知事定例記者会見
・日時/平成22年5月26日(水) 14:30~15:01
・場所/記者会見室
・記者数/23名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 エゾシカ対策について
2 北海道中高年者就職支援センター「ジョブサロン北海道」の開設について
記者からの質問
1 北海道新幹線について
2 米軍普天間飛行場の移設問題について
3 エゾシカ対策について
4 宮崎県における口蹄疫発生に係る道の対応について
5 行政刷新会議の事業仕分けについて
知事からの話題
エゾシカ対策について
[資料:エゾシカの保護管理の推進について]
私からは二つお話をいたします。
一つ目は、エゾシカ対策でありまして、配付資料が1枚あります。
今、52万頭ぐらいと推定されている道内のエゾシカの生息数でありますが、そのエゾシカによる農業被害、森林被害など被害も大変厳しい状況になっていて、個体数調整に取り組んでいくことが、今まで以上に喫緊の課題になっていると認識しております。
そういう中で、今月の14日に、町村会、猟友会、それからJA中央会など19団体が参加する「全道エゾシカ対策協議会」、通称「エゾシカ包囲網会議」を立ち上げたところでございまして、今後、こういった関係諸団体と連携しながらエゾシカ対策を総合的に進めていかなければならないと思っております。
その中、先週の土曜日22日、日曜日23日、日中韓三カ国環境大臣会合のために来道された小沢環境大臣と1時間くらいの面談の場を設けていただきまして、その場で、私からこの資料をお渡しし、要請をさせていただきました。
ポイントは2点ありまして、一つ目は、都道府県単位による個体数調整捕獲の制度化です。現状では、狩猟による捕獲というのは、鳥獣法上、個人の意思で実施すると想定されており、もう一つは、市町村が有害鳥獣駆除の主体ということになっているわけでありますが、北海道は広域でエゾシカの対処を面的に考えなければなりません。そこで、道による個体数調整捕獲の制度化について、財政支援を含めてお願いしたところであります。
それから二つ目は、法律上、夜間捕獲ということはできないのですが、エゾシカは夜行性ということもあって、日暮れ直前や日没の頃に多く出てくることもありまして、具体的にはこれからのお話ですが、法改正なり、道州制特区での提案ということもお願い申し上げたところです。
小沢大臣としては、環境保護の観点もありますので、心からわかったという感じではありませんでしたが、私どもとしては、エゾシカの被害の深刻さなど、もっときちんとご説明をすることによって、この問題に対処していかなければならないと思っております。
それから、先般、私のところに釧路管内の町村長の方々が来られて、エゾシカ問題は災害の域に達しているというお話もあったところです。また、今日の午前中には、多田副知事が対応しましたが、釧路管内も含めて全道の町村会から「エゾシカの被害対策に関する要望」もございました。とにかく、このエゾシカ対策をあらためて全道、オール北海道体制で取り組んでいきたいと考えており、自衛隊にも協力要請をしているところです。
北海道中高年者就職支援センター「ジョブサロン北海道」の開設について
[資料:北海道中高年者就職支援センター(愛称)「ジョブサロン北海道」の開設について]
2点目は、ジョブサロン開設ということであります。
ジョブサロンというのは、前にも記者会見でお話を申し上げておりました中高年者の方々向けの就職支援センターの通称でございます。
若年者向けの就職支援センター、ジョブカフェは、もう既にありますが、昨今は、やはり中高年の方々の雇用情勢も大変厳しいという中、中高年の方々は家庭も持っておられて、生計を支える立場にある方も多いということで、再就職をしっかりと促進しなければならないという趣旨のもとに、このジョブサロンは概ね35歳以上の方々の再就職支援窓口として札幌市の中心部でスタートします。カウンセラーの方2名を配置しまして、きめ細やかな相談事業と行政の支援政策を含めてさまざまな情報提供を行っていくことを考えておりまして、このジョブサロン北海道を開設する同じビルの中には、ハローワークプラザ札幌やジョブカフェ北海道も入っており、相乗効果が発揮されるようにやっていきたいと考えております。6月2日にオープンします。この日、私自身は出張中のため不在にしており、申し訳ございませんが、ぜひ取材をよろしくお願いいたします。私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
