賃金の未払いについて

賃金の未払いについては、労働基準法上の問題であることも考えられるので、まずは労働基準監督署に相談してみてください。
その後、解決には至らず、会社と紛争状態になった場合は労働委員会へご連絡ください。

1 賃金とは

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「そもそも「賃金」って何のこと・・・?会社からのお給料ということ?」

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「【労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの】と規定されています。」

【労働基準法第11条】
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他の名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

そのため、ボーナスや労働の対価として支払われる手当(業績手当や専門職手当等)はすべて賃金となります。
時間外勤務による割増賃金や、深夜割増賃金は労働の対償として支払われるべきものなので、当然、賃金に含まれます。

「賃金に含まれないもの」の例
労働の対償として支払われないものは賃金とはなりません。
例えば、解雇予告手当や出張旅費等は労働の対償ではないため、賃金とはならない場合があります。

ポイントは、【労働の対償(働いた結果支払われるもの)】として支払われているかどうかになります。

2 賃金未払いに関わる例

賃金未払いに該当する場合

  • 給与支払日が経過したが、給与が支払われていなかった!
  • 口座に振り込まれていたが、振り込まれていた額が明らかに少ない・・・
  • 時間外労働をしたはずなのに、その分の割増賃金が振り込まれていない!!

これらは【労働の対償による対価】となり、賃金未払いに当たる場合があります。

※上記の例において、賃金未払いと認められないこともあります。あくまで例であり、断定するものではないため、ご注意ください。

時間外割増賃金(残業代)について

賃金未払いにおいて問題になりやすいもののひとつに【時間外割増賃金】があります。 時間外割増賃金等については下記のとおり、所定の割合を上乗せした賃金を支払う必要があります。

  • 時間外労働(月60時間以下):25%以上
  • 時間外労働(月60時間超※):50%以上※一部の中小事業主は除きます。
  • 休日労働:35%以上
  • 深夜労働:25%以上

時間外割増賃金の計算について、1日あたりについては原則分単位で計算する必要があります。

しかし、1ヶ月あたりの時間外労働時間数の合計に1時間未満の端数が生じた場合
30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは認められています。

3 退職した場合の賃金について

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「会社を退職したけれど、賃金っていつ支払われるの?」

労働基準法第23条
【第1項】
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他の名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
【第2項】
前項の賃金又は金品に関して争がある場合においては、使用者は、異議のない部分を、同項の期間中に支払い、又は返還しなければならない。

退職後の賃金について労働者から請求があった場合、その請求から7日以内に支払わなければなりません。
※請求がなかった場合は給与支払日に支払えば問題ありません。

賃金の支払いについて紛争状態の場合は、異議のない部分を支払えば問題ありません。

 

紛争状態にある部分については、当事者間での解決が難しく、お互い困ってしまうこともあるでしょう。そのような紛争状態の場合には、 労働委員会で行っている個別紛争あっせん を利用することができます。

あっせん制度のご利用に当たって

あっせん制度を利用するには、上記のように【紛争状態】にあることが前提です。
まずは相手方に対し、口頭でも文書でも構わないので、あなたの要求を投げかけてください。
その上で、『いつまで経っても回答がない』、『無視された』、『意に沿う対応がなされない』といった段階になった場合に、あっせん申請が可能となります。

紛争状態ではない場合や、今後の行動についての助言等は労働委員会では対応できかねます。
そのようなご相談の場合は下記の各種相談機関へのご連絡をお願いいたします。

4 未払い賃金等の労働相談窓口(主な機関)

※賃金未払いに当たるのかどうか等、相談をご希望の方は、下記相談窓口にご相談ください。
当委員会では、一般的な労働相談は行っておりません。

(1)労働相談ホットライン※北海道所管、社会保険労務士対応
電話0120-81-6105(フリーダイヤル)
月~金曜日17:00~20:00、土曜日13:00~16:00(祝祭日、年末年始除く) 無料

(2)総合労働相談コーナー※北海道労働局所管
電話011-707-2700平日9:00~17:00(祝祭日、年末年始除く) 無料

(3)労働基準監督署※厚生労働省所管
お住まいの地域によって管轄が異なります。 無料
電話番号は 《こちらをクリック》外部のサイトに移動します(厚生労働省HP内への外部リンク)
お住まいの地域の管轄労働基準監督署は 《こちらをクリック》外部のサイトに移動します(厚生労働省HP内への外部リンク)

労働基準監督署と労働委員会の違い

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「「労働基準監督署」という機関もよく聞くけれど、どっちに相談すればいいのかわからない・・・。」

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「労働基準監督署は【法令違反を指導・監督するところ】、労働委員会のあっせん制度は【紛争を解決するところ】と、役割が異なります。」

【労働基準監督署】という名前を耳にすることがあるかと思います。
こちらは文字どおり【監督する】機関になるため、労働基準法に違反した会社等を取り締まることを主としています。

一方、私たち【労働委員会】の個別紛争あっせん制度は、【労使間の紛争の解決】を目的としています。
そのため、労働基準監督署のように会社や労働者を指導・監督することはできません。

会社の法令違反を正してほしいなら【労働基準監督署】
会社や労働者とのトラブルを解決したいなら【労働委員会】
相談してみてください。

5 賃金未払い関連の個別紛争あっせんの解決事例(北海道労働委員会)

あっせん内容

 会社Xに勤務する申請者Aさんは、事務職として採用されていたにも関わらず、金曜日と土曜日に担当外の業務を指示され、従事してきました。加えて、本来の契約内容の労働時間よりも長い時間働くことが常態化していましたが、残業代は支払われず、休日に労働しても割増賃金が支払われていませんでした。
 このため、Aさんは会社Xに対してこれらの未払い分の残業を求め、あっせんを申請しました。

あっせん結果

後日、北海道労働委員会においてあっせんが開催され、あっせん員はAさんと会社Xに解決金を支払う等の合意書案を提示し、双方がこれを受諾して、本件は解決しました。

あっせん申請をご希望の方へ
まずは、お電話でご相談ください。

北海道労働委員会事務局個別対策グループ
電話 011-204-5667
平日 8:45~17:30(土日、祝祭日、年末年始除く)

※なお、当委員会では労働相談は行っておりません。

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