知事定例記者会見(平成20年1月25日)

知事定例記者会見

・日時/平成20年1月25日(金)14:01 ~ 14:33
・場所/記者会見室
・記者数/23名(テレビカメラ2台)

会見項目

  

知事からの話題

 1 道路特定財源について

記者からの質問

 1 政策提言グループ「せんたく」の発足について
 2 支庁制度改革について
 3 「新しい支庁の姿」に関する地域意見交換会について
 4 コンサドーレ札幌について
 5 地産地消に係るお酢づくりについて

知事からの話題

 

道路特定財源について


先週でしたか、記者会見の席上で道路特定財源の問題について、国会の方で政局の中心ということでもあった、そういう中で道として、政府案というのは維持ということで、それがいいかどうかあるのですが、対案として出しておられる民主党さんの考え方を精査をして、道としての考え方をまとめたいということを申しまして、大急ぎで建設部長に頑張ってもらって検証した結果をご報告を申し上げたいと思っております。
 お手元に簡単な一枚紙だけお配りしてあるかと思いますが、私としてはこれは報道でも出ておりますとおり、暫定税率が本則に戻った場合に我々地方も使っている道路を中心とした財源に穴が空くことをどう考えるかということと同時に、その原油高騰に伴って石油製品が上がっていると。特に北海道は道路依存の高い地域でありますので、ガソリン代の高騰というのも道民生活の関係で、灯油の方がより冬には多いのでありますが、ガソリン代も上がっていることの問題も懸念しておりまして、そういう意味ではこの価格高騰を少しでも抑えられる暫定税率を本則に戻すということは、一定の評価もできるだろうし、そういった直感的には評価すべきものはある中で、トータルとしてどう考えるかということのご報告でございます。
 私どもとしては、こういう精査をしたいということで、職員に民主党さんの事務局の方に出向かせまして詳細に色々と教えて欲しいということをお願いをいたしたのでありますが、結果的にはお示しいただけなかったわけでありまして、という意味で配付させていただいております資料も新聞報道などによる建設部の類推ということでお許しをいただきたいと思います。
 そういったことを前提に以下ご説明をいたします。
 民主党案の基本案は1のところにございますが、3本柱であると。まず、20年度のみの考え方で21年度以降も含めた全体制度設計ということについて言及はまだありません。そういう意味では、単年度のみということの前提でありますが、3つの柱。1.特定財源は、地方分含めて全て一般財源化、2.暫定税率も地方分を含めて全て廃止、3.暫定税率廃止後においても、地方における道路整備事業の水準は従来水準を維持できるよう確保するという3本柱になっているわけでありますが、その具体的な暫定税率廃止に伴う財源にどれだけ穴が空き、それをどう措置するのかというのが下の表でございます。
  まず、国分の1.7兆の財源措置の1番目にございます道路特定財源の余剰分の6千億ということでございますが、これは、お詳しい方は道路特定財源の税制体系というものを念頭において聞いていただければと思うんですが、余剰分といって、余っていて何も使われていないかというとそうではなくて、いろんな形で使われているものであります。特に私ども北海道でいうと、地域活性化ということで、まちづくり交付金などの形で助成措置、これは道というよりもむしろ市町村施行事業に対する助成という部分もここに含まれておりますので、そうすると余剰というものの、今助成しているのをどうするんだというまた別の穴埋め論というものも出てくるかなと思っております。
 このまちづくり交付金について、例えば例示的に申しますと道内の各市町村がいろいろな形で事業をやることに使われているものでありまして、最近で言いますと恵庭とか岩見沢とかの例もあるんですが、直近、一番皆様方の話題という意味でわかりやすいかと思うのは、洞爺湖町がサミットに向けて廃屋があると、これを何とか処理をしてというようなことの助成措置として検討しておられるのが、このまさにまちづくり交付金であります。など、いろいろな例があるものについて、民主党さんはここでこれを止めて、暫定税率の穴埋めの一つにしたいというふうに言っておられます。これは、私どもとしては今の繰り返しでありますが、ここで助成事業に充てられている部分の穴埋めをどうするかということについては、先が見えないのではないかという懸念を持っております。
