知事定例記者会見記録(平成23年4月14日)

知事定例記者会見

・日時/平成23年4月14日(木) 14:30~14:59  
・場所/記者会見室
・記者数/38名(テレビカメラ5台)

会見項目

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知事からの話題

1 3期目にあたっての抱負について
2 原発事故に係る放射線モニタリングについて

記者からの質問

1 放射線モニタリングについて
2 北海道観光をアピールするためのトップセールスについて
3 被災県への再訪について
4 全国知事会会長選挙について
5 原子力安全対策強化のための組織体制について
6 道政に取り組む決意について
7 全国知事会会長選挙について
8 攻めの道政に向けた具体的な展開について

 

知事からの話題

 

「3期目にあたっての抱負について

 それでは私から2点、お話をしたいと思います。
 1点目は、あらためて皆様方にまたよろしくお願いいたしますということです。
 このたびの統一地方選前半戦の知事選におきまして、道民の皆様方から再度信任をいただきまして、あらためて道知事としての仕事を務めさせていただくことになったところです。
 この記者会見でいつもお世話になっております記者の皆様方は、我々道庁と道民の方々の間を結ぶ架け橋の役割を果たしていただいているわけですので、引き続き心からお願い申し上げたいと思います。
 当選が決まった直後の記者会見等の場で申し上げたところですが、この2期8年間、私は広大な北海道のそれぞれの各地域、これは本当に多様で特色のある地域ばかりでありますが、こういったそれぞれの地域にこだわった地域づくりを支援をするという基本的なスタンス、それからさまざまな政策展開を考える際には常に道民目線で、前例や人がどう言っているか、そういったことではなく、常に道民目線ということにこだわりながら、道政運営ということをやらせていただいてきたというふうに考えていまして、こういった姿勢は、これからも一切変わることはないと、また、変えるつもりはございません。
 他方で、2期も終わって3期目というと、集大成でもないのですが、8年間の延長線上に立った道政というイメージもあるわけですが、そのことは私は3期目に挑戦をする候補者としての公約発表の時にも明確に申し上げたわけでありますが、3期目というのは2期8年の続きという意識は完全に払拭をし、「攻めの道政」ということを貫徹してまいりたいと考えているところです。
 とりわけ今、目の前の危機というのが、震災対応ということですので、この攻めの道政ということ、政策の発表の中で申し上げた時にはそこまでは想定していなかったのですが、まさにその後起こったこの未曾有の大震災への対応ということを考えた場合には、まさに道庁の総力を結集して、前例に縛られることなく、新たな発想で対処していかなればならない、このような思いを強く持っているところです。
 道政運営の三つの視点、これは前から申し上げているとおりでありまして、「地域に徹底的にこだわる」、今申しました「攻めの道政に徹する」、そして「世界の中の北海道という視点を常に忘れずに、北海道の発信をする」ということでございまして、北海道という面積でも人口でも一国の風格というか、一国を形成するだけの要素を持っている北海道の知事として、一つの国を創るという気概で北海道の地域づくりにまい進してまいりたいと考えているところです。
 そうは言っても、今、目の前の緊急に取り組まなければならないことは東日本大震災からの復旧・復興ですので、それに向けて今週仕事を再開した11日以降、いろいろなことを発信し、いろいろな行動を取ってきているところです。
 まずは4月11日には、道民の方々に対するメッセージ、すなわち必要以上の自粛ということはもう止めようよと、被災された方々にしっかりと思いをいたしながらも、我々は力強く前を見て歩んで行こうという宣言を4月11日、震災から1カ月目に発信をさせていただき、また同じような思いで臨時の北海道東北知事会を開催させていただいて、そのメンバーで考えたこれからの復旧・復興対策の国への要請あるいは与野党への要請、こういったことも展開してまいったところです。
 その後、12日、13日に福島、宮城、岩手の三つの県知事さんを訪問させていただきましたが、このことも私、大変有意義だったと思っておりまして、やはりこういった隣組である東北で、歴史上例を見ないような大きな自然災害があったことから学ぶべきことが北海道も多々あって、そういったことを今しっかりと災害の多い北海道においても考えていかなければならない、そのような思いも今強く持っているところでございます。そして今、道庁でも今回の震災対応でいくつかの新たな体制を立ち上げます。
 まずは4月1日付けで、総合政策部に被災地への支援対策をする体制を作らせていただきました。そして、明日4月15日付けで、先ほど本部員会議で決定をいたしました震災の影響に伴う経済対策を推進する体制、これは経済部ですね。それから同時に、総務部に道内の原子力安全対策を推進する体制の整備ということも考えているところでございまして、初登庁した日が今日でございますので、これからいろいろとまた考え、職員とも議論をしながら、やらなければならないことはしっかりと発信し、行動を起こしていきたいと考えているところです。とりあえず、今のところここまでやってきたということであります。今後とも、クラブの皆様方におかれてはよろしくお願いいたします。

