知事定例記者会見
・日時/平成23年2月2日(水) 14:00~14:24
・場所/記者会見室
・記者数/31名(テレビカメラ1台)
会見項目
記者からの質問
1 日豪EPA交渉について
2 水資源の保全などに関する条例の制定について
3 北海道エアシステム(HAC)について
4 性犯罪前歴者等に対するGPS端末の常時携帯に関する条例を宮城県が検討していることについて
5 知事選での消費税の扱いについて
6 ロシア政府の北方領土開発の動向について
7 知事選における経済界の動向について
8 道議会での意見交換について
記者からの質問
(NHK)
来週の話になってしまうのですけれども、7日から10日まで、日本とオーストラリアのEPA、経済連携協定の交渉が行われる予定になっております。オーストラリアはご存じのとおり、牛肉ですとか乳製品ですとか、小麦それから砂糖などの関税の引き下げというものを求めるとみられているのですけれども、こちら北海道の産品と重なる部分もありまして、これから始まることではありますけれども、知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(知事)
日豪間のEPAは数年前から断続的に、交渉、話し合いが行われてきている案件でありまして、サミットのあった年の前後くらいでしたか、オーストラリアの在京の大使や領事がこちらにも来られて、私どもも意見交換をした経緯もございます。その際にもお話をしたのですが、日豪という2国間の交渉でありますので、相互に結んで良かったというWin-Winの内容にする必要があろうということで、当時のオーストラリア大使と私と意思の疎通を図った経緯もございます。今、再開ということでございまして、もちろん一般論として、貿易をできる限り自由化することは重要であるというのは論を待たないわけで、報道等を通じて承知していますが、日本から見ると、レアアースの安定供給の確保などのメリットというポイントもあろうかと思いますし、またEPAでありますので、単に貿易面だけではなくて包括的な経済協定ということで、例えば、前から言われております中小企業分野の協力など、いろいろなことがあり得るのだと思います。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)との関係がどういうふうになるかというのも、私どもから見ればよくわからない部分もありますが、日豪という枠組みに限って言えば、私どもの主張は前から申し上げておりますとおりですので、今、ご質問の中にもございました、小麦なり、砂糖なり、乳製品なり、そういった北海道の基幹的な農業産品についての我々の主張というのは、十分に通していただくことを前提に交渉をしていただきたいということは当然のことだと思っています。
引き続き、TPPの議論と共にこの日豪EPAの動きも、私どもとしてしっかり見守り、そして必要に応じて我々の主張を日本国政府にも発信していきたいと思っております。
(北海道新聞)
道内の森林売買の件についてお聞きしたいのですけれども、水資源の問題とかありましてですね、外資が道内の森林を買っているという問題もありまして、昨年の道議会で知事のほうから水資源の保全を理由に、規模の小さい取引でも事前届出制にするような条例を考えているというようなお話がありましたが、一方で、規制強化みたいなことになると、道内の土地の売買などの投資意欲をそぐのではないかというような懸念の声もありますが、この辺、条例化に向けて知事としてどのように取り組んでいかれるのか、あらためてお考えを聞かせていただきたいのですが。
(知事)
道内は観光資源が多いということもありまして、道外資本でも、国内外のいろいろなところから関心が高まっていて、そういった中で、外国資本からも道内に進出をしたいという動きが出ているというのは事実であります。そして、例えばニセコエリアなども言われておりますとおり、地元の方々、これは地元の町村、我々の総合振興局含めてでありますが、地域と連携を取りながら、当該地域の観光資源をうまく活かしながら観光開発、観光振興を行っていくという方々とはしっかり連携なり、情報の共有を図りながら地域の発展を目指していく、この協力関係をさらに盛り上げていくというのは当然のことだと思っております。
ただ一方で、今のご質問とも関連するのですが、これは外資に限らないと思うのですけれども、目的が必ずしも明確ではない中で土地取得を結構大規模にやっておられるという動きも出てきていて、そういったことを全くノーチェックでいいのかという議論だと思うのです。私どもも今年条例化ということで、今、議論を内部で鋭意深めているところでありますけれども、たぶん先行する形で、ニセコ町さんにおいても、水に関する開発規制などということで条例をご検討しておられるというふうに報告を受けているところです。
