知事定例記者会見
・日時/平成20年2月20日(水)14:00 ~ 15:01
・場所/記者会見室
・記者数/41名(テレビカメラ3台)
会見項目
知事からの話題
1 「交通事故死ゼロを目指す日」について
2 平成20年度当初予算について
記者からの質問
1 平成20年度当初予算について
知事からの話題
私から二つお話ししたいと思います。
一つ目は「交通事故死ゼロを目指す日」についてでございます。今日2月20日と4月10日両日を「交通事故死ゼロを目指す日」と設定いたしているところでございます。私自身は参加できないのですが、今日3時から「交通事故死ゼロを目指す日の集い」を共済ホールで開催する予定でございます。
道民の皆様方には、今一度、交通事故に注意をして行動していただきますように、皆様方からも周知にご協力をいただければと思います。3年連続で交通事故死ワースト1を返上した北海道でございます。今年も引き続きそのような形で、さらにいけば交通事故ゼロの社会を目指して頑張っていきたいと思っております。
二つ目でありますが、予算についてであります。(お配りしている)「平成20年度予算の概要」に沿って、昨日、総務部長から詳細の説明があったかと思いますので、私からは概括についてご説明申し上げ、ご質問をお受けしたいと思います。
【配付資料(平成20年度予算の概要)/sm/zsi/20gaiyou.htm】
平成20年度当初予算案は、一般会計で2兆9,090億円。昨年度は知事選がありましたので2定現計予算規模に対してマイナス0.2%で若干の縮小であります。
しかしながら、借換債の発行が774億円増額となっています。これは主に10年前に多額の道債を発行した結果でありますが、こういった特殊要因などを除きますと、昨年度より実質3.1%程度減少という予算規模を当初予算として提案を予定しているところであります。
昨年の11月初めにお示しした「新たな行財政改革の取組み」の見直しの方向性に沿いまして、年末から年明けに、精力的に歳入・歳出両面にわたる徹底した見直しを進めてきたところでございますが、このたび基本的な枠組みを午前中の(行財政構造改革推進本部第9回)本部員会議で決定いたしたところでございます。
結果的に、20年度につきましても一生懸命、歳入・歳出の精査をしたのですが、90億円歳入不足であると今段階で見通しせざるを得ない状況でありまして、この部分につきましては、19年度と同様に国の直轄事業負担金のうち90億円を計上留保するという形で当初の対応を図ろうといたしているところでございます。当然、年度末に向けまして、最終的な収支の均衡が図られるように最善を尽くしてまいりたいと考えております。
(予算の概要の)12ページに記載しております使用料・手数料改定の概要でありますが、ご案内のとおり、使用料等につきましては、従来から4年毎に見直しが実施されており、今回見直しのタイミングに当たっており、住民間の公平・均衡を図る観点から、道の行政サービスを利用する方々に対してコストに見合った料金ということで見直しを行い、一定の増額等の計上をさせていただいているところであります。
例えば、道民の皆様方の関心の高いところで言いますと、道立近代美術館では今、エジプト展が始まったようでありますが、入館料を450円から500円に、また、道立高校の授業料を一カ月9,600円から9,900円にさせていただきます。
道民の皆様方にご負担をおかけすることは大変忍びないのでありますが、ぜひご理解を賜ればと思っております。そして、今回の改定に見合う影響額は一般会計、特別会計を合わせて約10億9,000万円の増と見込んでいるところでございます。
13ページからは、去年の11月にお示しをいたしました「新たな行財政改革の取組み」の見直しの方向性に沿って、その後精査を加えたものを記載させていただいているところでございます。
新たな収支対策、まず人件費につきましては、去年の11月段階では360億円を圧縮するとさせていただいていたわけでありますが、ご案内のとおり、職員団体と話し合いの結果、最終的には一部緩和を図りまして、平成23年度までの4年間、毎年度344億円程度の縮減措置を行うことで決着を見たところであります。
また、投資的経費につきましては、国と一緒に行います事業のうち、国直轄事業の我々の負担金については3%の減、国から補助を受けて道が実施をする補助事業については8%の減、道の単独事業については7%の減といたしまして、それぞれ11月の初めの段階では、国直轄事業については5パーセントの減、補助事業については10%の減、単独事業では10%の減と申し上げてきたところから緩和をさせていただいたところでございます。そして、前から記者会見で申し上げておりましたが、特に原油高、米国経済の動向などさまざまな要因により足元の景気がやや不透明感が高まっている中で、去年の11月にお示しをした4年間において一気に公共事業を縮減をしていくという考え方から少し転換をいたしまして、足元の縮減をやや圧縮をし、4年間に変わり7年間、この縮減を継続することにより、目標であるところの平成26年度末におきます道債残高5兆円程度を達成するように見直しをいたしたところでございます。