 2番目にございます株式譲渡益の軽減税率の廃止で6千億円ということでございまして、これは租税特別措置法の別のパートのこの株式譲渡益の部分を軽減税率を廃止して、事実上増税をすることによって、その分を充てればいいということのようであります。こういったことも含めて民主党さんの事務局にもうちょっと詳しく教えていただきたいなと思っていたわけでありますが、ちょっとそれがかなわなかったわけで、その意味では何でこれを選ばれたのかというのは、私どもとしてよく分からない部分であります。本来、所得税及び住民税として徴収されるものと、これを道路財源に充てるということについて、もうちょっと詳しいご説明を伺わないと、これは地方の立場から損得ということを言う前に、なぜというところがよくわからない部分がございます。
 三つ目が、道路事業のコスト縮減で5千億と。確かに、私ども知事会でもいろいろ議論しておりまして、道路事業、国施行も地方施行もそうでありますが、必ずしも十分にコスト削減をしていないのではないかという議論はよくありまして、そういった流れの中で今入札改革等ということも進めているわけでありますが、ただ、そういうコスト削減に向けての問題提起をしていただいたと、さらにこういうことを進めていく意味はあるんですが、ただ具体的に、来年度から道路事業を進めていくということの穴埋め、財源が不足することの穴埋めとして書かれても、具体的にこれをどこでどういうふうに縮めて、それをどのように各県あるいは市町村に配分するのかという道筋が見えない限り、私どもとしてはちょっと辛いなという気がいたしまして、例えば北海道分の穴が空く部分について、自助努力でコスト削減を全部しろと言われても、もちろん努力はいたしますが、なかなか辛い部分があろうかと思っているところでございます。ただ、繰り返しになりますがコスト縮減ということの重要性は十分に認識をしているところでございます。
 それから、4番目、5番目これはセットなんでありますが、まず地方の穴埋めをするために直轄負担金廃止ということをやると。これは法律改正が必要なんでありますが、それは国にとってはさらにマイナスが広がるもので、ここでマイナス1兆と計上し、それを道路事業の繰越金等で穴埋めをするという形でありますが、直轄負担金の廃止の方は後からご説明をするとして、そのマイナス1兆を穴埋めするという1兆のプラスの方の道路事業の繰越金というものが、「等」のところに意味があるのかも知れませんが、私どもとしては必ずしも十分に理解できない部分がございます。そもそも繰越金というのは、いろんな事情で当該年度に実行できないものをその先に繰り越すということでございますので、それを当該年度の穴埋めにするということは、ちょっと頭の中で考える限りにおいてはどうなのかなというのは、理解が進まない所でありまして、内部で建設部とも議論した時に「等」の所に相当の意味があるのかなと思ったわけでありますが、ここもいかんせん党本部の皆様方からのご説明を頂戴していない限りにおいては、これで財源の穴埋めということはちょっとおぼつかないかなというふうに思っているところでございます。
 それから、地方分の1兆を直轄負担金の廃止で埋めると、これは前の記者会見でも申し上げたかと思いますが、私ども地方が知事会を通じて、あるいは直接的にも常に国に提案をしてきた事項でありまして、これはこれとして、この項目のみだけでいえばぜひ実現して欲しいと、ぜひ与野党で合意をして実現をしていただきたい項目ではあるわけでありますが、ご案内のとおり直轄負担金というのは、地方の負担金ですけれども、都道府県そして政令指定都市のみが負担しているものであります。道内でいえば、私ども道と政令指定都市たる札幌はこれでほっと一息になるわけでありますが、市町村はもともと負担をしておりませんので、再配分をどうするのかというところが必要になってくるかと思うわけであります。そこを含めての法案になっているかどうか、あるいは法律事項ではないとしても、政令なり省令なり規則でどういう形できっちり配分するかということが明確に私ども地方に見えない限りにおいては、先般、東胆振にまちかど対話なり、地域づくり推進会議で行って、首長の方々と議論した際に、それぞれ何千万、あるいは億に至る穴が空くということを、各市町の方々が言っておられて、それを具体的に埋めて、それぞれの市町村も財政が非常に苦しい中で、円滑な地域政府運営をやっていく財源として、これで万全だというわけにはいかないなと私どもは思っております。
