知事定例記者会見
・日時/平成22年1月4日(月) 14:31~14:52
・場所/記者会見室
・記者数/28名(テレビカメラ2台)
会見項目
知事からの話題
1 年頭に当たって
記者からの質問
1 北海道エアシステムについて
2 知事の政治スタンスについて
3 道内経済の活性化について
4 アイヌ政策について
5 道単独事業について
知事からの話題
年頭に当たって
今年初めての記者会見、あらためてよろしくお願いいたします。と言いましても、1週間くらい前の仕事納めの日に記者会見がありまして、それから年明け初めてということで、その間、世の中あまり大きな動きがなかったので、そういう意味では去年申し上げたことと、あまり違いはないかなと思いますが、年も変わりましたので、これからということでいくつかお話をさせていただきたいと思います。
国の政府予算が閣議決定されまして、こうなりましたら1日も早く補正予算も含めて成立していただきたい。今日の庁議の時に申しましたが、道内の景気、雇用対策をしっかり行っていかなければならないと今思っているところであります。
それから、中国をはじめとするアジアに対するアピールを今年何としても行っていきたいと思っておりまして、9月には上海へ出張に行って、中国の方々にしっかりと北海道のアピールをしていきたいと思っているところでございます。
それから、今月、国が中核となるアイヌ政策の展開もスタートするところでございますが、これに向けては去年まで道内でも議論を深めてまいりました。また、新たな有識者会議(アイヌ政策推進会議)のメンバーには、道内からも参加されるわけでありまして、心を一つにしてさまざまな提言をしていきたいと思っております。
それから、これは仕事納めの日でしたか、北方領土問題の解決に向けて、岡田外務大臣がロシアに行かれまして、向こうのラブロフ外相と議論されました。こういった外相ベースあるいは首脳ベース、いろいろな形で議論、交渉が展開して、一歩でも前に進むことを心から期待すると同時に、私自身は去年果たせなかった北方領土への訪問を何としても今年は実現したいと思っております。
加えて、四島のほうはまだ日程が確定していませんが、去年久方ぶりに東京にプーチンさんが来られた際に、ロシアの何人かの有力な知事さん方が来られて、日露の知事会議を再開しました。そして、麻生全国知事会長のご判断があって、今年は5月上旬にロシアのモスクワで行われるということでありまして、私にもお声がかかっております。
私といたしましては、この北方四島への訪問の日程とうまく調整がつくようであれば、また他の日程と調整がつくようであれば、モスクワに行きたいという思いをもっているところでございます。
それから4月からは新しい支庁制度がスタートいたします。私といたしましては、あらためて地域に軸足を置き、それぞれの地域の資源を活用し、地域の方々のご意見を入れたような形での道政を進めてまいりたいと考えているところであります。
もう一つ、1月から2月にかけて釧路と札幌で「くしろサッポロ氷雪国体」がございます。今回は皇室のご臨席がないということで、少しさみしい感じがしますが、私も釧路のオープニングには出席させていただこうと思っております。
また、6月にはAPECの貿易担当大臣会合が札幌市で開催されますので、しっかり準備をしてまいりたいと思っております。
記者からの質問
(STV)
HAC(北海道エアシステム)の問題なのですが、まさに今年、地域路線の存続に向けて正念場だと思うのですが、現時点で株の問題ですとか、道財政の出動の問題なども含めて、知事の構想というかプランを、あらためてお聞かせいただければと思います。
(知事)
この問題につきましては、JALからの申し入れがあった直後以降の記者会見の中で、できれば年内にも方向性を出していきたいと申し上げた経緯がございます。また、年末の各社さんのインタビューでも聞かれておりまして、それにお答えしたことと同じことしか申し上げられませんが、去年の秋でしたか、JALから私どもに対して、HACの株式の持ち分を縮小したいという申し入れがあった後、いろいろ議論、お話し合いはしているのですが、JAL自身の本体の経営のあり方、再生をいかに図っていくかということについて、いろいろ報道されておりますが、その内容の検討が少し遅れているところでございまして、何も変わっていない状況の中で、私どもとして実質的な交渉入りができていないわけであります。
