知事定例記者会見記録(平成24年3月23日)

知事定例記者会見

・日時/平成24年3月23日(金)16:01~16:41  
・場所/議会記者室
・記者数/30名(テレビカメラ1台)

会見項目

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知事からの話題

1 平成24年第1回定例会の閉会にあたって
2 北方領土における第三国の経済活動について

記者からの質問

 1 泊原発の再稼働問題について
 2 北海道エアシステム(HAC)について(1)
 3 北海道水資源の保全に関する条例について(1)
 4 北海道水資源の保全に関する条例について(2)
 5 災害廃棄物の広域処理について(1)
 6 北海道がん対策推進条例について
 7 バックアップ拠点構想について
 8 災害廃棄物の広域処理について(2)
 9 北海道エアシステム(HAC)について(2)
10 災害廃棄物の広域処理について(3)
11 エネルギー政策について
12 原発に係るUPZ(緊急時防護措置準備区域)について  

 

知事からの話題

 

平成24年第1回定例会の閉会にあたって

それでは、私からは2点お話をいたします。
 本日平成24年第1回北海道議会定例会が閉会しました。今日最終日にも、追加提案をさせていただきまして、議会でも十分ご議論いただいたHAC(北海道エアシステム)に対する支援の関係、それから今年のこの冬のシーズンの大変異例ともいえる雪害への農業対策などについての追加提案、こういった提案を含めまして、1カ月という長丁場に渡って議員の皆様方から精力的なご議論を頂き、大変実りのある議会だったというふうに思っているところです。 
 今申しましたHACに係るさまざまな課題についてのご議論も頂きました。また、東北支援の一環としてのがれきの広域処理などのご議論もいろいろあったところです。
 それから、大雪による被害対策、あるいは原子力安全対策、エネルギー問題など大変幅広い課題についてご議論いただき、結果として平成24年度予算も可決いただいたところでして、私としましては、この議会で可決された来年度予算の執行ということを通じて、平成24年度もまた道民の皆様方の生活のレベルアップのためにしっかりと仕事に取り組んでいきたいと、このように思っているところです。これが1点であります。
 

北方領土における第三国の経済活動について

それからもう1点は、北方領土における第三国の経済活動についてです。このことについては、メディア等を通じて私も聞いているところですが、ロシア以外の第三国の企業が国後島内を視察し、投資等の検討をしているというような報道があったところです。
 私どもといたしましては、国にも申し入れをしているわけですが、この北方領土問題について、プーチン首相が新しいロシアのトップ(大統領)に当選し、しっかりと議論したいということを言われた矢先でもある中で、やはり日本国政府としても毅然たる対応を取っていただくということが何より重要であろうということを感じているところでして、国においては、あらためてこの事実関係を精査していただき、事実が確認された場合には、しっかりと毅然とした態度を国際的にもアピールしていただきたいと、このように心から思っているところです。その旨、国にも要請しております。
 私からは、以上です。

記者からの質問

(北海道新聞)
 今、触れられました原発の議論に関してちょっと2点ほどお尋ねしたいんですけれども、1点目、今定例会ではですね、泊(原発)の1、2号機の再稼働の是非というところまでは議論は至らなかったわけなんですけれども、一方で5月の上旬には3号機が停止して、全停止という恐れもあるわけですけれども、この議会がこうした形で議論を終わってしまったということに関して、知事がどのように思っていらっしゃるのかという点について1点お聞きしたいのと、もう1点なんですが、26日にですね、東電(東京電力)の柏崎刈羽原発の6号機が停止すると思います。そうしますと、全国で動いているのが泊(原発)のみということになるんですけれども、全国で一つしか動いていないのが泊原発3号機だけということで、それについてどう思われるかという点と、政府の対応の遅さというのも指摘される声もありますけれども、そのへんについては、知事どのようにお考えでしょうか。この2点お願いしたいんですが。

 (知事)
 申し訳ないのですが、ご質問のポイントがよく分からない部分がありますけれども、いつも申し上げておりますとおり原子力発電というのは、何よりも安全ということが重要ですので、その観点から、泊発電所についても議論を進めていかなければならない、このことに尽きると思うわけです。


(日本経済新聞)
  今お話にあったHACのことに関してですね、事業性の評価を民間に委託すると、民間のほうで精査してもらうという方針を知事は表明されましたが、その民間委託、事業性評価ということでかなり抜本的なですね、改革の提案もなされる可能性もあると思います。それに対してですね、道としては、民間の提案をどの程度受け入れるのか、それは委員会のほうを作られて検討されることになると思いますが、現時点の知事のお考えをお伺いいたします。