原発事故に係る放射線モニタリングについて

〔資料1:海水中の放射性物質濃度のモニタリング結果について
〔資料2:小型さけ・ます流し網漁業の漁獲物調査について
〔資料3:本道での農地における放射性物質モニタリング調査の実施について
 それからもう1点は、原発事故に係る放射線モニタリングについてであります。これは配付資料が何枚かあろうかと思います。福島原発事故の風評被害ということにつきましては、福島県の知事も相当に苦労しているということを言っておられました。工業製品までメイドイン福島だと危ないというふうに国内外から言われるというのは大変に苦しいと言っておられましたけれども、実はこの風評被害というのは道内にも及んでいると福島の知事にも申し上げたところですが、そういった中で私どもとしては、まずは海水のモニタリングというものを、11日から行ってきているところでございます。これは確認的に行っておりますが、その11日に行いました1回目の結果が「影響がない」と出ましたので、結果は道のホームページにも掲載をいたします。今後とも、もちろん他県の状況を注視しながら調査を継続し、その結果を積極的に発信していかなければならないと思っております。
 加えて、配付資料にもございますが、明日から小型のサケ・マス流し網漁業が操業開始となります。これは北海道の少し南、東北よりも少し北のエリアの太平洋沖合海域を漁場とする、あとから必要であればどこがこの漁場かという図面(資料)を配付しますが、黄色い斜線の部分でありまして、ここで始まります。こういった漁獲される、生産されるものが安全であるかということを確認するために、これは漁獲物そのもののモニタリング調査を予定しているところです。
 この小型サケ・マス流し網漁業というのは、7月の初めくらいまで行いまして、その間、この海流の流れというのがどのようになるかということもあるわけですが、今のところは排水の放射性物質の濃度が高いと言われているところの海流は、太平洋の広い中に拡散するような形になっておりますので、全く問題はないと思うわけでありますが、状況を見極めながらこの調査も続けてまいりたいと考えております。
 一方、農業への影響に関しても、大気中の放射性物質の動向というものも一つの目安になるわけでありますが、本当に確認的なものですが、念には念を入れて、農地の土壌についてもモニタリングを行うこととしたところです。道総研(北海道立総合研究機構)の農業試験場の皆さん方のご協力をいただきながら、全道に配置されております農業試験場7カ所の土壌について実施し、これも公表していきたいと考えているところです。
 調査のスケジュールといたしましては、4月18日に各農業試験場が土壌のサンプリングをして、放射性ヨウ素・セシウムについて、19、20日にかけて道立衛生研究所が分析をします。調査期間は作物が生育する期間、4月から10月頃として毎月1回行い、その都度速やかに公表するということを考えているところです。
 以前から、道内外の皆様方に申し上げております、北海道の水産物、農産物、安全、安心、おいしいということをあらためて道内外にしっかりとアピールするためにも、このモニタリングを実施することを決意したところです。皆様方におかれても、そのPR方よろしくお願いを申し上げたいと思います。私からは以上です。

記者からの質問

(北海道新聞)
  このモニタリングの調査についてお伺いします。3月の中旬にですね、厚労省が食品についての検査を都道府県にですね、するように促していたのですが、その時は、道はですね、空気中で異常がないのでやる必要はないと、食品についてですね、ということだったんです。
 今回、土をやるというのは、今おっしゃったのは念には念を入れてということで知事おっしゃったのですが、これは空気中だけでは足りないという認識だったということなんでしょうか。これをあらためて土壌もやるという理由をお聞かせいただけますか。

(知事)
 これは海水モニタリングと同じですが、私ども今回いろいろな北海道の海産物、農産物等について、海外でいろいろな販売に向けての障害が一部出てきているというのは、風評被害そのものであるという認識を持っております。
 私どもとしては、調査せずとも安全・安心であるということの強い認識を持っているわけですが、ただ我々自身がそのように自己認識しているだけでは対外的な発信力がないという思いの中で、念には念を入れて調査をした結果、やはり安全であるということを公表をしていくことに意義があるという思いで、海水調査あるいは土壌調査、さらには、サケ・マスについて、今、漁期が始まりますので、その漁獲物の調査等をやることとしたところです。


