第2回懇談会・会議結果概要(環境・エネルギー室)
第2回深地層研究所計画懇談会・会議結果概要
1 日時:平成12年2月14日(月)10:00~12:00
2 場所:ホテル札幌ガーデンパレス4階 「平安の間」
3 出席者:加藤委員、傳法委員、三浦委員、向田委員、山科委員
(説明者・事務局等)
科学技術庁廃棄物政策課 青山課長、千原課長補佐
核燃料サイクル開発機構 圓山立地推進部長、石川グループリーダー、山崎研究主幹
北海道経済部 本多、村井、板谷、村本
4 議事概要:
(1)深地層研究所(仮称)計画について
(2)その他
○座長
- 議事に入ります前に、幌延問題道民懇談会の事務局長から当懇談会で話をさせてほしいという電話をいただき、私は懇談会の役割は、道から出てきた報告書について懇談するのが私たちの役目でして、道民の方々のご意見を伺うのは私たちの役目ではないのでないか。しかし、私個人の意見ですから、まず事務局の考えを説明願います。
〇事務局
- 深地層研究所計画検討委員会では、慎重あるいは反対の立場の方々から会議の中では都合4回、道北の現地で2回ご意見を伺っており、議事録を作成し、また報告書にも、ご意見をまとめてございます。
- また、検討委員会が終了した後の意見は道の経済部の方で意見を聞いていくことになっております。
〇座長
- 既に皆様方から、何よりも懇談会は報告書に対してご意見を申し上げる段階で、いろいろな方々のご意見を伺う場ではないということがあります。委員の皆様方、いかがでしょうか。
〇委員
- 私がこれに参加するに当たっての一応お話をしておいた方がいいかと思います。放射性廃棄物は持ち込まないとか、中間貯蔵施設や処分場にしないことを関係機関あるいは国が言っているわけですが、今までの経緯があるから、どうも額面どおり受け取れない、こういう意見だと思うのです。そのために今後どうするか、そちらの方をもっと具体的に詰めて、拘束力のある何らかのものを持っていくということの趣旨で発言させていただきたいと思います。
〇座長
- 懇談会として一部の方々のご意見を伺うということは、お引き受けしないということにさせていただきたい。委員の皆様方には、そういう立場で伺っておりますので、それぞれ自由な気持ちでご意見を交換、あるいはご質問等々をいただきたいというふうに思います。
- 第1回懇談会終了後、委員の方々から事務局に技術的なことを伺いたいということがあり、私も2回目は大変大切な時期だと思っている。また、前回向田委員がいらっしゃらなかったこともありますので、事務局から依頼しました結果、本日科学技術庁の青山課長、千原課長補佐、サイクル機構からは圓山部長、石川グループリーダー、山崎主幹がご出席をされております。
- 最初に、検討報告書あるいはいろいろな資料を読んだ結果等々を受けてご質問等々がありましたら、それをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇委員
- 資料を読ませていただきました。どこが検討委員会報告の主要な結論であり、慎重派の方々がどういうお考えかは十分に理解したつもりでいます。
- 前回も私がここに参加する立場を明確にしたいということを申し上げたのですが、向田先生が、お話しになられたように、私は自分の専門分野の立場から意見を述べさせていただいて、検討委員会報告をこの先改善か何か修正するということがあるならば、それは検討委員会でおやりになることだということをもう一度確認させていただきたい。
○事務局
- 委員が言われた「検討委員会で」というところは、「道が」ということでご理解いただきたい。
〇委員
- この間申し上げましたけれども、私自身は2年前まで北大で原子力の学科におりまして、私は核融合の分野ですけれども、周囲に原子力発電の廃棄物の問題の専門家がたくさんおりましたので、多少原子力のことはほかの方々よりも理解をしていると思います。
- 北海道では泊発電所で2基原子炉が今動いているわけでありまして、そこから廃棄物が出てくることは当然のことであります。それで、それをとりあえずガラス固化にして、その後貯蔵して冷却をして、最終的には処分をするというプロセスを経なければならないということはだれしもが知っていることであります。この先どうしても自分たちで自分たちのごみは処理しなくてはいけないということならば、科学技術の基礎の研究をした者としては、どうしても実地のテストというものは、実地という意味は核を持ち込むか持ち込まないかということではなくて、処分のノウハウだけは確立しておく必要があるというのが私の立場であります。
- 今回の計画がイエスかノーかということよりも、国が提案している深地層の研究所で岩盤の調査やら耐震性とか地質学の問題等、学術的なことを研究しようというお話を私ども科学技術の研究者は、進めなければなりません。
