知事定例記者会見記録(平成21年7月23日)

知事定例記者会見

・日時/平成21年7月23日(木) 16:05~16:24  
・場所/記者会見室
・記者数/22名(テレビカメラ2台)

会見項目

 

知事からの話題

1 大雪山系で発生した遭難事故について

記者からの質問

1 北海道アウトドア資格制度の活用及び山岳ガイドの規制について
2 遭難事故に係る新得町の避難小屋新設要請の動きについて
3 全国知事会における政権公約評価特別委員会への参加等について
4 道有資産の売却に係る取組等について

 

知事からの話題

 

大雪山系で発生した遭難事故について

[配布資料:ツアー登山の山岳事故防止について
 
 大雪山系で発生した遭難事故についての今段階での私どもの考え方についての報告でございます。
 今月16日に発生しました大雪山系での遭難事故では、10名の方がお亡くなりになるという、過去に本当に例のない事故となりまして、心からご遺族にお悔やみを申し上げる次第であります。
 そして再発防止のための取組について、今、私どもの考えておりますことについてご報告をいたします。
 今週週明けの21日に開催いたしました関係機関や専門家などが参加された「北海道山岳遭難防止対策協議会」の場におきまして、近年の中高年の方々の登山ブームを踏まえまして、遭難防止に向けた共通認識を図るとともに、一般の登山者の方々に対して本道の夏山登山の特殊性や十分な装備の必要性などについて周知徹底していくことを確認をいたしたところでございます。
 実はこの登山人口がどれくらいかというのは、所管省庁がどこかということを含めて、必ずしも明確になっていないようでありますが、一説には800万人から1,000万人というふうに言われております。どんどんと増えてきていて、かつての登山に行かれた方々というのは、若い頃、学生なりグループで登山をやっていて、そういった技量と知識、経験もある中で登山をさらに続けようとする方々が多かったかと思いますが、最近は登山愛好家グループとでもいうのでしょうか、健康を維持するために、また、すばらしい自然に触れるために登山をする方々が中高年を中心に増えてきていると言われています。
 このこと自体は観光立国、北海道として大変ありがたい限りでありますが、別の面から見ますと、こういう方々は若い頃からのご経験とか知識とかが必ずしも十分ではない方々が多いという実態にあるわけです。
 ちなみにこういった登山人口全体の中で、ツアー登山、すなわちエージェントが間に入るような登山の割合は2%くらいしかいないと言われています。だからこそ私どもとしては今申しましたとおり、まずは一般の登山者の方々に対して、北海道における夏山登山の留意点ということをしっかりと情報提供することが重要であると思いまして、まずは道庁のホームページに登載させていただいているところです。
 また、大雪山系を抱える4地方の山岳遭難防止対策協議会の統一の取組としてチラシを作りまして、宿泊施設等に配布をし、登山者の方々に注意喚起を始めているところでございます。
 そして一方、一般の登山者の方々に対する情報提供に加えまして、ツアー事業者に対しましては、余裕のある行程、気象などの諸状況等の的確な把握、適切な装備、緊急時の連絡体制の確保など、事故の未然防止の徹底について、全国の事業所に要請することといたしておりまして、今日中の文書の発出を予定しております。
 しかしながら私どもが主として指導できるのは、道内のツアー事業者に関わる場合が中心とならざるを得ないわけでありまして、ツアー事業者というのは全国に及ぶわけでありますので、私どもとしては、国の観光庁に対しても業界が定めておられるガイドラインにおける取扱なども含めまして、徹底を図るように要請をすることとしているところでございます。
 ここにもツアー事業者向けのチラシを掲げさせていただいておりますが、私どもとして今、山岳遭難防止についていろいろな考えを皆様方にご提示したいと、このように思っているところでございます。

