知事定例記者会見
・日時/平成16年4月9日(金) 15:00~15:20
・場所/記者会見室
・記者数/24名(その他テレビカメラ2台)
会見項目
知事からの話題
1 イラクの邦人拘束事件について
記者からの質問
1 イラクの邦人拘束事件について(1)
2 イラクの邦人拘束事件について(2)
3 道州制について
4 マラホフ・サハリン州知事の発言について
知事からの話題
イラクの邦人拘束事件について
昨日の夜、降って湧いた事件でありますが、イラクの邦人拘束事件につきまして、昨日の夜11時過ぎくらいでしたか、多くの記者の方にお集まりいただきまして3階のホール前でお話を申し上げたところでございますが、本当に憤りに燃える事件であります。3人のうち2人は道民の方で、特に高遠さん、今井さんとも、まさにイラクの人々のためになることをしに行こうとされ、あるいは行っておられた方々が拘束され、人質になっているという事実のようであります。事実確認中とは聞いておりますが事実なのでしょう。こういった行為は本当に卑劣きわまりないことであり、憤りを禁じ得ないものであります。
今朝、第1回の本部員会議をいたしました。そして、そのときにいろいろと情報交換をしたわけでありますけれども、私ども道の対策としては昨日連絡本部を設置した後、情報収集に努め、また今朝一番で山本副知事を外務省に派遣をして、外務省に対し道としての要請を強くさせていただいたところでございます。外務省からの情報入手につきましては、昨日のうちに道庁の職員が向こうに行っておりますので、その者に常駐をさせて、そこを通じて私どもにパイプ役として情報を入れてもらうという形も取っているところでございます。
何よりも3人の方々の安全確保と無事救出ということに全力を尽くして欲しいということを申し入れたところでございます。
また、3家族のうち2家族は一緒にこちらから行かれたわけですが、宮崎の方のご家族も含めて、道として、いろいろなお手伝いを北海道の東京事務所の方でやらせていただいております。報道等でも流れておりましたが、11時半くらいに、当初は外務省の阿部副大臣だけと私どもは聞いておりましたが、川口大臣も(ご家族の)要請を受けていただけることになり、1時間くらいお話をされたと聞いております。午後は、ご家族の方々は道内選出の国会議員、これはもちろん事柄の性格上、与党とか野党とか関係なく要請を求められておられるようでございます。
その他、ご家族のご要請に応える形で東京事務所を挙げてお手伝いをするように、私から指示をいたしているところでございます。
道庁挙げて今後ともできる限りのことをやって参りたいと考えております。
また併せて出張中の山本副知事から、北海道としての「イラクにおける邦人拘束事件に関する要望書」を急きょ道内選出の国会議員に要望を提出させていただいたところでございます。併せてご報告をいたします。
私からは以上です。
記者からの質問
(NHK)
いまの邦人人質事件についてお尋ねしますが、知事は昨日の会見の中で、イラクからの自衛隊の撤退については、まだ情報が煮詰まっていないのでコメントできないという趣旨のお話でしたが、今日に至って、ほぼ人質となっていることが確実だろうという状況になってきました。さらに知事は、昨年来、イラクへの自衛隊派遣を巡るいろんな発言の中で、安全にも安全を期してほしいと、また慎重に考えてほしいというお話でした。今回いわゆる武装グループが、このイラクへの自衛隊派遣を理由にこの事件を起こしたと主張しているわけですが、そういったところを踏まえて、イラクから自衛隊を撤退させるということについて、どういうふうにお考えなのか、国に言っていくことがあるのかどうか、お聞かせください。
(知事)
今回の事件というのは、先ほども申しましたように、あるいは昨日の会見でも申しましたように、不法な卑劣なやり方で、誘拐ですね、人質にとって、そして自衛隊のイラク撤退という解放条件を提示している。これは理不尽な要求であると思います。そうした中で、私としては、まだ私どもが承知している情報の範囲内では、犯人グループとコンタクトを取れているという情報は少なくても承知はしておりません。そういった中で、今ご質問のような自衛隊のイラク撤退という大きな問題について、判断する段階にはないのではないかと思います。犯人グループは3日以内と言ってますので、日本時間で言いますと日曜日の夜になりますが、そこの間に動きもあるでしょうし、情報も入ってくるでしょう。その中でまた私、違うことを申し上げることもあるかもしれませんが、少なくともいま現在、私どもが情報を収集している範囲内では、自衛隊のイラク撤退云々ということを議論する段階ではないと考えております。