ニセコ町さんは、上水道の約9割、相当部分を地下水に依存しておられるという事情もあるのでしょうか、道内でも他にも例はあるわけでありますけれども、だからこそ水源を守っていかなければならない、その水源を守るという観点から一定の開発行為に規制を設けるという趣旨の条例であると報告を受けているわけですが、これも外資かどうかということに限らず、要するに、町としての水道水の確保を図る観点からの水開発規制ということだと理解をいたしておりまして、必ずしも外資ということではないだろうと。一方、私どもの条例の場合には、先ほど申しましたとおり、地域と協力しながら開発を進められる外資の方々というものを念頭に置いているわけではなくて、土地取得の目的が必ずしも明確ではないような部分について、実態把握すら、今、十分にできない状況が適切かどうかということに着目して、我々地域のレベルで何ができるかということを条例として検討しているわけでありまして、いろいろ言いましたけれども、外資の方々が我々と協力しながら観光振興を進めていただくのは、これからもどんどんぜひというふうに思っております。そしてそれと並行しながら、必ずしも目的が明確ではない土地取得などについては、やはり水源の保全等という観点から、我々としてその取得の実態の把握などを含めて条例でどういう対応が地域レベルでできるのかということを、今、検討しているとご理解をいただきたいと思います。
(TVh)
HAC(北海道エアシステム)について3点ほどお伺いしたいと思います。
今、経済界のほうでですね、道のほうが出資要請していく中で、今週北洋銀行さんだったり道銀(北海道銀行)さんだったり、出資オーケーということで前進しているところがあるかと思うのですが、セイコーマートさんも出資を受諾するという話もありますし、北電(北海道電力)さんも前向きにという話がありますが、株主構成の大枠が固まりつつあるのかなと思うのですけれども、そちらに対する受け止めをまず1点お聞かせいただきたいのとですね、2点目はですね、大枠固まりつつある中で、次に注目を集めるのが社長を含む新経営陣がどういう形になるのかという部分かと思いますが、今日午前中の(北海道議会)特別委員会のほうで、新生HACの経営陣については、企業経営、航空事業、航空機の運航整備に精通している人物の参画が必要だという話がありましたが、特にですね、新生HACの社長に求める人物像として、知事がどういう人物がやるべきだとお考えかというのをまず、2点目をお聞かせいただきたいと思います。
3点目なのですが、3月末の新経営体制移行ということで、これも今日の特別委員会のほうで、経営陣の全容については全体像については、今月始まる第1回定例議会の会期中に示したいという話があったのですが、あまり時間がない中で、候補のリストアップ等も進めていらっしゃるのかなと思うのですけれども、社長や役員のリストアップや交渉などが水面下でどの程度進んでいらっしゃるかというのをお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
(知事)
HACの体制整備ということについてでございますが、まず出資についてのご要請につては、私ども鋭意、経済界、経済界といいましても道内幅広い経済界の方々、企業さんもあり、グループもあり、商工会議所のような団体もありますが、要請活動を続けているところです。
それから二つ目の経営体制の今後について、これも当然同時並行でさまざまな検討は進めておりますが、基本的な経営体制像については、今日の特別委員会で私どもの幹部職員から議会に対してご説明を申し上げたとおりでありまして、企業経営のセンスも重要であります。また、航空事業という大変に技術的あるいはノウハウも重要な事業分野でありますので、そういったことにも精通していただく必要があるでしょうし、そういったことを社長が一人で体現するというのは難しいかもしれませんが、社長をはじめとして経営陣全体として円滑に進められるような経営体制というものを構築していかなければないらないということで、鋭意検討を進めているところです。
(共同通信)
宮城県の村井嘉浩知事がですね、性犯罪の前歴者にGPS(衛星利用測位システム)を常時携帯して行動監視をする県条例を検討していると明らかにしたのでありますが、その件に関してですね、高橋知事の簡単にお考えをお聞かせいただければと思います。
あと、すみませんもう1点。消費税増税についてなのですが、知事が前々回の記者会見で、真正面から議論をしていくことは受け入れざるを得ない議論なのではないかとおっしゃっていたと思うのですけれども、その関連で今度の知事選を戦われるにあたってですね、増税反対なり増税なりですね、明言して戦われるお考えはありますでしょうか。お聞かせください。
(知事)
まず、宮城県でご検討が進んでおられるというこの「性犯罪前歴者に対するGPS端末の常時携帯義務化」をするかどうかという議論でありますけれども、まずやはりこの性犯罪、あるいはDV(ドメスティック・バイオレンス)、こういったことは被害者の尊厳を踏みにじる、大変に悪質な犯罪だという認識を持っているところでありまして、こういった犯罪者の前歴を持っている人たちに対して、それ(再犯)をどう防止するかという議論の中で、今回の宮城県のご検討というのは、私は一石を投じたものであるというふうに評価をするところです。
しかしながら一方で、こういうことをすることによって、犯罪者の方々というのは、更生をしてもらうというのが一番ですが、そういう人たちの人権の問題であるとか、検討をしなければならないいろいろな課題というものも、このGPSの常時携帯義務化に伴うこととしてありまして、その意味では議論に一石を投じたということは評価しつつも、宮城県庁と宮城県警でいろいろな議論をいろいろな観点からされると思いますので、そういった論点整理というものをぜひ見守っていければと思っております。