そういった中で、特に道の単独事業につきましては、補助事業以上に削減幅を工夫いたしました理由は、地域で最も大変な思いをされているいわゆるC、Dクラスの中小零細企業の皆様方の受注機会の確保、さらには維持管理水準の確保は当然でありますが、そういった観点から、特に地域の方々に配慮を深くした形で、今回の3段階の削減を設定したつもりであります。こういった方々が、地域の中で大活躍をされているわけでありまして、もちろん削減をすること自体、私は大変忍びないわけでありますが、そういった中で削減幅を緩和させていただいたことにつき、ご理解をいただければと思う次第であります。
こういったことを初めとして、新たな収支対策に沿った取り組みにより平成20年度当初予算につきましては、669億円程度の歳出削減等に取り組んだところであります。
すみません。ちょっと誤解を与えましたが、公共事業の見直しですが、平成20年度につきましては、国直轄事業については3%の減、道が実施をする補助事業については8%の減、道の単独事業については7%の減ではなく、国費の政府案の12月末段階の決定に沿う形で、それぞれ資料に掲載しているような形(国直轄事業▲4%程度、補助事業▲
11%程度、単独事業▲9%程度)でセットされているところでございます。以上で全体のフレーム、私からの概括的なご説明を終えたいと思います。
そして、17ページ以降は個別具体的な政策の中身でございます。全体としては縮減せざるを得ない中で、いかにメリハリを効かせながら、道民生活の向上に配慮していくかということについて苦心をしたつもりでございます。
17ページにございますとおり、3つの柱を掲げております。経済、暮らし、環境をキーワードにいたしているところでございます。それぞれ、以下ページを追ってご説明いたしますが、高橋道政1期目にやってまいりました経済活性化の方向性、加えて2期目1年間でやってまいりました方向性、さらにそれを深堀りしていくということで考えているところであります。
それから、道民の生活と暮らしを守る政策、これを2期目の最優先課題と申し上げさせていただいたところでありまして、保健・医療・福祉に関する予算は、他の予算費目が総じて減少している中で総額3,070億円。これは対前年比で4%の増としたところでありまして、道民の方々の暮らしを守るための政策のさらなる展開の増強につきまして、職員団体から人件費の縮減ということでご協力をいただいた部分がまさにこういった部分に充てられている、そういったことを考えているところであります。
この部分もあとから詳しく申し上げますが、医師確保のための奨学金制度、貸付制度、あるいは緊急の短期間の医師の派遣ということを道単独で行おうといたしておりますし、また、ドクターヘリにつきましても、第2機目の導入に向けて調査費を計上し、何としても平成21年度の導入を行ってまいりたいと思っているところであります。
経済、暮らし、環境の3本柱を展開する際に、私は、それぞれ地域に根ざした政策展開ということを改めて強く意識をし、そのことを各部に指示をいたしているところであります。すなわち、経済の活性化、いろんな展開につきましても、全道多様性のある地域資源を持っている北海道におきましては、札幌のやり方、小樽のやり方、釧路のやり方あるいは羅臼のやり方がそれぞれ全然違うのは当然でありますので、そういった地域の特性を活かした政策展開をやっていくということを念頭に置きながら、それぞれの政策を考えていくということを改めて強調したいと考えております。
さて、18ページからでありますが、経済の活性化に向けて、昨日包括的にはご説明申し上げたかと思いますので、私はポイントだけ言います。一つは19ページにございます中小企業応援ファンド。これは100億円規模のファンドを想定しております。国から80億、道で2億、そして道内民間の金融機関あるいは経済界の皆様方から残りのお金をご協力をいただいて100億円規模のファンドを創設し、事業化、販路拡大など、いわば前向きの中小企業の方々のご努力に対して支援をしていこうと考えているところであります。また同様に新たんぽぽ資金、新生ほっかいどう資金というものも、ちょっと拡充をして、またここで計上しようと思っております。短期資金の創設を具体的な新しい中身にしているところであります。そして、こういったものも使いながら建設業の方々の体質強化と新分野進出の促進ということを改めて展開をいたそうと思っておるところでございます。
