知事定例記者会見(平成18年6月16日)

知事定例記者会見

・日時/平成18年6月16日(金) 14:00~14:33
・場所/本庁舎2階 記者会見室
・記者数/35名(その他テレビカメラ等5台)

会見項目

  

知事からの話題

1 北方領土返還促進に関する政府要請について
2 総合的な公共事業評価システムについて

記者からの質問

 1 夕張市の財政問題について(1)(2)(3)
 2 分娩動向調査について
 3 夕張市の財政問題について(4) 
 4 医療制度改革について
 5 夕張市の財政問題について(5)
 6 道州制特区法案について

知事からの話題

 

北方領土返還促進に関する政府要請について

 私からは2点お話しさせていただきます。
 まず最初の1点でありますが、北方領土返還促進に関する政府要請を実施するという件であります。
 来週の月曜日、議会開会日の直前の日でございますが、上京いたしまして、安倍内閣官房長官に対し、北方領土返還促進に関する要請行動を行う予定にいたしております。
 来月の15日から開催されます、ロシアのサンクトペテルブルク・サミットに併せまして、日露首脳会談が行われる予定でございますので、改めて北方領土をエリアとして持つ北海道知事として、北海道議会議長、返還要求運動関係団体の皆様方とともに、北方領土問題の解決を目指して、強力な外交交渉を行っていただきたいという政府要請を行うものであります。
 なお、皆様方もご関心があり、私もとても心配しております貝殻島のコンブ漁業に関する民間交渉についてですが、交渉にすら入っていないという異常な事態が、今この時点でも続いていると認識しております。来週、私が官房長官にお会いするタイミングでも、この状況が続いている場合には、当然この問題についても、民間交渉の早期開始に向け、国として強く外交ルートを通じて申し入れをするよう、国に要請したいと考えているところであります。

総合的な公共事業評価システムについて

 それから2点目でありますが、お手元に配付資料があるかと思いますが、総合的な公共事業評価システムについてであります。
 このことは、昨年の12月に当別ダム建設についての様々な議論の中で、公共事業再評価を行った際に、多目的ダム、それも事業主体がまたがっているような場合に、それぞれが評価を行っているということに伴う問題点について、様々な議論があり、公共事業評価専門委員会からも種々ご指摘をいただいてきたことは皆様方もご承知のとおりであります。
 このご指摘を受けて、私といたしましても、知事評価という最終決断をする際に、多目的ダム等、複数の事業主体によって行われる公共事業について、一体的・総合的に評価するシステムを速やかに研究するという意見を付したところであります。
 これを受けまして、昨年の暮れに庁内ワーキンググループを立ち上げ、また専門委員会からのご意見等をいただきながら、研究を進め、この度そのレポートとしてまとめたのが配付の1枚紙と本体であります。
 1枚紙でご説明いたしますと、改善方策というところ、真ん中ぐらいにございますとおり、一つは国における制度改善等として、総合性確保評価、それから第三者委員会等からの意見の聴取方法の弾力化、そして国や地方公共団体を構成員とする合同評価機関の設置というのが第一の考え方であります。
 第二には第三者委員会を共同で設置し、各事業主体が時期を合わせて諮問し、一つの答申を得る方法。事業目的別には各評価委員会が審議し、一定段階で合同で開催をするという考え方。
 そして三つ目は、事業主体ごとのそれぞれの第三者委員会に対し、各事業の担当部局が所管事業を相互に説明する方法。三番目が一番ソフトな方法かと思いますが、以上三つぐらいの考え方を国に対して提示をしていくことをこれからやっていこうと考えております。既に事務的には、総務省、開発局にも経過のご説明は終えているところであります。これは複数の事業主体にまたがるケースということでありますので、必ずしも国が事業主体に絡まってくる場合だけでもございません。今年度中には、私ども道と剣淵町が事業主体となる西岡ダム建設事業が公共事業再評価の対象となってまいりますので、この再評価の際に剣淵町と十分議論をし、うまく道と町との気持ちが合えば、今、ここで提言としてまとめた方向にあるように具体的な連携になる公共事業評価ということを、まず実績としてあげていければと考えております。そこでうまくいって、総合的、一体的評価という実績を道内で作ることが出来れば、そういった事例も踏まえて、さらに国に対してアピールをしていきたい、このような段取りを考えているところであります。

 