- 今回の深地層研究所の果たす役割の中に、いろいろな研究に波及し、そこから得られる知識をほかの分野にも活用できるのか。科学技術庁、それからサイクル機構から少し詳しくお話をしていただきたいと思います。
〇科学技術庁
- 地下深部についての学術的研究に寄与し開かれた研究の場、しかも内外の研究者の参画を得るということで進めたいと思っています。
〇サイクル機構
- 貴重な施設ですから、オープンにして、いろいろな研究を受け入れていきたい。具体的には、地震フロンティア研究で地震防災、地震予知の観点から研究も行えるのではないかと思っています。
〇科学技術庁
- 添付資料としてお配りしていますサイクル機構の深地層研究所(仮称)計画の冊子10頁には、陸域地下構造フロンティアということで記載してあるように、岐阜県の東濃鉱山、神岡鉱山で地震発生機構の研究をしています。また、北海道についてお話をさせていただきますと、学際的研究ということで、超低振動、超低電磁気、完全暗室、恒温・定湿度、無風などということ、それから宇宙線ミューオンによる地下構造解析というようなことができるのではないかということを記述しているところです。
〇委員
- このスケジュールを見ますと、地層科学研究と地層処分研究開発、地下空間を利用する研究、その地層科学研究の中には、例えば加藤先生は地質学のご専門ですし、三浦先生は地盤工学のご専門で、地下空間をいかに活用するかということは大事な研究テーマだと思いますが、地層科学研究そのものについて、こういう施設がどういうように活用できるのかという話を伺えればと思います。
〇委員
- 私は、専門が地質学というので、特に地層、堆積物とか堆積岩からできている地層を専門にしてきた者です。私自身は地下深部の研究ということについては非常に関心を持っています。人類は生活空間を求めて、宇宙空間を一つフロンティアに据えました。もう一つは、海があると思います。それから、もう一つは今お話になっている地下の問題です。地下の問題というのは非常にわかっていませんで、体系的に総合的にまとめて研究するというやり方でしてきたのではなかったと思うのです。
- 私も資料を読ませていただきました。いわゆる地層処理についての直接の議論というのはなかったように思うのです。放射性の廃棄物については、核エネルギーをもとにした電力供給によって賄われていると廃棄物はたまっている。それを処理しなければならない。廃棄物処分についても、進めようとしているだけで、実際にはまだそれはスタートしていません。今は、国の政策と、それから住民の方と、それからその間にある行政というのがあって、お立場を強調する余り、理解を求めるような努力が進んでいないと思うのです。これは、どうもぐあいが悪いのではないかなと思うのです。
- 議事録の中にも、初めに地層処分ありきという考え方はけしからんという言い方がありました。今は地層処分の考え方は、これはコンセンサスになっていると思います。もともと廃棄物は、積み上げておくか、それともカバーするか、それとも埋めるか、3通りです。このほかには、それが放射性だろうと放射性でない廃棄物だろうと同じことだろうというふうに思います。現在まとめられている高レベルの放射性の廃棄物処分にはすごく時間がかかると考えられています。そうだとすると、我々の手には及ばないようなくらいのところに隔離するのが一番いいだろうと考えられているわけです。一番いい説明の例としましては、我々が使っている放射性の物質そのものが、酸化ウランですけれども、もともと地面の中にあったのです。つまり、我々はいろんな自然のことを動かしてやっていますけれども、自然に任せるということがもしできれば、それが一番安全な方向であるということはあるのではないかというように思うのです。
- これは、我が国だけではありませんで、国際的に認知された方法で、大体今から10年ぐらい前になりますけれども、地層処分のやり方というのは一番適当であるというふうに、これは国際的にも認められてまいりました。日本は、対外的に公約をしていると私は理解しています。
- ところが、日本の地質というのは大変複雑です。地震も起これば火山もあるし、我々温泉の恩恵に浴していますけれども、そういう地熱もあるというところです。ヨーロッパでもアメリカでもそれの処分の研究しているところの主体は、ほとんど日本とは違って割合安定な地盤のところなのです。例えば、スウェーデンという国は国自身が非常に安定な地盤の上に成り立っています。そこで処分を計画しているわけです。これは、研究所でありまして、処分地はまだなっていないようです。
- 新聞の中で幌延というところは非常に地盤が不安定なところで、活断層が存在するかもしれないので問題があるというご指摘があったように思うのです。これは、ごもっともだというふうに思います。もっとも考えようによっては、いろいろな研究を進めなければいけませんから、そういうところでの研究ももちろん必要になるという、言い方もできると思うのです。