(知事)
 HACについては、先ほども申しましたとおり、道議会でのさまざまなご議論の中で、特に予特(予算特別委員会)知事総括の際に各会派ごとにそれぞれのお立場を鮮明にお示しいただき、そういった中で私ども自身の思いも述べさせていただき、資金の返済猶予という決断まで政策的に判断させていただいたという経緯でございます。
 その前提としては、来年度の上半期についてのHACの事業計画については、建設部の中に設けましたHAC検証プロジェクトチームでいろいろチェックをして、こういうことであればということで、了とした上でのわれわれとしての行政判断だったわけですけれども、加えて、これも道議会でお約束したとおり、これから議会明け直ちに第三者機関、民間の機関での精査、検証、分析ということをやっていただき、そこからつなげて経営検討委員会で、これももちろん道庁としてもしっかり関与をしておりますので、道庁も責任ある立場の職員を入れるとともに、外部のプロの方もお入りいただいて、この経営検討委員会で議論をしていただき、その方向性に沿う形で、私どもとしてできれば2定(第2回北海道議会定例会)、これは6月中旬の後半くらいを今想定しておりますが、2定に向けてわれわれとしての考え方をまとめていきたいということです。
 今のご質問との関係で言えば、当然こういった透明性の高い形でのこれからの検討のプロセスということを道議会にお約束をしたわけですので、私ども理事者としては、民間のどういうメンバーの方に委託するかなど、これから精査をしていかなくてはならない部分があるわけですが、民間から頂いたご提案というものを真摯に受け止めながら、これからのHACのありようというものを考えていくということをやっていかなければならないと思っているところです。
 ただ、これも道議会での議論でもございましたし、また各会派のご意見にもあったのですが、(HACは、)そもそも純粋民間企業のように利益が高く、うまく経営をやれば大変高い利益率も望めるというような性格の株式会社ではなくて、やはり離島の方々の足を守る、あるいは医療をはじめとする札幌の持っているいろいろな高次都市機能といったことをうまく全道で共有するような、そういったことを実現するための公共性の高い会社であるという位置付けでして、公共性が高いということは、別の言葉で言えば収益性については、それほど高くは望めるものではない、だからこそわれわれが出資もしてこういう形で進めてきているという経緯もございますので、もちろんそういったことの見極めというのはあろうかと思いますが、しかし、しっかりと民間にお願いをするご提言の方向というのは、私どもとして受け止めていかなければならない、そのように考えております。


(日本経済新聞)
 水資源条例(北海道水資源の保全に関する条例)について可決しましたけれども、2点、あらためて今回の水資源条例についてですね、知事がどういったふうなこの条例に対して狙いを持ってらっしゃるのか、その条例についての期待と道としての考え方についてまず1点、あと条例がまとまるにあたってもともと外国資本の森林取得というのも、もともと問題点としてありましたけれども、震災もあって、そういった外国人投資家の日本への投資が冷え込むという指摘があります中で、その条例の議論がスタートした時点と現在の状況が変わった中で、この条例が施行するにあたって、いろいろと形骸化するんじゃないのかというような指摘もありますけれども、そういった状況変化についてどういうふうに、この条例がスタートするということについてどう思われるのか、この2点について教えてください。

