人間の生活圏に密接した「幻の魚」イトウ
細長い体で口は大きく、両顎に丈夫で鋭い歯を数多くもちます。日本産淡水魚類では最も大きく成長する魚種。
イトウは一生のほとんどを人間の生活圏に近接した淡水域で過ごすため、生育環境の悪化により個体数が減少し、日本国内での分布は北海道のみという状況で、絶滅危惧種にも指定されています。イトウ属の魚は一般的に川を下りませんが、イトウはほかのサケ科の魚と同様に降海性があり川を下ります。しかし、それも汽水域までで、海へ出ることはほとんどありません。
産卵期は4~5月。産卵はすべて一対のペアで行われ雌は5~6回に分けて卵を産みますが、この間雌雄ともしばしば相手を替えます。ほとんどの場合、大きな雌と小さな雄とのペアですが、雌をめぐって雄同士の闘争が起きると大きい方の雄が勝ちます。
「幻の魚」と呼ばれ食される機会はあまりありませんが、養殖されたものは刺身や天ぷら、焼き魚に調理されるほか、一部釣り堀で利用されます。釣り人にとっては憧れの魚です。
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