知事定例記者会見
・日時/平成22年10月28日(木) 14:02~14:26
・場所/記者会見室
・記者数/31名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 2011NHK杯国際フィギュアスケート競技大会の札幌開催について
2 児童虐待防止推進月間の取り組みについて
記者からの質問
1 北海道エアシステム(HAC)について
2 新千歳空港の24時間運用について
3 TPP(環太平洋連携協定)について
4 育児休暇について
5 ダム事業の見直しについて
6 来春の知事選について
知事からの話題
2011NHK杯国際フィギュアスケート競技大会の札幌開催について
私からは2点お話をいたします。一つは、2011年、来年のNHK杯国際フィギュアスケート競技大会の札幌開催についてでございます。
日本スケート連盟から、本日開催の理事会において、来年のNHK杯の国際フィギュアスケート競技大会の真駒内セキスイハイムアリーナでの開催を正式決定したという連絡をいただいたところであります。具体的には来年の11月10日から13日までの開催予定です。
私ども道として、水面下で一生懸命誘致活動をやってまいりましたし、それから道議会でも議論があったのはご承知のとおりでありますが、大変うれしく思っているところでございます。道内での開催は、平成15年に旭川の大雪アリーナでの開催以来8年ぶりということです。
北海道はご案内のとおりウィンタースポーツが大変盛んで、オリンピック等の世界選手権にも多くの選手が行っているのでありますが、フィギュアは、必ずしも、それほど選手の層があるわけでもないのですが、やはりフィギュアスケートというのは、荒川選手がオリンピックで金メダルを取られたこともあり、また今年のバンクーバーでも浅田選手、高橋選手がメダルを取るなど、日本国内でも大変に注目度が高まってきており、その意味では今回の開催決定というのは、私ども道内でも、スピード系に加えて、フィギュア系のウィンタースポーツにも北海道の青少年の方々の関心が高まって、フィギュアを志したいと思うような人たちがたくさん出てくれればいいなというふうに思っているところです。
本大会は、ご案内のとおり、ISU、国際スケート連盟公認の国際大会で、1シーズンに6回行われる「ISUグランプリシリーズ」の大会の一つであります。道内ではスケート競技の中でもスピードスケートが大変盛んでありますが、先ほど申しましたとおりフィギュアスケートという意味でも大きな盛り上がりを期待するところであります。これが1点。
児童虐待防止推進月間の取り組みについて
[資料:オレンジリボンキャンペーンへのご協力のお願い]
もう1点は、このオレンジのリボンを(襟元に)つけておりますが、児童虐待防止推進月間の取り組みについてご案内します。後ろにポスターも掲示しております。
毎年11月は、この「児童虐待防止推進月間」でございます。昨年3月、稚内市において、児童虐待の大変悲しい事案もあったところでございます。また、全国でも21年度に児童相談所が対応した児童虐待相談件数は、44,211件と大変多くなっているところでございまして、道内でも多くの事案があるところです。この月間におきまして、児童虐待のない地域づくり、こういったことに我々も道民運動を展開してまいりますので、ぜひ報道機関の皆様方におかれてもご協力をお願い申し上げたいと思います。私からは以上です。
記者からの質問
(NHK)
昨日、建設部長さんのほうから正式な発表がありましたHAC(北海道エアシステム)の関係なんですが、あらためまして、知事のほうから、札幌市さんとの間で一定の方向について合意ができたということにつきまして所感を。
(知事)
ご承知のとおりHACは、離島路線を含めて広い北海道内における道民の皆様方の空の足という位置付けでございまして、住民の生活上あるいは産業振興、観光振興、いろいろな意味で重要な道内航空ネットワークと位置付けられているところですが、JALさんの経営の厳しさの中から、HACへの関与の縮小という申し入れがあり、その後どうするかということで、ここまで関係者の方々とさまざまな議論を進めてきているところです。
そして、このHACの道内拠点をどこにするのかという議論、丘珠にするのか、新千歳にするのかという中で、丘珠にする場合には、やはり札幌市さんの協力・支援ということが不可欠であろうということで、まずは精力的に札幌市さんとの協議を中心に進めてきたところです。
そういう中で、今ご質問でもいただきましたとおり、昨日、担当部長からご報告は申し上げたところでございますけれども、札幌市さんとの間で新しいHAC経営体制の構築について協議し、両者間での基本的な方向性についての確認ができたことは良かったというふうに思っております。
出資割合、それから丘珠移転に係る経費の補助、そういったことを前提にHACの拠点を丘珠空港にするというところまで、一歩前進だったかなと思っているところです。これから、札幌市さん以外の関係の自治体の皆様方、あるいは経済界の方々とも議論を加速的に行いまして、できる限り早く成案を得てまいりたいと考えております。
(北海道新聞)
航空関連でもう1件なんですけれども、新千歳空港の24時間運用の関係で発着枠の拡大についてなんですけれども、先日、副知事と千歳市長、苫小牧市長との間で、3年間提案自体は見送るというような話も確認されていますけれども、知事としてこのことをどう受け止められていらっしゃるのかという点と、今後3年間、どのようなところに重点を置いて進めていかれるお考えかという2点をお伺いしたいのですが。
