知事定例記者会見
・日時/平成23年10月7日(金) 14:52~15:13
・場所/議会記者室
・記者数/30名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 平成23年第3回定例会の閉会にあたって
2 秋の行楽シーズンに向けたヒグマ対策について 「北のふるさと事業承継支援ファンド」の設立について
記者からの質問
1 TPP(環太平洋連携協定)について
2 エネルギー政策のあり方について
3 被災県の災害廃棄物の広域処理について
4 プルサーマル計画に係る道民からの意見について
5 泊原発に係る北電の対応について
6 再生可能エネルギーについて JR北海道の事業範囲の見直しについて
知事からの話題
平成23年第3回定例会の閉会にあたって
私から2点、お話しいたします。今日、第3回(北海道議会)定例会が閉会いたしました。防災対策、原子力安全対策、エネルギー問題、交通行政、一次産業振興策など、幅広い議論が交わされたわけでございまして、また、本定例会にご提案をさせていただきました東日本大震災からの復興、あるいは、新しい地域医療再生計画などに関わる総額258億円の補正予算も議決いただいたところです。
今後、速やかに予算を執行して、本道の経済・雇用の状況のレベルアップに取り組んでまいりたいと考えております。
秋の行楽シーズンに向けたヒグマ対策について
〔配付資料:ヒグマの大量出没警報〕
それからもう一つは、クマについてです。(机の上にある)これがクマ除けの鈴で、これが笛ですね。
皆様方も報道しておられますように、最近、札幌あるいは千歳などの市街地で、相次いでクマの目撃情報が報道されております。今年は、ヒグマの主食であるドングリの「実なり」が不作から、凶作のようでありまして、農地や市街地へ出没するとの予測から、「ヒグマ大量出没警報」を発令いたしまして、有害鳥獣駆除の実施者である市町村や北海道猟友会などに対策を既にお願いしているところであります。
この記者会見でも、かつて話題になったかと思いますが、道といたしましては、キノコ採りや紅葉狩りなどの秋の行楽シーズンに向けまして、道民の皆様方はもとより観光で訪れたお客様に対しても、ヒグマ注意の看板設置やコンビニエンスストアのレシートへの記載、店内放送などによって広く注意喚起を図っているところです。
道民の皆様方におかれても、野山にお出かけになる際には、特に明日からは3連休でもありますけれども、くれぐれもお一人では入られないよう、そして、このようなクマ除けの鈴とか笛などを携帯して、さらに、クマの行動が活発となる薄暗くなってから山の中に入ることは極力避けていただくなど、自分の身を守るための注意をよろしくお願いいたします。
また、ヒグマが出没した地域におきましては、市町村と相談をしながら、ヒグマの侵入する経路の遮断や、花火や爆竹、防災スピーカーなどを使って、ヒグマが嫌がる音や臭いにより、市街地等に近づかないように対策をお願いしているところです。
石狩振興局におきましても、ハンターや自治体向けに「ヒグマ捕獲技術研修会」を開催したほか、札幌市、千歳市のそれぞれ20名、8名のハンターの皆様方にヒグマ駆除の許可を出し、既に出動の対応が取られているところです。
なお、市街地では鳥獣保護法により銃器による直接駆除ができないということになっておりまして、ヒグマを見つけた場合には、まずは大きな音などで山に追い払う手段に留めざるを得ないため、報道の皆様方におかれては、あらためて道民や観光客の皆様方に対して、明日からの3連休を迎え、山に入る際には十分注意されることを含めて、ヒグマによる事故防止について注意喚起をお願い申し上げます。私からは以上です。
記者からの質問
(STV)
TPPの関連だったんですけれども、先日といいましょうか、昨日まで経団連の米倉会長いらっしゃいまして、あらためて参加を訴えられたということなんですけれども、APECの首脳会議、ハワイのですね、まで1カ月ぐらいですけれども、それまでに一定のめどというような政府の動きもありまして、その中で道として今後ですね、どのようなスタンスでですね、TPP問題に臨まれるのかっていうのをお伺いいたします。
(知事)
米倉経団連会長のご主張というのは、前からよく分かっていまして、私は予特(予算特別委員会)の知事総括の日と重なってしまったので、懇親会を含めて出席はできませんでしたが、報道を通じて事後に聞きました。
TPPについては、私ども北海道としては、農業関係団体に関わらずオール北海道で道民合意もない、国民の議論もない、かつ強い農業政策を政府としてもいろいろご議論をしておられる、そういったことの形も見えない中で、突然前のめりで関税撤廃を原則とするTPPへの参加を宣言するというのは、やはり反対であるということは、明確なスタンスとして打ち出しているところでありまして、野田新政権になってからも、先月そういった私どもの意向を強く政府に対して申し入れているところです。
