あっせんによる紛争処理の流れ
労使の一方又は双方からあっせん申請がなされると、労働委員会の会長は、あっせん員候補者名簿の中からあっせん員を指名し、あっせん員があっせんを行うことになります。北海道労働委員会では、通常、公益、労働者及び使用者の各側からなるあっせん員(いわゆる三者構成)であっせんを進めております。
また、職権あっせんは、病院や私鉄バスなどの争議のように公衆の日常生活や経済に大きな影響を与えるような場合などに、労働委員会の判断で開始されるものです。
あっせん申請の方法
- 所定の申請書に必要な記載事項を記入し、北海道労働委員会事務局(調整課)に提出してください。
- 当事者の委任を受けた方が申請する場合は、その権限を証明する書面を添付してください。
- あっせんの作業が円滑に行われるよう、参考となる資料を提出していただくことがあります。
- 申請書を受け付けるに当たって、事務局職員が事実を聞き取り、記載事項と相違する点がある場合は、申請書の内容を補正していただくことがあります。
- 遠方の当事者(札幌市とその近隣市町村に所在しない方)から電話等により申請の意思表示があった場合は、事務局職員が現地に赴き、記入方法について説明の上、申請書を作成していただいております。
あっせん当日の進行
あっせんは、通常、当事者が札幌市とその近隣市町村に所在する場合には、札幌市にある道庁別館10階の労働委員会で、それ以外の地域に所在する場合には、現地で行います。
あっせん当日の進行は、通常、次の順序で行われます。
- 出席者は、会場に用意された労使双方の控室に指定された時刻までに入室し、備え付けの「出席者名簿」に役職・氏名を記入してください。
- あっせん員は、初めに申請者、次に被申請者の順で、個別に事情を聴取します。その際、あっせん員は上記の「出席者名簿」により出席者の確認を行います。
- 事情聴取後、あっせん員は、あっせんの進め方などの方針について協議します。
- 協議した内容を基に、労働者側・使用者側の各あっせん員は、それぞれ労使双方に対し、説得・意向打診を行います。
- 労使双方の主張に歩み寄りが見られる場合、あっせん員は、双方の意向を個別に確認しながら、あっせん案等の検討作業を行います。歩み寄りがない場合は、あっせんを一時中断とするか又は打ち切りとするかの方針を協議します。
- 最後に、あっせん員は、労使双方をあっせん会場に集め、上記で検討した結果を提示します。あっせん案を提示する場合、労使に受諾の意向を確認し、受諾するときは、承諾書をあっせん員に提出していただきます。打ち切りとする場合は、その旨を宣言し、自主解決に向けた努力をするよう勧告します。一時中断とする場合は、次回あっせん期日を労使双方に告げて終了します。
あっせん員の役割と労使紛争自主解決の原則
あっせん申請を受けても、争議の実情があっせんに適しないものであったり、自主解決の余地があって、他の解決方法によることが適当であると判断されれば、そのような取扱いや助言を行うこともあります。
あっせんは、当事者である労使双方からその主張や争議の経過及び問題などを良く聴き、その中で、労使間の対立点を解きほぐし、お互いの理解を深め、解決の道を見出すための橋渡しの役目をするものです。したがって、あっせん員は、本来争議解決の主役ではなく、仲介者として働くのが建前です。
しかし、そうしたことだけでは解決が困難な場合で、第三者として公正な解決の方法や内容を示すことにより、労使の歩み寄りが早まり、今後の労使関係の上で望ましいと判断されるようなときには、「あっせん案」を提示して解決を図ることがあります。
あっせんの中で、労使双方が歩み寄り意見の一致を見ると、解決するわけです。
このような場合、あっせん員が立会い、協定書を取り交わす形でまとめる場合もあります。
しかし、いかに努力しても、労使双方の歩み寄りが見られず、解決の見込みがない場合、あるいは提示したあっせん案を労使の一方又は双方が受け入れなかった場合は、あっせんを打ち切り、その後の処理を労使の自主的解決にゆだねることになります。
なお、一度あっせんが打ち切られても、その後再びあっせんを申請することができます。