北海道の産業 - 観光
北海道の観光の現状
本道の観光産業は、広大で豊かな自然や新鮮な食、文化、多彩な温泉、様々な体験メニュー等が楽しめるアウトドアなど豊富な観光資源を活かしながら、これまで道内のリーディング産業としての地位を確立してきましたが、長期化した新型コロナウイルス感染症の影響により、外国人観光客をはじめとした観光入込客数が大きく減少してきたことに加え、昨今の原油価格高騰や電気料金値上げなどにより観光事業者の経営環境は一層厳しく、宿泊業などにおける人手不足も課題となっております。
水際対策の終了などにより本格的な需要回復の兆しが見えてきた中、本道経済に大きな効果をもたらすインバウンドを含めた観光入込の回復に向けて、災害や国際情勢による影響の縮小化も考慮する一方で、モノ消費からコト消費にも軸足を置いた流れに対応した観光消費額単価の向上を目指すとともに、滞在日数の拡大を図るべく、新たな旅行スタイルを定着させていく取組が必要になります。
また、令和4年度の4月~12月までの道内外全体の観光入込客数は、「どうみん割」や「HOKKAIDO LOVE割」の実施効果などもあり、コロナ過前の令和元年同期と比べて約8割の3,450万人になりました。そのうち、訪日外国人来道者数は、令和4年6月の添乗員付ツアーの国内受入をはじめ、10月からは個人旅行の受入や査証免除措置を再開したことにより、21万人になりました。
観光振興に関する道の施策
令和3年11月に策定した第5期「北海道観光のくにづくり行動計画」の考え方に基づき、コロナ禍を経て変化した旅行者ニーズなども踏まえながら、アジアはもとより欧米などをターゲットとした戦略的なプロモーションなどを通じて、新たなインバウンドの取り込みを進めていくほか、本道の強みを生かしたケア・ツーリズムやワイン・ツーリズムの推進、アドベンチャートラベルに代表される観光の高付加価値化に向けた取組などを重点的に推進していくことにより、「観光立国北海道」の再構築に向けた取組を進めていきます。
【北海道観光のくにづくり行動計画における施策展開方針】
1.クリーン×セーフティ北海道
「新北海道スタイル」の徹底などによる安全・安心の提供や広大な自然や密になりにくいアウトドア環境など本道の価値や優位性を再評価し、環境と共生する観光を推進するとともに、積極的な情報発信を行うことにより「『安全・安心』で選ばれる観光地づくり」を目指していきます。
2.量×質の追求
人口減少などにより量の拡大が難しい状況下において、道内観光の高付加価値化を目指すとともに、観光入込客数の8割を超える道内客からも愛される観光地づくりや、自然環境、食など本道の観光資源のブランド力強化による新規誘客・リピーターの獲得、富裕層向け商品・サービスの充実による質の向上、AI、IoTといった先端技術の導入による低コスト化を実現することにより、観光客のさまざまなニーズに対応できる施策を展開し、「満足度向上と連動した消費単価の向上」を目指していきます。
3.旅行者比率のリバランス
道内観光を支える道民による道内旅行需要を改めて見直すとともに、道外観光客の旅行需要を喚起しつつ、地域偏在や季節偏在などの課題解決につながる取組を進めます。また、訪日外国人来道者については、渡航制限解除等を見据えた海外需要の獲得を目指し、欧米や東南アジアなど東アジア以外からの観光客をより増加させるなど、「感染症の状況に応じた誘客対象の最適化」を目指していきます。
4.新しい旅行スタイルの推進
本道の豊かで優れた自然環境等を活かしたワーケーションの推進や、ATWS北海道/日本を契機に本道の自然・文化等の特性を活かしたアドベンチャートラベルの造成・発進のほか、新たなインバウンドをはじめとする道外からの旅行客の取込方策の検討を進めるなど、長期滞在が促進され、繁忙期、閑散期の差の解消ができ、観光総消費額を増加させる「新たな北海道観光価値の創出」を目指していきます。
5.観光インフラの強靱化
広域観光の拠点としての道内空港の利活用や観光産業を支える人材の確保や育成、災害時等に観光客の安全・安心に資する基盤の強化などで地域における観光インフラの充実を目指していきます。
6.推進体制の強化
施策を推進する体制強化のため、観光関係団体との連携や安定的な財源の確保に向けた検討を進めていきます。
【観光入込客数(実人数)の推移】
出典:北海道経済部(2022年)「北海道観光入込客数調査報告書」