前から申し上げているとおり、北海道の建設業の方々は全国との比較において産業構造の多くの割合を占めている。また事業項目を見る場合に公需、民需と見ますと、著しく公需に依存している度合いが高いのが特徴であります。こうした現状に鑑みまして、公共事業を今回減らしていくということは、改めてご説明をしていかなければならないということと相まって建設業の皆様の体質強化、本業をしっかりとやられるという意向を持っておられるところに対しては、例えば技術力の向上であるとか体質強化のための合併であるとかいろんなことの支援。そして企業体を存続しつつ新しい分野に進出をされる場合の支援。これは今までソフトランディングという形でやってきたわけですが、こういったことを総合的に展開をいたそうと思っているところでございまして、まだ仮称ではございますが、北海道建設業振興計画というものをお示しを申し上げ、民間の皆様方の相談窓口を建設部の中に設けること。そして、そこを中心にさまざまな政策手段を使いながら、民間の方々と共に考えながら、さまざまな体質強化策、事業転換などを展開をしてまいりたいと考えております。
また前回の記者会見でも申しましたとおり、全道の各地域の建設協会の皆様方からのご要望の大きい公正競争、あるいは品質を確保するためのダンピング防止の取り組み、あるいは地域における中小の方々の受注機会の確保のための地域条件の設定など、きめ細やかな発注サイドとして取り組めるそういった体質強化策などにもあわせて取り組んでまいりたいと考えております。
それから建設業以外の業種、農林水産業等の体質強化策も色々と20ページ、21ページ掲げさせていただいておりますが、一つ再チャレンジでありますが20ページの真ん中よりちょっと下、タラバガニ種苗生産技術の確立ということの研究に着手しようと思っております。カニは観光とも切っては切れないものでありますが、なかなか養殖は難しい。一方でロシアとの関係において資源確保が必ずしも容易ではない分野につきまして、改めてこういったことにもチャレンジをしようと思っているところであります。
それから21ページからはものづくり産業の振興と新事業・新産業の創出ということであります。北海道産業振興条例に基づきまして、自動車産業、企業等のさらなる誘致を進めます。先週でしたか、東京で立地セミナーというものを行いました。私どもとしては初めて電気・電子の皆様方にターゲットを絞ってセミナーを行ったわけであります。思ったほど人は集まりませんでしたが、私から直接プレゼンテーションをさせていただき、これからこういった分野の皆様方にも北海道の立地の優位性についてしっかりと情報発信をしていきたいという決意表明のようなこともやらせていただいたわけでありますが、きめ細やかな企業誘致をそれぞれの地域資源に合った形で展開をしてまいろうと改めて決意をしているところであります。
そして、加えて創薬あるいは機能性食品。これは北海道の歴史と、比較優位性を持っております農業・水産業等に根ざしたまさに競争力が潜在的にある分野でありますので、こういったことの今後のあり方などについてもしっかり検討をしてまいりたいと考えているところであります。それから24ページから27ページにかけて食のブランド化の促進ということを掲げさせていただいております。中国の食品に農薬等が入っていたという問題を大きなきっかけとしまして、食の安全・安心ということが大きく叫ばれております。私ども北海道の食ということについて、安全・安心の信頼確保、それから道産食品の戦略的な付加価値向上と食品産業の振興。そして三つ目として産消協働ということを進めてきて久しいわけですが、まずは道内の消費者とのつながりの強化。そして四つ目には国内外への戦略的な販路拡大。この四つを強化テーマとして、民間の方々とも力を合わせて総合的な施策展開をやって行こうと思っております。
個別具体的な項目としては、例えば25ページにございますBSE検査。今年の8月以降も道単独で大変辛いのでありますが、全頭検査を続けようと考えております。それをはじめとして付加価値化、戦略的な販路拡大などいろんなことをやってまいります。
27ページから29ページにかけましては、観光のブランド化のさらなる推進ということであります。いよいよ民間が中心となって北海道観光振興機構が設置されます。ここと連携をしながら魅力ある個性的な観光地づくり。昨日もトップになられる坂本相談役とも懇談をさせていただいたんですが、そういったことをしっかりやっていきたいと考えております。とりわけ今サミットが行われるということを大きなきっかけとして、この運動に弾みをつけてまいりたいと考えているところであります。サミットの関係で直近で申し上げますれば、前から申し上げております花いっぱいプロジェクト、花のじゅうたんプロジェクトというのかな。そういったこともやってまいりたいと思っております。29ページ雇用創出であります。雇用状況は引き続き厳しいわけであります。もちろん新産業、それから既存の企業誘致など雇用の場の創出ということも合わせての雇用対策でありますが、私どもは20年度から始まります新たな雇用創出基本計画に基づきまして、とりわけ若年者、そして季節労働者の皆様方への支援にも取り組んでまいりたいと思っております。