(日本経済新聞)
 質問は2点ありまして、まず、海外からの観光客のキャンセルが相次いでいる中でですね、北海道を観光しても大丈夫ですよというメッセージ、アピールする上で、例えば、海外に知事自らトップセールスに行かれて情報発信をされるお考え、スケジュールがあるのかどうかというのと、あと、先日まで北海道東北知事会の会長として被災地に入られましたけれども、北海道の知事というお立場で被災地支援に取り組むという姿勢を出すという意味で、あらためて被災地に行って支援を表明するお考えはあるのかどうかお聞かせください。

(知事)
  まず、道外からも含めて海外からの観光客が減ってきているということを大変心配しております。ただ、4月11日に久しぶりに東京にまいりましたが、たぶん東京も同じような状況、そのような感じは持ったところです。
 いずれにいたしましても、私は北海道の知事でございますので、北海道の観光というものを、せっかく今上り坂になってきた途上でもございますので、しっかりと海外に(北海道は)安全・安心で素晴らしいということをアピールすることは大変に必要性が高いと思っておりまして、私自らできる限り時間を見つけて海外にも行きたいと考えております。
 事前に決まっておりました海外訪問は、まだ日程まで固めておりませんが、秋ぐらいですか、台湾にタンチョウを連れて行くことは予定しておりましたが、それに加えて、中国、韓国であるとか東南アジアのほうなど、スケジュール調整をしながら、できる限り私自身が先頭に立って北海道の観光振興をアピールしたいと思っております。
 加えて、もちろん客単価に違いはありますが、道内の観光地の入込客で一番多いのは道内観光客なので、道内の方々に、道内を再発見しようという、あらためてのキャンペーンも重要でありましょうし、またこれから夏場にかけて東京電力の管内では電力の節約というようなことも想定される中で、こういった夏場の首都圏からの観光客の北海道への集客ということも、東北の皆さん方に十分に配慮しながらでありますが、しっかりとセールスをしていかなければならないなど、まだ今日は再スタートなので、職員とまだ議論できていない部分もありますが、いろいろな準備をしてくれているものと思っておりますので、あらためて私自身認識を深めて、今申しましたような観光客減への対応というのは、トップセールスで頑張っていかなければならないと思っております。
 それから被災地への支援ということについて、必要であれば私自身あらためて被災地に入ることは検討しても良いかなと思いますが、ここはむしろトップとして私が行くよりも、これは県庁よりもむしろ市役所なり被災をされた役場なり、まさに現場現場で手が足りないというようなお話を、それぞれの県でも県庁でも頂いたところでありますので、そういった相手方からのご要請に添う形できめ細やかな対応による被災地支援ということをいろいろとやっていかなければならないのかなと思っているところです。
 ただ、今年の夏の全国知事会は秋田のようでありますので、その時にはあらためて東北に入らせていただければと思っております。


(時事通信)
 全国知事会の会長選挙が告示、一昨日告示となりましたが、北海道東北を代表して、ご自身出馬するというようなお考えあるかどうか。それから会長とはどのようなお仕事でどういった方あるいは誰がふさわしいとお考えかお聞きします。

(知事)
 私自身は、この全国知事会の会長職というのは大変に有意義な職であるということは十分に認識しつつも、道知事として与えられた職責ということの重さを考えた場合に、なかなか立候補というのはどうかなというのが率直な思いであります。申し訳ありません。
 それで誰がふさわしいか。11日に東北の(知事の)皆さん方と会った時に少しそういう話も出たのですが、やはり目の前の震災対応がそれぞれいっぱいだということもあって、あまりそれ以上話は進みませんでした。私も情報をまだ持っていないところでございますけれども、期数というか、経験を重ねられたという意味では、私よりも長く知事をやっておられる方々もいっぱいおられますし、それからこれは私見でありますけれども、やはり東京でいろいろな仕事をやらなければならない場面が多いポストでございますので、あまり東京から離れたところに位置する知事というのは少し大変かなと思うのですけれども、しかし、福岡の知事はやられましたので、何とも言えませんが良い人が選べればと思っております。


(STV)
 先ほど知事がおっしゃった原発の安全対策の強化なのですけれども、具体的に組織的にどのような体制をとるかというのを現時点でプランがありましたらお聞かせいただければと思います。