- 私なりに思うのでは、もっと国は施策を進めるに当たっての前提になるようなことを先々と進めておかなければいけなかったのではと私は思います。
- 申し上げたかったことは、私としては地層の研究、特に地下深部の研究、これは非常に大事なことなのだということ。どうしてもそれは避けて通ることはできないことだし、必要なことであると。ですからこそ、得られた研究成果というものはいろんなことに生きてくるというふうに思うのです。
- なお、サイクル機構の方ではいろいろなタイプのところを選んで研究を進める必要があるというふうにおっしゃっています。一つは、花崗岩、もう一つは、地層がたくさん集まっているところで柔らかい方の岩石。本当言うと、もっといろいろなタイプに分けることができますから、そういうことについての研究が当然必要なはずです。研究所の設置については、私は必要なことだというふうに思いますし、必要なところからぜひ進めなければならないというふうに思います。
〇座長
- これまで触れられていない本質的なところのお話をいただいて、大変貴重なご意見をありがとうございました。
〇委員
- 専門が地盤工学ということで研究を進めておりますけれども、残念ながら私は表層に近い部分のもう少し柔らかい部分、砂質地盤であるとか、シルト地盤であるとか、そういった系統の研究をしてきているわけです。
- 前回の委員会で第2次取りまとめで研究成果の概要を紹介していただいたのですが、これを前提に、もし今回これが研究所ということではなくて、これをとにかく処分をするということを前提に、もしされるということであれば、私自身大いに懸念を持っています。というのは、室内の非常に高級な精密な実験をしても、そういう地層というのは再現できないのです。そういう意味で、サイクル機構が実際に現地に立って、その時点でその評価を与えない限り議論は絶対かみ合わないと思います。
- 各論になりますが、私は懸念を持っていることを一つお話ししたいと思うのです。バリアの扱いの問題なのです。天然バリアと称している岩盤の特性を今全くわからない状況の中で、有効なものになるだろうということで、これは世界の研究者が皆さん同意見なのです。それを立証するデータを残念ながら持ち合わせていないというところで評価が分かれるのです。現地で想定する大深度のもとでそのことをとにかくチェックをしない限り、答えは永遠に出ないと思うのです。そういう意味で、今の研究所で、廃棄物を持ち込まないということを前提にする研究所は私は大いにしていただきたい。
- それから、もし廃棄物の処分の以外に、お話ししたいのですが、問題は弱点になるというのは、地震が起きたらどうするのか、それから断層にぶつかったらどうするのか。日本には今わかっただけですけれども、かなりの数の活断層があります。そういう中を避けて通ってできるかということに関しても、500メーター、1,000メーターが本当に地震動の影響を受けるかどうかということに関しても、データもありませんから、これもぜひその時点で評価していただきたいというふうに思います。現状の工学の中では明らかに少なくなっていくということですので、そういう点を踏まえて、今回の検討委員会の報告を私は評価したいと思うのです。
- 幾つか担保措置と称していることに関しては、私も理解できないところが幾つかありますので、後ほどご質問したいと思います。研究所の本体の計画そのものに関しては、科学技術の発展に寄与するものは大きいのではないかというふうに思っております。
〇サイクル機構
- 我々がこれまで行ってきた研究として、釜石鉱山の地震研究があります。地震計を深度ごとに配置しまして、地震動を観測して、地下深部と地上付近の揺れの比較みたいなものを、かなりの数の地震のデータをとった結果、地下150メートルぐらいより以下というのは大体同じぐらいの震動になるのですけれども、地下と比べると地表が2倍とか3倍大きな揺れ方をする。逆に言えば、地下の方は半分あるいは3分の1程度の揺れしかない。こういう研究が今まではされています。
〇委員
- 私が申し上げているのは、地盤というのは人間個々人がそれぞれ特性を持っていると同じように、そのサイトサイトによって非常に大きく、力学的な特性なのですけれども、違うと言われています。多分、今釜石のデータは実際の地震工学をおやりの方のシミュレーションの結果とよく合うような結果だと思いますが、そういうのが今回に合うかどうかはわからない。それは、ぜひ確かめていただきたいということです。
- それから、前回も私お話ししましたが、東京大学の宇宙線研究所が大規模な地下深度の掘削をしてまして、それで立派な研究施設を今つくっております。非常に科学的な貴重なデータを提供していただいているのですが、そういうものを貴重なデータですから我々注意深く見るわけですが、実際の現地試験のデータというのは、その場にあって初めて生きるものだというふうに思っております。