(知事)
 一つ目のこの水資源条例の狙いなり、期待なりということでありますけれども、もともとこの条例につきましては、今、ご質問の中でも触れられたとおり、ナショナルセキュリティ(国家安全保障)というのですか、つまり利用目的が必ずしも明らかではない形で、大量に一団の広い土地が外国資本によって取得されているというような事案が結構道内で見受けられているという中で、土地取引ということが日本国はあまりに自由なので、それをどうするかというところからスタートしたのが今回の議論であったというふうに思うわけです。
 そういう中で、私どもとしては、関心を持たれる専門家の方、あるいは市町村の皆様方、もちろん道議会とも議論を重ねて、水資源ということに着目してそれを守っていこうという、それをコアな哲学としてこの条例を仕立て上げようということに思いが至ったところです。その意味では、水資源というものをあらためての観点から言えば、これは北海道が世界に誇る北海道価値の大きなシンボリックなものであると私は思うのです。北海道は自然が豊かです。食が豊かです。そういったことを何よりも如実に示しているのが、北海道のこの水資源の潤沢さ、安全安心で素晴らしい、これをやはり道民を挙げて守っていこうと、日本国の中でも先行的な事例として守っていこうという、そういった気持ちで私ども道、それから市町村、道議会、専門の関係の方々が思いを一つにして、この条例ができあがったということ自体、大変感慨深いものがあるなというように思っているところです。
 水資源というのは、さらに言えば北海道の大きな価値であると同時に、世界にとっても、そして大きく言えば、この21世紀にとっても大変に重要な価値でありますので、そういったことを守っていく、そのためにやはり土地取引ということについても一定の制約が必要ではないかというような、そういった私どもの思い、この条例の制定というのが、日本国内、あるいは世界にも届くということの一つの流れになればいいなと、このように思っているところです。
 今、ちょっと格好良く言いましたけれども、ただ一方で土地取引の規制ということについて言えば、ご承知のとおり私ども地方のレベルでの条例では、やはり一定の限界というのがあるのが事実ですので、私どもとしましては、これは北海道が最もセールスポイントとする水ではありますが、全国的にも重要な資源であるということから考えれば、これまでも要請はしておりますが、やはり日本国としての水資源等を守っていくための土地取引についてのなにがしかのルール化、法整備について引き続き要請を行っていかなければならないと思っております。
 それから、もう一つは震災の後になって、外国人投資家の動きも、円高もあるのでしょうか、少しダウンしている中でどうなのだというご指摘でございますが、私は北海道のこの素晴らしさというか、北海道の価値というものに対する外国の皆様方からの関心の高さというのは、今は震災直後の風評被害等もあってややダウンはしておりますが、中長期的にはやはりますます強くなってくるのではないかというような思いも持っているところです。
 そして、私は以前から申し上げておりますとおり、われわれ道、あるいは道内の市町村、あるいは地域づくりをしている皆様方と連携を図りながら地域に投資をされる、これは外国人投資家であろうが、日本人投資家であろうが大変に大歓迎でありますので、そういったことはこれからも鮮明に打ち出しながら、私どもとしての地域づくりに努力をしていきたいと思っております。


(共同通信)
 2点お伺いします。一つは、今の水資源のことに関連してなのですけれども、北海道に関わらず他の埼玉県とか他の県でも同じような条例制定の動きがありまして、来週にもたぶん可決して、次々となってくると思うのですが、そういう他の同じ条例を持つ県との連携については知事はどういうふうにお考えになられているのかというのをまず1点伺いたいのと、もう一つは震災がれきの処理について伺いたいのですけれども、知事は北海道として独自の受け入れ基準を概ね100ベクレル以下という基準を示す方針を示されましたが、このことについての、そういう独自基準を定める狙いについて、どういうふうな狙いを持っておられるのか。なかなか進まないのでそれを促進するという狙いなのかということを伺いたいのと、もともと道としての考えとしては国とダブルスタンダードになっては混乱が生じるから設けないというようなスタンスだったはずなのですけれど、そこは混乱は起きないというふうにお考えなのかどうか確認させてください。

