知事定例記者会見
・日時/平成22年7月14日(水) 15:00~15:27
・場所/記者会見室
・記者数/29名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 知床世界自然遺産登録5周年記念式典について
2 夏の交通安全運動について
記者からの質問
1 参議院議員選挙について(道政運営に与える影響)
2 参議院議員選挙について(来年の統一地方選への影響)
3 地方選の候補者のスタンスについて
4 ホッカイドウ競馬の存廃の判断について
5 サッカーワールドカップの招致について
知事からの話題
知床世界自然遺産登録5周年記念式典について
[資料:知床世界自然遺産登録5周年記念事業一覧]
私からは2件お話しします。1件目は知床世界自然遺産登録5周年記念式典についてです。
知床の世界遺産登録から7月17日で5年目を迎えます。ちょうど今年、ワールドカップで燃えました南アフリカのダーバンで、この自然遺産登録が決まりまして、私自身も世界遺産委員会に出席させていただき、その感動の瞬間に立ち会ってから早くも5年経ちました。
平成20年の世界遺産委員会調査団による現地調査におきましても、「地域と行政が連携した保全管理の体制」について評価をいただいたところでございまして、5年経った今も変わらぬ自然が守られていることに、地元の方々をはじめ関係する皆様方に心から御礼を申し上げる次第です。
エゾシカが少し増え過ぎたということで、その個体調整に向けての環境省の事業などいろいろな動きもありますけれども、いずれにいたしましても、5周年を迎えられたこと、大変うれしく思う次第です。
登録記念日である17日、今週の土曜日には、環境省の釧路自然環境事務所、林野庁の北海道森林管理局、それから地元の斜里町と羅臼町、そして私ども北海道の5者共催という形で、斜里町ウトロの知床世界遺産センターで記念式典を開催することになっております。
登録にあたってご尽力いただいた方々や、たぶん、当時の午来元町長も来られるかもしれませんが、今年満5歳になった知床世界自然遺産と同じ年のお子さん方にも、両町から出席をしていただいて、一緒に記念日をお祝いしたいと考えているところです。
式典には私も参加をさせていただいて、地元の皆様方に感謝を申し上げたいと考えているところでございまして、これからも日本を代表する世界の宝、この知床をしっかりと守って次の世代に引き継いでいく、そのための保全と適正利用について努めてまいりたいと考えております。後ろには知床のポスターがございます。
夏の交通安全運動について
[資料:夏の交通安全運動について]
2点目は、夏の交通安全運動についてです。
16日金曜日から25日日曜日までの10日間、「夏の交通安全運動」が展開されます。今年の道内における交通死亡事故の発生状況は、昨日13日現在で88名の尊い命が亡くられておられ、昨年に比べて1名多い状況でございます。本格的な夏の観光・行楽シーズンを迎えまして、死亡事故が多発する時期を迎えますことから、道民の皆様方には、くれぐれも安全運転に心がけ、悲惨な交通事故の防止に努めていただきたいと思います。
明日15日、10時から大通公園西1丁目広場におきまして、「道民の集い」を行う予定ですので、マスコミの皆さん方からも交通安全の呼びかけにご協力をいただきたいと思います。私からは、以上2点のご報告です。
記者からの質問
(読売新聞)
参議院議員選挙の結果についてお伺いしたいと思うんですけれども、全国レベルで衆参でねじれがおきまして、北海道のほうでは自民党と民主党の方が議席を分け合うという結果になったんですけれども、今後の道政運営に与える影響についてはどういうふうにお考えでしょうか。あともう1点、来春ですね、統一地方選があるんですけれども、それについてどういう影響を与えるだろうかというところについてもお伺いしたいと思います。
(知事)
記者の皆様方も選挙疲れでいらっしゃると思います。誠にご苦労様でございました。今回の選挙結果、私もチャンネルをあちらこちら変えながら、夜の特報番組を見ておりました。各社当確のニュースのタイミングが違うのを不思議に思いながら、どう収束するのかと興味深く拝見をしておりまして、最後に確定したのは何時ぐらいでしたか、途中で寝てしまいましたが、朝、結果を確認いたしました。おっしゃられたとおり、全国レベルとしてはねじれになりまして、道内は、民主党さんは2議席独占を目指されてお二人を立てられたわけでありますけども、結局は前回あるいは前々回、その前もそうでしたか、同じように民主党さんと自民党さんで1議席ずつを分けるというような形になったところです。
