知事定例記者会見
・日時/平成23年11月17日(木) 14:00~14:29
・場所/記者会見室
・記者数/29名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 北海道・北東北知事サミットの開催について
2 野鳥の高病原性鳥インフルエンザ対策について
3 本道におけるこの冬の省エネ・節電の取組について
記者からの質問
1 放射性セシウムの飛散・沈着量に関する研究発表について
2 ホッカイドウ競馬について
3 エゾシカ対策について
4 TPP(環太平洋連携協定)について(1)
5 TPP(環太平洋連携協定)について(2)
6 被災地への送電について
7 北電プルサーマル計画に係る意見募集等について
知事からの話題
北海道・北東北知事サミットの開催について
〔配付資料:第15回北海道・北東北知事サミットの開催概要〕
それでは私からは3点ご報告をいたします。
一つ目は、第15回北海道・北東北知事サミットの開催についてです。明日18日、苫小牧市におきまして開催いたします。
この北海道・北東北の枠組みの「知事サミット」は、年に1回、1道3県の知事が一堂に会して、共通の政策課題等について意見交換を行うものでありまして、道内では前回は平成19年に旭川市で開催して以来で、4年ぶりということです。
今回は、大震災の影響もありまして、有識者の講演や視察などを省略した、短縮バージョンで行うわけですけれども、「東日本大震災からの復興」をテーマに、4道県の知事が、いろいろと議論をしようと考えています。
野鳥の高病原性鳥インフルエンザ対策について
〔配付資料:死んだ野鳥を見つけても素手で触らないで〕
2点目は、野鳥の高病原性鳥インフルエンザ対策についてです。ウトナイ湖や風蓮湖など道内の主要な湖沼では、10月くらいから、オオハクチョウやコハクチョウなどのガン・カモ類の飛来が確認されているところです。
このため、道では、各振興局による野鳥の観察や情報収集を行いまして、高病原性鳥インフルエンザウイルスの早期発見に努めているところですが、今シーズンにおいてはこれまでのところ、国内や韓国、中国等の近隣国で、野鳥や家きん類に鳥インフルエンザの発生は確認されていないところです。
しかしながら、野鳥から家きん類に伝染すれば、畜産業はもとよりわれわれ道民生活にも大きな影響を及ぼす懸念がありますことから、道といたしましては、今シーズンの発生に備えて、これまで死亡野鳥の回収後、道内の獣医系大学に依頼をしていた簡易検査を、各振興局で直接実施し結果判定までを一貫してできるよう道のマニュアル(北海道における野鳥の高病原性鳥インフルエンザに係る対応マニュアル)を一部改正いたしました。これは10月6日に改正いたしまして、迅速に対応できるよう検査体制の強化を行っているところです。
道民の皆様方におかれましては、死亡野鳥発見の際には地元の振興局へのご連絡などのご協力と、鳥インフルエンザは、通常、人に感染しないとされているところではありますが、死んだ野鳥や排泄物などを素手で触ってしまった場合には、念のために、手洗いやうがいを充分行っていただくようお願いいたします。
本道におけるこの冬の省エネ・節電の取組について
〔配付資料:貴重な電気をむだなく大切に〕
3点目は、ここに置いてあるキャラクターのパネルです。ここに、「セーブくん」「こまめさん」「ネオンくん」という3つのキャラクターがいます。
「セーブくん」こちら(左)ですね。セーブくんは、省エネキャラクターで、エネルギーを大切に使う優しい男の子であります。そして手にLED電球を持っておりますが、LED電球への交換というものを一生懸命進めようとしております。それから真ん中の女の子が同じく省エネキャラクターの「こまめさん」です。どこでもここでも電気スイッチ、コンセントをこまめに消す、少しおせっかいな女の子ということです。それから一番私に近いところ(右)にいるのが「ネオンくん」で、これは新エネキャラクターで、新エネルギーで世界が明るくなればいいと願う心優しい少年であります。このネオンくんの「ネオン」は、ギリシャ語の新しいという意味の「ネオス」からとったそうであります。以上の省エネ節電キャラクターですが、これから、こういったキャラクターも活用しながら、道内の省エネ・節電の取組を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
電気は私たちの暮らしや産業を支える重要なエネルギーです。これはもう論を待たないわけでありますが、とりわけ東日本大震災やこの夏の首都圏における電力使用制限などを通じて、われわれにとってやはり重要なものであるということを再認識し、私自身もそのように感じているところです。