 それからもう一つの直轄負担金廃止の問題点は、実は直轄負担金というのは、国の直轄事業の道路以外の部分、北海道であると空港なんかもありますかね。いろんな事業を含めてトータルとしての直轄負担金であります。ちなみに北海道の場合には、5割ちょっとくらいですね、道路の部分が。すると事業の直轄負担金の部分を自由に使い、あるいは道路に充てるということ。では、他はどうなるんだということの考え方なり実質的な財源の充て方等について、まだまだ一議論も二議論も深めていかなければならない。ここは単に、国会を構成する政党だけで議論していただくわけでなくて、むしろ地方が我々が現場でやっているものでありますので、我々の意見を十分聴取していただいた上で、きちんとした制度設計をしたものにしていただく必要があるわけでありますので、いずれにしてもこの4月1日から、これでうまくいくものとして我々は安心をしてお任せをするわけにはいかないかなというふうに思っているわけであります。この改革をするのであればしっかりと与野党で、かつ、それに地方を交えて議論をし制度設計はこういうことだと、それを法律なり政令なりそういう規則におとした、制度に仕組むにはこういうふうになるという、そういうやりとりを、十分時間的なゆとりを持ってやっていくべきものでないかなと思ってございます。
 以上申しましたとおり、もちろん私どもとしては公表されている情報の範囲内での判断しかせざるを得なかった状況では、まだ不充分、まだ我々の理解が進んでいない分も多々あろうかと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、この状況で次年度、20年度4月1日からの地方財政を、安心して行えるご提案かということについては、ちょっと納得はしきれない。特に、これは先週も言ったかもしれませんが、ここにきて北海道は大変に雪が多くなってきております。除雪車も相当程度出てきております。こういった除雪なども、こういった財源をベースとしてやっておりますことなども考えた場合に、やはり私どもとしては改めていろいろと検討をさせていただいたわけでありますが暫定税率の維持を必要であるという主張を、これから道としては提案をしていかなければならないのではないかという思いに至ったところでございます。
 ちなみに、その後、道内の市町村議会での議決の状況、この前は171市町村と申し上げましたが、さらに二つ増えまして173の市町村の議会において暫定税率は必要であるという議決がされたと報告を受けております。
 また、今週、東胆振に参りまして、せっかく首長さん方もいらっしゃいましたので、この問題について各市町村長さんのご意見もお伺いしたところ、言いぶりは違いましたが、総じて暫定税率の維持というご主張でございました。私としてはそういったことも踏まえて、暫定税率維持ということで、これから関係各方面に、これは民主党さんも含めてですが、働きかけをしていきたいと思っております。
 ただ一方で、一国民としてということでご理解をいただければと思いますが、今回のこういったいろんな議論は、実は今まで、我々道なり多くの国民の方々が、暫定税率とはいうもののこういう制度なんだと当たり前に思っていたことについて、現行制度の問題点を幅広く国民の方々に提起していただいたという意味で大変大きいと思うわけであります。願わくば、1カ月、2カ月というすごく短期間でやるのではなくて、最低1年ぐらい時間をかけて、与野党、国のレベル、我々地方、都道県だけではなく市町村の代表、それからそれぞれの市町村の議員の方々も含めて、そもそも論の議論をしっかりして、どういう形でやっていくのが一番良いのかという一定の方向性をまとめた上で、それを制度に落としていくという作業をやって、準備期間を十分に持ち、周知期間も踏まえやっていくべき大きな制度改革であると認識をしております。