道政への影響ですが、ちまたでよく言われている消費税で負けたというのは、私はちょっとどうかと思っていて、消費税については、もちろん根強く反対される共産党さんをはじめとして反対された会派がおられたのはよく知っていますけれども、全体としての国民の意識としては「消費税やむなし」ということはあったかと私自身は思っているところで、消費税そのものに対する国民のノーということよりも、むしろ、その制度設計について本当であればきちっとした委員会の場、あるいは国会の場などで詰めた議論をした上で、その結果を総理あるいは関係閣僚の方がご発言すべきものであるという性格のものであると私は思うのでありますが、街頭演説の中で逆進性の配慮とか、税率をどうするか、そういう発言がポコポコ出てきたということを見て、国民の多くの方々がこんなに重要な問題について総理はぶれておられると。そちらのほうが、国会でのねじれという結果を迎えることになったポイントと私自身は思っているところです。
私自身は地方の、北海道のトップとして、前からも申し上げておりますとおり、この消費税の議論については、しっかりこれから与野党で協議をしていただかないと、これからの社会保障、国、地方合わせて全体として立ち行かない状況になりますし、また国の厳しい財政状況について対処できないことになろうかと思いますので、こういったことはぜひ地方の立場からも発信していかなければならないと思う次第であります。むしろ、そのねじれということになった背景について私なりに思いますのは、例えば鳩山総理から菅新総理に替わられて、政策の基本的な方針について、国会での演説等もされたわけですから、それについて、これまでの慣例からすれば例えば予算委員会等の場で質疑というのがあってしかるべきだったかと。私は直後に入院したので、後からいろいろな報道を見て確認したのですけれども、いわば「数」の力でぶっ飛ばし、必要な議論をやらずに選挙戦に突入されたということを、やはり国民は見ていたと思うのです。少し前までは自公政権でも行っていたことですが、そういう「数」を力とした強引な国会運営が本当にいいのか、国会できちんと与党と野党が議論をして国民にとって重要な政策を決めていくべきではないか、少なくとも議論はするべきではないか、ということを思われた国民の方々も結構多かったのではないかと私自身思います。
それからもう一つは、これは道内選出の国会議員の方々も私におっしゃっておられたことで記憶にあるのですが、菅総理は東京選挙区の方でございますし、事業仕分けや「コンクリートから人へ」の動きも、都会の人々にはアピールになると思いますが、我々地方、北海道は二人区ですが、あと一人区の地方どこもここも、本当に今の政権は地方の疲弊というものを理解しているのかという疑問があり、そういうことをもっとわかって欲しいという各地方の意向というのが一つの民意ということで現れた結果だったと、私なりに思っているわけであります。
道内も景気が持ち直しという日銀さんのありがたい評価はあるわけでありますが、実感としては大変厳しい状況にある中で、選挙も終わって少し落ち着かれたので、来週にも来年度の国費の予算要望を、それから荒井大臣は私のところに来られた時に「補正予算は考えていない」と言っておられましたけれども、今年度中の補正予算、今年度中のさらなる対策の充実ということも地方の声として上げていきたいと思っておりまして、来週に向けて準備をしているわけであります。
去年の今頃というのは自公政権だったので、それまでの慣習により自民党さんの国会議員の会を開いていただいて国費要望をし、そしてそのあと与野党全ての国会議員の方々に個別に要請をさせていただきました。その後、政権交代があったので、10月か11月にあらためて民主党の議員会を開いていただいてご説明をしたという経緯があったのですが、今回はねじれということに配慮し両にらみで、最初から民主党さんにも議員会を開いていただいてご説明をしますし、また自民党さんにも可能であれば議員会を開いていただいてご説明をするということで、道として今、国に取り組んでいただきたいこと、国の政策も活用しながら、道自身もいろいろ創意工夫し、北海道モデルとか食クラスターであるとか、道内のさまざまな雇用経済対策も取り組んでいくわけでありますが、こういったことの実現に向けての、国に対する、国会に対するアプローチについても、少しずつ工夫を加えていきたいと思っているところです。