本道におけるこの冬の電力供給につきましては、先般、事業者たる北電、国、そして私どもが一堂に会する連絡協議会の中で確認をさせていただいたとおり、予備力の確保が可能とされているところですが、道内は他の、例えば東京電力エリア等との比較においてですが、大型の発電施設が計画外停止した場合に、厳しい状況も想定されることから、電力の安定供給に万全を期すとともに、電力の融通送電を通じて東北地方の方々に思いをお届けするためにも、省エネや節電の取組を進めていくことが重要と認識しております。
このために、お手元に資料を配付して、先ほど申しましたとおり、知事メッセージということを発信することとしております。その裏面には、家庭でできる身近な省エネ・節電ポイントというものを掲載させていただいておりまして、節約の目安という、電気代もお得というような情報提供もさせていただいているところです。
そして、ここに書いてある具体例は、一部のことではあろうかと思いますけれども、そして、もう道内の皆様方はすでにお取り組みのこともあろうかと思いますが、おひとりおひとりが、身近でできるということをあらためてご認識いただいて、一つ一つ積み重ねていくと、北海道全体で大きな効果になるのではないかと考えているところです。今後、総合振興局・振興局を通じまして、各市町村に対し、周知について協力をお願いするとともに、テレビなどの媒体も活用させていただき、ご協力もいただく中で、省エネ及び節電の取組を幅広く、道民の方々に呼びかけてまいりたいと思っております。
それからもう1枚の配付資料です。われわれ北海道庁も、電力使用者の一人であります。省エネ・節電に率先して取り組んでまいりたいと考えているところです。この資料にございますとおり、目標として3%以上の削減を道庁トータルとして考えておりまして、本庁はもとより、振興局が14カ所道内にございまして、独自のビルを持っているところ、そうじゃなくて間借りをしているところ、あるいはビルも古いところ新しいところと、いろいろそれぞれの置かれている事情が違いますので、各振興局全て一律にということになるかどうかはなかなか難しいかと思いますが、道庁トータルとしてこの目標を何としても達成したいということで率先行動を考えているところです。
いずれにいたしましても、道民の皆様方におかれては、限りある貴重な電気をむだなく大切に使っていただくために、毎日の生活の中で身近なところで、さまざまな形での省エネや節電に、ご理解とご協力をお願い申し上げます。また、報道関係の皆様方におかれては、PRをよろしくお願いいたします。私からは以上であります。
記者からの質問
(釧路新聞)
15日に、名古屋大学をはじめとする国際研究チームが、福島第一原発事故による放射性物質の汚染が、シミュレーションによると、セシウム137ですか、北海道にも拡散していると、道東にも拡散していると。道東の一部では相対的に汚染が高いというような指摘もあったようですが、知事としては、今後、道としてどう対応されるのでしょうか。何か昨日すでに調査をされたというふうにも聞いてはいるのですが。
(知事)
私もその記事を読む前にこの日本地図だけを見て、実際に測定されたのかと思ってびっくりしたのでありますが、今おっしゃられたとおり、これは名古屋大学ほかの宇宙研究大学連合研究チームの方々によるセシウム137の全国における沈着についてのシミュレーション結果ということであります、いわゆる理論値ですね。それを発表になられたというふうに理解をしております。私どもはすでに前から、全道各地、ポイントを決めて定期的にチェックをして、それを5つの外国語で情報提供しておりますが、今回の発表を経て、今おっしゃられたとおり、16、17日の2日間にわたって、道東の浜中町、別海町、根室市でセシウム137の土壌中の濃度の調査をいたしました。今、その分析中でございまして、21日に結果が発表されるということになっておりますので、これで心配であればさらに道東で観測ポイントを増やして、詳細にチェックすることも当然あり得ることだと思っています。
このシミュレーション結果とは別に、不安を抱えた皆様方へのこういうさまざまな対応という意味で、新たな道民の皆様方の安全・安心に対する、あるいは風評被害対応ということで次のような形で調査の充実を考えております。一つは、国の委託事業により新たに九つの総合振興局にモニタリングポストを設置をします。それから、全道の15カ所の主要観光地で、放射線モニタリング調査を行っていたのでありますが、これに1カ所加えます。新千歳空港近隣ということで、具体的には「道の駅サーモンパーク千歳」でのモニタリングを追加いたします。それから、これもすでにご承知かと思いますけれども、観光地を含む道内各地の空間放射線量率、水産物、海水・土壌、水道水の状況を地図に落とすことでひと目で分かるホームページを18日から開設しまして、今まで以上に充実した情報提供を行うということであります。