そして今朝、山本副知事から外務省に強く要請しておりますが、とにかく国において、関係国、関係機関、あらゆるネットワークを使って、連携、協力をして、このお三方の即刻、できる限り早い、無事解放を実現して、安全確保してほしい。このことを強く思い、国に要請しているところです。
(北海道新聞)
小泉総理が自衛隊の撤退について「ない」と明言しているわけですが、そうした政府の判断について、知事自身はどのようにお考えですか。
(知事)
それもいまの答えに尽きると思います。
(朝日新聞)
今回の問題のそもそもの根っこには、自衛隊を派遣したということにあると思うんですが、改めて知事に、自衛隊の派遣そのものについてお考えをお聞きしたいんですが。
(知事)
去年、たくさんご質問を受けてお答えしましたが、まず日本という国のおかれている状況ですね。資源の多くをあの地域に依存している。またいろんな面で諸外国との連携、協力関係の維持ということを抜きにして成り立たない国の特性というものがあります。
そういった中で、国際的に貢献をする。特にいま混乱が起こっている地域の人道復興支援に協力をするという意義はきわめて大きいと。そのように日本国の状況を踏まえ、考えているところです。
しかしながら、今回のイラク派遣というのは、特別の法律に基づいて非戦闘地域に派遣をするという、これは国会の審議を経てそういったことになったわけですので、その条件を満たしている中での派遣であるというのは当然であります。そういう意味で最初のご質問にあったとおりなんですが、派遣される自衛隊員の安全確保は、ご存じのとおり第1陣は北部方面隊から多く出ておられますので、イラクに派遣される多くの方も北海道の方、また残されるご家族も道民の方々という特別の事情の中で、私は残されるご家族のお気持ちをおもんばかって、とにかく派遣される自衛隊員の方々の安全確保を慎重にも慎重に、国において判断をされたいということを去年から申しておりまして、これはいま段階も変わってはおりません。
(NHK)
今後状況が変われば言い方も変わるかもしれないというようなことを知事はおっしゃっておりましたが、それは人質になっている方々の生命に重大な危機が及ぶような何か状況が起きたときには、国に撤退を要求するというようなオプションもあり得るということでしょうか。
(知事)
それはその段階で考えたいと思います。いまでも危機は及んでいると考えておりますが、それが確実に解放されるとか、しかしいまはコンタクトも取れていない、少なくとも私ども道の認識はそうですので、そういった中で議論すべきではないだろうと思います。
明日、こうした会見をする場があるかどうか分かりませんが、またその次の日になるかも分かりませんが、そのときの状況下でのコメントになってくると思います。
それからもう一つ、テロというものに対して、私どもなじみは無いわけですが、テロに屈するということがどういうことを意味するのか、良い方に向かうのか、あるいは第2、第3、第4の事件を誘発することになるのか、これは内外におられる専門家の意見を十分に聞いていく必要があると思います。
(北海道新聞)
2点いいでしょうか、1つは道州制、この間、宮脇委員会での道案がまとりまりして、近く経済財政諮問会議が開かれて知事がそれを持ってご説明に行かれると思いますが、その場で知事はどのような自分の思いといいますか、そういう発言をされるお考えなのかというのがまず1点。
テーマは変わりますが、サハリンのマラホフ知事がビザなし交流、人道支援について相当な不満があるということを現地の記者会見で話していますが、これをどう受け止めておられるのか。それから向こうの知事とお会いになる予定が、ご病気で延びておりましたが、これについて見通しがあるのかお聞きしたいと思います。
(知事)
道州制の関係ですが、4月5日に宮脇委員会からのご提言を頂戴いたしました。4月6日に中川経済産業大臣にお会いをして、私が回復した報告と、道州制についてフリーにディスカッションをするつもりで行きました。話の流れの中で、昨日こういった形で道州制推進会議でこういうご意見を頂戴したということで、報告書をお渡ししました。また、函館での大臣のご発言もあったようでありますがと申し上げ、国の機関との一元化ということについては、この道州制たる由縁の1つの中味でありますので、私どもから提案をしていきたいということも申しました。
