知事定例記者会見
・日時/平成17年12月9日(金) 15:47~16:27
・場所/ 議会記者室
・記者数/24名(その他テレビカメラ等2台)
会見項目
知事からの話題
1 第4回定例会の閉会について
2 循環税について
3 平成18年度の政策展開について
4 児童生徒等の安全確保に向けた取組について
5 「韓国・釜山広域市への訪問」について
記者からの質問
1 来年度の開発予算について
2 建築確認申請における耐震強度の偽装問題について
3 航空賃の取扱いについて
4 竹中大臣の私的懇談会について
5 国の地方支分局との統合について
6 当別ダムについて
知事からの話題
第4回定例会の閉会について
私からは、5点ばかりお話をさせていただきます。
今日、4定議会が終了いたしました。様々なテーマで質疑が行われたわけですが、待ったなしの行財政改革、それから18年度の政策展開、地方分権改革、各論の事項としては、当別ダムの問題、それから耐震強度偽装問題、倶知安警察署の不祥事の問題などなど、様々な点について議論が展開されたわけであります。
循環税について
加えまして、この定例会では、懸案となっていました「北海道循環資源利用促進税」の条例を可決いただいたところです。この条例を、こうやって成立させていただいたことは、とても大きな意義があると思っております。と申しますのは、今年知床が世界自然遺産に登録され、北海道がすばらしい環境に恵まれているということが、クローズアップされた年でもございます。そういった中で、こうした自然環境を次の世代に引き継いでいくためにも、北海道が循環型社会構築に向けての努力を、さらにやっていく必要がある。そのためにも、税の導入をはじめとした政策の実現が重要であるという認識で、私どもは条例を提案させていただいたところですが、可決していただいたということは、議会においても大きな後押しをいただいたと思っているところです。税の導入実施は来年の10月からということを予定しておりますが、前からお約束申し上げておりますとおり、税の導入に先だって、来年度当初から支援施策を前倒し的にやろうと思っているところでございまして、今その最終的な調整をしているところです。
平成18年度の政策展開について
次にこの環境対策の問題も含めて、18年度の政策展開につきまして、お手元に資料が配られているかと思います。もう既にお配り申し上げたものも含めてありますが、資料3をご覧いただきますと、いわゆる加速連携事業、これはご案内のとおり、本当に限られた財源ではありますが、集中的に投入する仕組みということで、加速連携、各部が連携をしてやるという意味ですが、そういった仕組みを来年度に向けて投入したわけです。既存施策の徹底した見直しを行いながら、事前評価を通じて、資料3にあります、55事業の約14.5億円を含め、102事業、約65億円につきまして、今後の予算編成を通じて、事業化を図っていくこととしたいと考えているところです。詳細のご説明は、恒例により、来年の1定前に来年度予算のご説明のときに、具体的に申し上げたいと思います。今段階では、私からはこれくらいにさせていただきたいと思います。いずれにしましても、来年度は、私の残された任期の最後の年度ですので、限られた財源の中で心を込めて政策を展開してまいりたいと考えております。
児童生徒等の安全確保に向けた取組について
4点目ですが、児童生徒等の安全確保に向けた取り組みについてということです。先月の下旬ぐらいから今月にかけまして、道外ではございますが、小学校低学年の子どもを狙った、極めて残念な事件が起こっていることはご承知のとおりです。こういった事件を受けまして、昨日8日、道教委と道警などが連携を図りながら、児童生徒の安全確保に向けた、より効果的な対策を協議するため、学校、市町村、PTAなど関係機関団体の方々に集まっていただいて、緊急の会議を開催したところです。私自身は出席出来なかったわけですが、私からのメッセージをその場で発表させていただいたところです。この協議会では、まず目の前で子どもたちの安全を守らなければならないということで、通学路の安全点検の徹底と危険箇所の周知徹底、また二つ目として、児童生徒等の危険予測、回避能力などの安全対応能力の向上、三つ目として保護者や地域の関係団体等との不審者等に関する情報の共有というようなことに取り組んでいくことが確認されたわけであります。こういった道教委と道警が中心とした取り組みを、今、北海道の小さい子どもたちを守るという観点から、早急に、さらに充実してやっていく必要があると思います。このことは、先に制定をさせていただきました「北海道犯罪のない安全で安心な地域づくり条例」に基づく形で、まさに道民運動として展開をしていかなければならない問題であろうと思っております。具体的にどのようにするかにつきましては、条例に基づいて設置いたしました「安全安心地域づくり推進会議」の中に、例えばこういった子どもの安全を確保するための専門部会というようなものを設置して、そこで機能的な議論をしていただき、それをベースに道民運動として、地域ごとに、これは全道で一括というのはあり得ませんが、まさに地域地域それも町内会とかボランティアグループとか、ちょうど子育て支援で、すきやき隊というのを提唱してやっておりますが、あのような形で、子どもたちの安全、地域の安全安心を守るための、道民的な取り組みに結びつけていくべきではないかというのが、私の思いでありまして、環境生活部長にそのように指示をいたしたところです。