1月中旬以降になるのでしょうか、JALの本体の再建の方向性が見えてくれば、さまざまな各論に向けてもJALのご発言というのが出てくると思いますので、そういったことを見極めた上で、株式の持ち合いだけではなく、HACという道民の足を守るために、いろいろと手を打っていかなければならないことがありまして、全体としての運営のあり方について、その段階で関係諸方面と議論を進めていかなければならないと思っております。
(共同通信)
今年は、7月に参院選が予定されておりまして、それで去年の民主党の陳情システムですとか予算をみますと、やはりかなり自民党に対して厳しくなってきているという現状がございます。そういうのも踏まえた上で、参院選に向けて自民党と民主党に対する知事の接し方というのをあらためてお聞かせ願えませんでしょうか。
(知事)
政権交代から3か月、4か月くらい経ったでしょうか、私自身の仕事ということを考えた場合に、常に政権与党と向き合って、言うべきことを言わなければならないし、苦言のようなことも言わなければならないし、また、政策提言なり要請なり、いろいろなことを繰り返さなければ、道政をやっていくことはできないということで、ここまで私自身も模索をしながらやってきたところでございます。
そういった延長線上にあって、今年の夏にも想定されている参議院選挙における私の政治家としてのスタンスにつきましては、まだ今の段階で決めているという状況ではございません。これからの動きを見ながら、あくまで私は道民党で仕事をやらせていただいておりますので、そういった中でどのように判断するのか、またしかるべきタイミングにご質問があれば、お答えすることもでてくるかと思います。
(北海道新聞)
今日の仕事始めの挨拶で、新生北海道の創造に向けて二期目の総仕上げを図っていく重要な年だとおっしゃっていましたけれども、先ほどおっしゃったようにいろいろ北方領土の問題ですとか、アイヌの問題がいろいろあると思うのですが、道内経済がいまだ厳しい中で活性化などに向けて、総仕上げとしてどのように取り組んでいかれるか、あらためてお聞かせください。
(知事)
中長期的に取り組んでいかなければならない課題と、短期決戦でやらなければならない課題とがあると思います。それでこの経済構造とか産業構造を変えていくというのは、相当、地に足をつけてというか、中長期的に計画的にやっていかなければならないことだと思っております。
その意味では、ここまで7年間、何としても北海道の経済産業構造の多極化というか多層化というか、今まで建設業の方々にばかり依存していた構造を改革していかなければならない、変えていかなければならないという意味で少しずつやってきたこと、その成果が少しずつ出てきているとは思っているところでございます。
しかしながら、このことは一定の期間の計画性を持ってやっていかなければならないことですし、また同様に道財政の改革ということも、やはり1年2年でできる話ではなく、長い期間で取り組んでいかなければならないということだと思います。
それはそれで、その努力を予算なり、また民間の方々とのコラボレーションということを、これも今日の職員への話の中でも申し上げたのですが、そういった手法を使いながらやっていくわけですが、今年はやはり何としても目の前で厳しくなっている道内の景気雇用対策を少なくとも前半は充実してやるべきではないかと思っております。
年末、仕事納めの日に、年明けに必要であれば臨時議会を開くなど、やはり今までと同様に時機を失することなく、国の補正が成立したら直ちにそれに対処できるような、そういった構えをもった道政運営が必要だということも総務部長に指示をしているところでございますし、そういったことをまずは今年、何とか少しでも上向くように持っていくということが重要と思っております。
そのためには、やはり建設業界の方々が現在でも北海道経済の中における重要な位置付けを持っておられること、とりわけ地域にいけば地域にいくほど、雇用などを中心に大きなウエイトを持っておられることを前提として考えた場合に、17パーセントを超える開発予算のカットということは、やはりなかなか厳しいものではありますので、もちろんできることに限りはあると思いますが、道単独事業の発動なども視野に入れながら、私は予算を検討していかなければならないと考えております。
(毎日新聞)