(知事)
 一つ目の水資源保全ということに関心を持っておられる他県の動きというのは、大変好ましくうれしい限りです。埼玉県の例えば、秩父とか、私も東京で仕事をしておりましたころは週末には子どもたちを連れて一緒に行ったりしましたが、面積的にはそれほど広い県ではありませんけれども、大変素晴らしい景観の自然が残っている県でもございますので、そういった中でやはり水資源を保全していこうという機運が県庁の方々あるいは県民の方々に出てきているというのは大変頼もしくうれしい限りです。
 今後どういう形で連携を取っていくことができるのか、まだまだよく分からない部分がありますが、例えば国に対しての統一的な基準要請をするその仲間として位置付けることなども含めて連携を図っていくということはぜひ検討していきたいというふうに思う次第です。
 それから、いわゆる震災がれきの受け入れの運用基準の設定ということにつきましては、2月17日の記者会見で(国の基準をベースにまずは考えていただく、)国の基準以外に設けるのはとりあえず控えるということを申し上げた記憶があります。その後の変化という意味で言えば、当時は、国からの広域処理の要請文とか、国自身の積極性というのが今と比べるとそれほどなかったという環境下だったと思うのですが、その後、私どもとして道内でも関心を持つと、条件さえ許せば受け入れても良いというふうな意向を示していただいた市町村の方々といろいろな議論を積み重ねていく中で、やはり道に背中を押してもらうという意味でもやはり国よりも少しきつい基準を設けてもらうということが住民説明なり、いろいろな住民の方々あるいはそれぞれの市町村議会の理解を得る上でも、一つ大きな要素になるというふうなお話も頂いたところでして、それから道議会でもそういうご議論が、市町村がそういうご意向なのでそれを受けた、もちろん道議の方々は全道の代表の方々ですので、そういうお声も出てきたという背景の中で、議会の中で100ベクレルという受け入れの運用基準の科学的な根拠についてはご説明申しましたので、今その重複的なことは申しませんけれども、私どもとしてこのような基準というものを導入しようかということを考えたところです。
 これをもって今またあらためて関心ありというところの輪がどんどん広がってます。昨日も檜山南部4町の方々が受け入れに前向きな声明を出していただいて大変心強く思っているわけですが、そういう地域のご関心がある方々に私どもとしてご説明を繰り返すことによって、少しでも早く、少しでも多くの震災がれきを受け入れ、東北支援の輪が道内にもさらに広がっていくことをぜひ期待していきたいと考えております。
 それから、来週の土曜日、先方とも調整中でありますが、日程が許せば、できれば道南のほうへ出張させていただいて、この問題についてご関心のある方々との議論もできればなと思っております。 


(STV)
 今日、がん対策推進条例も成立したと思うのですけれども、それについて2点お伺いしたいと思います。
 まず1点はこの条例ができたことによる意義、狙い等をどのようにお考えになっていらっしゃるか。それから、この素案の段階でパブリックコメント等を行っていたと思うのですけれども、その中ではがん患者さんを中心に経済的支援を盛り込んでほしいという意見が一番多くあったはずなのですが、実際にはその表現は盛り込まれなかったということで、今後、具体的にそういう患者さんの求めている支援をどのように取り組まれようとお考えになっているかをお聞かせください。

(知事)
 がん条例(北海道がん対策推進条例)は私の3期目に向けての公約の一つとして位置付けさせていただいたものでありまして、がんは、今北海道の方ばかりではなくて、世の中の、日本人の2人に1人ががんにかかるという時代で、大変一般的な病気になっています。しかしながら、やはり一旦かかるとご本人もご家族も大変です。そういったものに対処するための条例というものを制定し、このがんにかかった患者さんに対する応援メッセージを道民を挙げてしっかりと高めていくということの意義というのは、私はこの条例の制定において大きいことではないかなと、このように思っているところです。
 もう一つのご質問でございました経済的支援につきましては、実はがんだけではなくて、それ以外の病気についても、やはり治療の高度化によって治る確率はどんどん高まっているのでしょうが、その治療を行う上での経済的な負担が多いがゆえの経済支援というものを求める声が、患者さんから大変大きいと、そのように理解をしているわけですが、そういった中で、私どもとしましては、このがん対策推進条例に基づきまして、これから委員会を設置をすることになっております。そういった場で、基金づくりというようなことを皆様方のご議論も踏まえながら検討していかなければならないのではないかと、このように思っているところです。
 関係する企業の皆様方のご協力なども念頭に置きながら、例えば保険適用にはならないような治療法を選択されるような患者さんへの支援とか、とりわけ経済的なご負担が大きくなるようながん患者さんに対する支援というものを、これから委員会の場で専門的な皆様方のご意見を踏まえながら、他県の状況などもしっかり参考にしながら検討していきたいと考えております。
 

(時事通信)
 前の前の記者会見の場で知事が質問を受けてお話になっていたバックアップ拠点構想に関連してなのですけれども、昨日、国土交通省で「東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会」なるものが開かれまして、これまでの議論を踏まえたとりまとめの案が出たようなのですけれども、主な内容として、バックアップ拠点を複数設けると。場所の条件として、災害のがい然性が低い、東京と東京圏と同時被災の可能性が低い。これは良いのですけれども、一方で東京圏と地理的、時間的な距離が近いこと。また、東京圏と交通移動が確実で容易であること、といった内容が含まれているようです。これを結ぶと北海道に不利に解釈されかねないかなと思うのですけれども、知事はどのようにお考えになりますか。