それから、30ページ、31ページ、安心と活気に満ちた暮らしづくりというところでございます。今、支庁制度改革というものが一歩一歩進みつつあるわけでありますけれども、連携地域ごとに政策展開方針を作成させていただきます。このことは道議会で私どもからのご答弁で秋ごろということを言っておりましたが、これを前倒しさせていただきます。できる限り早く地域に対する私どもの政策展開の考え方をお示しすると同時に、それを実行するための重点プロジェクト。もちろん道財政は限られておりますので、不十分な面は多々あろうかと思いますが、そういったことも合わせて、具体的には31ページに地域再生チャレンジ交付金、これを増やしてまいります。それから、地域政策総合補助金、これも活用してまいります。また、赤平市支援、夕張市支援など、再生団体回避ということにつきましてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。
さて31ページから33ページが、地域医療提供体制の確保、そして高齢者・障がい者の地域生活支援という部分であります。このことは冒頭も申しましたとおり、地域で安心して暮らすための医療福祉というのは我々にとっての最優先課題であると考えております。そういった中で厳しい財政の中ではございますが、道単独の事業をいくつか展開しようと思っております。31ページにございます緊急臨時的医師派遣体制整備事業費補助金。緊急的に都市部の医療機関から医師不足の地域に対して医師を派遣するのを民間のご協力を得ながらやっていこうという取り組みであり、これを新規にやろうと思っております。また、地域医療に従事する方々、大学への入学者、あるいは研修医の方々を対象とした奨学金の創設。それから貸付金。それからドクターヘリの調査費。これは21年度の導入を期して20年度には調査費の計上ということも考えております。また高齢者の支援ということでは後期高齢者医療広域連合に対する助成など。また障がいのある方々に対するものとしては障がい者の医療費助成制度の対象に精神障がい者を新たに加えて制度を拡充することを考えております。また後先になりましたが、医師不足対策におきましては教育庁の方でも医師養成につながるようなさまざまなプロジェクト、人づくりプロジェクトというものも計上していこうと思っているところでございます。32ページの上の方にございます。また、道立病院、診療所の医師確保に向けまして、直接診療に従事する医師の処遇に配慮させていただいているところでありまして、こういった方々につきまして給与の独自縮減対象から除外ということも考えているところであります。
それから、33ページ、34ページは心豊かに安心して暮らせる個性あふれる地域づくりということでありまして、地震、津波対策、そして洞爺湖サミットに係る万全の警備体制。サミットについては後から触れさせていただきたいと思いますが、文化スポーツの振興も考えております。
34ページからでございますが、36ページまで安心して生み育て、健やかに成長できる子育て支援という部分でございます。35ページにございますが、離島在住の妊婦の方々は特にご負担が大きいということで、健診・出産に係る経費の助成。それから、これも35ページにございますが、子どもの医療費助成ということで、これまで未就学、小学校に入るまでの子ども達に対する入院、外来の医療費助成を道単でやっておりましたが、今回これを小学6年生まで拡大する。小学生の入院の部分まで助成を広げようと考えているところであります。また、子どもの育っていく過程を、子どもが健やかに成長するための環境づくりということで、いじめ、虐待防止など、子どもを守るための対策の推進。あるいは特別支援学校の教員を小中学校等に派遣して、障がいのあるお子様方に対するきめ細やかな指導充実なども図ってまいりたいと考えているところでございます。
それから、37ページからは環境と調和した社会の形成、3本目の大きな柱に入るわけでありますが、環境問題への道民意識の向上と実践、37ページ以降ございます。今年はサミットということでございまして、この年に向けて北海道環境宣言を発信をしようと、また環境を守るさまざまな取り組みをやっていく必要があろうと去年の知事再選以降、1年がかりくらいで地域づくり推進会議でご提案のございました森林環境税の検討であるとか、その他北海道らしい環境の貢献の中身、あるいは道民生活一人ひとりの環境負荷が全国平均よりも高い状況にありますので、こういったことの改善などさまざまな検討を進めてきたところでありますが、こういった中で20年度の予算について、ここでも計上しているようなさまざまな取り組みを考えているところでございます。38ページにございます北海道環境宣言を国内外に向けて発信、併せて北海道環境行動計画を策定することを考えております。加えて環境保全に貢献する企業を評価・認定する制度の導入に向けて検討もしようと考えているところでございます。38ページから39ページ、循環型社会の形成あるいは40ページにかけてもさまざまな対応策を記載しているところでございます。