「韓国・釜山広域市への訪問」について
それから五つ目ですが、来週、13日から15日まで、韓国の釜山広域市を訪問し、許 南植(フ・ナムスク)市長とお会いをし、「交流趣意書」に調印をすることといたしております。道議会、さらには経済界、日韓友好団体の方々とともに訪問団を結成して、訪問させていただくことを予定しております。経済界の方々からは、特に、いろいろご協力をいただいておりますので、官民一体で北海道の魅力を発信してまいりたいと思います。YOSAKOIの平岸天神からも、一緒に行ってもらうことにいたしております。
私からは以上です。
記者からの質問
(NHK)
先程、知事の方から道の予算編成の考えを示されましたが、国の予算編成の時期ということもありまして、北海道向けの開発予算について何点か質問させていただきたいと思います。
まず1点目として、道として、来年度の開発予算に何を求めるか。要は、こういう分野に重点的にというようなものがあれば具体的にお答えいただきたいと思います。
(知事)
何を求めるか。
(NHK)
要は、どのような分野に重点的に配分するのか。
(知事)
それは要望で出しているとおりです。
(NHK)
それを改めてお伺いしたいと思います。
それから2点目としまして、開発予算自体、削減される方向だと思うんですが、大部分が公共事業が占めるわけで、その公共事業が恐らく減ってくるだろうと思われるんですが、公共事業が減ることについてどのようにお考えになるか。
3点目、確か道の要望に、道州制に関する予算というものも求めていたと思うんですが、その道州制を進めることというのが、北海道にとってどのような意味があるのか、改めてお伺いしたいと思います。
(知事)
開発予算はもうそろそろ内示の段階になりますので、最終的なセットの段階に入りつつあると思います。開発予算の分野だけの資料は後から差し上げますが、まずは、高規格幹線道路です。これは当然要望しております。それから、新千歳空港の国際線ターミナルの整備、イオルの再生も提案しております。そのようなところが重点だと思いますが、さらに分野ごと、河川などは担当の方にお聞きいただければと思います。
ただ、開発予算という枠にとどまらない北海道向けの様々な公共事業というのは、特に、新幹線の予算の計上を一つのきっかけとして、これからよりクローズアップされていくと私どもは思っております。新幹線予算は、開発予算の外で、今年度から計上が始まりました。さらには、高速道路整備は、民営化された会社がこれから事業実施することになりますが、これも開発予算の外です。さらに言えば、来年度に向けては、地方道路整備臨時交付金、これはいわゆる道路特定財源をバックとした、地方向けの交付金ですが、これも開発予算の外です。これについて大幅な増額要求をしている。こういったことがトータルとなって、来年度の予算にどのような形で反映されてくるかということは、20日が内示でしたか、もうしばらくで明らかになってくるのではないかと思っております。分野ごとの詳細は後から資料をお渡しいたします。
二つ目ですが、公共事業が減ることについてどう考えるか。そもそも私ども道からの開発予算への要望につきましては、補助分については、10%以上の減額要望をしています。これは、昨年、今年に向けての要望の時もそうですし、今回、来年度に向けてもそのような要望をさせていただいております。その意味では、公共事業予算そのものが減っていくというのは、これは国、道、市町村とも財政が厳しい中でやむを得ない状況ではないかと思っているところです。私どもといたしましては、国とも連携をしながら、こういった限られた財源の中で、北海道の中で必要とされる社会資本整備について万難を排してまいりたいと考えているところです。
三つ目、道州制の意義。税財源移譲ということで三位一体改革について、様々な議論が国と地方6団体との間で今展開されて、一応の決着ということになっておりますが、私どもから見ると相当不満な部分があるわけです。三位一体改革が、国から地方への分権、あるいは我々は地域主権の推進と言っておりますが、そういったことの税財源面、お金の面での展開だとすれば、道州制というのは、それを権限面で実現する問題ではないかと考えています。現在、地制調はじめとして、いろんなところで、この道州制についての議論がされているところです。北海道は県合併を経ずとも、都道府県のままで一道一ブロックです。そういったこともあって、この道州制、国からの権限移譲をモデル的に進める上では、最適の地域ではないかという背景もあり、国の方でも北海道を念頭においた形で、「骨太方針」(閣議決定)の中で、道州制特区という制度導入が明記されたところです。それに対して、今申しましたような、客観的な条件を満たしてる北海道から、積極的に道州制特区の提案をさせていただいているという経緯です。