あらためて議会も終了し、これから私どもとしてどういうアクションを起こしていくかという議論はありますが、一方でそれぞれの都道府県で工業県や農業県などいろいろ差はありますが、私は、全国知事会農林商工常任委員長の立場から知事会全体としてもやはりなにがしかの申し入れを政府に対して行おうということを昨日知事会長と話をしたところでありまして、そういたしますと、道知事としての立場は先ほど申し上げたクリアカット(はっきりとしている)なのですが、全国ということになりますと、やはり農業県は強い農業政策ということについての具体的な野田政権としての方向性をまず示してほしいと、その上での国民的な議論ではないかというような申し入れの形になるのかなと思っておりますが、いずれにいたしましても、11月の10日過ぎのAPEC首脳会談を一つのターゲットとして、野田総理もいろいろとご検討しておられるようでありますので、私どもとしても時機を失することなく、しっかりとわれわれの思いをお伝えしていかなければならない、このように考えております。
(北海道新聞)
一つだけ、今定例会を振り返ってお聞きしたいことがありまして、知事、今回の定例会では、再生可能エネルギーについてですけれども、地域ごとの賦存量を把握するなどですね、積極的に導入を進めようというお考えは示されたんだと思うんですけれども、一方で複数の会派から脱原発を将来的に目指すのかどうかということも聞かれたと思うんですけれども、そこでの明確な答弁っていうのはなかったように思うんですが、今の段階でですね、そうした姿勢を明確に打ち出すことが難しいんだとすれば、その理由はどういうところにあるのかっていうのをお聞かせいただきたいのと、あらためて今後どういうふうにエネルギー政策の在り方を考えていくかというのをお聞かせいただきたいんですけれども。
(知事)
なかなか難しいご質問ですけれども、私なりに北海道が有しております条例(北海道省エネルギー・新エネルギー推進条例)を踏まえて、条例は議会でご議論いただいて議決されたものでありますので、それを運用する責任者たる知事の立場で、その趣旨を踏まえてエネルギー政策をやっていくということについては、私自身言及をさせていただき、その意味で私としては方向性について、はっきりとしたことを言っているつもりでございますが、国も、菅政権それから野田政権となる中で、どうもこの原発の再開に向けての方向性一つとってもよく分からない部分がありますし、また原発の新設についてのスタンスというものもいまだにはっきり出しておられないなど、そういったいろいろ客観的な情勢の中で、われわれの再生可能エネルギー導入の今後の道筋なども考えた場合に、当然その政策的な誘導策というのは道だけでできることではございませんので、国のしっかりとした研究開発なり、あるいは誘導促進の政策なり、あるいはまず一番に言わなければならなかった例の菅政権の最後に成立した法律、再生可能エネルギー特別措置法の施行が来年の7月になるといったことも見極めていきませんと私どもとしてのその方向性というのは、なかなか出せない部分もありますので、単純にこのエネルギー問題についてその方向性を出すということについては、やはりわれわれとして熟慮をしていかなければならないことがあるのではないかなと考えているところです。
(朝日新聞)
震災の被災地のがれきの関係なんですけれども、先日、環境省のほうで担当の方を集められて、あらためて説明をされてましたけど、北海道としてですね、がれきの処理の受入れについて、あらためて現段階での知事の考えをお聞かせいただきたいです。
(知事)
(これまでと)何も変わっておりません。主として被災された3県において、災害廃棄物が多く出て、なかなか県内で十分に処理できないということで、関係のところにはご協力いただきたいというお話が相当前にございました。私どもとしてはもちろん被災地支援という基本的なスタンスでございます。話は異なりますが、昨日、(被災され、道内伊達市に移住された)宮城県亘理町のいちご農家の方も来ておられましたけれども、基本的に被災地支援というスタンスでございますので、このことの受入れについても、同じスタンスで臨んでいるところです。
このたび、環境省の説明会がございましたし、また東京都と岩手県との協定の存在も承知しているところです。ただ、広域処理のマッチング自身はこの3県それぞれで、私どもの場合にはどうも岩手県の廃棄物をというのが、国の考えのようでございますので、岩手県と私ども北海道を含めて他の県とどういう形にするかというマッチングを国がするというふうに私ども理解しておりますので、こういった国からの北海道に対する直接要請がまずあってからの議論ではないかなと。事務方に聞いておりますところ、まだ直接的なご要請というのはないと理解しておりますので、それがあったときには、前から申し上げておりますように、道内の地域住民の方々が大変にご懸念を持っておられます放射能のチェックをしっかり実施した上で、道民の皆様方のご理解を頂ければ、前向きに受入れをしていくということになると考えております。
(HBC)