41ページからでございますが、私が知事になりましてからこのようなことも記載させていただいておりますが、ゼロ予算事業というか、予算を特別につけない形でのさまざまな事業展開。財政の状況が厳しい中で財政投入だけが政策の重点ということではないだろうと。知恵と工夫で政策展開をしていこうということで、例えば赤レンガ・チャレンジ事業等も展開をしているところでございまして、こういったことにつきましてもここに記載をさせていただいているところでございます。こういった中では支庁それぞれの独自の取り組みもぜひ、強く展開をしていこうと思っているところでございます。
また、44ページ、45ページ、民間資源の積極的な活用、ここで新しい行財政改革の取り組みということにもなるわけでありますが、また45ページからは民間からのご提案をいただいたタイアップ事業のさらなる推進ということもやらせていただいているところでございます。今まで多くの企業の方々と包括連携協定等も結ばせていただいて、こういったことも重点的に展開しているところであります。
そして最後でありますが、さっきサミットのところで触れさせていただきましたが、昨日まで私、沖縄に行っておりました。いろいろ沖縄で感じたことを含めて、今回のサミットの関係の予算について、一言二言コメントさせていただきたいと思います。北海道洞爺湖サミットの予算計上につきましては、今回の知事査定に至るまでの間、去年の11月くらいから20年度予算には30億円くらいと何回か申し上げたつもりであります。しかしながら、実際上はサミット関連とはいろんなところに散らばっていると思いますが、20年度予算、何もかも入れて19億円ぐらいになっているところでございます。これは沖縄との比較においては5分の1ぐらいであるわけでありますけど、昨年度の予算も含めてそんな状況でありますが、二つくらい要素はあるかなと思います。
第1は、今回私どもの洞爺湖サミットに向けては、民間の方々とがっちり連携をしながらやるということで、道民会議の枠組みを作り、そこの事務局に我々道職員だけではなくて民間からもご出向を仰ぎながら、まさに文字どおり官民一体となってこのことを進めてきた。そしてご寄附、お金という形だけではないんですけど、現物なりサービス提供等を含めて本当に多くの道内外の民間の方々のご協力をいただいてやってきているということが一つあろうかと思っております。これは、沖縄で新旧の知事さん、それから民間で関与された方ともお話しをいたしましたが、やはりそういった中でも実感をしたところでございます。消防救急とか保健医療とかこのあたりはほとんど沖縄と違わない、これは当たり前ですね。違わないわけですが、もう一つの大きな特徴は警備関連につきまして、大変に国から、警察庁さんの方だと思いますが、ご高配を賜ったのかなと思っているところでございます。
そんなことで8年前の沖縄サミットと比べますと、ほぼ5分の1。また我々が20年度予算で当初予定した金額との比較においても、結構少なめに抑えることができたのかなと思っているところでして、私としては予算をかけないから我々は重点的にやっていないということでは決してなくて、最小限のコストで最大限の、北海道にとってやってよかったというサミットの効果を、事後的にも継続をしたいという思いを強く持っているところでございます。
記者からの質問
(朝日新聞)
政策的なことではなく、最初の方でお話をされた財政の全体的なことでいくつかお伺いしたいのですが、90億の収支不足が今回も見込まれているということで、国の直轄事業を3月という一番最後に払うべきものを計上しないという形にしたと思うのですが、いわゆる赤字予算だと思うのですけど赤字というのはどうなのかという気持ちがありまして、90億というのはこの1年できちんと埋まるという見通しを持ってやっているのか。そもそも、そのような見通しがあるのならば、なぜ最初からそのようにならないのか。その辺の見解をお聞かせいただきたいというのが1点と、長期収支の見通しの中で、道税と交付税が平成20年から26年までに除々に上がっているように見受けられるのですが、税源移譲で道税というのは増えるのであろうと思うのですが、実際になかなか払えない人たちがいて、その人たちの払うべきものが増えるとまたその人たちの払えない分というのが増えて、現場の人たちはどう思っているかというと、多分、税収が減るのではないかということを考えているんですね。それはその人たちの努力なのでしょうが、そういう現状の中でこの見通しというのは少し甘いのではないかというふうに感じるのですが、これについては確実に増えていくという見通しはきちんと道民に対して説明できるのか。その見解をお願いします。
