知事定例記者会見(平成19年1月26日)

知事定例記者会見

・日時/平成19年1月26日(金) 14:02~14:27
・場所/記者会見室
・記者数/26名(テレビカメラ2台)

会見項目

  

知事からの話題

1 夕張市の財政再建と地域活性化に向けた道としての支援策について
2  道州制特別区域推進本部の第1回目の会合について

記者からの質問

1 夕張市の財政再建について(1)(2)(3)(4)
2 米軍戦闘機の訓練移転について

知事からの話題

 

夕張市の財政再建と地域活性化に向けた道としての支援策について

私から二つお話しさせていただきます。
  一つ目は、夕張市の財政再建と地域活性化に向けた道としての支援策についてのご説明でございます。
  ご案内のとおり、夕張市においては赤字再建団体入りということで、財政再建の計画づくりに取り組んでおられたところであります。そういった中で高齢者や子どもたちへの配慮をすることによって、市民生活への影響が最小限に止まるよう努力することを考慮してやってこられたところであります。
 道といたしましては、夕張市の財政再建への取り組みを支援するために様々な検討をしてきたところですが、この度、その中身をまとめましたのでご報告を申し上げたいと思います。
 まず、第一番目が計画的・安定的な財政再建の推進についてであります。今回、夕張市の返済すべき赤字の額は、夕張市の財政規模との比較においては極めて大きなものでございまして、財政再建期間は約20年の長期間と想定されていまして、計画的・安定的に赤字を解消していくため、道が所要資金を夕張市に貸し付けるものであります。
 二番目が夕張市の行政執行体制の確保でございまして、道による一部事務の実施、それから道職員の派遣、救急救命士をはじめとした消防関係については、他市町村へ協力要請ということを中身といたしているところでございます。
 三番目が市民生活・地域経済への影響緩和でございまして、先程も申し上げましたとおり、高齢者や子どもへの配慮に努めながら財政再建計画の策定を進めていくわけでありますが、なお、市民生活などへの影響が懸念される分野について、道がその影響緩和のために4分野にわたり支援を行うものであります。
 一つ目は医療であります。全道各市町村と同レベルの医療給付を確保するために、老人、ひとり親家庭、乳幼児、重度心身障害者を対象に医療費1割負担とする医療給付事業、これはご案内のとおり道の単独事業でありますが、これについての夕張市負担分も含め道が負担するということでございます。
 二つ目はバス路線の確保でございまして、市の負担軽減を図りながらバス路線の確保を図るために、市の単独補助のバス路線について、夕張市と協調して道が補助するものであります。
 三つ目は道路の除雪であります。市の負担軽減を図りながら冬の除雪体制を確保するために、旧道道について、道道と一体的に除排雪を実施しようとするものであります。
 四つ目は雇用対策であります。地域の雇用確保のため、雇用推進員の配置、総合相談会の開催等を行おうとするものであります。
 次に、市民活動の拡大であります。本日、夕張応援団の設立会合もありましたが、こういった様々な市民の自発的な事業に対して、私どもの地域政策総合補助金につきまして、補助基準の弾力化や枠内での優先的な対応を図ろうとするものであります。
 地域政策推進事業につきましては、空知支庁の独自事業として戦略会議の開催など、夕張市の地域活性化に向けた取り組みを行おうとするものであります。
 こういった財政再建計画上の効果につきましては、今申し上げた支援策の実施によりまして、当初想定よりも2年間程度短縮出来る見込みでありまして、本日、市から公表されるとお伺いしております計画素案におきましては、18年間の計画期間とされると理解をいたしているところでございます。
 前から申し上げておりますとおり、道といたしましては、以上申し上げたような支援を実施するため、国へも支援を要請しているところでございます。以上が夕張関係でございます。

道州制特別区域推進本部の第1回目の会合について

もう一つは、来週の月曜日でございますが、道州制特別区域推進本部の第1回目の会合が月曜日の夕方に官邸でございます。私も出席をさせていただきますのでお知らせいたします。

記者からの質問

(NHK)
 夕張市の財政再建団体入りの表明から7カ月、ようやく素案の発表と併せまして、道の支援策も決まりましたけれども、ここまでの知事の率直なご感想並びに当面必要な支援策については、これで一応盛り込まれたとお考えでしょうか。