(知事)
新千歳空港をめぐる24時間運用の枠の取り扱いについて、先日、苫小牧市と千歳市の両市長にお越しをいただいて、副知事との間で話し合いをいたしました。
そして、今、そういった流れの中で、千歳、それから苫小牧両市の地域協議会の関係の皆様方にお話し申し上げて、できる限り早く次回の地域協議会を開いていただけないものかということで調整を進めているところです。
ですから、そこにおける方向性が出た段階で今のご質問に対してはあらためてお答えをしたいと思いますので、今段階で云々ということは、差し控えたいと思っております。
(時事通信)
先日、包括的経済連携に関する基本方針、これについて緊急要請を道中心に行われてですね、TPP、環太平洋パートナーシップ協定、これの参加についてですね、慎重に検討すべしと。その根拠として、農業を中心に道内経済の影響額の試算をですね、公表されました。一方で、産業界を中心にですね、このTPPについて参加を求める声が強くあるわけなんですが、知事はこれをどのように調整していけばよいとお考えか、あるいは農業を守るための別の方法があり得るのか、この点いかがでしょうか。
(知事)
私どもは何と言っても農業立県でありますので、基幹産業である農業、そして農業を守るということは、波及する他の産業分野への影響も含めてみると大変大きいものがございますので、そういう意味ではTPPへのスタンスというものは、大変慎重に対応していただきたいということ、これはオール北海道の意思でございまして、それは政府にお伝えをいたしているところです。
私ども、生産ベースで2兆円を超える影響額ということを出させていただいたところでございまして、これは相当大きいものと私どもとして考えているわけでございますが、調整ということをあえておっしゃったので、調整するのは政府だと思いますけれども、あえて申し上げるとすれば、産業界の方々なり、あるいはマスコミの皆様方の論調も、総じて言えば、やはりTPPには積極的に参加すべしという論調が多いような気もしないでもないわけですが、その意味では、ぜひ政府にお願いを申し上げたいのは、TPPに参加する、しないという、そういう単純な議論ではなくて、TPPに交渉入りをするとした場合に、農業の分野に対してはどういう政策を打つのか、抽象的に「両立は可能だ」という言い方を総理はしておられるようでありますが、もう少し具体的に、こういった政策の展開でどうだという、具体論の提示が国内向けにあって初めて私どもとして議論を進めることができるという思いがごさいまして、今のような議論の展開、すなわち私どもは道内へのマイナス影響を出しましたが、政府内ですら推進派の省庁さんは、こんな効果がある、あるいは参加しないとこういうマイナスがあると言ったり、あるいは農水省さんは参加によってこんなマイナスが出ている、そういう議論というのはまさに調整がなかなか難しいような気がするので、あえて「調整」ということを言われるのであれば、トータルパッケージの中で、では農業政策をどういうふうにしていくのかというご提示がまずないと、議論の展開というのは進まないのではないかと思います。
それから、どうも農業分野のことばかりが議論になっておりますが、TPPというのは、少なくとも私の理解では、原則として関税等はかけないという取り決めで、すべての分野についてそうするということになりますと、例えば郵貯事業などの分野で今政府が目指している法律案、皆さんご承知のとおりでありますが、ああいった郵貯事業について国がコミットしていくようなこともどうなのかなと、TPPという議論との関係においてなど、もう少し、マスコミの皆様方、産業界の皆様方を含めて、重層的な複層的な議論というものを展開していかないと、農業だけを何とかすれば良いとか悪いとかという、そういう形だけの問題ではないのかなという思いも持っているところです。
いずれにいたしましても、政府として、この参加が重要だという菅総理が言っておられる思いで意思統一がされるのであれば、それに沿った形で、農業政策についてはこういうことに取り組んでいくんだというパッケージのご提案ということを強く求めていきたいと思います。
(朝日新聞)
政策的な難しいことではないのですが、知事は子育て、育児休暇についてはご所見は。いろいろかまびすしくまた出ているのですが。
(知事)
大変重要な、道政上の重要課題だと思います。最近、「イケメン」ではなくて「イクメン」という言葉も出ていまして、男性も育児に関与する、女性も育児に関与する。みんなで子どもを育てる環境を良くしていこうというそういった動き、そういった国民運動、そういった流れというのがいろいろなところで注目を浴びる議論になっているということは、私自身、子育ても自分でしてまいりましたし、また、「子育て王国北海道」を作っていきたいという立場からも大変良いことだというふうに思っております。
そういった中で、広島県の知事さんですか、育児休暇を取るという宣言もされたということ、これをどう評価するかということについてもいろいろな議論があるように理解をしております。
私は何としてもこの少子化問題というものを解決していくためには、いろいろな課題の中の重要な一つとして、育児休暇というものをもっともっと男女ともに取りやすい社会、経済環境にしていくことが不可欠だと思っているところでございます。