北海道新幹線のことでちょっとお尋ねしたいのですけれども、28日に既にリリースがありましたけれども、東京のほうで緊急総決起大会というのがあって、おそらく知事もご出席されると思いますけれども、今年の夏にも一定の方向性というか方針が示されるというふうに言われていますけれども、それを目前にした今回の総決起大会を行う意義だとか、位置付けについて知事がどういうふうに認識されているかというのが1点と、もう1点それに関連してですね、函館市のほうの、これは何回も先週も先々週も記者会見で質問ありましたけれども、函館問題が大きくなりつつあって、一昨日は市議会が事実上経営分離に対しては反対するような決議もされています。
この分離に反対するという意味では、足並みの乱れというふうに映らなくともないのですけれども、道内市町村のですね。この問題を知事としてはいつ頃までにどういった形で解決すべきかというふうに今の時点でお考えか、この2点をお尋ねしたいのですが。
(知事)
一つ目ですが、28日に東京におきまして、新幹線の総決起大会を行うことにしております。これは、私ども道庁、それから経済界の方々、特に新幹線問題では北海道商工会議所連合会が事務局を担って中心になっておられますが、この総決起大会を、関係者の皆さんの総意として開催します。
特に今年は、鳩山政権と申しますか、国交省のほうで、夏にも一定の方向性を出すと言っておられるので、政権に近い東京の場で総決起大会を行い、地元としてアピールをしていこうと考えておりまして、加えて高向北海道商工会議所連合会会頭を中心として署名を収集する運動も、今しっかりやっているところです。
そういった中での函館市のご意向、そして先般の函館市議会の全会一致の議決をどう考えるのかという二つ目のご質問ですが、前回の記者会見の時も、函館市さんサイドの主張、そしてJR北海道さんの主張、それぞれを踏まえて、我々としては、まずこれまでの長年の40年くらいの経緯を整理すると申し上げたと思います。
先般、事務方からレクチャーを受けましたが、新函館までの着工が決まる前の段階から、JR北海道さんとしては、いろいろな公式の場で、札幌まで新幹線が来る場合は並行在来線が函館・札幌間であるということを表明しておられたと私どもとして確認をさせていただきました。
ただ、そのことについて、函館市との間で共通認識を得るところまでは至っていないという事実も明らかになりましたので、それぞれがそれぞれの思いの中で、ここまでずっと新幹線の着工の実現に向けての運動、あるいはその後の札幌延伸の運動ということに取り組んできて、今ここに至って、国交省さんとのヒアリングの際に、JR北海道の社長さんがあらためて並行在来線の経営分離区間について表明されたことをきっかけとして、今回の動きに至ったと理解しております。
私自身は、函館市長さんと先般、内々非公式という形ではありますが、過去の経緯のご認識も含めていろいろお伺いをしたところで、その後、市議会の決議が出てきたということです。
一方、私どもとしては、やはり、平成17年に、私と前函館市長さんとの間の書簡のやりとりの中で、道が責任をもって調整するということを申し上げておりますので、その趣旨からして、JRさんにもあらためてきちんとした形でご意向を確認する必要があると思っておりまして、そういった形で双方向の調整をしながら、何とか相互に納得するような方向性を出していかなければならないと思っているところです。そして、そういった中で札幌延伸ということを政府から勝ち取るというか、方向性を出していただきたいと思っているところです。
(読売新聞)
これまでの記者会見でも出ているのですけれども、明日27日に臨時の全国知事会議がありまして、政府のほうから米軍の普天間飛行場の移設問題に絡みまして、米軍の訓練の移転ということで全国に協力をお願いしたいという話があると思うのですけれども、あらためまして、知事としての現在のお考えと、明日どういう発言をするかというふうに、どういうお考えなのかというところをお伺いしたいと思います。
(知事)
この問題は、これまでも記者会見でその時その時の私の思い、考え方をご説明してまいりましたが、いよいよ明日、全国知事会が開催されるということもございますので、今日も午前中、幹部とどういう応答をするかという議論をしたところでございます。明日の雰囲気もありますので、どういう順番で言うかまでは今まだ決めていませんが、1番目としてまず申し上げなければならないのは、沖縄の基地負担というのはあまりに過大であるということ。これはもう誰が見ても事実でありますので、この負担軽減というのを沖縄県を除く46の都道府県で分担していかなければならないということ。このことの認識を再度あらためて行うということが私自身の思いでもありますし、またすべての知事さん方の思いだと思いますけれども、私自身もそのことは申し上げたいと思います。