(知事)
 夕張の財政再建入りを市長が表明されたのが、去年の6月でありますので、もう半年が経過したところであります。まずは返すべき債務の額の確定から始まりまして、それをどのように返すのかという市としての財政再建計画の考え方を11月に出されて、それについての住民説明会の中で様々な住民の方々のご不安が出てきて、そういった中で、私どもとしても道職員の派遣をしながら、様々な支援をしてきたわけであります。
 国にも様々な要請をし、フィードバックをしたり、いろんな調整の中で夕張市における素案策定、そしてそれに対する私どもとしての支援が堅まってきたところであり、まだ最終的に決着はみておりませんが、そういった中で国への要請を今やっているのが現状でございます。
  その過程で夕張問題について、道内外からも大変深い関心が寄せられております。
 全国のニュース、新聞そしてテレビなんかを見ていても、いろんな形で夕張問題が取り上げられることが多くなってきておりまして、その意味では、この夕張の再建をどういう形で船出するかを全国の地域再生の一つのモデル的なケースとして注目を浴びているのかなと、私自身思っているところであります。
  ですから、この再建計画を夕張市が出されたのは素案でありますが、これをさらに計画そのものに調整をしていく過程で、まだ微修正はあるわけでございますけれども、やはり夕張市さんも言っておられるとおり、債務はしっかり返していかなければならない、しかしながら、その際に市民の方々への生活への配慮、とりわけ高齢者、そして子どもへの配慮を掲げておられるわけでありまして、そういったこともにらみながらどういった再建計画をこれからさらに調整して作り上げていくかを、私ども道も夕張市と共に道内外の関心を持って見ておられる皆様方に対して、しっかりとした案を示していく必要があるという思いを強く持っております。
 併せて、まさに今日も夕張応援団の立ち上げも一つあったわけでありますが、いろんな形で市内外の市民の方々が、自分たちの手で夕張市のまちづくり、夕張市の再建に向けて市民ベースで頑張っていこう、立ち上がっていこうという動きも出てきているところでございます。
 こういう行政としての対応、そして、民間の自発的な対応の動き、こういったことを併せて全体として全国に対しても、地域の再生のモデルとしての立ち上げが出来ればと思っているところであり、そういった観点から、道としても財政的な支援、またいろんなアドバイス的なソフトな支援も含めて、しっかりと対応していかなければならないと思っております。
 これから3月末までの具体的なさらなる計画づくりの中で、支援策は、場合によっては少し微調整はあろうかと思いますし、またそれに伴って計画素案から計画への調整過程の中でも若干の調整はあるかもしれない。それと同時並行で国からの支援も固めていかなければならないと考えております。

(朝日新聞)
 3点ほどお願いいたします。
 まず、医療に関係してなんですが、この場合医療の確保ということで事業の特別支援事業などがあるのですが、報道でもありましたように透析患者33人が受けられなくなるということで、皆さん市外に出ることになって、実際、冬道は行けないので家を離れて入院しなければならない、そういう患者さんもいます。
 そういう透析の患者さんのことについては、どのように考えていらっしゃるか教えてください。
 2点目についてなんですが、今回出ている支援について、これは1年間の部分の予算額だと思うんですが、今後、この支援がどのくらいまで続くのか教えてください。ずっと18年間又は20年間を盛り込んでのお考えなのかということです。
 最後なんですが、こういった道の支援策について、実際に他の旧産炭地ですとか市町村の皆さんも財政難だと思うんですが、夕張市というのは、結局は赤字隠しという不適正な会計処理が出たと思うのですが、不適正な会計処理をして赤字額を増やしたところには道の支援があって、真面目に返しているところに対しては、ないのかという不満の声が実際聞こえるのですが、これについてはどうお考えですか。
 この3点よろしくお願いします。

(知事)
 まず透析患者の方々につきましては、医療の問題については、最重要課題の一つでございますので、関心を持って見ておりました。
 今回病院から診療所化ということで、村上さんとおっしゃるお医者さん、私も向こうでお会いしましたけれども、何とか頑張っていきたい、地域医療をしっかりと支えていきたいという方が出てこられたわけでありますが、残念ながらあの方は透析は専門外で、ここの部分はなかなか難しいということで、今、透析患者の方々をどうされるのかが問題になっていると理解をしております。
 今、入院しておられる患者さんがおられて、この方々は一応他の病院への転院がある程度決まりつつあると理解をしております。それから通院の方々についてでございますが、やはりなかなか足の確保について難しい部分もあろうかと思うのですが、いくつかの民間の病院からは、医療機関として患者送迎の無料バスを運行したいというお申し出もあるやに伺っているところです。
 それから、道としてのこういった方々、夕張に限らずですが、通院される方々への助成の制度もございますので、そういったものも活用しながら、市とも連絡を取らせていただきながら、できる限りどういった対応ができるか今後の課題だと思っております。
  2番目の道の支援をいつまで続けるのかということですが、これから安定的・計画的に夕張市が、この債務353億円を、返していかれるということであります。
  今後のいろんな展開もあろうかと思いますので、今、一概に18年間ずっとになるのかということについてお答えするのはなかなか難しい状況でありますが、ただ市のこれからの状況を踏まえながら、我々道としての対応を国とも当然調整をしながら考えていきたいと思います。
 三つ目の夕張市のここまで至った経緯なり手法を考えた場合にどうなんだという意見ですが、以前に私もどこか別の所で申し上げたかと思いますが、現に私の所にも(意見が)寄せられてきております。
 厳しい言い方になるかもしれませんが、ある意味、自業自得の中でなぜ道がそこまでやるんだと、財政の厳しさはどの市町村も同じでございますのでそういった声はございます。
 そういった中で私どもとしてここまで判断してきたのは、先程少し申し上げました全国のモデル的なケースとして、夕張の財政規模との比較において、ビジュアルとして、うまく言えませんが、すごく大きな借金返しですよね。その船出をしっかりとどういう形でしていくかについて、全国の注目が集まっている。これをしっかりと広域自治体たる道としても支えてスタートすることがやはり重要なことかなという思いを持っております。その一方で旧産炭地を含めて財政が厳しい所は他にもたくさんございます。そういった他の市町村の状況ついては、今段階、我々が出来る限りの助言・指導等も行いながら、財政再建団体が夕張以外に出ないようにしっかりと支えていくことが、重要なのではないかなと思っているところでございます。