(朝日新聞)
大阪府橋下知事さんとかが文句言っていることについても。
(知事)
私は、実は広島県の知事さんのご発言には、やや疑問なしとしないと。育児休暇は重要で、それは環境整備はすべきだと思うのですが、選挙で選ばれた自治体のトップは、24時間、常に道民の皆さん方の生命と安全というものを守っていく責務があるわけで、そこでどうするかですよね。「いや、僕の子どもは小さくて今面倒みることが必要だから」と、何か災害が起こっていて陣頭指揮しなくてはならないのを「やらない」と言えるかどうか、それが本当の意味の知事が育休を取るという意味だと思うのですが、たぶんそこはやはり少し違うのではないかと私は思いまして、ですからこの議論の中では、報道以上のことはよく知りませんが、橋下知事さんがおっしゃる意見に私は賛成をいたします。
そもそも、知事に育休という概念はあり得ません。「休暇」という概念がないので、我々24時間仕事をしなければならない、毎朝、道庁職員が出てくる時間に出勤して、道庁職員の方々が帰る時間に退庁して、それより超えて勤務した場合に超過勤務があるとかないとかそういう勤務形態になっていないので、そもそも育休自体があり得ないと思います。
(北海道新聞)
ダムの関係で2点ほど伺いたいのですけれども、一つは国の見直し対象になっている道内の、特に直轄の平取ですとか、サンルですとか四つのダムですけれども、知事は以前、流域の自治体と連名でですね、国に対して建設推進ということを要望されたこともあるかと思うのですけれども、現時点での、この国の直轄の4ダムに対しての建設是非についてのお考えをお伺いしたいというのが1点です。それともう1点はですね、11月1日の月曜日ですか、二風谷のほうで「脱ダムをめざす会」ですか、いわゆる反対派の方たちとの意見交換というのが予定されているというふうに聞いてますけれども、この意見交換の場にどのような姿勢で臨みますか、ということを伺えればと思います。
(知事)
ダムの見直しについて、最近再検証する基準というものが出まして、それに沿って鋭意直轄ダムについても見直しが進んでいるということを理解しております。そのことについて、かつてこの基準が出る前ではありましたが、私どもは流域の自治体の方々とともに、節目節目で直轄ダムについても、私どもとしてさまざまな観点から確認をしているので、現時点においてその必要性においては何ら変わりがないと、ぜひ建設を継続してほしいという要望をあげていることは事実でございます。そういった中で、新たな見直しの基準が出てまいりましたので、あらためて「柔らか頭」でそれに沿って検証していくと、これは直轄ダムでありますので、国が主体となって検証されるのに対して、私どもの意見を適宜適切に国に言っていくという、そういう役割分担でありますが、そういうことを進めていくということだと思います。であるからこそ、今のタイミングであらためてさまざまなご意見の方々と対話を行う必要もあるということで、あちらのほうに行くついでもございますので、その時に関係の皆様方ともお会いできればと考えているところでございます。皆様方のご意見をしっかりとお伺いをしていきたいとこのように考えております。
(読売新聞)
先ほど、知事という仕事は24時間の仕事なんだということで大変な職務、重大な責務だと思うのですけれども、知事、来年の4月に知事選があるわけなんですが、残り半年を控えまして、現状でどのように対応するお考えなのか、お伺いしたいと思います。
(知事)
このことについては、一昨日出張先の東京から帰ってまいりました空港でも、それから東京のほうでもさまざまな報道の方々から、さまざまなご質問をいただいたわけでありますけれども、結論的にはまだ今段階で来年の4月の知事選というものに対して、私自身がどういうスタンスで臨むかということについて、意思決定をするには至っておりません。
しかしながら、空港まで来られた報道の方々には申し上げたところでありますけれども、2期目も終わり半年を切る段階になってきておりますし、道民の皆様方もご関心を持って見ていただいている中で、私自身、来期ということを見通していくのか、いかないのか、できる限り早く私自身の考えをまとめ、また心配をしてくださる近くにいる方々とも意思の疎通を図りながら、私自身の気持ちを道民の皆様方にお伝えをしなければならないタイミングは近づいてきているのかな、という思いは持っているところです。
また、これも空港で申し上げたのでありますけれども、1期目と通算いたしますと7年半と少し経ったわけでありまして、その1期目に立起する時に私が目指した、こういう北海道を作りたいと、北海道はともすれば公共事業依存の産業・経済構造というふうに言われている中で、もっと多層な、北海道は本来、21世紀に求める資源はすべて持っておりますので、その北海道本来の資源を活かす形で地域づくりに取り組む、道の活性化に取り組んでいくというその目指す方向に向けて、少しずつではありますが、形はできてきているのかなということは思っているところですが、もう少し時間はかかるかなということも思いつつ、その先をどう見通すかということについて、今、自分自身の頭の中の整理を一生懸命しているところです。
この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなどを整理し、作成しています。
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