森林資源把握技術について

 近年、森林は木材生産以外にも公益的機能の発揮やJ-クレジットの創出等、多様な観点から利活用が進められており、「どんな木が、どこにどれぐらい生えているか?」 という森林資源の把握がますます重要になってきています。

 従来、森林資源の把握は現地調査により、多大な労力をかけて行われてきたところです。一方で、広大な森林全てを現地調査することは不可能なため、一部の調査結果を全体に当てはめることで推計するしかありませんでした。

 しかし、人工衛星、航空機、ドローン等様々な機器で取得したデータを、AIの利用を含め様々な手法で解析することにより、樹高や樹種、蓄積等の資源情報を効率よく、広範囲で収集できるようになりました。

 「資源量を元に伐採計画を作りたい。良い方法はないだろうか。」

 「市内で手入れが遅れている森林を把握して、効率的に森林施業を行いたい。」

 こんな疑問を解消するために、今回、技術や事例についてとりまとめました。

 森林資源把握の手法選択の入り口として、ご活用下さい。

森林資源把握の方法

1 観測装置・機器の種類

 森林資源のデータを取得する技術として、リモートセンシングがあります。
 リモートセンシングとは、「remote(遠くから)」「sensing(感知、計測する)」の言葉どおり、対象を非接触で計測、観測する技術であり、データを収集する観測装置とそれを搭載する機器(プラットフォーム)を組み合わせて行われます。

 森林資源把握に用いる観測装置としては、カメラとレーザ計測機器があります。
 カメラは、太陽光等の反射光を観測するものです。平面画像や多角撮影による立体画像を利用することで、視覚的に林況の確認が行えます。

 レーザ計測機器は、レーザ光等を照射し、反射してきたレーザ光等を観測することで距離等を計測するものです。レーザ計測で得られる点群データにより、主に地盤高や樹高の高精度な情報を得ることができます。

 プラットフォームとしては、地上計測器(三脚)、ドローン、航空機、人工衛星などがあり、一般的に高度が高いほど計測範囲は大きくなりますが、得られるデータの解像度は低くなります。

 現在、観測装置と搭載機器の主流な組み合わせとしては、「光学衛星画像」「空中写真」「ドローン写真」「航空レーザ」「ドローンレーザ」「地上レーザ」の6種類があります。

高度と計測面積等 (PNG 131KB)

観測機器とプラットフォーム3 (PNG 113KB)

2 森林資源の分析手法の種類

 取得したデータから森林資源を分析する主な手法として、以下の3つがあります。
 A.林相判読(水平方向)
   針葉樹や広葉樹等の分布を水平方向に分析するものです。
   画像を目視で判別する方法から、近年ではAIによる機械学習を活用した判別も行われています。
 B.樹高計測(垂直方向)
   樹木の高さを画像や測量データから広範囲で取得します。
   多角度から撮影した画像から立体視で推計する方法、レーザ計測により直接計測する方法が
   あります。
   また、地位(収穫量の善し悪し)の推計も行えます。
 C.材積推定
   林相や樹高等の情報を活用して、林分の蓄積や材積を推定します。
   例えば、樹高と蓄積の関係式を作成し、林層判読、樹高計測の結果を当てはめることで、
   広域で材積推計を行うことができます。
   材積推計は使用するデータや手法によって、広域把握から単木レベルの解析まで行うことが
   可能です。
   材積推定は、手法によってさらに3つに大分されます。
   a.標準地解析
    任意で設定した小さい区画(標準地)で材積推定を行い、
    推定結果を広範囲に適用させる方法です。
    従来行われていた現地の測定を、リモートセンシングで行う方法です。
   b.エリア解析
    現地調査によって作成した樹高と材積の関係から算出した数式を、
    航空レーザ等のデータを解析することにより作成した樹高分布データに当てはめることで
    材積推定する方法です。
    少ない調査で広範囲の材積推定を行えます。
   c.単木解析 
    地上レーザ等で得た樹高と胸高直径等のデータで、樹木1本ごとの材積を推定します。

3 各観測技術と取得データの特徴

01_衛星画像4 (PNG 219KB)

02_空中写真3 (PNG 285KB)

03_UAV写真4 (PNG 312KB)

04_航空レーザ4 (PNG 270KB)

05_UAVレーザ3 (PNG 328KB)

06_地上レーザ3 (PNG 362KB)

 各観測技術の対象面積、実施可能な解析方法、導入コストは以下のとおりです。

各技術の特徴2 (PNG 121KB)

4 観測技術の選択

 林相判読及び材積推定における、観測技術の選択フローは以下のとおりです。

林相判読の観測技術選択フロー (PNG 84.2KB)

材積推定の観測技術選択フロー (PNG 116KB)

5 森林資源把握技術の活用事例

森林整備の促進における活用事例(道内市町村)

森林所有者への施業提案をより適確なものすることなどを目的として、航空レーザを活用し、
林相判読や高精度な蓄積データなどを取得した事例として次のようなものがあります。

令和3年度森林環境譲与税市町村取組事例集:北海道 帯広市(林相区分図の作成)
令和4年度森林環境譲与税市町村取組事例集:北海道 芦別市(航空レーザー測量を活用した森林資源解析等)

全国の関連事例(平成30年時点)

北海道の取り組み

北海道で実施している森林資源把握の取り組みについて紹介します。

 

森林海洋環境局成長産業課

航空レーザ未計測地域における取組【ドローン写真】→【樹高】

森林海洋環境局道有林課

ICTによる広葉樹資源の把握・利用  【航空レーザ・衛星写真】→【林相・材積】

林務局森林計画課

その他関連情報

他県等の取組

HPへの掲載希望

    北海道では、森林資源把握に係る技術の掲載を随時募集しています。
 林資源把握に関する技術、商品又はサービス等を対象としますが、
 掲載にあたっては審査があります。
 掲載を希望される場合は、下記URLより申込みいただきますようお願いします。
    https://www.harp.lg.jp/SksJuminWeb/EntryForm?id=QEugaBwn

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