知事定例記者会見
・日時/平成24年11月9日(金)16:23~16:47
・場所/記者会見室
・記者数/26名(テレビカメラ2台)
会見項目
知事からの話題
1 「北海道・冬の安全プログラム」について
記者からの質問
1 今冬の電力需給について
2 原発に関する経産副大臣の発言について
3 原発の再稼働について
4 集落対策について
5 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について
知事からの話題
「北海道・冬の安全プログラム」について
[配付資料1:「北海道・冬の安全プログラム」【概要版】]
[配付資料2:「北海道・冬の安全プログラム」【本編】]
[配付資料3:北海道内の事業者の皆様]
それでは今日は先ほど終了いたしました(第1回北海道節電・停電対策)本部員会議における「北海道・冬の安全プログラム」について私から申し上げたいと思います。
皆様方への配付資料で、このプログラムの概要版と、それからプログラムの本体、それから北海道内の事業者の皆様方へという、「計画停電回避緊急調整プログラム」の対象となる皆様方へのお願い文で(枝野経産)大臣と私の連名ものがございます。以上が配付資料です。
北海道の冬の安全プログラムにつきましては、国からエネ・環会議(エネルギー・環境会議)によりまして、11月2日に方向性が示され、それを踏まえて私どもとしてこれまでの検討結果をさらに膨らませる形で(北海道地域電力需給)連絡会等において議論を深めてきたところであります。昨日は連絡会に松宮経産副大臣にご出席いただきまして、私は昨日お会いできなかったので先ほどお礼の電話を入れたわけですが、その場で私どもの冬の安全プログラムの案をご提示をし、議論もしていただいたと。その経緯の流れの中で、先ほど、私を本部長とする北海道節電・停電対策本部を開催をし、道としてのプログラムを取りまとめたところです。
政府からは、道内については全国で唯一、一昨年度比でマイナス7%以上といった数値目標付きの節電が要請されたわけですが、私ども北海道は積雪寒冷地であり、暖房、融雪などの電力使用が不可欠でありまして、万が一にも冬場に計画停電が実施された場合には道民生活あるいは(経済)産業活動に大きな影響が出るということ、夏場以上に大変に深刻であるというふうに認識をしているところです。こういった実情を10月に私から枝野経産大臣に直接要請というかご説明を申し上げると同時に、政府の需給検証委員会からの要請に添う形で私どもの副知事が出席をさせていただき、同様に道内の特殊な状況についてご説明を申し上げました。今回、政府から示された需給対策にこういった点も反映をされているとこのように考えているところであります。このプログラムの中身は、私からは重複になりますのでもうあえてご説明はいたしませんけれども、これに沿う形でしっかりとこれから取り組んでいかなければならないわけであります。このプログラムに基づきまして、北電(北海道電力)による需給対策の徹底、それから家庭が一番重要ですが、家庭をはじめとした各分野での節電の促進、それから「計画停電回避緊急調整プログラム」の準備など、緊急時に備えた対応をオール北海道で取り組んでいくと、そして計画停電を含む停電の回避をして道民生活を守っていくと、このことを実現していかなければならないと考えているところです。
そういった中で、電力大手需要者としての道自身の集中対策は政府のご要請よりも若干前倒しをいたしまして、12月1日から3月末までを対策期間として実施をすることを、今想定をしているところでして、当然7%以上ということ(目標)でやるわけですが、具体的な中身については夏場以上にロードヒーティング等いろいろな面で大変複雑な部分もございますので、中身を決めた後、追って11月末までには道民の方々にご公表を申し上げていきたいとこのように考えているところです。
それから、計画停電を回避するための多重的な対策の一つとして、「計画停電回避緊急調整プログラム」への協力をお願いをするということがあるわけでして、昨日、松宮経産副大臣からも連絡会で要請があったところでございます。これから私どもも北電、それから北海道経産局と共に要請活動を深めていかなければならないと思っているところでして、ぜひ対象となられる大口需要家の皆様方のご理解ご協力のお願いを申し上げたいとこのように思う次第であります。
今後、先ほど本部員会議の場でも申しましたけれども、この「北海道・冬の安全プログラム」はあくまでもプログラムですので、これに沿ってこれからわれわれとしてやらなければならないことはまだまだたくさんございます。そういったことを一つ一つやっていかなければならないわけでありますが、道といたしましては北海道地域電力需給連絡会の皆様方、また道内の市町村の皆様方など道内の各階各層の皆様方としっかり連携をしながら、何としてもこの冬を乗り切っていきたいと、いかなければならない、しっかり取組をしていきたいと考えているところであります。私からは以上です。
記者からの質問
(日本経済新聞)