記者からの質問

(道新)
 引き続き、大雪山系の遭難事故のことで伺いたいのですが、一つ目は、今回トムラウシの登山ツアーでは、三人ガイドがいらっしゃって、山岳ガイドの資格を持っている方がお一人だけで、二人は無資格者というふうに聞いています。ガイドの技能や判断が適切だったかということも、今回問題になっているのですけれど、一方で北海道は1990年代後半に羊蹄山などの遭難事故なども受けて、遭難対策の防止という観点も含めて、北海道アウトドアガイドの資格制度を創設したと思うのですが、今回またこういう同じような遭難事故が起きて、制度が十分に活かされていないのではないかという指摘がありますが、その点について知事のお考えを伺いたいというのが1点と。あともう1点、今回の事故を受けてというのもありますし、その前から山岳関係者の中では、道内の山岳ガイドの規制を強化すべきというような声もあります。実際に長野県では、道のように山岳ガイドの資格の試験を実施して、その試験に合格した山岳ガイドの方のみを知事がガイド業の許可を与えるというような規制も行っています。知事として今後、道内の山岳ガイドについて規制をするお考えがあるかどうかも含めて、あらためて今後の対応を聞かせてください。

(知事)
 一つ目ですが、今回のこの三つのグループの登山、特にそのうち二つを扱われたツアー会社に対して警察の捜索も入るなど、業務上きちっとした責任を果たすような体制になっていたかどうかということについて、捜査が行われていると理解をいたしております。
 その結果が出てからということになろうかと思うのですが、私も報道を通じて、あるいは道庁内から報告を聞く限りにおいて、やはり今回不幸にして亡くなられた方々の多くが、大変軽装でおられたということ。それからガイドが、今おっしゃられたとおり、お一人は経験者であったけれども、あと二人は経験がない方であったというようなことなどを聞いておりまして、やはり、今回の事案、事故がどうして起こったかということをしっかりと検証することがまずは重要だと思っているわけであります。
 そういったことを踏まえて、私どものアウトドアの資格制度もご案内のとおり今見直しをいたしているところであり、その中にも反映をしていかなければならないと、思っているところでございます。
 それから、長野県のケース。これはあらためて私どもとしても勉強させていただきますが、ツアー登山においてどういった注意を喚起をしていくのか、そして登山者が安心して快適な形で登山を楽しんでいただくのかという中で、このガイドの役割というのは大変大きいと思います。
 ツアーですから、ツアー会社を通す場合、あるいはそうじゃない場合のほうが先ほど申しましたとおり多いわけでありますけれども、いずれの場合においても随行されるガイドの役割というのは大きいと思いますので、これも実態をいろいろ把握をした上で、対処を考えていく必要があろうかと思います。
 今時点で、既にやっておりますこと、それからこれからも引き続き関係者に要請をしたいと思っておりますのは、出来る限り山岳ガイドの資格をしっかり持っている方々、特に北海道の場合には、アウトドアの資格制度を有する方々もおられるわけでありますので、そういった方々を利用していただく形で登山に臨んでいただきたいという働きかけをしてまいりたいと思います。
 その上で、今後さまざまな方面から意見もお伺いしながら、今後のさらなる対応が必要がどうか検討していきたいと思います。


(勝毎)
 山岳の関連で、地元の新得町が道に対して避難小屋の設置を確か要請、まだしていないかもしれないのですけれど、要請する方針を固めておりまして、それに対しての現時点での考え方というのをお聞かせください。

(知事)
 まだ私自身、報道を通じてしかそのことは承知いたしておりません。具体的な新得町さんのご意向をお伺いした上で、我々としてできることを対処していきたいと思っております。
 まだ、ご要請きていないですよね?

(観光局長)
 まだ私のほうにもきていないです。防災のほうにも確認してみます。

(知事)
 はい。
 よろしいでしょうか。また必要であれば補完的にご説明する機会もあろうかと思います。


(朝日)
 少し前の話になるんですが、全国知事会の件です。知事会の場で特定政党の支持については、先週の記者会見でも知事の見解を述べられていますが、知事会で決まった内容の一つに、地方分権政策について知事が各政党のマニフェストを採点して公表するということを取り決めていまして、採点にどの知事も参加できるというふうになっているようなんですね。それについて、知事が現時点で採点者として参加する意思があるのかどうか、まず1点と、今度の衆院選挙は道民、国民を含めてマニフェストというものの重要性が一層増しているかと思うんですが、各党から正式な形で出たマニフェストを、高橋知事がこういう記者会見の場なんかで所見を述べるということも、ひとつ道民へのメッセージになるかと思うんですが、そうした考えがあるのかどうか、この2点をお伺いします。