〇座長
- 三浦先生からも、それから加藤先生からもいただきましたのは、今こういう状況だからこそ研究所の必要性というものについて、これは核ということを抜きにしてそういうお話をいただいた。本来であれば日本という国を考えると、もっともっとしなければいけないのではないかというようなお話もいただきました。
〇委員
- 私は、サイクル機構や科学技術庁が進めようとしている計画自体は、日本の核廃棄物の安全な処理を求めて、どうしても進めていかなければならないだろうと考えでおります。それが幌延でいいかどうかというのは、今ここで議論するつもりはありません。これまで幌延について、随分長い間いろいろなことがあったのですけれども、その経過があるがゆえに慎重派の方々は疑問を持ち続けてこられているだろうと思いますが、それはよく理解できます。しかし、将来北海道で北電の持っている二つの原子力発電所、このごみは北海道で処理すべきだと思う。この深地層研究所というのは、お金を十分にかけて徹底的に安全性を求めて処理するための開発研究をしておく必要がある。
- 深地層研究所というのは、どこにつくるかという問題は別にして、少なくとも北海道で将来ごみ処理場をどこかにつくるということになるならば、北海道で十分な深地層研究をやっておく必要がある。担保のとり方については、これは私は申し上げることはできません。したがいまして、加藤先生や三浦先生と同じ立場で、とにかく深地層研究所というものが必要だという立場に立っております。以上です。
〇座長
- これは歴史的な経過からすると、確かに貯蔵工学センター計画というのがサイクル機構でお持ちになっていた。そういうところの提案に対して、昭和59年7月となっていますが、幌延町議会が誘致したいということを言ったことが始まりなのです。
- 核であっても地域振興に生かしたいということがあって、これまできていたと思うのです。当時の事情からいけば、核等の処分というようなものも視野にあったものですから、当時の横路知事だったと思いますが、この廃棄物を持ち込むことは一切したくないということは、ずっと一貫してこれまで道の立場だったと思います。そういう流れで、道はどちらかというと当時の動燃とか科学技術庁のいろいろな働きかけに対して、その一線を崩さずにずっと来ていました。
- 幌延は、今回幌延と言ってきた経過は地元が手を挙げていて、いまだにそれが続いているということがあるということは言っていいと思うのですけれども。
〇サイクル機構
- 地元の理解が得られているということは、我々の原子力関連の施設を進める上では重要だという認識をしております。
〇座長
- 理解が得られているということですね。
- 道としての検討も、それについて検討をいただいているということでよろしいですね。今回いただいたものは、幌延町におけるという計画になっておりますので。
〇事務局
- 国及びサイクル機構からの申し入れがそういうことでございますので、それを前提にしてきています。
〇座長
- 来ているということですね。経過の中では地元は核でもいいという一つの動きに対して、道としては認めないという姿勢でずっと来ておりまして、これ事実関係になりますから、ちょっと確かめさせていただきたいと思いますが、10年2月26日に科学技術庁の加藤局長から知事あてに、さきの貯蔵工学センター計画を取りやめて、新たな提案として北海道幌延町における深地層研究を早急に推進していきたいと考えている。この考えは、ずっと変わっていないのですか。
〇事務局
- はい。
〇座長
- 道は10年12月18日に核燃料サイクル開発機構から道に対して、幌延における深地層の研究についての再申し入れがあって、ここの基本的な考え方が放射性廃棄物の中間処理施設や処分場の立地の考え方について、これは持ち込まないということを初めて言われたというふうに思いたいのですが、それでよろしいですか。一時期はちょっとぶれましたね。
〇サイクル機構
- 今おっしゃったように一昨年、10月の最初の申し入れのときに、中間貯蔵の取り扱いについて議論があり、それについては、12月18日の、いわゆる再申し入れの際に明確に幌延においては中間貯蔵も建設いたしませんという意思表示をさせていただきました。
〇座長
- これは、後で向田先生からも意見をいただこうと思っていたのですが、科学技術庁の局長の文書、それから核燃料サイクルの方々がこうして持ち込まないと言っているものの有効性というものはどういうふうに私ども考えたらいいかということ、文書に載っている、こういったものの信頼性といいますか、今幅広い道民の方々の中に、「でも信用できない」というのがあるわけです。その「でも信用できない」というものについて、私どもはどう考えたらいいのかということがある。