2番目としては、そうは言ってもこの負担軽減の観点から、これはもう10年以上前、平成9年度に我々道内では矢臼別が、全国でも数カ所が、実弾訓練の引き受け等を実行した経緯がございます。また加えて、平成19年度にも、あらためて千歳における訓練の受入と、自衛隊との共同訓練の受入ということもしているところでございまして、道としてはこれまでも一定の負担の分担ということについては協力をしてきたという経緯があります。ここもやはり全国の知事さん方、あるいは政府の皆様方に対してあらためて申し上げる必要があるということです。
さらに、今、普天間からの移設、辺野古沖合というふうに明記されるかどうかも議論だそうですけれども、そういった中で政府から個別具体的にどこどこといったご提案がないと議論も始まりません。その意味では、政府からのご提案があることが大前提でありますが、政府からの提案の中に北海道の何々町、何々市、どうなるかわかりませんが、そういったことが出てまいりましたら、それを受けて、当該地元の自治体の方々、あるいは道議会を含めて道民の代表の方々のご意見というものを十分にお伺いをして集約をし、具体的な国からのご提案に対してお答えをしていくということも、当たり前のことですけれども、申し上げていくのかなと思っております。
さらにもう一つ付言しなければならないのは、最近、例えば連合北海道さんは、やはりさらなる受入は困難という姿勢であると伺っております。また、別海町の議会において、水沼町長さんが仮定の議論ということのようでありますが、もし矢臼別について追加的な要請がある場合には、何という表現だったか、とにかく慎重であると。反対という言葉まで使っておられたかどうか。受入はできないと言ったのかな。既に道内で大変慎重、あるいは反対という声が出てきているということを皆様方の前で、あるいは政府、鳩山総理に対して、明日申し上げなければならないかなと、今日午前中幹部の人達との打合せの中で議論をしたところでございます。
(STV)
エゾシカの件なんですけれども、今日、町村会のほうからですね、先ほど話がありました自衛隊のですね、災害派遣を想定した要請をということであったと思うんですが、知事ご自身の認識としては、このエゾシカの被害が町村会の言うように災害にあたるというようなものと同じような認識を持っていらっしゃるか、もう一つは自衛隊の派遣ということについて、知事はどのように考えていらっしゃるかというのを教えていただけますでしょうか。
(知事)
災害というのはどういう定義かというのは、大変難しい問題であります。台風であるとか、地震であるとか、津波であるとかは明らかな自然災害ですね。そういったこととの比較において、今52万頭以上のエゾシカの大きな農林業被害をどう表現するかというと、いろいろな考え方があるかと思います。ただ一つ言えますことは、私自身も釧路管内の町村長の方々が揃って来られた時に、「これはもう災害である」と明確に言っておられますし、今の話ですと、今日も町村会の方々もそう言っておられたということで、やはり大きな被害を受けておられる町村の方々、あるいは現場の農業や林業関係の方々の認識としては、もう災害として、いわゆる自然災害と同程度の被害が北海道全域に及んでいるという認識があるということ。このこと自身、私は重く受け止めなければならないと思っております。
その上で、自衛隊への協力要請ですが、私自身も陸上自衛隊北部方面総監部の酒井総監にお願いを申し上げた経緯もございます。ただ、この問題は、現場の北部方面総監部だけで判断できることではなく、やはり防衛省、本省との議論、当然安全の確保などしっかりとした体制を組んだ上で、どこまで自衛隊としてできるかという議論が必要だと思いますので、少し時間はかかると思います。ただ、やはり北海道に駐屯し、北海道民とともにそれぞれの地域づくりに貢献をしているという陸上自衛隊の立場からして、できることはやりたいということを酒井総監から言っていただいておりますので、具体的にどういう形ということはまだご報告申し上げる段階にはございませんが、自衛隊さんのご協力もいただきながら、私どもとしてこのエゾシカ対策をしっかり取り組んでいきたいと思っております。
(NHK)
口蹄疫の被害がですね、宮崎のほうで深刻な状況なんですけれども、以前も会見では出てたんですが、あらためて北海道として対策といいますか、どんなことをしていかなければいけないかという部分をお願いします。
(知事)
宮崎のほうは、本当に大変ですね。なかなか終息することなく、種牛の処分の話など本当に胸が詰まるような情報や報道がどんどん出てきていて、私もつらい思いをしております。そういった中で、酪農畜産王国北海道としてどうするかというご質問でございますね。