(知事)
 まず、知事会の有志がマニフェストを評価するということになって、私も手を挙げさせていただきましたので、まだどこの党も正式なものを出しておられないと思うのですけれども、出た段階で、私も知事会のメンバーとしてマニフェストの評価をしたいというように思っております。
 それから二つ目のご質問。今までやったことはないのですが、少し考えます。各党、中央から出るものと各地域ごとにもたぶん出されると思うのですね。それぞれについて、道知事として見て評価するというのは一つの考え方だと思いますので、検討いたします。
 ただ、各党のマニフェストがどれくらい具体的な書き方になっているかにもよると思います。「~に努めます」とか「~を創設します。」と書いてあるだけだと、その中身が良くわからないと、誤解なり、十分な理解の上に立たない判断ということにもなりかねないので、中身を見た上で判断させていただきたいと思います。
 いずれにしろ知事会として一定の考え方の基準のようなものは提示されますので、それに沿う形で評価をしていきたいと思っています。

(朝日)
 知事会の意見をつくる際に、採点者として知事がそこに参加されるということですね。

(知事)
 はい。


(日経)
 道が所有している旧庁舎などの遊休不動産についてお伺いいたします。昨年来の景気低迷による不動産市況の悪化で、遊休不動産、未利用地、低利用地の売却が非常に急減しているという状況がありまして、道にとっても債務を圧縮していく上で、避けて通れない課題だと思うのですけれども、担当の部などがいろいろ知恵を絞って頑張ってらっしゃるというのはお聞きしているんですが、例えば昨年度の売却実績というのが計画に対してだいたい2割弱ぐらいにとどまっているという現実があるんですけれども、さらに今年度も約40億円という目標を掲げているんですが、今の状況を見ると、ちょっとやっぱり現実的には厳しいのかなという思いもするんですけれども、現在の売却問題に関する知事のご見解と、今後どういうふうに売却促進に向けた取組を進めていくかというこの2点をお伺いしたいんですが、お願いします。

(知事)
 道有資産の売却を含めた有効活用というのは、道財政がここまで厳しい私どもにとっては、大きな課題であるという認識のもとに鋭意進めているわけでありますが、とりわけ去年後半以降の大不況、世界同時不況という中で、大変苦戦をしているというのは今おっしゃられたとおりでございます。
 私どもとしては少しでも多く売っていきたい、有効活用を図っていきたいという思いはあるわけでありますけれども、そのために民間の方々の知恵をお借りするとか、民間有識者の意見を参考にした売却の仕方の工夫とか、全部一体ではなくて分割するとか、いろいろなことをやってはおりますが、それでも当面はなかなか難しいかなというように思います。
 ただ、これは長期的に達成、実現をしていかなければならない課題でありますので、去年、今年とだめでも、来年、再来年と引き続き努力を続けていく。そういったことの一環として、東京事務所を売却ではなく有効活用をするということで方向性の議論も深めたのでありますが、今は引き受け手が見あたらないということで頓挫しております。こういったことも含めて、前向きに検討をしていかなければならないと思っております。
 あまり軽々なことは言えないのですが、今回の国の補正で3カ年間使えるという基金もいくつかございまして、政権の行方によってはそれ自体も不透明になるかもしれないといういろいろなことはあるのでありますが、もし今の補正のままということであれば、ここ一両年はそれなりに道財政全体にとっても、もちろんベースとなる厳しさは全く変わらないのですけれども、少し財源においてゆとりのかけらぐらいはできたかもしれないという感じもありますので、その意味では今ご質問のございました道有資産の売却など有効活用ということについても、急ぎながらもしっかりと腰を据えて対処を進めてまいりたいと考えております。

 


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