ねじれというのは何を意味するかといえば、法案の成立がままならない、なかなか難しくなるという状況、そして衆議院の3分の2というカードを民主党さんは持っておられないですから、自公政権の麻生(元首相)さんの時よりも難しい状況だとは思いますが、であるからこそしっかりと一つ一つの政策課題、例えば地域主権の問題を含めた政策課題について与野党に議論していただいて、お互いに嫌がらせをするということなしに、国の将来を思って、しっかりとした政策議論の後に、是々非々でまとまった法案をしっかりと上げていっていただくことを国会に行っていただきませんと、ただでさえ厳しい北海道、日本国全体もそうだと思いますので、将来に向けての展望が開けてこないのではないかと思っております。
それからもう一つは、これは質問にはなかったのですが、私ども知事仲間で寺田さんという前の秋田県知事がみんなの党で当選されました。御子息が民主党の代議士さんだった思うのですが、そこもねじれているのかよくわからないのですけれども。それから金子さんという長崎県の前知事さんが自民党で当選されました。それぞれ会派の色合いは違うわけでありますが、私はお二人ともよく存じ上げておりまして、知事会で議論をし、また楽しくお付き合いをさせていただいた方々が、国会の場に入っていかれましたので、やはり地域主権という我々地方の大きな課題を進める上で、仲間が国会の場のメンバーになられたということは大変心強い限りでございます。
(読売新聞)
来年の春の統一地方選に与える影響についてもお伺いしたかったのですけれども。地方議員の先生は、来春の自分の選挙を見据えて立候補を予定されている方は一生懸命運動をされていたのですけれども、知事選も含むわけなのですが、そういった統一地方選挙に与える影響についてどういうふうにお考えでしょうか。
(知事)
一言で言えばわかりません。と申しますのは、去年の8月の衆議院選挙であれだけ盛り上がった政権交代に向けての国民、道民の熱意というものが、何カ月になるのでしょうか、一年経たないうちに、北海道初の総理だった鳩山総理が残念ながらお辞めになられたという、こういう激変の状況が続いている中で、来年の3月、4月の政治情勢がどうなっているかなどというのは誰も言えないと思うのです。その意味では、来年の地方選への影響というのは、私はわかりません。ただ、私自身は、健康もおかげさまで回復をいたしましたので、日々与えられた公務というものをしっかりやっていくということに尽きるのではないかと思っております。今日はこれから和歌山のほうに知事会出席のために参りますし、先ほどご報告申しましたとおり土曜日には知床のほうに行って、世界自然遺産の5周年を祝おうと思っております。
(朝日新聞)
参院選の関係でまた伺います。トップ当選が自民党が推す長谷川さんでした。得票を見ると90万票超えております。ただ一方で、自民党が獲得した比例区票というのが60万票にとどまっているという現状からすると、自民党を推す人以外にも無党派と言われる方の存在の大きさというのが際立った選挙なのかなと思うわけですが、今後、来年知事選をはじめとする地方選においては、いわゆるより住民に近いレベルの選挙が展開されていくわけで、この無党派の存在というのはすごく重要になっていくのかなと思います。地方選に向かう候補者は、政党と距離をおいたほうが良いのかどうか。これについて伺います。
(知事)
まず一般論で申し上げれば、地方の首長選で党の所属を明らかにして立候補されたというのは、最近ではほとんどないですね。
私の生まれ育った富山で、一時期、前の前の知事をされていた方が、自民党公認で出られて何期か勝っておられたというのは小さい時の記憶にあるのですが。最近で言えばそういうことはありません。元々、地方の知事選をはじめとする首長選というのは、やはり政党色というのは薄めて戦うというのが一般的かなと思います。
私自身も前回、前々回ともそういう形でありましたが、推薦・支持という形で自民党さん、公明党さんからご支援をいただいて戦ってまいりました。
来年に向けてどうかというのは、まず、私がどういうふうな対応をするか自体まだまだ決める段階ではないと思っているわけですが、その意味では、これも一般論として申し上げれば、やはりおっしゃるとおり、地域住民の方々により近い形、地域住民の方々は、支持する政党に関係なくこの地域の将来を思う気持ちは一緒だと思いますので、そういう住民の方々のお気持ちにより近い仕事をできるかどうかということ、これが何より重要なポイントではないかなと私自身思っているところです。
(朝日新聞)