記者からの質問

(北海道新聞)
 夕張市の財政問題について伺います。500億円規模の巨額の実質的な負債があるということが報道されましてですね、道としても法的な再建も含めて、抜本的な再建をするようにと助言したということですけども、現在知事としては、夕張市の財政の状況をどのように把握なさっていますでしょうか。その上で、今後どのように対応していくお考えでしょうか。

(知事)
 現状認識と今後の対応ですね。
 夕張市というのは、産炭地域という事情がございまして、人口がピーク時の10分の1になるという著しい街の環境の変化、あるいは炭鉱閉山後の観光へのシフトという市がやってこられた各種施策が期待どおりの成果を上げずに、借金が膨らんできたという状況など、様々な背景の中で財政が危機的な状況になり、徹底した行財政改革による再建、そして、道の行財政改革の時にいつも言っておりました、持続可能な将来に向けて夢のある財政構造の確立が急がれている状況にあると認識しております。
  私ども道も、これは夕張市に限らないのですが、全道の自治体に対して、支庁を通じて、年2回、春と秋にヒアリングをやっておりますし、加えて必要であれば随時ヒアリングということを含めて夕張市に対しても、従前から、財政健全化に向けて必要な助言というものを行ってきたところでございます。
 そういった中で、夕張市は平成14年から財政健全化に向けての取り組みをスタートしておられたところでございまして、自主健全化計画の実行と、さらなる改善策を講ずるなどの助言を行ってきたところでございます。
 昨日も助役に来ていただいて担当局長の方で、さらなるヒアリングをさせていただきました。その際、夕張市における抜本的な財政再建についてお話をさせていただいたところでございます。
 今後についてでありますが、監査あるいは市議会での議論など、様々な市としての財政をチェックするシステムもございますし、そういった関係の皆様方の考えもおありになると思いますから、私ども道としては、夕張市を含む広域自治体の立場から、さらに詳細な財政についての、これまでの経緯も含めてお伺いをした上で、必要な助言、国との相談、そういったことをこれから考えていかなければならないと考えております。
 昨日、局長からお話を伺いました時の結果について報告を受けましたが、まだまだ、現状認識として、知らなければならない部分が多々ございますので、そういったことを詳細にお伺いをしてから、次のステップのための助言、あるいはアクション、支援も含めてと、なるのかなと思います。

(北海道新聞)
 道としてはですね、夕張市の地方債の起債を許可してきた、そういう立場にもあると思います。そういう意味でですね、こうした放漫な財政を認めてきたというか、そういったことについて、道として責任はあるのでしょうか。どのようにお考えでしょうか。
 また、今後、あくまでも夕張市が自主再建で行くのだということになった場合に、今後、夕張市の起債を許可するのでしょうか。

(知事)
 起債の許可についてのご質問でございますが、私どもは、法令あるいは国が定める地方債の許可方針に基づきまして、道が許可をする仕組みになっているのはご承知のとおりでございます。
  夕張市がこれまで行ってきた財政運営については、監査あるいは議会の認定など、所要の手続きを全部経てきて、私どもに対しての申請がありました。さらにいえば地方債の許可についての制限、数字がございまして、そういったものも、制限に該当することも無かったことから、これまで起債を許可してきたという事実はございます。
 結果として、そういったことが、これからさらに詳細をみていかなければなりませんが、我々として、良かったかどうかはこれからの判断があろうかと思います。
 それから、今後についてでありますが、あまり現段階で軽々なことを個別の議論について申し上げることは差し控えますが、手続きとして申し上げれば、起債許可の流れというのは、起債計画書の提出をいただき、国と調整をした後に要件が整えば許可をするという流れになっております。

(毎日新聞
 今の夕張の点に関連してなんですけれども、今回の財政圧迫の原因に一時借入金の膨張というのが、一番大きな原因として挙げられているんですけれども、道庁としてですね、これまで膨張してきたということを毎年度毎年度、逐次把握していらっしゃったのか、ということが一点と、先程知事が年2回ヒアリングを行ってきたということをお話しされていましたけれども、必要かつ十分な助言をしてこれたかという認識を持っていらっしゃるか、2点についてお聞かせください。

