知事臨時記者会見
・日時/平成15年5月17日(土) 12:05~12:25
・場所/虻田町(災害遺構)
・記者数/8名(その他カメラマン等5名)
会見項目
記者からの質問
(記者)
今日、知事は、有珠山噴火災害の復興状況をいくつか視察したわけですが、まず、感想をお聞きします。
(知事)
実際、現地に来まして、地元の町長さん、それからボランティアの皆さんなど、いろいろな方々からご説明を受けて、やはり被害の大きさを実感しました。不幸中の幸いでしたが、これほどの被害が出ているのにも関わらず、犠牲者が1人も出なかった。これは北大の先生方のご協力があって、自然災害に対する予知がうまく機能し、その中で住民の方々がそれに対して信頼感を持って粛々と避難をされたことではないかなという思いをいたしました。
ここまでいろいろな形で復旧復興は進んでいますが、これからの問題として、地元はやはり観光地でございますので、観光客がある程度戻ってきたとはいえ、まだ完全には戻ってきていません。特に修学旅行の旅行客の戻りが半分ぐらいで、そこをどう対応していくかということです。
今日、皆さんもご同行されましたが、火山活動があった後を観光資源として、また、自然災害に対する我々のひとつの教訓として、学習の場として残すということを地元としてやっておられています。ある意味、観光客を呼び込むひとつの資源にもなるわけで、こういったことをご支援したいと思っています。また、観光客がこちらにいらっしゃるのを私もいろいろな形で、観光のトップセールスということも申し上げていたんですが、支援していきたいと考えています。
この地域の方々が、一生懸命がんばっておられるのを今回勉強させていただいて、とても意義があったと思っています。土曜日で皆さんには大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。
(記者)
復興作業とともに、今お話された観光地の振興作業、それに加えて住まわれている方々の、今後の噴火に向けた対策というのも必要になってくるんですが、そのあたりについては道としてどのような対策を行っていきたいと考えていますか。
(知事)
今、ここで災害復興のご説明を受けたわけですが、昭和50年代前半の噴火時の経験を踏まえて、人為的に川をつくって、そこで土石を流すような形にしたということが、今回の噴火の際、ひとつに大きな災害を防止することができました。前回の時も砂防工事を行って、それが今回の被害を少なくすることに意義があった。
今日、ここに来まして、一番最初に、新たに行った砂防工事の現場を視察しました。経験則上、20~30年後に噴火が予想されている訳で、次に向けての災害対策を進めています。
それから、学校であるとか、幼稚園や病院といった、必ずお子さんや病気の方がお使いにならなければならない公共の施設については、絶対に安全な地域に移すということも行ってきました。これは国の補助事業を使い、町と一緒になって実施してきました。
それから、住民の方々の住居移転ですが、これは絶対に危ないエリア(地域)であれば、ぜひ移ってくださいということを半ば強制的に申し上げることもできます。しかし、危ないかもしれないので移ってくださいという地域は、やはりこれは住民の方々の私権ということもあって、強制はできません。
ただ、やはり住民の方々のご理解を得ながらやっていく必要があります。どういうふうにやっていくかというのは、町長さんをはじめ皆さん、ご苦労しておられるというお話がありました。私もできる限りのことをしたいという思いを強くしたところです。
(記者)
観光振興という面では、順調に回復しつつある中で最近出てきた新型肺炎の問題で、ちょっと水を差されている形ですが、この点で道として新たな対策が必要だと感じていますか。
(知事)
昨日、台湾の医師が、関西方面を観光した後に、台湾に戻って隔離されたということをニュースで見ました。北海道もやはり観光地です。また、道民の方々の安全確保ということもあり、既に対策は発表させていただいているところです。
そして、昨日のような新たな情報が道と深い関係があるようなことがあれば、即座に知事を本部長として、本部委員会議を立ち上げて、きちっとした対応をしていくことを指示をしたところです。
(記者)
住宅については、今、できる限りのことをしたいとおっしゃっていましたが、、移転補償とか具体的なことについてお聞きします。
(知事)
住宅移転補償については、そこまでできるかどうかというのはありますが、移転をされるときに助成のような形ができるかどうか、それは検討したいと考えています。
(記者)
先ほどの昼食会で、3市町の首長さんから何か要望のようなものはありましたか。
(知事)
今お話ししたことに尽きるわけですが、ひとつやはり観光地として成り立っている地域ですので、観光客の方々にもっと戻って来てもらうようにいろいろな形で、トップセールスということを申し上げました。道はお金がないことはわかっているけれども、知恵を出して協力してほしいという話がありました。
それから、復興の過程で3市町が協力をしてやるというのは、総論においてはその考え方なんですが、案件によっては少しずつ地域の考え方、捉え方の違いがあり、特に住民の方々のサイドで出てきているということについて、道庁としてぜひ調整をしてほしいという話もありました。
それから、今話のあった住宅移転補償のことです。北海道に限らず、日本は火山地帯です。こういったこと(災害による住宅移転)というのはあり得るということで、国の制度を整備してほしいということ。相当(国にお願い)してきた経緯もあるわけですが、なかなか国も三宅島のこと、その他これから大規模な地域で、東海地域で地震があるようなこともあるとすると、そこまで手当をすると財政的に大変ではないかという話もあります。
国の制度としての整備は難しいという中で、道と市町村が手に手を取ってどういったことができるかというような話し合いもさせていただいたところです。
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