ちょっと話題が違うのですが、参院選の期間中に道営競馬の運営委員会が開かれていまして、その途中経過でありますが、収支を見ると計画比よりも10%くらい下がっているのですね。運営委員会の中で議論されていたのは、8月の次回の会議で道がその時点でのシミュレーションを描いて、来年度以降の基本方針というか素案の素案といいますか、そういったものを示して運営委員会の中で議論をしてもらうと。最終的には知事が決定されるわけなのですが、ただ運営委員会のメンバーを見ると、ほとんど競馬ファンが多くて、馬産地、生産者を含めて、基本はどういう収支が出ようが、途中経過であろうが、残せということの何らかの形で作っていくのだと思われるのですが、知事が最終的に競馬ビジョンに沿って計画比を下回ったのであれば廃止というのはきちんと断言できるのか、それともいろいろな要素で、例えば馬産地であるとか、日高の振興策とか環境面での側面というのがいろいろな理由を付ければ残すという既成事実はどんどん作れるわけなのですけれども、競馬の存廃において、最終的に数字だけで判断をするつもりがあるのかどうか。その辺について伺います。
(知事)
厳しい質問でありますが、この件は、先週でしたか、私が日高に入りました時に、各町長から早く、とにかく競馬を存続するということを知事の言葉で言ってくれという要請が多々あったという事実はございます。
一方で今おっしゃられたとおり、見通しよりも10%くらい発売額が下回っているという現状にあるということも十分に認識をいたしております。
もちろん馬産地北海道でありますので、他の県における競馬というギャンブル事業、公営のギャンブル事業の位置付けとはちょっと違っていて、我々は、馬の生産地、生産供給元でもあるので、どこよりもやはりこの競馬事業というものの重要性がある地域だと思ってはおりますが、しかしながら、馬産地のエリアというのは全道にまたがるわけではなくて一部の地域に限られており、そしてこの競馬事業を赤字のまま、収支目標を達成しないまま継続するとなれば、馬産地以外の道民の方々からお預かりをする道税も投入しなければならないということになるわけでありますので、そういった馬産地ではない地域の、例えば札幌市民をはじめとする道民の方々のご理解が得られない限りは、やはり私は、これはせっかくビジョンを作って3年計画で抜本的な対策に臨んでまいりましたので、それをたがうということはあってはならないと思っているところであります。結論的には大変辛いことではありますけれども、これは農政部長とも議論いたしましたが、やはりしっかりと収支を何とか合わせるべく最大限努力していくということを、今の段階では申し上げたいと思っているところであります。
他県の競馬事業と一つ違うのは、他県はだいたい通年で開催できるのです。ただ北海道は冬場はできないわけであります。それだけでもハンディはあるわけでありますけれども、我々の競馬事業の収支というのは、場外、あるいはネット販売を含めて我々がやっている競馬の売り上げ、それ以外に他場で競馬の券の販売事業というのもやっていて、そういうのがトータルとしての競馬事業でありますので、そういった意味での収支というものについては、やはり数字を目標に沿うような形でしっかり達成をしていかなければならないと思っております。
(時事通信)
参議院選挙と同じ日に、サッカーのワールドカップの大会が幕を閉じたわけですが、日本サッカー協会は、次の次の次の大会、2022年のワールドカップについて、開催地が再びアジアの地域から選ばれる可能性があるということで、国内招致の活動を始めています。本気で招致するとしますと、国家レベルの話になるわけなんですが、またライバルがどこになるかもわからない話なのですけれども、実現すれば、8年前の熱気が北海道にもまた戻ってくるかもしれない、また経済効果も非常に大きいであろうと思うのですが、知事は関心おありですか。
(知事)
2022年ですか。アジアで開催という番が回ってくるかもしれないと。前回8年前でしたか、私、知事になる直前くらいで、ドームに試合を見に行った記憶があります。すごい熱気でした。切符の販売のやり方で少しトラブルがあったらしくて空席があったのは残念だったのですけれども、でもすごい熱気。そういったことを思い出すにつけても、もし機会があれば、日本国主催ということで国内でワールドカップが行われれば素晴らしいことではないかと思いますね。
そうなれば、ドームでの開催ということについても手を挙げていければなと思いますが、ただ突然のご質問でございましたので、招致ということで手を挙げる場合にどのくらいお金がかかるのか、そこは見極めた上で、一昨年のサミットの時と一緒で恐縮でありますが、あらためて考えを整理していきたいと思うのでありますが、ただ、今の気持ちで申し上げれば、国内招致、良いと思います。
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