- 日 時/平成10年10月30日(金)16:10~16:30
- 場 所/記者会見室
- 記者数/30名(その他カメラマン等 13名)
[知事からの話題]
<「政策アセスメント」の実施結果について>
今日は、何かとお忙しいところお集まりをいただきましてありがとうございます。まず「政策アセスメント」の実施結果につきましてお話をさせていただきます。
7月以降、私ども道の全ての施策を対象といたしまして、政策的な視点から点検・評価する「政策アセスメント」の試行に、全庁あげて取り組んでまいりましたが、先程、政策会議におきまして、本年度の評価結果について報告を受けました。これが評価書になるかと思いますが、大変な量でございます。この実施結果につきましては、お手元に配布の報告書のとおりでありまして、私は、個別の内容と言うよりは、今回の取り組みのねらいや意義などについて、総括的なお話をさせていただきたいと思います。
政策評価の導入は、道政改革の残された課題の最大のテーマのひとつでありまして、全国的に見て確立された手法がない中ではございましたけれども、地方分権の流れや道の厳しい財政状況などを踏まえまして、本年度から取り組むよう指示したところであります。
そうした意味で、今回の評価は、試行錯誤を重ねながらの作業でございまして、評価の手法とか内容は、必ずしも十分なものとは言えませんけれども、調書や評価結果を積極的に公開することによって、行政としての説明責任を果たしますとともに、情報の共有化を図ろうとする取り組みは、これまでの行政のあり方を大きく変えていく、ひとつのターニングポイントになるものではないかと、このような思いを強く持っております。
自分たちの仕事の中身を自ら評価し、それを道民の皆さんの目にさらしていくということは、いろいろな不安、それから懸念が付きまとうわけでございますけれども、日常業務の中で、そうした初めての調書づくりに取り組んだ職員の一人一人には、大変な、このまた様々な苦労があったというふうに思います。しかし、こうしたこの先駆的な取り組みの労苦の積み重ねが、いつか必ず道職員としての誇りにつながっていくのではないかとこのように思っております。
評価結果でございますが、今後、政策検討を経まして、平成11年度の予算編成に反映するよう議論を深めてまいりたいと思いますし、事業の見直しの方向に応じて、関連する執行体制の見直しなども行ってまいりたいと考えております。
また、今回の試行を通じまして、様々な課題が浮かび上がっております。これらの課題につきましては、11年度以降の本格実施に向けまして、昨年来、評価手法の検討を行っております「赤レンガ政策検討プロジェクトチーム」と連携を図りながら検討を深めてまいりたいと考えております。
なお、評価調書等の関係書類につきましては、11月6日には、本庁の行政情報センター及び各支庁の情報コーナーに備え置き、どなたでも閲覧できるようにしたいと考えておりますし、また、道のホームページでもご覧いただけるようにしてまいりたいと思っております。道民の皆さんに大いに活用していただければとこの様に思っております。
<「時のアセスメント」について>
それから、「時のアセスメント」についてであります。
「時のアセスメント」の対象のうち、「松倉ダム」につきましては、「再評価調書」の提出がございました。先ほど開きました政策会議において協議した結果、道としての対応方針を決定をいたしました。
「松倉ダム」につきましては、函館市における将来の水需給対策と松倉川水系における洪水対策を目的とする多目的ダムとして計画してきたものでございますけれども、住民の方々から事業の必要性とか、あるいは自然環境への影響など様々な意見が出されてまいりましたことから、市民説明会や意見交換会を開催をいたしまして、住民の皆さんの意向の把握に努めてまいりました。一方でまた、函館市からの意見についても聴取を行ったところであります。
この結果、函館市からは、人口動態が減少傾向にある中で、給水人口の見直しなどの必要があるとの考え方が示されました。水源確保のためのダム建設を急がなければならない状況は認められなくなりました。また、治水面について、自然環境の保全を求める市民の声とか、代替性の可能性があることなどを踏まえまして、治水計画全体の見直しが必要となりましたことから、これら利水・治水の両面を総合的に判断をいたしまして、道として、松倉ダムの建設は取り止めることといたしました。