(知事)
一つ目の90億の収支不足でありますが、現時点において、先ほどの繰り返しにはなるのですが歳入項目あるいは歳出項目、ギリギリいろいろと精査をした上で、なおこれだけ足りないということになったということであります。しかしながら、これから1年間をかけて更なる状況変化の中で更なるカンナがけをすることによって、なんとかその額の収支を合わせていかなければならないと思っているというふうにご理解をいただきたいと思います。
二つ目でありますが、特に道税の方だと思うのですが、まず総務部長、見通しの根拠を。
(総務部長)
昨日もご説明申し上げたところですが、今の税収の水準、それから税収と交付税との裏腹な関係といいますか税収の状況を見て交付税が決まるということですので、道という地方公共団体に見積もられる財政需要というのを見積もって今の現行の制度が続くのであれば、財源措置もなされるであろうということで、一般財源総額としてこの程度は見積もられるであろうという見込みを立てたものでございます。その中で税収の部分については20年度もまた更に徴収努力もやっていかなければならないと思っていますが、まだ徴収できていない部分もございます。そうした徴収努力の部分。それから20年度予算にもありますように、これまでも取り組んできておりますが、さまざまな経済活性化のための施策、この点はすぐには効果を表しませんが、年を追って効果が出てくるであろうというそうした見込みも含めて1兆4000億程度の中で数十億づつという形でありますが、そうしたことを見込ませていただいている形でございます。
(知事)
今申し上げたとおりなのですけれども、この徴税率というのはやはり道民の方々の間の税負担の公平性ということを考えた場合には、しっかり高めていかなければならないものだと思うのです。そのために我々道も努力をいたしておりますが、全道各地の市町村でも組合を作ったり、いろいろな手だてを講じながら徴税率の向上に努力をしておられて、それについては一定の効果は出てきているというふうに私自身理解をいたしております。我々道庁においてもそういったことをしっかりやっていく。そのことの努力というのは、まさに道民の方々の間の多くの方々は払っていただいておりますので、公平性確保という観点からご理解をいただきながらさらに高めていくということだと思っておりますので、ぜひ皆様方からも啓発をお願いしたいと思います。
(北海道新聞)
今回の当初予算案に名前をつけるとしたら、何予算というふうに知事はお考えかというのが1点と、メリハリのある予算ということでしたけれども、力を入れたのは経済政策であったり環境問題や医療ということでしたが、絞った部分というのは人件費と公共事業費だけと考えてよろしいのか。この2点を伺います。
(知事)
ひと言で予算をどう言うかというのは難しいですね。ぜひ道新さんでつけていただければと思いますが、歳出は絞ってますから最小限のコストで北海道を元気にするための目配りをしようとしている予算だということなのですが、なかなか私も頭が固いものですからひと言で言えるのはないですね。すいません。
それから、メリハリの部分で特徴というか我々として重点をしたところをご説明したわけでありますが、あえて言えば、それ以外の各既存の費目については政策評価を徹底して、廃止する事業も多々あるわけでございますし、また、今日はご説明はしませんでしたが、行革のさらなる加速化ということで関与団体の見直しの加速化など、そういった部分でのカンナがけはさらにいたしますので、そういった形でメリハリをご理解いただければと思います。
(NHK)
歳出削減の中で、これまで大きな焦点だった人件費の削減と公共事業費の削減について、当初知事のお考えになっていたラインよりは削減幅が縮小しているという形での新しい年度の予算ですが、こういった両方で少し譲っているという、そういった形になったことについて、知事のお考えをもう一度お聞かせ願えればと思います。
(知事)
人件費と公共事業についてのご質問でありますけれども、人件費については何といってもやはり道庁の歳出費目の中で大きなウェイトを占めている費目でございます。今まで長年にわたって道職員の方々にご協力をいただいてきた中で、大変に私自身、心苦しかったわけでありますけれども、さまざまな費目を見通してもなかなか対応しきれない部分について、職員団体の方々に我々の案というものをご提示を申し上げ、ねばり強く話し合いをさせていただいた結果、こういう形で344億円の道の人件費の独自縮減措置という形でセットをさせていただいたということであります。