韓国のニュースで、今ご質問にございました宇宙研究大学連合研究チームのシミュレーション結果の報道があったようでありまして、韓国のほうでも大変関心が高まっているようですので、私どもとしてはそういった意味も含めて、今申しましたようなモニタリングの拡充ということを考えているところです。
(北海道新聞)
今日で道営競馬が最終日を迎えると思うのですけれども、計画とも前年比とも、少し上回って終了されそうな感じなのですが、今年の運営と来年の運営について、知事から一言頂ければと思います。
(知事)
寒くなってきて、道内、門別を唯一の本場とする道営競馬も、今年はもう終わりであります。ただ、これからも道外の競馬事業のこちら(道内)での販売など、引き続き、売り上げ増の努力はやっていこうというのは当然だと思っております。今段階で売り上げは前年超えをして、計画値との関係でも、なかなか良い数字が出てきているというふうに理解をしておりますが、本当にこの収支が良い形になるのかどうかとういうのは、まだ分からない部分もありますので、精査は必要だと思っております。いずれにいたしましても、競馬事業について存続をするのかしないのか、あるいは存続をする場合にどのような形でこれから前向きに事業を積極的に展開するかなど、さまざまな議論の中でその初年度としての今年度の道営競馬の事業でございましたので、来年2年目に向けても攻めの道営競馬というか、競馬だけではなく観光も含めて、お客様に楽しんでいただく、日高のすばらしい土地にできる限り来ていただく、あるいはインターネットを通じての販売などさまざまなツールを使いながら、北海道競馬の事業のさらなる充実ということもこれからもやっていきたいと考えております。
(TVh)
今日のエゾシカ緊急対策本部会議において、昨年度のエゾシカの農林業被害額が59億円ということで、前年度から9億円近くまた増えた形になりましたけれども、この金額に対する知事として受け止めをまず聞かせていただけないかなと思いまして。あとは、今年度は雄鹿の捕獲制限を解除したりですとか、狩猟の解禁日を前倒しするなどで捕獲数増やしていこうという試みをされていますけれども、今後道としてどのようにこの被害額を下げていく対応をしていきたいとお考えか、知事のお考え、この2点をお話をお聞かせいただけますでしょうか。
(知事)
エゾシカによる農林業等の被害が拡大しているということ、大変深刻に受け止めているところです。
私どもはこういう現状に鑑み、今年また被害が増えたというのは大変残念でございますが、22年度からの3年間を緊急対策期間といたしまして、地域づくり総合交付金をはじめとするさまざまなツールを使いながら、市町村の皆様方と連携をしつつ、このエゾシカの捕獲、駆除というようなことをここまでやってきたところです。
22年度は、11万頭の捕獲実績となったところでございまして、今年度につきましては15万7千頭という捕獲目標を実現するために、例えば新しい取組としては、シャープシューティングといった欧米での効率的な捕獲技術の導入など、さまざまなことを行ってきたところです。
ただシカもなかなか頭が良いので、われわれも苦慮しているところですが、新たに、今年初めて、これは全国初でございますが、道道を活用した捕獲の試みであるとか、それから昨年度、自衛隊と森林管理局の協力で国有林の中での捕獲、あるいは知床というのは世界自然遺産として守るべき自然ではあるのですが、その中にもやっぱりシカが逃げ込んでいってしまうということで、関係者と協働しながらのシカの捕獲、被害対策ということなど、われわれとしてできる限りの手を尽くしながら、この農林業被害が拡大しておりますシカ対策を充実していかなければならない、このように考えているところであります。
(STV)
今日午前中にTPPの対策本部の会議が開かれましたけれども、その中でも触れられてましたが、今後、農業強化に関してなんですけれども、具体的な政策を国にも提言していくというお話ありました。現段階でですね、これからというのもあるとは思うんですが、農業予算を強化するですとかを含めて、具体的なその政策の中身の方向性というのが現時点で、もう少し具体的なものがあればお聞かせいただければと思います。
(知事)
分かりました。結論的にはこれから(検討)ということであります。以前もこの記者会見の場でご質問がございましたが、このTPPの交渉入りに向けて関係国との協議に入るという宣言の前に、野田総理が農業対策のメニューというか方向性を出されたところでございまして、その目的自体は、全て私どもと思いを共有するわけですが、結局その具体論の部分が、費用が掛かるということになりますと、たぶん霞ヶ関の中の論理として、財務省の了解が得られていない中で、なかなか具体的に書き込めなかったということだと思いますが、あそこ(「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」)にも書いてございます一つ一つの目標を達成するために、どういう具体論が必要かという観点から、農政部を中心にこれから議論を深めて政策提言に結びつけていきたいと思っております。