それからもう一つが、消費税増税について自身のマニフェストに掲げるかどうかということでありますが、今、鋭意、公務の合間、私自身の公約についていろいろな議論を深めているところですので何とも言えませんが、ただ消費税の増税というのは、地域、地方だけでやるということではなくて、社会保障の分野との関係、一体改革ということで、当然国と地方の役割分担など大きな枠組みの中で議論を進めていくべきことですので、地方における知事選の公約として想定するものかどうかというのは、ちょっと見極めていかなければならないのかなと思っています。
(日本経済新聞)
ロシア政府が北方領土の開発期間の延長なり、韓国、外国企業への開発の参加を呼びかけていますけれども、この件について知事の率直な感想と、道として何か対応があればお聞かせください。
(知事)
このことは、報道を通じてしか私は承知しておりませんが、昨年秋のメドベージェフ大統領の国後島訪問の後、それをフォローアップする形でロシア政府の責任ある立場の方々が、これは閣僚レベルあるいは事務方レベルなどさまざまな形で四島、北方領土のエリアに行って、さまざまな発言、さまざまな方向性というものを出していることの一環として、地域発展大臣が行かれた際に、韓国企業への(開発プロジェクトへの)協力要請というような発言もされたと聞いているところです。
我々北海道、あるいは日本国政府の立場は、こうやって国境が確定しない地域に外国の資本が入ってさまざまな経済発展に協力するということは相容れないというのは基本姿勢でございますので、今回のことが本当であれば、これはやはり日本国政府として毅然たる態度を取っていただきたいというのが強い思いであります。
北海道としてこのことについて何かできるかと言えば、今ご質問を受けて直ちに私が思い浮かぶのは、日本国政府に対するそういう要請でありまして、道独自に、例えばサハリン州に要請などというのはやはり違うのかなと、やはり政府対政府できちんとした態度を示してほしい案件だというふうに思っております。
(STV)
先ほどの選挙の話とも関係するのですが、知事といいますか、立候補予定者に対するご質問になってしまうのですが、道商連(北海道商工会議所連合会)さんが先ほど懇談会の中で、今回の知事選及び札幌市長選に関しては、特定の候補の支持・支援は団体としては行わずに、基本的にはその各企業さんのご判断に委ねるということを明らかにされました。
道商連さんに関して言いますと、前回は高橋知事の2期目の選挙戦を支持された団体であったわけですが、こういう経済団体のご判断ですね、ちょっと候補としての高橋はるみさんとはちょっと距離を置く発言だったというふうに受け止めているのですが、これについてはどうお考えになりますでしょうか。
(知事)
4年前の選挙の時と今回とは、いろいろと環境も変わってきておりますので、その環境変化の中で、それぞれの主体の方々のそれぞれのご判断かなというふうに思っているところでございます。ただし、私の記憶が正しければ、道商連さんとしては動かないけれども、傘下の商工会議所あるいは傘下の企業がどういうふうに行動するかは自由であるということですので、その意味ではあまり変わらないかなと。それぞれの組織なり、結局は個人ですので、組織票というのはあり得ませんので、個々人の有権者の方々に対して、私自身の候補としての、これまでの経験を踏まえた上で、これから4年間に向けての政策の方向性というのをしっかりと訴えてご支援を求めていくという、戦術、戦略、その1点に尽きるのかなと、そんなふうに思っております。
(HTB)
道議会における議論のあり方について、ちょっとお聞きしたいのですが、先日、弊社のほうで道議会議員の各会派の代表者と有識者の方を交えて討論番組の収録をさせていただいたのですけれども、その際に議員側から答弁調整とか、今、意見交換という呼び方されていますけれども、本来の活発な議論をする上では、これを廃止すべきじゃないかという意見があがりました。そこで伺いますが、知事は初めて出馬される時、それを公約の一つとして掲げられたと思うのですけれども、今ちょっと、昔ほどまで一字一句とは言いませんけれども再質問まですりあわせをして台本化してしまっているというこの現状をどういうふうにお考えか、また、あらためて答弁調整廃止、意見交換廃止をどのように考えるかお聞かせください。
(知事)
その今おっしゃった討論番組はそのうち放送されるのですか。
(HTB)
来週の金曜日です。
(知事)
では見られれば勉強させていただきたいと思います。
各会派から参加されたのですか。
(HTB)
はい。代表の方が。
(知事)
結局、議会の皆様方とどういう形で質疑を深めていくかというのは、我々だけで決められることでもないし、双方、議論しながら決めていくことですので、道議会の皆様方のご意向が、意見交換なりを廃止をして、概ねそういう形での議論を深めたいというご意見が多いということであれば、我々としてもその方向で議論を深めていきたいと、このように思う次第であります。御社の討論番組で、(参加した)皆さんがそうおっしゃったのですか。
(HTB)
自民党さんは消極的でした。民主党さんとか他の会派の方はかなり前向きでした。
(知事)
ではその放送も勉強させていただくし、また、我々としても議会サイドの皆様方と具体的に議論を深めて、皆様方のご意向に沿うような形で対応を考えていきたいと思います。
(HTB)
戻ってしまった現状についてはどうお考えですか。そのやめると言って、一度いい形になったと思うのですけれども、現状今このようになって。
(知事)
今の現状というのは、やはり議会サイドの皆様方との議論の中でこういう形でやらせていただいているというふうに思ってます。
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