〇委員
- そういう文書を見ましたけれども、法的にいうと余り意味ないです。だから、皆さん心配しているのであって、そのために検討委員会で条例をつくるとか、あるいは契約をつくるとかということになっているのだろうと思います。例えば裁判になったときに、どれだけ申し入れ文書が効力があるかというと、私はほとんどないというように思います。
- 後で担保の話も出てくると思いますので、私自身が懸念しているのは、例えば契約とか協定を結ぶ場合の当事者なのですが、現在のところサイクル機構が当事者、それから核廃棄物の処理をする担当官庁が科学技術庁だと。省庁再編で科学技術庁が今度、文部省と統合になりますね。その後はどうなるのかということ、そのところをもう少し明確にしていただいた方が、どういう形で担保を取るかという場合によろしいのではないかというふうに思っています。
〇事務局
- こういった文書について、反対、慎重の立場の方々からは、いわゆる政府の政策文書であるということで法的に余り効果がないということを言われてございますが、その考え方を当事者間で結ぶ協定の中に入れたこと。これについては、検討委員会の中でいろいろ議論ありまして、現実的な、一番効果的な有効な方策であるという位置で協定内容を検討したところでございます。ただし、処分場にしないということにつきましては、協定の例えば2項目、研究施設を処分の実施主体に譲渡しないとか、3項目にありますように研究所を閉鎖すると、地下施設を埋め戻すことというようなことで、処分場につながる方途といいますか、道をそこで塞ぐような手だてを考えたわけでございます。
〇科学技術庁
- 行政改革の後どうなるのかというご質問ございました。平成13年1月6日から、原子力政策のうち科学技術に関するものは文部科学省、それからエネルギーに関する原子力政策に関するものは経済産業省が所管することになります。
- ご指摘の高レベル放射性廃棄物の処分事業、それからそれに関連する技術開発の事務ですけれども、対象とする高レベル放射性廃棄物の発生の原因となる活動の内容及び処分事業の様態等に応じて文部科学省または経済産業省が適切に所管することになるということでございます。
〇座長
- これまでの昭和57年以降に国と、それからサイクル機構の方々に対する不満の深化というのですか、それはかなり強くついているということは間違いないと思うのです。
〇委員
- 先ほどお伺いしたいということ、担保措置の関係で向田先生に説明していただいたので理解できましたが、この廃棄物は、電力会社という民間会社が出すごみで、その中で要するに放射性の廃棄物にかかわる立場で科学技術庁がいろいろな方策を考えたりするのでしょうが、実際の電力会社の運営の基盤といいますか、監督官庁は通産省になっているわけですね。そういう中で、通産省が電力会社に対してスーパーバイズする立場で原子力発電所から出てくる廃棄物なんかをどういうふうな立場で科学技術庁と議論されているのかなというのがちょっと見えないものですから。
〇科学技術庁
- 高レベルの放射性廃棄物は、ほとんどが原子力発電から出てくるものでございます。その処分方法、それから制度のあり方ということについては、原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会の中で制度、特に資金の確保、それから事業主体の設立ということが検討されて、その後具体的な法案の準備については通商産業省で審議を進めていくということです。国の役割は何かというと、きちんと安全に処分の事業ができること、円滑にできること、途中で放棄されては困るわけですので、きちんとその事業を全うできることということを制度的に担保していかなくてはいけないということで進めておりますし、それからこういう廃棄物が全体にきちんと処分できるような体系になるだろうかということは、私ども原子力に関する基本的な政策の企画、立案、推進ということで、科学技術庁において全体を見ているという関係になります。
〇委員
- 省庁再編になって、文部省と科学技術庁が一つの省になっていくけれども、これに対する立場は変わらないという説明なのですが、基本的に、これはお金の話になると思うのですけれども、応分の負担を当然出す側が負担するという、その辺の指導されるのは通産省がされるということになるのですか。
〇科学技術庁
- 原子力委員会で全ての放射性廃棄物処分についての考え方というのを、それぞれ逐一どこから出る廃棄物か、どういう廃棄物かということを念頭に検討を順次進めてきていますけれども、大原則は発生者が責任を持つということで、当然原子力発電から出るものについては電力会社に責任を持っていただくということになるわけです。
〇座長