公共事業の方につきましては、確かに11月にご提示を申し上げた削減幅との関係では若干の圧縮になったわけでありますが、やはり今足元、景気の不透明感が高まっている中で当初予定の道債残高の目標値を堅持しつつ今足元の削減幅を少し緩めて、そのかわり4年間を7年間に伸ばしてなんとか対応していこうということで、我々が数字を改めて練り直した結果でございます。なんとか関係者方面のご理解をいただければと思います。
(NHK)
今の関連で、双方とも削減幅を両方とも譲っているという印象がありまして、バランスも含めてということもあるのでしょうが。
(知事)
バランスというと難しいですけれども、費目、性格が全く違うわけでありまして、一つは人件費でありますので、職員お一人お一人のこれは、教職員、警察官含めての総体という費目でありますし、一方、公共事業というのはインフラ整備の経費でありますので、そこでバランスというのはなかなか難しいのかなと思いますが、それぞれを整理した結果として、それぞれこういう数字になったというふうにご理解をいただければと思います。
(毎日新聞)
今回新たな収支対策08年度から7年間改めて出たわけですけれども、新たな枠組みに向けた決意と、平成26年から先の展望についてはどのようにお考えかお聞かせください。
(知事)
私が知事になって5年でありますが、最初から厳しい道財政にいかに対処するかということで、試行錯誤を続けながら、今こうやって26年度末まで、我々が行革の推進期間として設定をした残り7年間についての計画を、改めて作ったところであります。
私達はまず、今の道財政の状況をなんとか改善をして、借金が借金を生む負の連鎖ということから脱却をして、健全な財政を構築しなければなりません。そして、そのことは次の世代を担っていく子ども達が大人になってこの北海道で生活をする時代に、攻めの道政を展開することができる道の財政にするためのものと考えているところでありまして、現役世代がやはり不退転の決意でやっていかなければならないと、このように思っているところでございます。こういった場でもよく言っておりますが、大阪府の府債残高が5兆円だそうであります。財政が危機的な状況だと言っておられます。その大阪の年間の歳出歳入規模、すなわち予算規模(一般会計)は約3兆2000億円でありますから、府債残高との関係で言いますと比率は1.5倍強ですよね。
道の場合には先ほど申しましたとおり、道の財政予算規模(一般会計)というのは
2.9兆円。道債残高は5.6兆円ですから、ほぼ2倍ですよね。これだけ見ても我々の厳しさというのは認識をいたしておりまして、そして、我々がこうやって努力をして26年度末に達成をしようとしている5兆円、これでもまだ多いのであります。しかしながら、あんまり無理をして、今足元が大混乱になるような改革というのはするべきではない。これは知事としての私の判断でありますので、こういった形で一歩一歩道民の皆様のご理解を得ながら、26年度末、すなわち計画年度末までに道財政の健全化に向けての道筋をつけていきたいと、このように思っているところであります。
そして、27年度以降どうなんだということでありますが、午前中の行財政構造改革推進本部第9回本部員会議でもちょっと申し上げたのですが、そこまで一生懸命やりますとその先は道債残高もどんどん減っていきます。それは、ちょっと考えればわかるのでありますが、職員の数が団塊の世代、あるいは大量に採用させていただいた時期が越えますので、その負担が楽になってまいります。また、公共事業の関係の借金の残高なり、発行額というのが、借換債だけでも20年度予算で3,800億円ぐらいあるんですね。これをいかに今、足元で努力しても過去に発行したものが当然のつけとしてくるわけでありまして、そういったことが今計画的に努力することによって、27年度以降は少なくなってくるわけでありますので、その効果は明らかに出てくる。私は、その意味では今この26年度末までしっかりと道民の皆様方のご理解、そして職員団体の皆様方のご理解を得て、この改革を推進することによって、もちろん拡大財政をどんどんしてしまったら、それは難しいかもしれませんけれども、そうならないような今の基本スタンスを維持しつつ、しかし必要なところにはそれなりの財政投入をするというふうな健全な形の財政運営をしていくことになれば、この先は私は明るい展望が見えると、このように見通しているところであります。
(読売新聞)
今のお話の関連にもなるかと思いますが、財政再建と申しますか、財政の健全化と申しますが、それを見た時に今何合目あたりにいるという認識なんでしょうか。
(知事)
難しいなぁ。入り口を入ってちょっとは経ったんでしょうね。でも、5合目までは行ってないし、2、3合目ぐらいですかね。
