知事定例記者会見
・日時/平成22年5月19日(水) 14:00~14:30
・場所/記者会見室
・記者数/29名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 「北海道モデル」の展開について
2 国際会議の開催について
3 北海道地球温暖化対策推進計画の策定について
記者からの質問
1 米軍普天間飛行場の移設問題について
2 矢臼別演習場における実弾射撃訓練について
3 北海道新幹線の並行在来線について
4 北海道新幹線の並行在来線について
5 森林環境税について
知事からの話題
「北海道モデル」の展開について
[資料:「北海道モデル」の展開]
私からは3件お話をいたします。
一つ目は、「北海道モデル」についてでございます。
北海道には、他の地域より優れた利点、優位性、特性がありますし、また、少子化であるとか過疎化であるとか、広大であるがゆえに他の地域よりも厳しい環境にあることによる課題なども抱えているわけでありますが、そういった中で、優位性、特性を生かした北海道らしい取組をすることを「北海道モデル」と私どもで名付けまして、取組を進めていこうということを前から申し上げているところです。
また、確か総理に就任される直前くらいに鳩山総理とお会いし、これから「北海道モデル」に取り組んでいくのでぜひ応援してほしいということを申し上げた経緯もあります。
そういった中で、例えば最近、エゾシカ対策に全道挙げて取り組もうという協議会も立ち上げましたし、また、今日もこの後、食クラスターの連携協議体の発足式が行われるなど具体的な動きにも着手しているところでございますので、この機会に「北海道モデル」の展開についてご報告を申し上げたいと資料を準備したところです。
私どもは、本道の地域の優位性なり特徴を活かしていろいろ取り組もうとしているのでありますが、一方で、国、政府が昨年末にまとめた輝きのある日本へ向けた「新成長戦略」の基本方針の中で、「グリーンイノベーション」あるいは「ライフイノベーション」という二つを今後の我が国の成長の鍵と位置付けておられ、まさに私どもと方向性において一致する部分があるわけです。こういった国の政策、考え方も活用しつつ、我々として世界に誇り得る多くの「北海道価値」を最大限活用して、我が国そして世界に貢献をしていきたいということであります。
具体的には、これから来年度の国費要望もありますし、道州制特区の枠組みなども活用しながら必要な規制緩和や支援制度の創設などを提案し、また、我々自身が民間の方々と共に取り組んでいくということも行っていきたいと考えております。
今回、掲げた六つというのは、今までも皆様方に対して部分部分について、私どもから情報発信をさせていただいたことが多いものばかりだと思います。
「食クラスター」につきましては、今年度予算で相当程度盛り込んでおりますし、地域の芽としては、例えば、先般、美唄をお邪魔したときに、障がいのある方々を雇用しながら、ホタテの貝殻を配合したチョークを製造しておられる企業さんがありました。こういったことも、この北海道の食というものを活用した一つの地域の芽でありましょうし、私どもも期待をしているところです。
それから、「観光立国日本をリードする滞在型国際観光地づくり」という意味では、G8サミットの舞台になった洞爺湖のホテルもありますし、また中国映画の「非誠勿擾(フェイチェンウーラオ)」の舞台になった道東の温泉街もありますし、いろいろなところを想定しております。
それから「健康大国・ライフイノベーション拠点モデル」。これは、北大北キャンパスに、さまざまな研究機関を集積させるということを、これも5年10年くらいかけて着々とやってきておりまして、シオノギ製薬も誘致しました。そういった相互連携も活用していこうと。
それから「環境・エネルギー」分野でありますが、これは後から説明します地球温暖化対策の計画とも関連いたしますが、「森林資源循環モデルの構築」ということを考えております。また、「再生可能エネルギー活用型社会モデルの構築」、例えばこれは新エネルギーの活用といった取組も考えております。
そして、これらに「エゾシカ・カリング・モデルの構築」も含め、六つを、まずは典型例として取り上げているところでございます。
今後は、こういった取組を充実させ、地域のモデル的な取組をピックアップしていくと同時に、それ以外の分野の取組にも広げていきたいと思っているところです。
詳細につきましては、総合政策部でやっておりますので、そちらのほうにお問い合わせいただきたいと思います。
国際会議の開催について
[資料:第12回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM12)の開催について]
[資料:日本APEC貿易担当大臣会合の札幌開催について]
二つ目は、国際会議がここで二つくらい重なってまいりますので、そのご報告であります。まず目の前、22日と23日の二日間、千歳市及び苫小牧市の2市において、日中韓三カ国環境大臣会合が開催されます。これは一連の国際会議の一つという位置付けでございまして、日中韓の枠組みで言いますと、観光担当大臣会合を数年前に釧路、旭川、札幌、3都市で行いまして、それ以来と思っております。