- これまでお聞きした中では、少なくとも核ということを除いて、核のためにもこういった基礎的な研究というものについては必要性ということについて、お話をいただいたような気がいたしました。
- 幌延の問題を考えるに当たって、今いる私たちの基本的な視点を幾つか述べさせていただいてご意見をいただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。これは、我々一般の今生きている人間がどういうふうな視点を考えていくかということを最初にお話をさせていただきたいと思いますが、それは科学技術庁からいただいた「高レベル廃棄物処分への取組みと深地層の研究施設について」というもので、今何をしなければいけないかということが書かれてございます。すなわちこれは核に限らず廃棄物処分というものについて、我々が発生させた廃棄物については、我々の世代がその処分に関する制度を確立することが必要で、後世代に影響を及ぼす可能性がある廃棄物の処分について、後世代に負担を残させないことが我々の責務と書いてございます。
- この点については、我々は、生きている立場でいけば、今の時代のツケを次世代に残してはいけないという認識というものは共通した認識が得られるものかということを、まず最初にお伺いしたいと思いますが、この点についていかがでしょうか。
〇委員
- 基本的にはそうだと思います。ただ、そういうことになりますと、出るごみは減らせという話になりますし、私はあくまでも担保の措置の話をしに来ておりますので、それは触れません。
〇座長
- 私は、同時にごみを減らしていくような日常生活の考え方をセットにしなければ、ただ単に賛成、反対だけではいけないということを視点に入れて、循環型の社会をつくり上げていくというような視点でこれをお話をさせていただいたというところが一つでございます。
- 今までご議論をいただいたお話の中で、少なくともこれが核抜きであるということがあれば、この研究所というものの必要性について、もう少しご議論をいただけたらというふうに思うのですが、いかがでしょうか。一番キーになります核抜きをどう担保するかということは本当に必要なところになってくるかと思いますが、いかがでしょうか。
〇事務局
- 今日は向田先生が見えていらっしゃるので、お聞きしてみたいと思います。協定は覚書にすぎない、それから、単に紳士協定で拘束力が全くない、また、実行力がないものであるということ言われたことがあるのですが伺っておきたいと思います。地元自治体とサイクル機構が契約破りをしたときはどうするのかということも、コメントをいただければと思っております。
〇委員
- さっき言いましたように、申し入れでは余り意味がない、協定がはるかにいいと。ただし、協定のつくり方が問題で、単に宣言します型の協定であれば、その反対の姿勢の方が言っているとおりだと思います。
- 一つは、事業主体と道が協定を結ぶ、そのときに国はどういうふうにかかわらせるかという問題が一つあるかと思います。立会人という形、果たしてそれでいいのかどうか。本来は、国も責任を持たなければいけない話で、それがどういうふうにやるかということが一つの問題です。
- それから、紳士協定かどうかというのは、協定の拘束力、実行力がどれだけあるかということにかかってきますから、これもやはりつくり方次第です。もしも協定に違反した場合どうするかとか、これから具体的につくっていくものです。かなり踏み込んだ内容にならざるを得ないのではないかというふうに思っています。今のところ抽象的にしか言えませんけれども、もう少し考えて拘束力、実行力ある協定というのが可能だろうと思っています。
○座長
- 課長さん如何ですか。こういうお話を聞いていただいて、かなり大きい不信がありますが。
〇科学技術庁
- 私も、なぜ信じていただけないのかという問題をずっと考えてまいりました。貯蔵工学センター計画で大変なご心配、ご迷惑をおかけして、それを白紙に戻さざるを得なかった。まさに皆様のご理解、ご協力のいただけないところでは、私どもの進めています原子力関係の事業というのはなかなかできないという現実がある。どういうふうにしたらご理解をいただけるのかということなのですが、いろいろな事故も含めて原子力に対する漠然とした不安という点で、私どもも反省をしているわけです。確かに法的な観点ということでしたら、まさに向田先生おっしゃったとおりだと思います。私どもは大臣から出させていただいた文書でございますし、また内閣でもこの内容については確認されているところでございますので、ぜひご理解いただければありがたい。また、何でご心配になっているのかということも含めて、教えていただければありがたいと思います。
〇座長
- ほかにこの報告書の中に検討されているものとして、条例の問題とかというのも出ています。この辺は、例えば地元なんかでも検討というのはされているのですか。
〇事務局