(日本農業新聞)
農業関係の話で恐縮なのですが、今回も去年もそうだったんですが、農畜産物は付加価値の向上ということで言われているんですが、そのあたりに配慮した予算付けをされているということですが、例えば細かい話ですけれども、北海道米の道内食率で80%を目指しますよといういわゆる数値目標を作られて、実際それが効果を上げられてきたという部分があると思うんですが、いわゆる道産食品の付加価値向上部分で改めてしっかりとした数値目標、スローガン的なものを作っていくお考えはないのかどうか。要は予算付けプラス実際そういうしっかりした目標を作ってやっていくという、その辺が意外とまだあいまいかなと気がして、その辺りのお考えを一つお願いします。
(知事)
どういう数字を持ってくるかもあるでしょうね。お米の道内消費率はわかりやすい指標なのですが、付加価値向上というのをどういう形に持っていくのか。ただ、経済部関連の経済活性化戦略ビジョン等の中でもやはり数量的な目標を念頭におきつつやっていくという手法をとっておりますので、農政部の方にも頑張ってもらって、いくつかの主要分野について目標値を設定しつつ政策を展開をしていくと。そういうやり方をぜひやっていきたいと思っております。
(日本農業新聞)
農業関連で先ほど若干お話があったのですが、BSEの全頭検査の関係で、今回は8月以降なので実質8カ月分で3,500万円の道の方の予算を食っているということで、平成21年度以降もやれば、毎年5,000万円くらい予算を組むということになると思いますが、財政が厳しい中なのですが、まずは一つは、財政が厳しい中で、予算をつけた理由と今後のことを財政のことを含めながら、もし何かあればひと言。
(知事)
BSEの全頭検査予算を計上した理由というのは、前から申し上げているわけでありまして、食料自給率200%の食料供給地域北海道としての我々の責務として、BSE問題について道民、国民の皆様方の完全なる理解が得られているわけではないということで、国の方にも要請はしたわけでありますが、科学的な根拠等を踏まえて「(国は)やらない」ということでありましたので、当面、国民の方々の安心が確保できるというめどが立つまでの間、我々独自でも検査をやらなければならないということで、20年度予算の計上を考えているところであります。その意味では21年度以降、諸般の環境を見極めながら判断をしたいと考えております。
(朝日新聞)
サミットの関係ですが、20年度でだいたい道の支出としては14億ぐらいに、19億は予算として計上していて一般財源が14億円ぐらいになると思うのですが、14億円とはいえ、財政が厳しい中これから増える可能性があったりするわけで、国とかに特別の財政的支援を今後も求めていくとか、そういう方針はあるのでしょうか。
(知事)
まずは我々自身が支出をしていくことになろうかと思います。事後的に様々な財政措置を求めていくことはあろうかと思いますけれども、我々自身、あるいはいろんなサミット効果、経済効果というものを試算をいたしますと、相当にプラスの効果も試算される中で、一定の道単独の支出ということも、道民の皆様方の理解は十分に得られるのではないかというふうに私は思っております。しかし、先ほどの繰り返しになりますけれども、事後的には国からの財政支援をしっかりと求めていこうと、このように考えております。
(NHK)
来週から定例道議会がはじまりまして、新しい年度の予算、それから議会で議論になっております支庁制度改革もあります。次の定例道議会に知事としてどういうふうに各会派に理解を求めていって、どういうふうな意気込みといいますか気持ちで、予算についても支庁制度改革についてもそれぞれどういうふうな気持ちで臨まれるのかお聞かせください。
(知事)
予算につきましては、私が2期目に入ってからの初めて、当初から計上する予算でございます。大変厳しい環境の中で、行財政構造改革の改めての第一歩の初年度でございますが、先ほども質問に出ましたけれども、メリハリを効かす形で編成させていただいたつもりでございますので、そういった点について各会派の皆様方のご理解がいただけるようなきめ細やかなご説明をしていきたいと思っております。そして、こういった予算、あるいは行財政構造改革、あるいは支庁制度改革、地域主権の推進など、今定例会もご議論いただくべき課題が多々ありますので、そういった一つ一つの課題について、理事者側の考え方というものを各会派の皆様方にご説明を申し上げ、ご理解をいただき、またご意見をちょうだいしながら、道政にそれを反映するなど道政向上に向けて、議会と、我々道庁サイドとは車の両輪でありますので、実り多い議会になればと期待をいたしているところであります。
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