(知事)
 今は、危機対策の部局の中に課長以下の体制で対応するという形になっているのですが、これから国と歩調を合わせ、また事業者とも連携を取りながら、そしてまた地域の市町村の皆様方とも連携を取りながら、しっかりとした仕事をやっていかなければならないという認識の下に、担当局長を置く、ワンランクグレードアップしたような組織体制ということを今考えているところです。
 それくらいでよろしいのでしょうか。

(STV)
 人員的な部分とかは。人を増やすとかというのはいかがでしょうか。

(知事)
 人も増やします。(局長ほか)3人増ということを考えております。


(北海道新聞) 
 知事、当選翌日からさっそく公務で東京行かれて、それで今度は被災地を巡ってと、休む間もなく今度は初登庁されていろいろ会議にも出ていらっしゃると。異例中の異例というか、あんまりこういう忙しく対応するということも選挙後はそんなにないと思うのですけれども、そこにかける決意というか心意気というか、そこら辺をちょっとあらためて説明していただければと思います。

(知事)
 11日から動くというのは、10日(投票日)の次の日だからということではなくて、3月11日(の大震災発生)から1カ月目だった日がたまたま投票日の次の日だったということでありまして、私は選挙結果がどうなろうが、任期は11日時点ではまだ現職でございますので、このことはしっかりやろうということは相当前から決めておりまして、職員にもそのように指示をし、11日に向けて北海道東北知事会としてのアピール文の調整、それから国への要請の内容の調整、こういったことを4月11日をターゲットにまとめるということを指示して遊説に出た経緯がございます。
 その意味では、確かに選挙の日程との流れの中では、大変異例中の異例というふうに映るかと思いますけれども、それだけ今私どもが直面している危機が異例中の異例、未曾有の大震災であったと思っているところです。
 いずれにいたしましても、ここまで参りました。そしてまだまだ私自身も頭の整理をしなければならない部分、あるいは職員がこの私が空席、選挙で戦っておりました間に、地道にいろいろと議論を積み重ねてきてくれている部分がありますので、そういった情報共有を早急に図って、とにかく早くスピード感を持って、今の状況を打開するべく、しっかりとした行政を展開していかなければならない、そのように今私自身も思っているところです。


(共同通信)
 先ほどの1点、知事会の選挙の件で確認なのですが、知事ご本人は、どなたかの推薦人になったり、どなたかを何らかの支持したりするお考えはありますでしょうか。

(知事)
 今段階では、あまりそこまで頭の整理はしておりませんが、今後仲間の人たちと電話等で連絡を取り合って、良い方がおられればそういった推薦人等になるというアクションは十分にあり得るかなと思っております。


(読売新聞)
 先ほど知事は、「攻めの道政」をやるのだと、前例のないことをやるのだということで、大変期待されていると思うのですけれども、具体的にどういう分野で「攻めの道政」を展開するのか、前例のないことをやるのか、どういうことをイメージされているのか、もし具体的にあればお願いします。

(知事)
 あえて言えば、全ての分野でということだと思っております。まずは、震災対応ということでも、先ほど職員向けのメッセージの中で申し上げたのですが、いろいろな局面で一つ一つの、細かいと言ったら変ですけれども、一つ一つの事業の積み重ねの上に、この震災対応というのがあるわけですけれども、その一つ一つを積み重ねていく上で、若い人たちのこうしたらどうかという提案があったり、それは前例があるかどうかは別としてこういうふうにやったらうまくいくのではないか、そしてそれをやるためには道庁だけではできないので、例えば(被災県への)船の派遣の時には、北海道開発局さんとの連携、それから、建設業協会との連携、そういう我々が今まで培ってきたいろいろなネットワークの存在ということを前提に、こことここをこういうふうにうまくつないだらこうなるのではないかという発想、そういう柔軟な発想というものを大切にしながら行政を展開していこうという意味合いで申し上げたところであります。
 具体的な分野で申し上げれば、先ほど私が公約の実現ということで申し上げた「目の前の危機」対応に加えて、食産業立国の進め方といった分野でも当然前例のない形で、今我々が考えて何が重要かということをアクションとして起こしていくことを考えていかなければなりませんし、医療体制の充実ということについてもしかりでありますし、また世界に対する北海道の発信ということを含めて、さまざまな分野で前例踏襲ではない新たな発想で物事を進めていくという、気持ちを、意識を、道職員一人一人に持って欲しいということを、私は今段階では申し上げているところです。


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなどを整理し、作成しています。

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