平成10年8月7日
1.対象施策の概要
(1)施策の目的・内容(背景・契機)
医療機関、消防機関、救急医療情報センターを「キャプテン」方式の コンピュータで結び、医療機関が端末機で入力した情報を、地域コンピ ュータセンター(全道5カ所)経由で中央コンピュータセンター(札幌 市)に集積し、道民に対しては、情報案内センターが24時間体制で医療 機関情報の提供を行うとともに、消防機関や医療機関に対しては、救急 搬送や転院搬送に必要な医療機関情報の提供を行うものである。
(2)経過(事業実績)
国が昭和52年に定めた「救急医療対策実施要綱」を受け、道において は、昭和55年に策定した北海道保健医療基本計画において、救急医療体 制の体系的な整備と救急医療情報システムの開発を進めることとし、昭 和57年から医療情報システムの構築について調査・検討を行い、昭和60 年に救急医療情報システムとして、当時最先端であった「キャプテン」 方式の導入を決定し、昭和61年10月からその運用を開始した。
(3)停滞要因及び将来の見通し(問題点)
救急医療情報システムの利用は、電話による道民からの情報案内セン ターへの照会が増加している一方で、端末機を設置している医療機関や 消防機関における情報の登録や照会が減少しており、システム全体とし て機能低下が見られることから、パソコンやインターネットの普及が進 むなど、現行システムを取り巻く環境が大きく変化する中で、新たな時 代に即した情報システムのあり方について検討することが必要となった 。
2.検討の基本的視点
現行システムの機能や仕組みなどの問題点について分析・検討を行うとともに、道民や医療機関、消防機関の意向や、他都府県の状況調査に加え、市町村や関係団体からの意見の聴取を行うなど、新たな時代に即した救急医療情報システムのあり方について、多角的、多面的な視点から検討を行うこととした。
3.道としての対応方針
先に提出された所管部局の検討結果を踏まえ、道としては次のような方針で対応することとする。
(1)事業の取扱い
道が現在進めている初期救急医療から高度救急医療に至る体系的で効 率的な救急医療体制を確立する上で、救急医療に関する情報を一元的に 収集・提供する救急医療情報システムは、重要な役割を担うものである 。
現行の「キャプテン」方式は操作性や機能性の面で課題を抱え、道民 及び救急医療機関への情報提供において十分にその役割を果たしていな いことからこれを取り止め、新たな方式による救急医療情報システムの 整備に取り組むこととする。
(2)今後の取組み
新たな方式の整備に当たっては、災害時や広域搬送への対応など道民 が安心して生活できる医療体制を確保する視点に立って、医療機関、消 防機関などとの連携の下に、救急医療をサポートする総合的な情報ネッ トワークを構築し、より広域的で信頼性の高い情報を収集・提供するシ ステムについて、来年度から新たな方式を導入することを目指し、早急 に検討を進めることとする。
また、道民に直接情報提供を行う救急医療情報案内センターについて は、いつ、どこからでも、誰にでも的確な情報が迅速に提供されるよう 、インターネットやファクシミリ等の情報提供手段の多様化や、フリー ダイヤル化による利便性の向上を図るとともに、こうしたセンターの機 能を広く道民に周知していくこととする。