ただ、その後の経緯は、ご案内のとおり、国は我々の提案に対して、なかなか厳しいことを言っておられますので、なかなか物事は進んでおりませんが、我々としては、めげずにやっていきたいと考えています。
(HTB)
耐震強度の偽装問題で、先日、道の方では、これまでに調査しもたのを再調査させるということで、項目を増やして行うということでしたが、全国で、正式調査したものが、再度、細部を見ると、構造計算上、やはり偽装があると、偽装が発覚しているという状況が多々見られるようなんですが、最終的には、計算書の再検査が必要なのだ、安全・安心の確保のために必要なのではないかという議論もありますが、道の対応として、今後、計算書を再検査と、細かくもう一度再精査するという方針はございますか。
(知事)
7日に発表させていただいた、建築確認に関する緊急対策チームは国からの基本的な指示に基づいて、道としてのさらなる調査をやるためのチームとして作ったものです。建設部の職員30人規模を考えておりまして、一級建築士の資格を有する職員ばかりで構成しようと思っており、業務点検班と業務対策班に分けてチーム編成をしているところです。業務点検班におきましては、今のご質問にも関連してくるわけですが、審査方法・体制についてのより詳細な点検をもう一度やろうということを考えております。さらに言えば、構造計算のところについてのお話がありましたが、そこまで詳細にやるのには、お金と時間が相当かかるわけです。それにより近いような形での詳細調査を出来る限りやるために、私どもといたしましては、国からの指示は、民間の検査機関では、1社当たり50件の抽出が一つのモデルと言われています。道がやらなければならない民間の分というのは、だいたい全体で1,000件くらいあるようですが、一部抽出だけではなくて、出来る限り多くの案件について、かつ、中身についても出来る限り詳細に書面などもきちんと見て点検をしていきたいと考えているところです。その上で、さらに他県で、姉歯案件などを中心にして、一度チェックしたのに、また、偽装だったという発表が出ているというのは、私も承知しておりますので、今のような私どもの専門家職員チームがやった検査で、それでも不十分ということになった場合には、次のこともあり得るわけですが、私どもとしては、まずは、国の指示以上の多くを対象に個々の設計図ごとに、出来る限りの詳細なチェックをやっていきたいと考えているところです。これが、業務点検班の仕事です。一方で、業務対策班は住民の方々のご相談への対応の充実ということを考えているところです。ここは、やはり業界の方々、建設事業者の方々自身も、自分たちの信用問題だということで、自主的な対応を道内でもされるという動きも出てきているようですので、そういったところと連携をとりながら、出来る限り道民の方々のご不安が少しでも解消されるように、住民相談対応の充実を図ってまいりたいと考えています。
(HTB)
関連で、業務点検班は再検査まではしないけども、中身をチェックする、ちゃんと整合しているかどうかということを見るということですか。
(知事)
はい。それを相当詳細に見ると、建設部長から私も事前に説明を受けたのですが、私のような素人ではなく、プロが見ますのである程度のことは分かってくるということです。それでも、そういう形で書類を見て、ちょっと不整合の疑義ありというものについてどうするかということは、次の問題になってくるのではないかと思います。1件1件、こんなに分厚いんですよ(指で厚さを表現)。私も、1件拝見しましたが、素人なので上手く言えませんが、プロの職員が詳細に見ることによって、ある程度のことは分かってくるのではないかと考えます。
(札幌タイムス)
道職員の航空運賃の過払いについてお伺いしたいと思います。国では、会計検査院の指摘で実際の航空運賃の使った額よりも高い料金が請求して支払われていたということが分かりまして、10月から11月にかけては北海道財務局などでは減給などの処分が出されまして、5年間にわたる返還を求めたわけですが、北海道でも、私どもが情報開示請求をして調べたところ、料金が、職員の搭乗券の半券を調べましたところ、記号によって、実際には安い6枚回数券を使用していたり、エア・ドゥの道民割引を使っていたにもかかわらず片道の通常運賃を使用していた例など、それから宿泊付きのいわゆるパック旅行を使っていた例も出ています。それについては、報道させていただきましたが、道人事委員会が差額の返還については、任命権者の考え方次第だとおっしゃっているものですから、知事として、これについて、どのように考えられるか。また、差額返還を求められるとすれば、知事部局だけなのか、道議会、道教委、人事委員会、監査委員会、道の機関などもあるわけですが、それについてもお求めになる考え方があるのか。
(知事)