(知事)
 一つ目の一時借入金がここまで膨大だということは、先程、申しましたさらにいろいろな実態を把握していかなければならない一つの大きなポイントであると担当局長に指示をしておきました。私どもとしては、数年前から、どうも相当の一時借入金が回っていると認識を持って聞いていた経緯がございます。
 それについて、さらに詳細に聞かなければならないし、我々として夕張に限らず毎年2回、ヒアリングをしている項目の中に、一時借入金について、ここまでの状況は、ありえないという想定でヒアリングをやってきたというのが事実でございます。私どもから各市町村へのヒアリングの際に、今後はこういったこともチェックできるような項目にしていかなければならないということを、明確に指示したところでございます。
 二つ目の質問が、毎年2回もヒアリングをしていて何をしていたんだ、というお話でございます。
 今回の反省を踏まえて、これは夕張市に限らないと思います。道内の自治体に対する私たちの助言のベースとなるところの、実態認識としてそれぞれの市町村の財政状況の把握の仕方について、さらに今回の事案を踏まえて、きっちりと拡充をするところは拡充していかなければならないと思っています。

(北海道新聞)
 道内の自治体の中で、8割で子どもが産めない状況になっているというのが道の調査で明らかになりましたが、それについて知事の受け止め方とどう対策を考えていらっしゃるのかということをお伺いしたいんですけれども。

(知事)
 分娩動向調査というものを私ども道でいたしました。こういった調査はあまり他県では例はなくて、やはり広域な地域に人々が住んでいる北海道の特徴的な状況を踏まえての、私ども自身の調査だということをまずはご理解いただきたいと思います。
 その広域性なるが故の本道の産婦人科医について、医師全体が不足している中で、特に産婦人科の医師については少子化のこともあり、医師不足あるいは地域偏在といったことが道内で大きな問題となっています。
 各地の病院に医師派遣している三医育大学の先生方との議論も踏まえて、適正配置ということについて、どのような考え方をしていかなければならないかということの検討の基礎資料として、こういった調査をやらせていただいたところであります。
 結果は、今おっしゃられたとおりでありますが、分娩実績のあった、つまり地元で分娩施設があり、お医者様のいるという市町村はすごく限られているということは、私どもも現状認識として強く危機感を持つところであります。
 こういった中で、抜本的なところは産科のお医者様が足りないというのは全国的な現状であることも私どもも認識しておりますので、そういう抜本的な対策が必要であります。
 一方で現状の少ない産科の集中化、集約化あるいは重点化ということが地域における分娩状況を、現実、今、目の前で改善していくためには不可欠とも思っております。このことについては、既に中空知地域で実際に自治体が協力する形で、我々もアドバイスをしながらやっている実績もございます。こういったことも一つの方向性として、手段として考えながら、全道各地で皆さん方が安心して子どもを産めるような環境整備に努めてまいりたいと思います。
 お医者様不足を抜本的に改善していくための対策というのは、当然国においてまずは一義的に考えて欲しいというのはありますが、私どもとしても、平成16年に北海道医療対策協議会を全国の先取り的に三医育大学、医師会、市町村と、道がもちろん音頭取りをするかたちで初めて作ったものであります。この中で全道からの要請を受けて、適正配置をしていくということもやっているわけでありますが、今年から分科会を三つ設けているところでありまして、その一つとして地域医療を担う医師養成検討分科会を設置したところであります。大学入試における地域枠と連動した奨学金制度の創設などに我々道、大学と市町村が協力して取り組むというようなことをやっていこうとしているところでありましす。現に私ども札医大では道内にある高校の卒業生の方に優先的に入学していただく道内枠という制度を設けています。これは別に奨学金とか今のところはそこまではリンクはしていないし、就職先として道内に限るという条件も付してはいないのですが、この道内枠の卒業生の方々の大半が道内で就職をしていただいているということも私ども実績として持っていますので、こういった制度も奨学金付きになればさらに高まることもあり得るでしょうし、色んな手だてを使って、我々地域として独自に出来るお医者様の増加、道内で医療に従事していただけるお医者様を増やすという努力をしながら、国に対してもさらに要請をしていきたいと思っております。

(読売新聞)
 夕張にちょっと戻るんですけれども、自主再建で仮に財政再建団体になったとしても、計画を終える期間というのは相当長期間に及ぶと思うんですが、債務を免除するとかそういうものは、今の制度上ないんです。知事として国に対する働きかけ等あったら教えていただけないかと思うんですが。

(知事)
 まだ、そこまで考えをまとめる状況に至っていないというのが、一言で言った場合の答えになるわけであります。この一時借入金の相手がどういうところかというのもありますし、それから、直近で道内の法的再建の例をいいますと、昭和48年に完了された喜茂別町、それ以来ないわけです。全国的にも福岡県の方に前例があるのですが、その前例も十分見なくてはいけないのですが、一時借入金がここまで多かったというのは、事務方から報告を受けておりません。その意味では、今回の夕張の事案については、さらに夕張からヒアリングをし、考え方を整理して、今後どのような方向でやっていくかということを、腹積もりをする際に、国に相談していかなくてはならないことは、多々出てくるかなと思っております。
 竹中大臣も、今日か昨日の記者会見の時に、一義的に助言をするというのは道にやっていただきたい、その上で国も道から、あるいは市からご相談を受けたいとおっしゃっておられたように聞いておりますので、まずは私どもとして夕張市からさらに情報を収集した上で、ご質問に対する考え方を整理し、制度面を含めて国への要請を行うかどうか、いろいろ検討していきたいと考えております。

