Q1 土地改良ってなあに?
A1 見渡す限り広がる田んぼや畑。日本の伝統を育んできた農村風景がここにあります。
しかし、山脈が海岸線にせまる険しい地形の多い日本は、このような、農業に適した平らな土地ばかりが元からあったわけではありません。
また、たまたま、平野部であっても、水源が十分でなく荒れ地であったり、逆に、水はけが悪くて作物を育てるのにはあまり向いていないということが多々あります。
さらに、田んぼの場合であっても、傾斜があったり、凸凹(でこぼこ)の多い地形だったりすると、水が入ったときに、深いところと浅いところができてしまい、稲が水に浸り過ぎて腐ってしまったり、逆に水が届かずに干からびて枯れてしまいます。
農業に適した土地は、元々あるのではなく、遠くの川から水を引いてきたり、土地の傾斜を直したり、土を入れ替えたり・・・と、長い歴史の中で、人々が切り開き、これらを守ってきた努力によって今日の農地になっているのです。
私たちは、このような努力を「土地改良」と呼んでいます。
Q2 どうやって、土地改良をするの?
A2 港を開いたり、道路を通したりする公共事業は、まず先に国や道が計画を発案して、これを進めるのが一般的なようです。
土地改良事業も公共事業の一つに数えられますが、この土地改良事業は農業者等が、「この地域ではこういう米や野菜を作りたいので、こういうふうに土地改良してほしい。」というような計画を立て、国や道などに申請する仕組みになっています。
おおまかな計画ができあがったら、市町村の掲示板に張り出して、このようにして土地改良を行いたいということと併せ、他に参加を希望する人はいないか申し出ていただくよう、呼びかけます。
その上で、計画した地域の農家のみなさんの3分の2以上の同意署名をいただいて、申請を行います。
このように、一般の公共事業の進め方とはちょうど逆で、土地改良事業を行おうとする地域の農家の方などが計画を発案し、その人たちの申請に基づいて工事が始められるのが特徴です。
Q3 土地改良区ってなあに?
A3 ダムや用水路などの施設は、作られた後も、きちんと管理されなければ、田んぼに水がうまく入らないとか、傷みが早くなったりします。
また、大雨で災害が起こったりすると、そこから水があふれたりするなど、危険なことにもなりかねません。
さらに、これらは、何軒もの農家の方々が管理に必要な経費を出し合って、共同で使っていくものなので、公平に水が行き渡るように取り決めをしなければなりません。
こうした施設の管理などの仕事を行うのが土地改良区です。土地改良区は施設を共同で使う農家の方で作る団体で、その運営がきちんと行われるよう、土地改良法で定められています。
Q4 「農業農村整備事業」ってなあに?
A4 庭先から大きなエンジン音とともに、トラクターが田んぼや畑に向かう。農村の朝には、そんな風景がよく見られます。
農業は、工場やオフィスビルへの通勤とは違って、生活の場と仕事をする場とが、ほとんど一体になった空間で行われています。
作物を出荷したり、トラクターなどが通過し、農作業に欠かせない農道は、子供たちが学校に通ったり、車で買い物に出かける生活道路でもあります。
また、一人ひとりの農家の方の土地が入り組んで、道路もそれに合わせて、くねくねした回り道になっているところでは、農地を使いやすいように四角く整形するときに、一緒に道路も直線にした方が別々に工事するよりも安く済みます。
このように、農村を対象に農地、水路などの施設、生活基盤の整備を組み合わせて、一体として行う事業を「農業農村整備事業」といいます。