(知事)
 申し訳ありません。議会中でしたので昨日のその国交省のとりまとめ案というものを私はまだ報告は受けていないのですけれども、交通の利便性ということも、陸路の移動というのはむしろ渋滞等もあって大変ということもございますし、空路でいいますと千歳と羽田の間というのは世界一の乗降客の路線でもありますので。すみません、つまみ食い的にお答えするほど私もその中身を承知しておりませんので、まずは勉強させていただいた上でわれわれとしてのアピールをしていかなければならない、そのように思います。


(読売新聞)
 がれきについて2点お伺いしたいのですけれども、先ほど、独自の運用基準について、市町村との議論の中でそういう機運が高まってきたから作ったということだったのですけれども、知事が二重基準になってしまうから作らないとおっしゃった記者会見の前日の説明会で独自基準を作ってほしいという要望がありました。あと、取材でもそういった基準があったほうが良いという声が何点かあったのですけれども、その時に独自基準をもう作っておけば良かったのではないのかなと個人的には考えているのですけれども、もっと早く行動に移すには。その点についてはどう考えているのかということと、あと、科学的根拠の点なのですけれども、そのことについても他県の100ベクレルという目安について、科学的根拠はあるのかというふうに疑問を呈しているのですけれども、結果的に北海道の基準も100ベクレルということで、参考にした値も原子炉等規制法、あとリサイクルの際の出荷時のクリアランスレベルですよね。他の同じところ、大阪府、秋田県も100ベクレルと同じように原子炉等規制法を参考にしているみたいなのですけれども、その時の科学的根拠がないというのはどういった何と言いますか根拠から発言されたのかということを聞かせてください。

(知事)
 その時の議論と今との違いということについて申し上げれば、何市町村くらい取材をされたかよく分かりませんが、私ども自身の認識としては、あの時における道内市町村のご意向との比較において、その後そういった道独自の基準を設けてぜひ背中を押してほしいというお声がどんどんと広がってきたというような認識を持っているところです。
 そして科学的基準ということについては、これは道議会でも申し上げましたとおりでして、とりあえずの運用基準として、私どもの受け入れということを考えていくと、そのような(ことで基準を設けたという)ことです。


(北海道新聞)
 HACの話に戻ってしまうのですが、今日は返済猶予の関係で一般会計の補正予算が可決されました。その返済猶予について、あらためてなのですがその理由を知事から一言と、もう1点は、その返済猶予をしてもまだ運転資金が足りないのではないかという指摘も他の専門家からはあります。その足りない場合ですね、運転資金が。これは追加支援、道からですね、さらなる財政出動という可能性はあるのか、その2点お願いします。

(知事)
 返済猶予をする理由は、2月の下旬、今からちょうど1カ月くらい前でありますが、HACの社長が道庁に来られまして、いろいろな過去の経緯の中で利用率が低迷して、いろいろな自助努力をして利用率の向上なり安全運航ということをやってきたのですけれども、やはりなかなかその状況が改善しないと。今のままでは資金繰りが大変厳しいので返済の猶予をお願いしたいというご要請を受けたわけでして、そのことについて道議会でのさまざまなご議論を頂き、そして私どもとしてもその来年度の前半についてのHACの事業計画について道庁内で精査した中で、概ねこれであればということの判断ができて、道議会に対してその返済猶予をしたいということを打診をし、それについて概ねご理解が得られそうであるという中で、今回の判断に至ったところです。
 それからもう一つが、これから(のさらなる財政出動の可能性)ですか。併せて、私もこれは道議会でもご答弁申しましたけれども、JALの植木社長にも申し入れをしておりますし、また道からきちんとした形でHACと併せて札幌市にも要請しておりますので、そういったことを見極めていくということも重要でありますし、また、これも道議会で申しましたけれども、何としてもやはりまずはHAC自身の自助努力をこれから日々やっていってもらう必要があるというふうに思うわけでして、そういった中で先程来ご質問にお答えする形で申し上げておりました民間の第三者機関あるいは経営検討委員会、そういった場での議論の過程で、その方向性に沿って、次の私どもとしての考え方を整理していきたいと、このように考えております。


(北海道新聞)
 少し戻るのですが、またがれきのことでお聞きしたいのですけれども、国が焼却した後の灰の基準として8,000ベクレルという数値、安全基準を設定していますけれども、道としてこの焼却した後の灰についての基準の設定をする考えはあるのかどうかというのを聞きたいのですが。