23日には、全体会合後に私ども道主催の昼食会があり、そして22日には国主催の夕食会、これは私どももお招きを受けておりまして、アイヌの古式舞踊の披露等も行おうと思っているところです。
基本的には千歳市でバイ(二国間)の会合が、そしてその本体会合でございます三カ国間の大臣会合は苫小牧市で行われるということになっております。
それからAPECの貿易担当大臣会合が6月早々にあるわけでありますが、その前段として、26日からは高級実務者会合、SOMと言っておりますが、これの関連会合がスタートいたします。
今後一連の会合を経て、6月5日、6日の二日間、札幌で行われます貿易担当大臣会合に連なっていくというふうに理解をしているところでございまして、こちらにつきましても、あらためて皆様方に情報提供させていただきたいと思っております。
北海道地球温暖化対策推進計画の策定について
[資料:地球温暖化対策について]
三つ目は、北海道地球温暖化対策推進計画の策定についてでございます。
先ほど、推進本部員会議を開催し、この計画を決定したところです。今後この計画に基づいて、各部が重点的に取り組む施策を取りまとめた「ガイア・NEXTプロジェクト」を決定しました。これは22年度の事業費で約90億円を考えているところでございます。
これも配付資料がございますけれども、皆様方からは、前計画というのは達成されていないではないか、2010年度までに1990年比で9.2%削減という目標を掲げながら、現実は2007年、直近の数字で見ると、0.4%増えているというふうにお叱りもいただくかと思いますが、私どもとしては、計画をスタートした直後、この段階が一番重要だと思っておりまして、これは配付資料でございますが、ちょっとわかりにくいので、後から道民の皆様向けにはわかりやすくするように担当部長に指示はしておきましたけれども、今、国のほうでも地球温暖化対策の基本法案の審議が国会で進んでおりまして、たぶん常識的に言えばこの国会中に成立するでしょう。1990年比で25%のCO2削減という目標が国の政策のスタートになるわけでありまして、私どもといたしましては、まずは今回の私ども独自の計画に基づきまして、このまま放っておけば、2020年にはすう勢的にこの位の量までCO2が増えるであろうと予測し、そこから我々だけの自助努力で10.8%のダウンに取り組もうという計画にしているわけでありますが、国が法律で書いている1990年比という意味では、現在我々だけでやろうとしている部分が4.5%の削減、この独自目標をまずは先行スタートをさせていただこうと考えているところです。
国の法律に基づくこの大胆なCO2の削減につきましては、賛否両論いろいろあるようでありますが、やはり道知事といたしましては、森林のたくさんある北海道でございますし、何としても国と同じ目標を達成するよう取り組んでいかなければならないという強い思いを持っておりまして、そのためには、この4.5%という現在の自助努力の数字の目標、これに相当上積みをしていかなければならないところです。国のほうで、まだ森林等による吸収量の計算方法つまりルールが明確になっておりませんので、そこもまだ計上できておりません。
また、国の新たな政策等による削減ということも当然これから出てくるでしょうから、そういったものを併せて国の目標と同等あるいはそれ以上のことを達成するべく、スタートラインで一生懸命やっていきたいと思っています。
そしてそのためには、先ほど本部員会議でも触れたのでありますが、我々が90億円をかけてさまざまな政策をやっていくわけでありますが、道民の皆様方のご理解、ご協力ということがないとできないわけでありますので、このための広報活動、あるいは、これも配付資料にあろうかと思いますけれども、「CO2見える化」など道民と共に取り組む環境行動の加速化というようなことも含めて、しっかりと道民理解を深めながらこの取組を進めていきたいと思っているところです。私からは以上3点です。
記者からの質問
(共同通信社)
17日に新党大地の鈴木代表が鳩山総理と会ってですね、道内の自衛隊の基地や演習場を活用するようにという提言をして、首相もそれに対して受け入れに向けて要請をしたという話が報道にも出てましたが、それに関しての知事のご意見を伺いたいのですが。
(知事)
私も報道で拝見をいたしております。報道以上のことは存じ上げていないのですが、別途私どもに知事会から連絡が来ているところでは、27日にこの問題を主たるテーマとして臨時の全国知事会を開催したいということですので、私自身出席をしようと思っています。
総理がその場にご出席されるのか、あるいは政府のどなたかが出席されるのか、どういうご発言をされるか、それによってもまた私どもの対応は変わってくると思いますが、以前から申し上げておりますとおり、普天間をはじめとして米軍基地の多くが沖縄県に集中しているという現状にかんがみ、その沖縄県民の皆様の負担軽減を北海道を含め国全体で考えなければならないということを強く認識しているところでございます。