これも何度もご答弁されているかもしれないのですけれども、プルサーマルに関する件なんですけれども、シンポジウムについてのいろいろなアンケート調査、いろいろあったかと思うのですけれども、その他に、プルサーマルの安全性そのものについて、2008年当時、何度も意見募集という形で道民からの意見が集められて、膨大な数の道民の声が寄せられていたと思うのですけれども、そうした声は、知事がプルサーマル計画案に同意されるに当たって、何らかの影響があったのかどうかですね、こういった声についてどのようにとらえられていらっしゃったのかということを、ちょっと3年前の話で恐縮なのですけれども。
(知事)
アンケート調査についてですか。
(HBC)
アンケートというか意見募集ですね。
(知事)
意見募集について。
2008年の検討状況の流れを見ますと、2008年は思い出すとサミットのあった年でございましたけれども、例の公開シンポジウムというものを挟んで、意見募集を大きく分ければ2回にわたって行っております。
1回目は5月19日から7月11日まで。それから、2回目が10月3日から10月31日までとなっておりまして、このプルサーマル計画の検討の一連の流れの中で、この意見募集というのは、プルサーマルそのものについての賛否を問うという性格のものではなく、有識者検討会議の議論に資することを目的として、意見募集を行ったものです。
1回目の時には、安全性に関する不安や疑問などを有識者検討会議の論点に反映させるために行わせていただいたものでございます。後半の10月3日から10月31日のものは、有識者検討会議の中間報告に対する意見募集であり、最終取りまとめの検討に反映するために実施をしたという性格のものです。
そういった位置付けでこの意見募集をやらせていただいたわけでありまして、道といたしましては、こういったことのプロセスを経た有識者検討会からのご提言、そして道議会でのご議論、そして地元のご意向、こういったことを総合的に勘案して判断をしたと議会でも答弁させていただいたところです。
(HBC)
そういう意味では、こういった意見募集で寄せられた声というのは、有識者会議の資料であって、知事の判断には影響しないというふうに理解してよろしいでしょうか。
(知事)
はい、直接的にはですね。
(HBC)
あと、これも重なってしまうのですけれども、あらためてなのですけれども、北電の一連のいわゆる「やらせ」といわれる問題でですね、当時の北電の危機感からの致し方ないというような声もあるのですけれども、あらためてこの「やらせ」についての見解というのは、これも何度もおっしゃっていることだと思うのですが、あらためてこの場で伺いたいと思います。
(知事)
プルサーマルについて。
(HBC)
一般的な、今回明らかになったことについて。
(知事)
「やらせ」という言葉はマスコミ的ですけれども、2000年の泊原発3号機増設については、社員以外の地元の方々にも働き掛けをして、その推進意見を出させることをやったのではないかという疑義ですよね。2008年のプルサーマルのシンポジウムの関係については、社員に出席を要請し推進意見を述べるようにと指示したという疑義ですよね。そのことについては今までも申し上げているところですけれども、こうした中立な形で議論が行われるべき場でそういった働き掛けがあったということは、やはり大変残念でありますし、それに国も関与をしていたという事実が、このたび国からの報告でも明らかになったことは残念であり、かつ大変遺憾であるというふうに申し上げたいと思います。
(共同通信)
エネルギーの話に戻るのですが、道議会の一般質問の答弁で、知事は自然エネルギーの全量買い取りについて、風力発電の買い取りを北電が拒否した場合、説明責任を果たすように求めるとおっしゃっていましたが、知事自身としては北電の現在の対応は不十分であると考えている面があるのでしょうか。仮に北電が買い取らないとなった場合に、北本連系(北海道・本州間連系設備)を使って東京とかのほかの電力会社にも電力を送るようなことも考えられますが、それについて具体的な働き掛けなどを考えているのでしょうか。
(知事)
北電の再生可能エネルギーへの取組が不十分かどうかというご質問だと理解しましたけれども、北電自身、今までも一定の努力をしておられ、さらに今回、風力についても一歩検討を進めるという話も出ているようでございますが、ただ先ほども申しましたとおり、来年の7月には例の再生可能エネルギー特別措置法が本格的に施行になりますので、そういったことを大きなきっかけとして、再生可能エネルギーの賦存量が全国的に見てもトップクラスにある北海道において、さらにその利用を拡大していかなければならないというふうに考えた場合に、これも先ほどの繰り返しですが、国などの支援策、もちろん道自身も条例の見直し等を今行っておりますので、道自身の支援策ということも考えてまいるわけですが、加えてやはりこの法律の趣旨を踏まえた事業者たる北電の努力ということも重要だと思いますので、そういったことを私どもからさらに北電にも強く要請していく、このように考えているところです。
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