- 地元で検討されているかについては、深地層研究所そのものについては、幌延町と道に提案がありました。道の方では検討していますが、地元町としては道の検討を見極めているところだと思います。
〇委員
- 例えば道の方で先ほど言った協定ができると、幌延町としてはその内容を条例化するということも可能なのですか。
〇事務局
- 検討委員会で出している協定というのは、合意が得られればそういった協定も考えましょうということですから、もし合意が得られて、地域が判断するとなると協定をこれから、その後合意が得られた段階で協議になると思います。
- 町が条例化を考えているかという部分なのですけれども、今回の検討委員会の報告は、あくまで知事の立場でということでしていますので、検討委員会では具体的には検討してございませんが、市あるいは町のレベルで放射性廃棄物を持ち込ませないという趣旨の条例を定めているところがあるということを明記をしてございます。これらにつきましては、「道内に放射性廃棄物を受け入れない。また、放射性廃棄物の中間貯蔵施設や処分場を受け入れない」との基本姿勢ですが、これを明確にするためには協定以外の措置として条例、議会の決議、宣言もしくは声明、あるいは知事の定める要綱などが考えられる。
- 条例につきましては、対象地域や放射性廃棄物の範囲、関連する法令との整合性など、なお検討すべき課題が多いことに加えて、今後国の動向を見据えなければならない。こういう課題があるということを申し述べております。それから、もう一つ、幌延町のところについてだけ規制をかけること、これにつきましては、種々の理由でかなり難しいのかなというところは検討されたところでございます。
- この条例等につきましては、検討委員会としては、深地層研究所(仮称)に隣接する所が将来処分場になるのではないかなど不安や懸念を持つ道民もいることで、放射性廃棄物を道内に持ち込ませないなどの道の基本姿勢を内外に示すための方策について今後さらに検討していく必要がある。そういうことで、幌延町と施設のところにつきましては、とにかく協定が最も強い拘束力を持っているということでまとめています。
〇座長
- 一応私も幌延の研究所と言いましたけれども、周辺町村のきちっとした話し合いができなければ、なかなかうまくいかないと思うのです。そういった意味の調整は、道が責任を持ってしていただくということになると思いますが。
- なお、この担保の問題、どうやったら本当に実効あらしめるかということについては、いろいろなご意見もありましょうが、実効性のあるものにするうえで、その点について具体的なアドバイスもいただきたい。
- なぜそんなに信じてもらえないのかということをちょっとだけ申し上げますと、例えば私に関係するものでごく最近でも、介護保険が一つの方針を決めたと思うのです。大臣がかわった瞬間に、ころっと変えることを平気でされる。ころっと変わってきたという国の態度は、やっぱり不信感を生む一つであることもぜひおわかりいただきたいと思います。
〇科学技術庁
- 一昨年の12月に私どもの大臣から知事あてにご返事した文書の内容、これに違背するようなことがあるかということについては全く自信を持って、これが全うできないような行政機関なら要らないというふうに思って仕事をいたしております。
〇座長
- 報告書に関連する内容で科学技術庁の方々に対するご質問とか、あるいはサイクル機構へのご質問があれば、ぜひ今日のうちにいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
- 多分これから私ども日程調整いたしまして、今年度で私どもの意見を述べたいというところに一つの区切りをつけられるかというふうに思っているのです。今日お話をいただいた中では、少なくとも国としては命を張ってでも、もし今後計画その他があるのであるならば、それに反することはしないということはいただいたつもりですし、当然サイクル機構の方々もそういうような内容であっただろうと思いますが、次回、今日の内容を事務局にまとめていただいて、私どもに懇談会の中で意見を求められるようなものについてはまとめていただいて、できればそれで私どもの意見にさせていただきたいという計画でおります。
- 次回以降について何か。
〇事務局
- 次回の会議でございますけれども、調整させていただいて、座長の方からご通知申し上げたいというふうになるかと思います。よろしくお願いしたいと思います。
〇座長
- それでは、事務局に一つお願いですが、やはり今日話に出てきました内容は、あらかじめいただいて、私ども目を通してから参りたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
- 今日はこれで終わらせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。