そういった流れの中にあって、前回の記者会見でも申しましたけれども、道として矢臼別演習場における実弾射撃訓練、そして千歳基地での戦闘機訓練の二つをもう既に受け入れているところでございまして、前回、ちょっとあやふやな知識だったのであらためて確認をしましたら、都道府県ベースでこのような二つの訓練の受け入れをしているのは北海道だけでございます。そういった意味では、私どもとしてこの沖縄の負担軽減に一定の協力をしていると認識をしておりますが、その上で、知事会の場で政府サイドから、鳩山総理かどなたかからお話があれば、それを踏まえて考えていくということではないかと思います。
しかしながら、知事会の開催が公表になって以降、道内のいろいろな場でいろいろな方々と話す機会があったのですが、やはりこの北海道へのさらなる米軍訓練の受け入れについては、相当慎重なご意見をおっしゃる方々が結構おられるということをあらためて私自身認識をしたところでございまして、その意味ではまだ少し時間がありますので、今後いろいろな考え方を庁内でも話し合わなければならないと思いますが、27日の知事会における政府側のご提案あるいはお話を踏まえて、どのように私自身が発言をさせていただくのか、今後慎重な検討をしたいと思っております。
(NHK)
関連してなんですけど、矢臼別の演習、実弾訓練に関しては一応縮小してほしい、毎年じゃなくしてほしいような要請をしていたというような認識があるんですけれども、現時点で受け入れているものに関して、ある程度縮小なり隔年にしてほしいというお考え方は、これまでと変わらないということでよろしいんでしょうか。
(知事)
このことについては、矢臼別演習場で、今年も米軍が訓練を実施するということが決まった段階で、担当の多田副知事から国のほうに申し入れをしております。申し入れの内容としては、夜間の訓練の自粛ですとか、訓練情報の提供ですとか、矢臼別での米軍訓練を固定化すべきではないことなどですが、 基地の縮小について誰か正確なところ説明できる人いますか。訓練場所を矢臼別に固定化はすべきではないということはこれまでも最初から主張しておりますが、後ほど担当から補足させていただきます。
(朝日新聞)
先週に引き続いて並行在来線の関係を伺います。先ほど午後1時から、函館市長がJRのほうを訪問しまして、実際に幹部の方、取締役の方に会われたんですけど、その場で正式に、今JRが示しているですね、分離区間、経営分離区間については、見直してほしいと正式に申し入れました。その後、報道機関のぶら下がりに対して、JRの姿勢が変わらない限り、函館市の方針は変えるつもりはないというふうに明確におっしゃっています。それについての知事の受け止めと、それからですね、函館市長がおっしゃったのはですね、新幹線を道外から運んできた場合に、当然新函館で乗降があります。そのお客さんを函館駅に運ぶにあたってですね、第三セクターという鉄道で、果たして運べるのかと。そこはJRは責任を放棄すべきじゃないという発言があったんですが、そうなると観光振興とも絡んできてですね、道としてもなかなか難しい問題だと思うんですが、この函館市の主張についてどう思うか。都市間輸送であると、まして新幹線のある程度の編成でお客さんが乗降する列車をですね、函館駅に運ぶにあたって、列車の形状もおそらく簡素な鉄道になるんじゃないかと、編成もそんなに長くはないだろうと。そういう三セク鉄道で、果たして輸送を十分にできるのかと、という主張をされていたんです。それについて伺いたいと思います。
(知事)
函館市長のご主張もお伺いして、我々も調整をしなければならないということは、前回申し上げたとおりであります。経緯をいろいろ調べて、それも大体整理がついたところでございまして、他の県におけるこういう並行在来線の考え方についても、我々としてもある程度情報を収集しましたので、今後はできるだけ早く函館市長と議論をしたいと思っております。今おっしゃった具体的な部分は、私も函館市長にお会いしてお話をお伺いしたいと思いますが、17年だったと思いますが、私が知事になりましてから、当時の井上函館市長との間でやりとりをした文書の中では、その前の木戸浦さんと横路さんの間で新幹線そのものを当時の大野町から函館市まで入れるというのは、現実的にはなかなかコスト負担も大変なので断念する代わりに、新函館、今の北斗市まで来る新幹線車両からの乗客の乗り換えを便利にする形で、例えばのイメージとして、できるかどうかわかりませんけれど、一つのプラットホームのこっち側に新幹線が来て、その反対側に在来線というか別の電車が来て、それが新函館、北斗市から函館市まで運ぶという、そういうようなイメージで利便性を高めようという、そういう文書のやりとりをした経緯があるわけでありまして、ただその際にですね、今議論になっている並行在来線云々という議論を明確にはしないまま、今の状況に立ち至っているというふうに理解をしておりますので、今おっしゃったその三セクで、観光客を含めた乗降客を北斗市から函館市、函館駅まで運ぶことがしっかりとできるのかどうかという市長のご発言の真意をあらためて確認して、どういったところで調整の余地があるのかということを、できる限り早く見極めていかなければならないと現時点では思っております。