(記者の)皆様方へは中川大臣とはそういう経緯があったというご報告させていただきます。今後、(宮脇委員会から)いただいた提言を踏まえて、来週中にも道州制推進本部を全庁体制あげて作ってまいります。そして、いただいた提言の中で、道として国に対して提案するものを作らせていただいて、まだ日程等々決まっておりませんが、是非、経済財政諮問会議の場で機会を与えていただき、その場で私は提言をしていきたいと考えています。その際には、いま申しました国の機関との一元化の問題も当然ですが、また北海道の道州制の先行実施ということ、北海道道州制特区といっていますが、この特区というのは私が以前、特区という言葉を避けたという意味の構造改革特区とは別の「ザ・特区」というんでしょうかね、北海道にしかない特区という意味でして、北海道を道州制の先行実施の特別の地域にしようという意味における北海道道州制先行特区を提言していきたいと思っています。そういった中で、宮脇委員会の報告書でもいただきました、政令・省令で書いてあることを条例で上乗せというのか横出しというのか、この北海道という特区に限って北海道の特性を踏まえて活性化を進めていく上で重要な点についてはそういったことを認めてほしいというような点を含めて、提言をしてまいりたい。いま中味を鋭意、企画振興部の方でまとめているところです。
2つ目のマラホフ発言ですが、これも私、いまご指摘のとおり直接まだ新知事とお会いできておりませんので、報道を通じてしかご発言を聞いていません。中には誤解の部分もあると思います。日本としての北方四島に対する人道支援というのは、先方のご要望を踏まえてやっているという認識を持っていますので、そこを誤解をしておられる部分は解く必要はあると思います。そこを理解の上で、あまり誤解もなくおっしゃっておられるとすれば、その内容を是非確認させていただく必要があると思います。その具体的な確認の仕方については、今後、詰めていかなければならないと考えています。
(北海道新聞)
お会いになるのはまだ予定は立てていないのでしょうか。
(知事)
まだ、予定を立てておりませんが、(私の)気持ちとしては今年の暖かいうちに、冬になるとまた大変ですよね。今年の1月に私が予定をしていたちょっと前に、道内の方が向こうへ行かれて何日か足止めになったという話を聞いていますので、今年の暖かいうちに上空の安定している間に行きたいという思いを持っていますが、具体的な日程はまだ決めていません。
(北海道新聞)
繰り返しで恐縮ですが、イラクの拘束の関連で、知事は先ほど、まだ知事としては判断する段階にはないということでしたが、そうした中で、政府の方はいま現在の段階で撤退はないと、そういう理由はないと明言されているわけです。それに対して、知事はどう評価するのか。また、まだそういう段階ではないということですが、知事としては撤退について是か非か判断する時期は来るのでしょうか。実際、判断することになるのでしょうか。
(知事)
私がですか。難しい質問ですね。政府の今の考え方をどう評価するか。政府においては官房長官も言っておられましたが、まさにイラクの理不尽な人たちのグループの主張とは別に、イラクの人道復興支援という、イラクの方々のためになることをやりにいっている自衛隊を撤退する理由はないとおっしゃるのは、私はそれはそれで理解はできるところです。ただ、今回の事件の事柄の性格というのはありますので、その事との関係においてどうかということについては、また別の考え方もないわけではないと思います。いまの段階で理由はないとおっしゃっているわけで、それは確かにイラク人のためになることをやりに行っているわけですから、いま段階での判断としてはそういうことだと思います。
(北海道新聞)
そういうことを判断する段階ではないということですが、3日以内に殺害するという中で知事として政府に何らかの撤退なりを求めるのか求めないのか。その是か非かということを判断する時期は来るのでしょうか。
(知事)
いまの段階では、どこかのタイミングでその判断をするとは思いますが、今後のことです。
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