国の方は、実費払いで旅費の支給がされているそうです。私どもは定額主義といいまして、それぞれの区間の旅費の航空運賃について各航空会社で定めている普通運賃の最も低廉な額を定額として、それを支払うというやり方でやっているところです。その意味では、現行制度の中で、今おっしゃられたように、さらに低廉なものを購入した場合に、不正受給となるものにはならない、これが一つのポイントだと思います。次は、そういう中で、北海道は財政が厳しいのだから、さらなる経費切り詰めのために、より出張旅費の少なくなるような制度を構築すべきではないかという議論になるわけです。そのことにつきましては、私どもももちろん前向きに考えなければならないと思っています。ただ一方で、現行のシステムを前提に、来年度からBPRという業務の一括処理、以前からBPRのご説明をしていますが、外注をいたします。そうすると、今までは、チケットの購入は出張する職員それぞれがやっていたものが、これからはBPRを外注する相手方のエージェントからのチケットそのものの支給ということにもなってくるわけです。そういったシステムの中の事務の効率性という観点から、実費主義という形でシステムを仕組むことと、今の定額主義で発行していくか、どちらがより効率性、すなわち道の財政的な負担という意味で、少なくなるかということについては、今後、精査をしていかなければならない。いずれにしろ、前向きにこのことを、せっかく問題提起いただいたわけですので、我々の財政上の負担が最も少ない方法がどういうことになるかについて、総務部で検討しております。
(札幌タイムス)
チケットの支給までされるんですか。
(総務部長)
技術的な問題もありますので、18年度から総合事務センターという形で、一元管理しようと思っているのですが、18年度にきっちり出来るか出来ないか、そこは今精査しています。どちらにしても、そういう一元管理の中で旅費、チケットの扱いについても、知事がおっしゃったように、問題提起を受けて、前向きというかきちんとしたいと思います。
(読売新聞)
今日、竹中大臣が閣僚の記者会見の中で、地方分権に関する私的懇談会を設置したいという発言がありました。何を検討するかというと、交付税の配分見直しや地方がより自由度を発揮できるような仕組みをいろいろ考えると。その中の一つで、財政が破綻する自治体が出ることを念頭に、破産法を制定してみたいというような踏み込んだ発言があったのですが、北海道、そして道内の市町村もかなり財政的にも厳しいところも多くあると思いますが、その中身がどうなるかにもよりますが、そういった動きが出ていることについて、知事のご感想をお聞きしたいのですが。
(知事)
竹中大臣のご発言そのものは、私は詳細には承知しておりませんが、今日の夕刊、どこかの社に懇談会のことが出ていた記憶があります。破産法の制定という方針について、コメントというか、今思ったことを申し上げるとすれば、確かに、地方分権、地域主権の推進というのは、地域のことは地域で決めるということでありますので、自己決定、自己責任、そういったことで我々自身で行革を進めておりますが、方向性においては、そういうことだろうと思います。
しかしながら、そういった中で、破産法の制定、それは確かに制度的にないのであれば、それを整備するというのは一つの考え方かもしれませんが、では、その法制度があるから安心して破産できるかと言えば、まさに私どもとしては赤字再建団体に転落してはいけない、それは地方自治の破壊である、崩壊であると。だから、それを回避するために一生懸命に財政再建をやっているわけでありまして、たとえ総務大臣のご指示で、そういう法制度の整備がされたとしても、私ども道は、それを活用することなく、自主的に再建する道を決意を固くして、進んで行かなければならないと思います。
(読売新聞)
市町村についてですが、道よりももっと切羽詰まっているところもあると思いますが、いかがでしょうか。
(知事)
市町村の財政も本当に厳しいところもたくさんありますが、ただ、それぞれの市町村も、そういうことにはなってはいけないという思いでやっておられるに違いないと思いますので、そこは私が今道財政について申し上げたのと同じような思いを各市町村も持っているのではないかと推察いたします。
(朝日新聞)
国の地方支分局との将来的な統合の件について、お尋ねしたいと思います。道としては道州制特区等の推進の中で、将来的には国の地方支分局との統廃合等について視野に入れていると思いますが、ここにきて国の行革が進められていまして、中馬大臣などは名指しで開発局の人減らしなど、道の思惑と国の思惑はずれていて、国の思惑の方がずっと早いのではないかと思います。先日、自民党の北海道の代議士会でも、副知事が出られて発言していましたが、知事として国に対して、将来的な地方支分局の進め方について、例えば、中馬さんにお会いになるとか、そういった形で、道として意見を表明する予定などはないでしょうか。
(知事)
ここまでは議会もありましたので、代議士会も副知事に出てもらっているところですが、これから予算の内示の時期に合わせて、私も東京に参ろうと思っておりますので、その際に時間があれば、そういった機会も設けることも検討しようかと思っております。