松倉川水系の治水につきましては、今後とも、道として責任を持って対応する必要がありますことから、一層の安全度の向上に向けて、住民の皆さん方の意見を基に、学識経験者の協力をいただきながら、様々な方策を調査検討いたしまして、効果的な対策を練り上げてまいりたいと考えております。
また、併せて、現在実施しております河川改修につきましては、積極的かつ効果的に推進してまいりたいとも考えております。
さらに、函館市が今後予定しております水需給計画の見直しに当たりましては、これまでの経過を踏まえまして、道としても必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
今回の松倉ダムの再評価作業は、道の持つ情報の積極的な提供と住民の皆さんの意向把握に重きを置いた点で、公共事業の進め方としては、これまでにない取り組みであったとこのように私は思っております。
今回の一連の取り組みを通じてまして、公共事業などの推進にあたって、住民の合意形成に努めながら取り組むことが何よりも大切であるということを、私としては改めて認識をさせていただきました。
こうした経験を十分踏まえまして、事業の的確な推進に努めてまいりたいとこのようにも考えております。
私のほうからは以上でございます。
[質問事項]
(北海道新聞)
代表して基本的な問題、3点について質問させていただきます。まず、第1なんですけれども、今、知事が松倉ダムの治水については責任をもって対応するとおっしゃられましたけれども、ちょっと見ますとですね、治水ダムとしては検討することもあり得るというニュアンスにとれますけれども、そういう理解でよろしいのかどうか。
第2点目はですね、政策アセスはそれなりの評価できると思うんですけれども、道政改革推進委員会の場ではですね、政策いかんの事前評価も必要だとそういう指摘もなされました。この事前評価のシステムを導入するお考えがあるのかどうか。第2点目です。
3点目なんですけれども、政策アセスとか時のアセスとかいろいろ出て来ますけれども、この2つの関連についてですね、たとえば政策アセスで優先度が低いとされた事業を、時のアセスの対象として検討していくとか、ちょっとわかり易くご説明いただければと思います。
以上3点です。
(知 事)
結局松倉ダムの、ダムとは多目的ダムで、利水とそれから治水、いわゆる洪水対策という2つの両面をもっていたわけですが、利水につきましては、函館の意向等もございまして、今後当分の間ですね、その必要性というか緊急性はないという理解をしております。もう一方の洪水対策につきましては、この洪水対策をどうするかという点について言えば、今後改めて市民の選択・合意としての治水対策を検討することが重要でありまして、どのような手法を検討するかも含めまして、市民を交えての様々な方策あるいはこの学識経験者のご意見等もいただきながら、十分な論議を重ねていくものになるというふうに考えております。
2点目の政策アセスは、事後評価、事前評価をどうかと…、今回の取り組みは、現在進めている施策を評価して、これからの予算編成に活かしていくという仕組みであります。新規施策につきましても、同様にこの調書というかそういう再評価、評価調書を作成をいたしまして、事業概要とかその事業をどういうふうに計画したかといったような、いわゆる立案といいますか、そういうものの過程を整理したうえで、必要なやっぱり評価を行って、これからの予算編成に活かしていきたいとこのように考えております。
それから「政策アセス」とそれから「時のアセス」との…、「時のアセスメント」はですね、一定の要件、いわゆる長期間滞留しているとかですね、今後そういう恐れがあるとかですね、いろいろな3つばかりの条件を要件として挙げておりますが、これらの一定の要件に該当する事業を対象とするものでありまして、全ての事業を対象としている今回の評価とは性格が違うというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても今回の政策評価などのこれからの議論等も含めて見極めながら、この追加対象施策の選定などを行っていきたいというふうに思っております。
(朝日新聞)