北海道には、皆さんご承知のとおりだと思いますが、乳用牛で全国の55%、それから肉用牛で全国の18%います。牛だけでトータル135万頭と本当にたくさんいます。それ以外に豚であるとかそのほかの家畜もいますので、まさに酪農畜産業は北海道の基幹産業中の基幹産業であるという認識を持っております。だからこそ、この北海道の酪農畜産を守っていくということ、これはとりもなおさず、北海道の産業経済を守っていくということとイコールだと思っておりまして、10年前の経験も踏まえて、何とか水際で口蹄疫の北海道への上陸を阻止しなければならないと強い決意を持って臨んでおります。
その意味で、ちょっと前になりますけども、国に予算要望等にまいりました時にも、口蹄疫のまん延防止対策ということについてもしっかり要望もしましたし、また、そういった中で先週の金曜日に、担当の高原副知事を本部長とする「口蹄疫侵入防止対策本部」を立ち上げまして、道としてやるべきこと、また道民各界各層の方々にご協力を要請することなどをパッケージとして決定し、それを今着実に実行しているところです。
まず、家畜を飼っておられる農業者の方々の日常の管理というものが一番大切でございます。それに私どもの獣医師の協力なども連携をとりながら対処していくことが重要でございます。そういった中で、これから北海道は本格的な観光シーズンを迎えるわけでありますが、やはり九州から、宮崎から、口蹄疫が入ってこないような水際作戦と同時に、中国、台湾、韓国でも、残念なことながら直近でも口蹄疫が確認されていて終息しておりません。そういったところからいらっしゃる観光客の方々にも、大変に申し訳ないんですが、ご協力ベースでお願いをして、靴底消毒などもしていいただくということに取り組んでいかなければならないと思っているところです。そして、注意喚起のためのポスターの掲示であるとか、また、ふれあい牧場とか観光牧場とかいろいろありますが、そういったところでの一定の入場の制限、あるいは消毒の徹底の協力要請、そしてあらためての国への要請、そういったことを今一生懸命取り組んでいるところでございます。具体的には、国際線につきましては定期便、チャーター便のあるすべての空港で水際作戦を実施しているところですし、また、国内線の各空港においても、既に靴底消毒実施中の空港もございます。新千歳空港については、例えば羽田との間は世界一の航空路線ですので、ここでの実施にはいろいろ考慮しなければならない点もあるかと思いますが協議中であります。そういったことを含めて、国内線の各線にもどのようにしていくかということを今ご協力要請中でありますし、またフェリー発着港についても協議中であります。こういった水際作戦を含めて、しっかりと取り組んでいかなければならないと思っておりますので、皆様方のご協力もぜひいただきたいと思います。
一方で、重要なのは風評被害対策。口蹄疫は絶対に人には感染しません。留意しなければならない点はたくさんありますが、そういうことを発信しながら水際作戦をしっかり取り組んでいきたいと思っております。
(時事通信)
政府の事業仕分けで宝くじの関連事業がいくつか廃止と判定されまして、今日に至るまで全国の知事の発言がさまざま見られるのですけれども、高橋知事はどのような感想をお持ちになったのか、あと、この度の事業仕分けについて何か気になることがあればお話いただければと思います。
(知事)
事業仕分けについて、今回は第二弾ですね。前回は金額をいかに積み重ねて、その節約分を22年度予算に充当するかということを主たる視点で取り組まれたと見ておりましたけれども、1回目ということもあってはっきり言ってやや乱暴だったという印象がありまして、直ちに道内への影響を把握して、国に対してあるいは党に対して申し入れをしました。少し戻ったかなと思っております。
今回の第二弾はそういった意味で金額の多寡というよりも、誰が見てもこれは無駄だという面を中心に、公の場で議論をして廃止、見直しというようにもっていくということが主眼だったと私なりに理解をしております。そういった中にも、今ご質問にもございました宝くじ事業、それからトラック協会の事業などいろいろ報道でも取り上げられている事業項目もあったと思っています。
個々に言えば地域に影響が出ますので、今回の事業仕分けの宝くじの事業も含めて全体が終わりましたので、精査をした上で、道内の意見とか道庁内の意見も集約し、言うべきことは言っていきたいと思っておりますが、今の段階で私自身のコメントとしてこの宝くじ事業の仕分けがけしからんとか、まだ申し上げないことにしておこうと思います。もうしばらくお時間をちょうだいして、道内への影響を集約して、言うべきことをまとめていきたいと思っております。
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