アイヌ政策についてお伺いしたいのですが、冒頭でも知事も少し触れられていましたけれども、今年一年を通じて、どのような問題があるですとか、どのような課題がある、どのようにしていきたいと、基本的な姿勢などについてお聞かせ願えればと思いますので、よろしくお願いします。
(知事)
まず、去年の7月でしたか、前政権時代にまとめた報告書の過程でも大変苦労はあって、当時は道内メンバーというのは、加藤さん((社)北海道アイヌ協会理事長)と常本さん(北海道大学アイヌ・先住民研究センター長)と私と3人きりでしたので、例の立法措置のことを含めて、相当きつく何回も反復継続的に言って、今のような報告書になったという経緯があります。
その後に政権交代があり、所信表明で鳩山総理がそのことに言及をされており、大変期待感を持って、年内にも何か具体的な方向性が出ればいいなと思っておりましたが、ちょっと越年しました。しかしながら、我々の期待をはるかに超えるようなタイミングではなく、近いタイミングでそれが実現しそうな気配になってきているということは大変嬉しく思っているところです。
そしてその上で、来年度予算で、まずは実態調査を行うという方向が出てきているようであります。このことは、道内では北大なりアイヌ協会のご協力の下、ある程度の実態調査は行っておりますが、道外といえば、ほとんどありません。
特にアイヌの方々の道外での人数が少ないということもあるのかもしれませんが、他の国における先住民族の方々の当該国の人口比みたいなことで比較をしますと、アイヌの方々の日本人の人口に占める割合というのは、低い数字が出てきておりまして、そんなこともあってなのか、実態調査もまだ行われていません。それをまずやっていただいて、実態を見極めた上で、いろいろな生活支援なり教育支援は申請主義でやらざるを得ないので、申請があった場合に、その方が有資格者かどうかの認定というそういったところの立法措置なり施策展開の大前提になる調査の予算が計上されたということは大変嬉しく思っておりますし、そういったことがまずスタートかなと思っております。
またアイヌ民族との共生の象徴の施設というのでしょうか、これをぜひ北海道のしかるべき場所につくっていただきたいと思っておりまして、このことも実現に向けて動き出すのではないかと期待しております。
それから、やはり教育政策が大事だということは、加藤理事長もいつも言っておられて、私もその通りだと思っております。やはり教育レベルを高めることがアイヌの方々の生活における困難性から脱却していただくための、十分条件ではないけれど必要条件という、必要不可欠な一歩でありますので、例えば今の奨学金制度についても十分なのかどうか、私は十分だとは思っておりませんが、そういったことを含めて、私もいろいろな発言をしていきたいと思っているところでございます。
何としてもこのアイヌ政策の全国展開ということが、政権の枠を超えて、これからも一歩一歩、着実に進むことを道内の関係者の方々と共に見守り、発信して、そして実現を期してまいりたいと思っております。
(日本経済新聞)
先ほどの経済対策で道単独事業の発動ということなのですが、これは平成21年度に比べて、予算の規模としてはそれを超えるという可能性が高いという認識でよろしいのでしょうか。
(知事)
まだそこまで数字を詰めるところまではいっておりません。まずは道税収入の状況を見極めなければなりませんし、交付税について原口大臣も大変頑張っていただいて増額との政府案にはなっておりますが、減った部分と見比べた場合に、本当に道の歳入として増えると見込んでいいのかどうかという問題があります。そこの見極めもあるかと思います。
また一方で、例えば開発予算について、17パーセントダウンとなった場合に、直轄部分は今回は法律を出して、維持修繕の部分はなしとすると言っておられますけれども、直轄の残る部分の我々の負担なり、補助の我々の支出の分なりについて、国の負担が減れば、こちらも少しずつ減るかなと。そこをどのくらい見込むかどうかです。
ただ、直轄負担金などは、地方の負担が減る分、地方財政計画の規模も縮小するという話になってしまいますので、ここはプロにいろいろと道の歳入歳出を見極めてもらった上で、私としてはできる限りのことをやっていきたいと思っておりますので、現段階で額的にどうかということは言えないですが、ただ気持ちとしては、今申し上げたことを前提として、財政当局によってまずは見極めをしてもらいたいと思っております。
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