1 ナラ枯れ被害とは
ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシ(以下「カシナガ」という)が持ち運ぶ病原菌(以下「ナラ菌」という)により、ミズナラやカシワ・コナラなどのナラ類が枯死する伝染病です。全国的には本州を中心に広がりを見せていましたが、令和5年度には北海道においても道南地域で被害が初めて確認され、令和6年度も被害が確認されています。
・カシノナガキクイムシ
体長5mm程度
2 ナラ枯れの特徴
ナラ枯れはカシナガがナラ類に穿入することで、カシナガが持ち込んだナラ菌の作用により、道管が目詰まりし通水障害が発生します。この結果、葉が赤く変色し、枯死に至ります。
カシナガが穿入した木の根元には、木くずや糞の混合物(フラス)が堆積するほか、穿入した痕跡があります。
ナラ枯れ被害木は本州では、幹の太さが30cmを超える大径木の被害が多いことや、カシナガが穿入した痕跡である直径1~2mm程度の穴が多数あることが特徴とされている一方で、北海道では、幹の太さが30cm未満の比較的細い樹木でも被害を受けていることや、カシナガの穿入した痕跡の数が少なくても枯死に至っていることが確認されています。
・ナラ枯れ被害木
・木くずや糞の混合物(フラス)の様子
3 北海道における対応
北海道に自生するナラ類は、家具材や薪炭材などに利用される貴重な広葉樹資源であり、この貴重なナラ類を被害から守るためには早期の被害把握と被害木処理が重要であることから、北海道森林管理局や市町村、試験研究機関、林業関係団体等と連携し、ナラ枯れ被害対策に取り組んでいます。
4 ナラ枯れ被害対策の取組
1 被害木調査
1 生息調査
カシナガの集合フェロモンを用いたトラップを設置し、生息範囲の調査を行っています。
2 上空調査
カシナガの生息調査結果等を踏まえて設定した調査区域において、紅葉が始まる前の9月頃にヘリコプターやドローン等を用いてナラ枯れの特徴である葉が赤く枯れた木を確認しています。
3 現地調査
上空調査により確認された木がナラ枯れ被害木かを判定するために、現地に赴き調査を行っています。
4 カシナガ生息調査結果
令和6年では4町で119匹の生息が確認されています。
5 ナラ枯れ被害の発生状況
■全国の発生状況
■北海道の発生状況(11月15日時点)
令和6年では3町で182本の被害木が確認されています。
2 ナラ枯れ被害木処理
ナラ枯れ被害の拡大を防ぐためには、被害木の内部で繁殖したカシナガが飛散しないように駆除することが重要であることから、調査の結果判明した被害木はカシナガが羽化し新たな木へ向かって脱出する来年5月末までに適切に処理できるよう、道では試験研究機関の協力のもと「ナラ枯れ被害木処理マニュアル」を令和6年10月に策定しました。
発生した被害木は、北海道森林管理局、関係市町村、林業関係団体等の関係機関と連携し本マニュアルに沿って適期・適切に処理を進めています。
【被害木の処理方法】
1 伐倒後焼却
被害⽊を伐倒・⽟切りして、樹幹部は焼却処理、伐根部はくん蒸処理する⽅法。
2 伐倒後チップ化・焼却
被害⽊を伐倒・⽟切りして、樹幹部はチップ化・焼却、伐根部はくん蒸処理する⽅法。
3 伐倒くん蒸
被害⽊を伐倒・⽟切りして、樹幹部及び伐根部をくん蒸処理する⽅法。
4 立木くん蒸
被害⽊を⽴⽊のまま、幹にドリル穿孔して薬剤注⼊処理する⽅法。
5 ナラ枯れ被害の情報共有
ナラ類において、8~9月に赤褐色に変色し枯れている、幹の根元にフラスが堆積しているといったナラ枯れが疑われる樹木を発見した場合は、最寄りの(総合)振興局産業振興部林務課若しくは、北海道水産林務部林務局森林整備課へ情報提供をお願いします。