(毎日新聞)
 また医療の話になって恐縮ですけれども、国の医療制度改革で療養型の病床がかなり減ることになりますけれども、患者さんにとっては深刻な問題だと思うんです。老健施設なり、受け皿をどう整えていくのか、増やしていくのか、どうするのか、今後の方針を聞かせてください。

(知事)
 国が今回制度改正をされた前提認識として、療養病床の入院患者のうち、医師の対応がほとんど必要ない人が半分ぐらいいるという調査結果を踏まえて、保険適用病床を減らして、介護保険適用のものを増やしていく。要するに高齢者の方々の介護という形での受け皿を増やすことを前提に病床の適正化というか、再編成を打ち出されたわけであります。このことについては、法律が通る際に、付帯決議が付されている中で、明確に受け皿をきちんと整備することが記載され、私どもも意を強くしたわけであります。 北海道の場合にはやはり地域特性というのがありまして、高齢者の割合というのが全国を大きく上回っております。それから、広域であることなど、いろいろと北海道の特殊事情もございます。こういったことを是非考慮していただいた上で、国は18年度中をめどに地域ケア整備指針というものを受け皿づくりのために作られると理解しております。私ども自身が北海道の地域特性を考慮した内容になるように働きかけをし、また、そういった方針に基づく形で、現に入院している患者さんが多々おられますので、そういった患者の方々ご自身あるいは家族の方々の不安をできる限りなくするような形で、円滑な療養病床の再編・転換をやっていかなければならないと思っているところであります。

(NHK)
 もう一つ、夕張の問題に戻って恐縮なんですが、今後地方交付税が、決して増える方向ではなく削減される方向で進む中、夕張市を取り巻く周辺の状況というのも、いっそう厳しさを増してくるかと思うんですが、これまで、知事が縷々ご説明されたことにつきるかもしれませんが、道として今後どのようなアドバイスが可能なのか、いよいよ財政再建団体の申請というのも現実味を帯びてくるかと思うんですが、その認識、改めていかがでしょうか。

(知事)
 交付税をめぐる環境は、地方団体としていろいろな申し入れ、提言、発信をしておりますが、来年度へ向けて、私どもはやはり身構えて見ていかなければならない環境にあるというのは事実でございます。まず、7月に入って今年度の配分が決まってきます。来年度のトータル金額の方向性も概算要求等で見えてくるという中で、個別の自治体にとって、交付税が相当厳しいものになるであろうという予測が立つタイミングは、そんなに遅くならずにくると思っているところであります。
 そういった中で、一般論しか今段階では申し上げる情報は無いわけでありますが、道もやってまいりました、さらに、加速をしようとしております行政改革あるいは財政改革という痛みは伴うものであります。やはり、将来に向けての健全、持続可能な財政基盤を作っていくということが、我々自身の将来の子どもたち、子孫に対するある意味責務だと思うのです。そういったところは夕張市を含め、厳しい財政状況等を客観的に位置づけられているような市町村におかれては、是非お考えいただく必要があるのではないか、そういった点で私どもも助言等もしていかなければならないと思っております。

(日本経済新聞)
 道州制特区法案ですけれども、国会が18日で会期を終えまして、法案については継続審議先送りということなる訳ですけれども、地元として成立への不安、準備への影響というのがあるかどうかお伺いできますか。

(知事)
 一言で言えば無いんですけれども。
 元々この法律は来年の4月1日以降の施行を想定した法案の中身になっているところでございます。
 その意味では、もちろん提案をしたこの国会で成立するのが理想ではありますが、施行との関係では全く問題ないと認識しております。
 私どもとしては、まだ法案の段階であるということを十分に認識しながら、施行は予定どおり行われるということを前提に、いろいろな準備作業をやっているわけです。道内意見交換会もやっておりまして、私自身2回出ておりますし、これからもやってまいります。そういった道民議論を踏まえて、第2弾、第3弾の弾込めの部分をしっかりやっていかなければならないと考えております。

 

 


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