術庁
- フランスにおいては、どういう形で処分するかということについては、今後の決定になるわけで、1991年に法律ができてから15年間検討し、2006年には報告することになっている。
○委員
- サイズの違いによって異なると思うが、処分場の建設にどのぐらい時間がかかるか。
○科学技術庁
- 場所によると思うが、10年というそれほど長い時間がかからないと思っている。安全の許可を含めてステップバイステップの作業になる。今何年でできるということを簡単に申し上げられない。
○委員
- 安全性の補償などを全部クリアして、仮に建設を開始して処分ができるまでに何年かかるのか。場所やサイズによって違うだろうが、最小5年とか、最大10年とか、その程度のオーダーで何年か。
○委員
- マイナス1000メートルという超深度は、我々にとってほとんど未体験ゾーンになっている。91年、岐阜に東京大学の宇宙線研究所が研究施設をつくった際は、96年に完成しているので、同様のアプローチや建設をすれば5,6年なのか、という感触をもっている。ただ岩盤の条件や地下水のコントロールの問題とか、当然動くことになるが、実際からいって5,6年か。
○委員
- 最終的な処分の候補地をどこにするかということについて、実施主体が決まっていないという話があった。それは、どこでどのように進められるものなのか。
○科学技術庁
- 実施主体の設立、実際の処分にかかわる費用の確保の制度の面について、総合エネルギー調査会原子力部会中間報告がとりまとめられたので、その結果をうけて通商産業省において法制度についての検討が進められている。これは本国会にも提案されることになっている。具体的に事業の実施主体については、認可法人が設立されて、そこが進めるという案が示されている。
○委員
- そこでの決定は、どれぐらいの拘束力を持つ機関になるのか。
○科学技術庁
- 高レベルの問題は難しい問題で、各国とも長期にわたって検討を進められているが、まだ処分にいたっている国はない。国民の方々の合意のステップを踏んで進めなければならないことは原子力委員会で言われている。処分懇談会の報告書に基づいて、さらに具体化ということで、総合エネルギー調査会で検討されて、具体的に行政として、法制度の検討をし、これまでに検討や指摘されてきたことは盛り込まれると思っている。
○委員
- 国際的な共同研究の成果とどの程度、多重バリアの概念に反映されているの。
○サイクル機構
- サイクル機構で共同研究として進めてきた国は、アメリカ、カナダ、スイス、スウェーデン、それから今後進める予定としてはフランスがある。やり方は、既に地下の研究施設を保有している国、それから各国立の研究所でいろいろ研究を行っている国と共同研究を行い、それらの知見については、第2次取りまとめなどにも反映される。2、3の例を挙げるとカナダとは、実際に最終的に処分場を閉鎖する段階で、どのように水を止めたりするのかというような研究をしている。スイスでは、地下の研究施設を使って水の動きとか、放射性物質の動きの研究をしている。
○座長
- 今日のことについては、事務局でまとめて次回に提出いただく。
検討委員会で検討されてきた内容、科技庁、サイクル機構の立場でも、それぞれ答えてきたという経過はあると思うが、その経過を委員の方に是非ご覧頂いて、当懇談会で同じことの繰り返しはできれば避ける方がいいのではないと思うので、検討委員会の記録を委員の方に送ることにする。次回からは、今日の話しの中での様々な疑問とか、あるいは内容について、もう少し具体的に検討させていただきたい。
○事務局
- 次回は、来週月曜日の午前中がどうかと思う。
○座長
- 14日、10時からということにする。