 

記者からの質問

(読売新聞)
 先に三重県の前北川知事などを中心に通称「せんたく」という政策集団が結成されました。地方自治の発展を目指す集まりのようですが、その団体に対する知事の所見と今後何らかのオファーがあった場合、知事としてはその組織に参加される意志等があるか教えてください。

(知事)
 北川前知事を中心に学者の方も含めて、そういった政策提言のグループを立ち上げたことは私も報道を通じて聞いております。今、申しましたような国政の場でも議論になるわけですが、地方も大きく関わってくるような多くの問題が出てきている中で、こういう地域を活性化する観点から有識者の方々がグループを立ち上げたということの意義は大変大きなものがあると理解をしております。
 オファーがあった場合どうするかということに関しては、それは(オファーの中身を)拝見させていただいてから、考えさせていただきたいと思います。

(読売新聞)
 現時点で何らかのオファーはありますか。

(知事)
  まだないみたいです。

(TVh)
 支庁制度改革についての質問ですが、昨日まで各地域で意見交換会があったと思いますが、かなり地元では厳しい意見があったという話ですが、これに関して知事がどう捉えているかということと、2月の集中審議に向けてどのように説明をしていくかお話し願います。

(知事)
 支庁制度改革については、前知事の時代からさまざまな議論の積み重ねを経て、私の代になりまして、骨格案あるいは原案などを道議会や道民の方々にお示ししながら、議論を一歩一歩進めてきたところであります。前議会に具体的な区割り案をご提示申し上げ、道議会での議論も経たので、振興局所在地となる地域から石狩を除いた4地域、檜山、日高、留萌、根室について、一般住民の方々を対象とする意見交換会の開催をいたしてきたところであります。
 それぞれの会合が終わった直後に電話等で副知事や部長から報告を受けておりますが、多くの住民の方々から反対のお声をいただいていると理解をしているところでございます。私どもといたしましては、各地域の説明会、ご意見の聴取を行うとともにパブリックコメント、市町村に対する意見照会等も行っているわけですが、さらに道議会が閉会中の2月4日には竹内委員長の道州制等特別委員会で集中審議を行っていただくことになっておりまして、その場に今回の意見交換会における各地域の住民の方々の意見をご説明すると同時に、道議会での議論を経て、さらに関係諸方面へのご説明、ご理解をいただくべく、さらに努力をしてまいりたいと思っております。

(朝日新聞)
 今の支庁再編に関連して、意見の中には非常に大きな組織改革であるので、意見交換会をやっていって、その次の議会で、さらには新年度で条例化というのは早すぎるのではないかと。もう1、2年話しを聞いていただいてその上でというお話もあったのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

(知事)
 地域との意見交換、意見聴取は、前知事時代から続けてやってきているという経緯はございますので、なんとか関係諸方面のご理解をいただければと思っております。

(読売新聞)
 コンサドーレ札幌の件ですが、減資ですとか融資延長の件などそろそろ年度も押し迫ってきて、いろいろ判断が必要な時期が来るかと思いますが、知事として判断のタイミングをどの辺りに置いているかという点と、改めて現在の協議における所見というのをお聞かせください。

(知事)
 前回もご質問が出たかな。同じ答えになって恐縮なのですが、改めてお話を申し上げれば、まず、コンサドーレ札幌さんがJ2からJ1に昇格された。これは選手も監督も会社も皆頑張って、そして我々道民も一所懸命に応援をしてこのような快挙を達成したということ、これは純粋に嬉しいことだしそのことを大いにサポートするということを基本に考えたいというのが大前提にあります。その上で道の場合には財政も厳しい中で、道民の方々からお預かりした税金が投入されているわけでありますので、そのことを更に引き続き行っていくということにつきまして、前回も申しましたけれども、経営責任の明確化、貸付金の返済計画、更なる地域への社会貢献といったことについてしっかりとしたご説明をいただきながら、第三者的に判断をしなければならない。来年度の予算編成の知事査定を来週、再来週くらいにやっていくタイミングでありますので、もうそろそろというふうに思っております。

(HTB)
 今、道の地産地消の試みの中でお酢を造っていらっしゃると聞きまして、知事も一度お試しになったということで、お味の感想をお伺いしたいのと、こういった取り組みの将来性についてどういうふうにお考えかお話をお伺いしたいのですが。

(知事)
 小泉先生ですよね、仕掛け人は。フードアドバイザーにお願いをして結構になりますよね。東京農業大学のあの面白い方。彼のアイデアによって酢を造ろうと、酢というのはすごく体にいいんだそうですね。私も去年の仕事納めの日に道庁の本庁舎の中を上から下まで各部を回らせていただいたときに、農政部にいった際に出ていて、「小麦de酢」小麦で造った酢、それから「吟醸de酢」「純米de酢」というのがあったのですが、私が一口飲ませていただいたのは「吟醸de酢」というものでありました。酢だからすっぱかったですけれども、率直に言って。なんとなくスッキリした味わいだったかと記憶しております。
 それから、ほとんど治ったのですが大風邪をひいておりまして、咳きも出ていたのですが、その風邪対策の効果も気持ちだけですがあったような気がいたしました。
 こういった酢を地産地消あるいは産消協働の一つの成果として道民の方にも味わってほしいし、また、良ければ道外にも売っていければと思っております。

 

 


 

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