(STV)
今の関連で、先ほど今の函館市長の話を伺っていますと、今知事おっしゃったように、新函館でのそういった乗り換えなどの利便性ということで確認を交わしているということなんですが、函館市長のお話を聞いていますと、その乗り換えだけではなくて、函館まで運ぶという、そこまでもが入っているんだというような言い方をしてましてね、ですから函館と新函館の間は、アクセス鉄道をきちんとJRに責任をもってやってもらいたい。じゃあ、誰が責任あるのですかと先ほど僕が聞きましたら、それは道にありますという言い方を市長はしております。
で、それとともに、今日は札幌延伸が正念場を迎えているという中で、並行在来線の関係については、同意はできないと言う言葉まで出してね、そこまでちょっとおっしゃっていたんですけれども、それについてどう思われるか聞かせてください。
(知事)
利便性のある形で北斗から函館まで運ぶということ。そしてそのことを道が責任をもってやるというのは、まさに朝日新聞さんにお答えした井上市長と私とのやりとりの文書の中に書いてあることですから、そのことをおっしゃったのだと思います。
それはやはりあらためて確認をして、どこに調整の余地があるのか考えていかなければならないと思います。
(STV)
調整の余地の中には、道として函館と新函館の間の列車の運行までも入ってくるのですが、乗り換えの利便だけではなくて。
(知事)
それは、いろいろな可能性があるでしょう。ただ、道の責任というのは調整の責任だと私は理解していますが、道が運行主体として三セクでそこを行おうとする場合には、今、地元と議論をさせていただいてる並行在来線のときと同じように、地元負担、これは後年度負担も含めて大層出てきますので、そのことは道独自に打ち出の小槌を持っているわけではないので、結局将来的には道南を含めて全道の道民のご負担となってくるわけで、自ずと道民のご理解が得られるかどうかという問題も出てきますので、多角的に議論をしていかなければならないかと思っております。
(知事)
さっきの矢臼別に関する申し入れは、何を申し入れたのですか。正確にご説明をしてください。
(危機対策局)
今回、多田副知事から申し入れをしましたのは、北海道防衛局に対しましてでございます。その中身につきましては、先ほど知事が申しましたとおり、夜間の訓練ですとかを行わない、訓練場所を固定化しない、それから残りますのは情報公開という部分。そういったもろもろを要請してございます。
そして、基地の縮小という部分につきましては、この件ではございませんで、北海道も構成メンバーに入ってございます14の都道県で構成しています渉外知事会から申しておりまして、基地の整理縮小及び早期返還の促進と。
(知事)
その基地というのは、沖縄の基地ですか、矢臼別の基地の縮小ですか。
(危機対策局)
沖縄も含みます全国の基地ということでございます。
ですから今回の矢臼別の関係で申し入れました件については、縮小問題が入ってございません。以上でございます。
(読売新聞)
先ほど地球温暖化の会合の中で、知事からの森林環境税について導入の検討という話をされたと思うのですけれども、一度断念した経緯もあると思うのですが、この中身と具体的な実現の期間的なめどについては、どういうふうにお考えなのでしょうか。
(知事)
以前、道議会でさまざまな議論もございまして、それから私どもとして道民の皆様からの意見の聴取も実施して、概ねご理解を得られたと考えられるところまでいきました。
そういう中で、一つは例の世界同時不況で大変景況感が悪くなってしまった。税を課する環境から少し遠くなってしまったというそういった道内の経済状況と、加えて前政権時代に森林整備に向けて基金を積んでしっかりやろうという予算が国のほうからくるめどが立ちまして、まさに私どもが自前で森林環境税を徴収して実施しようとする事業の財源のめどが立ったという二つの理由によりまして、当面経済環境の状況を見極める間、この議論を凍結した経緯がございます。
その意味では、道内の景気も持ち直したと言われる状況になってまいりましたし、また、これから5年、10年を見通してこの温暖化対策というものを、森林整備も核としてやっていかなければならない中で、その財源としてこの基金がなくなったあとの一つの方向性として、あらためて道自前の森林環境税について議論をすべきではないかということを、先ほどの本部員会議で申し上げたところであります。
私だけではもちろん判断できません。道議会のご議論も必要でありますので、今後関係者の方々の意見の集約をしっかりやっていかなければならないと思っております。
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