基本的な考え方だけ申し上げますと、これは代議士会で副知事が言ったことと同じだと思いますが、私どもが進めようとしている道州制というのは、あくまでも地方分権、地域主権推進のために進めようとしているものであります。それに対しまして、今まで報道等を通じて、あるいは経済財政諮問会議の資料も拝見いたしましたが、そういったものを通じて、国が、あるいは中馬大臣がやろうとされていることは、どうも国の行革、国家公務員の改革というか、スリム化、合理化をどんどんやりたいと。その際の重点分野の一つとして北海道開発を挙げられておられるというのが、私の今のところの見方でございます。
ご指摘されたとおり、道として地方分権を進めたいという意図からの道州制の提案と、国の国家公務員のスリム化をしたいのだけれども、なかなか抵抗も多いし、それでは北海道開発をやってしまえという思惑では相当に乖離があるというのは、報道のとおりの国の意図であるとすれば、そのとおりだと思う次第です。
私どもは、権限移譲なり、そういったことを一歩一歩進めて、10年後の機能等の統合、開発局を含めて道と同じような仕事をやっておられる出先との統合という提案をさせていただいているところですが、その前提としては、国自身のスリム化を徹底的にやるというのは、確かに言っております。ただ、そのことは、そのスリム化の部分を道に押しつけられても困るわけでして、まずは国自身がいろいろな事業、国というのは開発局も含めてですが、いろいろな事業をやっておられる中で、民間でできることは民間にやらせたらよいと思いますし、また、独立行政法人化をする分野があるとすれば、それも徹底的にすればよいでしょうし、そういった国独自としてのスリム化をされた上で、私どもとの統合等というご相談になってくるのかというのが、第一の要件というか私の思いです。
その上で第二の要件としては、今、国が行っておられるそれらの業務、あるいは仕事についての財源は、私どもにそのままいただかなければ、道もこれだけ厳しいこともやっておりますので、とっても立ち行かないというのがあります。財源確保、財源とセットだというのが第二の要件。三番目は、そうはいっても、財源は十分だとしても、道でも同じような仕事をやらせていただいておりますので、国で「これだけどうぞ道で引き受けてください」と言われても、それをそのまますんなりと受け入れるわけにはいきません。以上3点はあります。そんなことをまず申し上げたいと思います。
それから、国の意図がまだ分からない部分がありますが、私が知事をやっております北海道というのは、何と言っても広いんです。全国の22県分が入るだけの広大な面積に、この前の国勢調査で562万の人たちが住んでいる地域でございます。そういった中で、広いが故に、インフラ整備につきましても、道路の問題はいつも言っておりますが、まだまだ他県並みにインフラ整備がされているわけではないという現状がございます。その意味では、北海道開発という言葉が適当なのか、もう少しソフトに言えば、北海道における社会的インフラ整備の進め方における国の役割といいましょうか、これは、やはり当面維持していただく必要はあるだろうということは、北海道の知事として、しっかりと物申していかなければならないと思います。その上で、先程のようなことではないかと思います。
(北海道新聞)
当別ダムの問題を改めてどう考えるかお聞かせください。
一番重視する判断基準は何でしょうか。
(知事)
どういう結論を出すかは来週までお待ちください。
来週早々にも副知事ヘッドの庁内検討チームの検討結果が出ると聞いておりますので、その上で私の判断だと思っております。それから、判断基準は、今まで出ている様々なことではないかと思っております。この当別ダムというのは、多目的ダムで、ダム自身の実施主体は道ですが、それに伴うかんがい事業、あるいは利水事業は、国なり地域の、道も含む企業団がやるというように実施主体も複数にわたっているという特徴を有しているものでございますので、それぞれのダムの目的の部分についての、特に道の場合には治水部分についての目的を持ってのダムということにしておりますので、その部分についての検証がいりますね。本当に治水があの地域で必要なのかどうなのか。それから、治水が必要だとして、その治水を達成するための様々な手段の中で、どの手段、ダムを含めていろいろな手段の中で、どれが一番経済効率的なのかという点も含めてベストなのかという点も重要だと思います。それから、評価委員会の意見書の中でもご提言のございます、他の利水なりかんがいの部分などを含めて、それぞれは妥当だという結論はそれぞれの主体が出しているわけですが、本当にそれら3者間の統一的かつ一体的な評価というものが必要なのかどうかというような点、いろいろなそれぞれの項目について見た上で、最終的な判断ということになるのではないかと考えております。
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