(北海道新聞)
 F15の件ですが、千歳と苫小牧で締結されましたが、道内で乳児がけがをする事故なども発生していますけれども、今後、道として再発防止などに取り組んでいくかということをお伺いしたいのですか。

(知事)
 米軍戦闘機の訓練移転につきましては、これまでもいろんな議論がございました。道議会あるいは両市における市議会、こうした議論の中で千歳市、苫小牧市の市長が、それぞれ住民のご意向も十分お伺いした上で苦渋の受け入れという判断をされた。その条件として国との協定ということを言われ、そのことを我々道もしっかりと国に対して申し入れをして、それが結ばれる段階になっているところでございます。
 道としての今後の動きとしては、今回の協定締結の項目を見ますと、住民の方々が抱えておられる事故に対する不安、騒音などの生活環境への影響、そういった点を含めて項目が記載されているところでありまして、こういった協定をしっかりと運用していくことが重要になっていくと認識をいたしております。そしてそのためにも、道といたしましては、市と共に構成する連絡会議をできるかぎり早く、できれば2月の早い時期にも立ち上げまして、地元の意向を国に対して、しっかり要請していく体制を整備し、しっかりとウォッチをしていかなければならないと、思っているところでございます。こういった連絡会議の立ち上げにつきましては、千歳、苫小牧の両市のご了解も得ているところでございます。

(朝日新聞)
 夕張の件で1点教えてください。2番の行政執行体制の確保の中で、道職員の派遣について管理職や専門職員などとありますが、当初、専門職員というお話がありましたけれども、管理職についても派遣を検討するという意味だと思いますが、人数、時期なども含めまして、現段階でどのような状況になっているか教えていただけますでしょうか。

(知事)
 管理職については、今も再建計画の作成に当たり3人派遣をしているのはご承知のとおりであります。今後、どういう形で人員の数を含めてどうするかについては、前に申し上げたことと一緒なのですが、市当局としての体制をどういうふうに4月から組んでいくかという考え方をお伺いした上で固めていきたいとこのように思っておりますので、今段階で人数なりポスト・時期というのは、明確にお答えできる段階までは、まだ至っておりません。

(NHK)
 夕張の財政再建計画の素案発表はこれからだと思うのですが、これまでの市民負担の部分を含めて知事のところにどのような情報が入っていて、実際どのような印象を持たれているか。

(知事)
 印象ですか。一部先程の繰り返しになるかと思いますが、再建団体入りを表明されてから、様々な検討を重ね11月に考え方を市当局として出され、その中身を市民の方々にご説明をされている中で、幾つかの具体的な不満というか、ご不安な項目が出てきていたわけですね。私自身も市民の方々から直接お伺いをいたしましたけれども、施設の廃止をなんとか元に戻して欲しい、バス路線というか交通の足をなんとか確保して欲しい、子どもたちの学校について、なんとか配慮をして欲しいなどの項目が出てきたわけであります。以上についてのご不安も出てきたわけであります。そういった項目について、我々として市当局とも議論をし、水面下では国とも議論をしながら、道民のご理解をどこまでだったら得られるかも配慮しながら、道としての支援の考え方をここまで取りまとめてきたところでございます。
 道としての支援は、市とある意味同時決定の形になってまいりますので、市とも調整をしながらここまでまとめてきたので、市民負担の軽減については、ある程度配慮はしたかなと思うわけであります。これからまた、市民の説明会をされると聞いておりますので、そういった中でどういうふうに今後展開するか、それはこれから見守ってまいりたいと思っております。
 それから、大きく市民負担という意味では、財政再建期間が約20年というふうに、実はいろんな試算によっては20年を超える数字も出てきた中で、やはり私どもとしては、このトータルの債務として夕張市が背負っていかなければならない金額を少しでも軽減することによる期間短縮ということが、市が計画的・安定的に返していくということを我々がサポートするのと同時に、重要なことかなという思いもございまして、支援の中の一つ目の項目として申し上げた、低利で私ども道から全額を融資するという考え方にもいたったところでございます。こういったいろいろなことで市民の方々へのご負担を軽減できればと思っているところでございます。

 

 

 


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