松倉ダムの関係なんですけれども、今回の中止の決定について、おおかたの道民はあの場所に松倉ダムが作られること自体が中止になったんだというふうに受け止めていると思うんですけれども、一方では治水ダムに関してはその可能性が残るということになると、非常に道民が受ける理屈の意味というか、受け取り難いことになると思うんですが、知事自身の感想としては、道民が松倉ダム、あの場所に無くなったんだというふうに、今回は判断で受け取っていることに対して、必ずしもそうではないんだということなのか、それともこういう決断が下った以上は、その可能性は非常に薄いというふうに見ているのか、どちらなんでしょうか。
(知 事)
先程ね、道新さんからお話がございまして、私がお答えしましたけれども、今後の治水対策につきましては、改めて市民の選択あるいは合意として、どういう治水対策が重要なのかというようなことはやはり、まずもって検討すべきでありまして、その際に住民の皆さんの意見とか、あるいは学識経験者の協力もいただきながら、様々な方策について、十分な論議をして行きたいとこのように考えております。
(朝日新聞)
その場合は、これまでどおりに、自然環境などについての配慮も重視した議論がなされるのか。
(知 事)
それはもう、最初言いましたようにですね、この松倉ダムの水系の、松倉ダムが中止になった経緯というのを最初にお話しいたしましたけれども、まさにそういうことで、私どもは松倉ダムについて言えば、そういう判断といいますか、そういうことをさせていただきましたと。
(朝日新聞)
それは、これまでそうだったんだと思うんですけれども、今後の話し合いの中でも、これまで話し合われてきた松倉ダムが中止になった経緯というものも踏まえながら、今後の議論を進めていくということですか。
(知 事)
まあ、そうでしょうね。
(読売新聞)
関連して今のことで確認いたしますが、建設部の松倉ダムの結論とですね、道全体の結論と、治水のダムなんかにもからんでいるわけなんですけれども、建設部長の説明の時は、ダムもあり得ますと、もちろん市民合意とかを前提なんですけれども、今日のお話はそれよりはもう少しトーンが、というか、ダムっていうものがもうちょっと、こう後ろに下がっているような印象を受けるんですが、つまりその、治水ダムに関してはですね、建設部の考え方と今日の道の考えというのは…。
(知 事)
あの、すみません、途中で話を折るようですが、少なくても皆さんの前で、私がお話していることについて、皆さんがお聞きいただければ結構でございますので、これが道としての最終的な見解だというふうにご理解いただければ結構です。
(読売新聞)
それは理解している。だから、部のトーンと道のとは違うんですよね…。
(知 事)
いやだから、少なくとも部の考え方は、私は聞いてませんよ、聞いてませんけれども、私としてこの松倉ダムの時のアセスについては、そういう姿勢でこれからも行きたいということを申し上げたんで、部の方がどういう表現されてるか分かりませんが、今回、この場で私がお話していることが、これからのいわゆる時のアセスとしての結論でございまして、これからの対応について言えば、先程申し上げましたような姿勢で臨んで行きたいということでございます。
(北海道新聞)
政策アセスの方なんですが、一方で、コスト価格じゃなくて、事業再構築っていう形でですね、総予算の20%を何とか縮減できないかというような取り組みがあったと思うんですけれども、これからの予算編成に、先程、知事、反映させて行きたいということで、その20%の削減というのは、可能性は、見通しとしてはどうなんですか。
(知 事)
これはね、一つの今回の試みとして、我々、例えばそういうその設定をしてですね、政策アセスをやった時に、どういう影響が出るかと、どういう問題点が出るかということを一応整理させていただいたわけでございます。
それは、事業のですね、性格によって、それは個々さまざまなことになってまいりますけれども、当然そういったことを含めてこれからの議論の中で、いろいろ議論がされて行くというふうに思います。
先程も申し上げましたように、道の財政状況もありますので、そういったものの中で今回の評価の結果がですね、議論っていうか、議論になって行くのかなという気はしてますけれども。
- 以上で終了 -
(この内容については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったもの等を整理のうえ、作成しています。[記録作成:総合企画部政策室広報課報道係])