ちょっとランダムに思いつくままを申し上げれば、やはり規模の拡大をいかに実現していくのかと。もともと北海道の農業は、前から言われておりますとおり、農業規模において、府県との比較において大変大きく展開しているわけでありますが、さらにそれを大規模化するために、あるいは大規模化することにインセンティブを与えるために、どういった政策が重要なのか考えますと、北海道の農業のようなところと、別に批判するつもりはありませんけれど、兼業でサラリーマンをやりながら、庭よりはちょっと広いぐらいのところで何かを作っておられる農家と、同じような所得補償をするというのが、全国あまねくという意味での農業政策として意味があるにしても、今このTPPという世界の自由貿易の荒波に打って出るという決断をした政権として、本当にそういう農政で良いのかどうか、その規模拡大の部分についてやはり政策があるかなと思いますのと、あとやはり、付加価値をいかに高めていくのか。価格が高くても消費者に選んでいただけるような、そういった農作物をいかにわれわれの手で、実現していくのかなど、いろいろな分野があろうかと思いますが、それぞれについて私どもとしての提言をまとめてまいりたい、このように考えております。
(日本農業新聞)
先ほどの関連なんですけれども、国に提言するということで、具体的に来年度の予算に反映するとしたらそんなに時間がないとは思うんですけれども、いつまでにその提言をまとめるというスケジュール感っていうのは、決まっているのでしょうか。
(知事)
来年度というのは、一つのターゲットかもしれませんけれども、そういう意味ではもう間に合わないでしょうね。霞ヶ関の間では、いろいろな調整が進んでおりますので。もうちょっと長いタームで考えていくということではないでしょうか。期限については、まだ明確にここまでにと申し上げることはできません。
(北海道新聞)
冒頭のですね、節電のことでちょっと詳しくお聞きしたいところがあるんですけれど、東北、被災地へのその思いをという部分が知事触れられましたけれど、この融通送電についてはですね、具体的に例えばこの冬もですね、途切らせることがないようにしたいとかですね、最大で60万キロワット送れますけれども、30万とかっていうふうに確かなってたと思うんですが、そのできる限り60万に近いような形で送りたいとかですね、その具体的に言うと、どんなようなことをですね、形として東北に送りたいと思ってらっしゃるのか、そのへんちょっとお聞かせいただければ。
(知事)
これは思いの議論ではなく、東北の気象条件なりで、需要がどれくらいかということもあるでしょうし、また、東京電力も送電をしておられますので、そちらの余力の問題、それからこちら側の状況とかいろいろありますので、今知事がこのような思いというのを言うのはなかなか難しい問題ではないかと思います。
いずれにいたしましても、われわれとしては、やはり懸命に復旧・復興をやっておられる東北の方々に送電できるようにしたいという、今段階はその思いで行っていくということであって、具体的に何月に何10万キロワットとか、そこまでは、今申し上げることは難しいと思います。そういうことを含めて、国と北電と道の三者の電力需給に関する連絡会議の中で今後詰めていくことになろうかと思います。
(朝日新聞)
いわゆる、そのやらせの問題でですね、北電の第三者委員会のほうで、道の関与があったとするその根拠になったとされるメモの中にですね、当時の原子力安全対策課の村井課長の発言としまして、「北電社員も地元住民だよね」と。「匿名でもいいから推進意見出してよね」というような趣旨の発言があったというその記録が北電社内にあったと。
(知事)
御社が今日、報道しておられましたね。
(朝日新聞)
まずですね、その北電にそういうメモがあって、そのメモにそういう内容が記されていたということに対するその受け止めとですね、10月14日にぶら下がりの場で、知事も道の関与という点に関しては明確に否定をされたんですけれども、その時点でこのメモの内容っていうのを把握していらっしゃたのかどうか、2点お尋ねできますでしょうか。
(知事)
まず、私はそのメモを直接見ておりません。総務部長から、内容はそれなりに報告を受けておりますが、(メモは)見ていないので何とも言えないですけれども、その10月何日の段階でその報告があったかどうかは記憶にありません。ただ、いずれにしろそういうメモがあったとしても、そのことの真偽がどうかということを今、検証委員会でチェックしていただいております、ということではないでしょうか。
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