(知事)
 これも道議会で一昨日も議論になりました。焼却灰ですから、当然燃やすわけですから、その炉の能力なり性質にもよるのでしょうけれども、一般的には17倍から33倍に濃縮されるということですので、100ベクレルであればそれに17倍あるいは33倍するというような数字になるということが容易に想定されるわけでして、それにその地域で発生する一般的なゴミや廃棄物も混ぜての焼却ということなど、個々において状況は違うと思いますけれども、いろいろなことを勘案すると、先ほどの想定よりも低い数字になるのではないかということも容易に想定をされることと思うわけです。
 私どもとしましては、こういった状況に応じて、安全のためのさらなるいろいろな必要な措置がどういうことがあるかということにつきまして関心を持っていただいております市町村の皆様方と共同でさまざまな検討をしていきたいと、このように今段階では考えているところです。


(NHK)
 ちょっと道議会から離れてしまうのですけれども、大阪(市)の橋下(市長)さんの動きで、原発に関して、関西電力の筆頭株主でもあるということで、すべての原発の廃止を求めるという株主提案というのをまとめたそうなのですけれども、こういう、いわゆるエネルギー政策というのは国のやってきた政策について、地方の首長というものが非常に大きな声を上げ行動しているということについて、どのようにお考え、受け止めていらっしゃいますか。
 それと、それを発表した時に橋下さんが、原発から距離を置くというのは、今、大阪の市民だけではなくて、全国民の認識なのだということを発言されているのですが、そうしたその今の空気感というかそういう認識については共有されますか。

(知事)
 難しい質問ですね。報道を通じてしか私は分かりませんけれども、橋下市長のご発言というのは、この原発以外も教育分野や組合対策も含めて、大変強烈なインパクトのあるご発言が多いような感じを持っていつも受け止めさせていただいているところです。
 原発についてのご発言も、どういう背景や事情の中で言っておられるのかもよく分からないので、あまり無責任なコメントはできないかなと思うのですが、やはり市民から圧倒的な支持を得て当選された方ですので、ご自身の信念を持って言っておられるのかなと、そのくらいしか言えないかなというふうに思います。
 それから、原発全体についての日本国民の意識というようなこともおっしゃったのですか。そこもちょっと市長の真意というのは私もよく分からない部分がありますけれども、去年の3.11にあれだけ大きな(福島第一原発の)事故があって、原子力発電所について、やはり、しっかりとした備えをしていない場合の恐ろしさということ、これは日本国民だけではなく、世界の津々浦々の人たちが同じ認識を持ったのではないかと思います。
 北海道では例の省エネ・新エネ条例(北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例)がありますが、(本道に限らず、)やはりできれば原発に頼らない、そういったエネルギーというか電力の供給というのができればいいなという思いを共有した日本人、世界の人というのはいっぱいいると思います。そこには私も共感を持つものです。しかしながら、それを今直ちに達成できる課題なのか、それともやはり現実的にわれわれ日本人あるいは世界の人々の生活なり産業活動なり、そういったことも成り立たなければ人類(の生存)というのはあり得ないわけですので、そういったところまで配慮をしながら計画的に現実的に、その脱原発というか原発をゼロとするエネルギーの構成に至ろうとするのかという、その時間軸というか、あるいはその方法論なり行程表のありようなどについては、やはり世の中いろいろな方々がいろいろな思いを持っておられるのではないかなと、そんなふうに思います。


(HTB)
 先週金曜日に国のほうでUPZ(緊急時防護措置準備区域)、30キロ圏内にするということで、泊原発ですと周辺の市町村増えますし、特に函館市が大間原発稼働したら、(UPZも)かかってくるということで、そのことについて知事のご見解と道としてのスケジュールなり動きというのがあれば教えていただきたいのですか。

(知事)
 UPZについてということですか。

(HTB)
 はい。

(知事)
 UPZは国の原子力安全委員会の専門部会で素案として去年出ていたものが昨日正式に案ということで決まったというふうに報告を受けているところです。
 ですから、泊原発でいえば後志管内の30キロ(圏、そして)、ちょっとでこぼこになりますが圏外の小樽市を含めてさまざまな事務的な議論を繰り返しているところでありまして、そういった中で、来週も(後志町村会の皆さんが)いらっしゃるようでありますけれども、この原発の安全性をいかに高めていくのか、また、あってはならないことでありますが、事故があった場合にどのような形で対処するのかということについて議論を深めていかなければならない、こんなふうに思っております。


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなどを整理し、作成しています。

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