冬の節電に関してですね、最終的に政府に(予定しないよう)求めていた計画停電は一応回避と。ただ、その計画停電の緊急調整プログラムをですね、北電と連携して締結を求めていかなければいけないと。そこで具体的な連携の方法を道庁ができることというのは、どういったことがあるのか。例えば道庁がどこに、どういった事業者にお願いをしていくのか、単独で行くこともあるのかとかですね、そういうことも含めてプログラムの取組を伺いたいのとですね、もう一点がですね、最終的に北電という一事業者が結ぶ契約を道庁、行政として支援するというある意味異例の形だと思うのですけれども、この形になってしまったことについて、一部の関係者では北電の供給積み増しの努力が少ないのではなかったのかという指摘もありますけれども、これまでの北電の取組についてはどう思うのか、ちょっとこの2点をお願いします。
(知事)
11月2日の政府のエネルギー・環境会議の文書の中にもこの「計画停電回避緊急調整プログラム」を実行するについては、国と道も協力をしながら事業者と共に要請をするというふうに明記されているところです。だから国から言われたからやるということではなくて、私どもは道庁として計画停電ということを夏場には準備をしたわけであります。結果としてそういう事態にはならなかったわけでありますが、やはり冬場ということを考えた場合には計画停電というのは命に関わってくるというのが一つ。それからもう一つは、冬場の道内の経済の活性化の大きな要素の一つがやはり観光であります。私自身も数日前までタイに行ってまいりまして、直行便を活用したタイからのインバウンド(北海道を訪れる観光客)の拡大に向けて活動をいたしました。そして、タイ国政府観光庁とわれわれ道庁との間で相互に観光振興をやろうということで、その趣意書を結ぶということを提案をいたしましたら先方も大変乗り気になりまして、ぜひやろうと。そのタイミングは2月のさっぽろ雪まつりのときに(タイ国政府観光庁)総裁が行くからということになったわけでありまして、やはり一つの例でありますがタイからの観光客も冬場の北海道の観光、雪まつりは一つの例ですけれども、道内そこここでいろいろな雪のイベントがございます。そういったことを期待している道外、海外のお客様がたくさんいる中で、これをしっかり受け入れるというのは、今厳しさを増している道内の経済活性化のために私は一方で不可欠なことだと思います。そういう中でこの計画停電ということが準備されるという夏場と同じような状況になれば、計画停電がいつそれを発動するかというのは直前にならないと分からないわけでありますので、冬場の複数の日程をまたぐようなイベントというのは、実は恐くてできなくなってしまうわけです。
(さっぽろ)雪まつりもしかり、それから旭川も、今回また大きな雪像を作られるというお話を旭川市の方もこの前しておられましたけれども、そういった冬場の数少ない道内の活性化のポイントであるところの観光における大きな影響、あるいは風評被害。どうも北海道は冬行っても計画停電でいつ(灯りが)消えるか分からないし、寒くなるか分からないので行くのやめようとか、そういう風評被害などに対処するためには、何としても私どもは夏場は政府のご要請を受けましたけれども、冬は計画停電を北海道のために回避したいという強い思いを持ちました。
そのことともう一つは、やはり冬場の暖房を途中で切ってしまうようなことがあれば医療・福祉現場だけではなく、高齢化の進んでおります北海道における道民の皆様方の命の問題にも関わってくるということで、何としてもやはり計画停電は避けたいというのが私どもの強い思いでありまして、でもあとはご承知のとおり、ではそれで済むのかといえばそうではなくて、やはりそこをなにがしかの形で手当てしなければならないという中で、国が私どもの意見なども踏まえてご検討された結果出てきたのがこの「計画停電回避緊急調整プログラム」をはじめとする多重的な対策ということでありますので、私はその意味では、この緊急調整プログラムの対象となる需要家の方々に対する要請活動を道としてやるというのは、これは政策的にしっかりやっていかなければならないことという認識を持って担当部局にはそのように指示をしているところです。
具体的にどういうふうに事業者なり国と分担して、あるいは連携して行うかというところの詳細は何か補足があれば後から(道の担当者から)言っていただければと思いますけれども、私はやはり今申し上げたような道としての、道庁としてもそのことを実行することが道全体のために必要であるという認識のもとに協力をしているところです。
それから北電のいろいろな供給力積み増しについての努力がどうかということについては、私もいろいろと厚真もそうだし、知内とか、それから音別とか(の火力発電所)、今は資料がありませんけれども、いろいろ努力しておられるのは聞いてはおります。それが十分かどうかというのは、ちょっと私自身、今この場で評価する準備はできておりませんので、むしろマスコミの皆様方が辛口でいろいろおっしゃっておられるということなのかなというふうに思います。
私といたしましては、何としてもこの冬を乗り切ると、そのことを今何よりも大きな課題として考えているところでありますので、もちろんできれば北電にさらなる供給力の積み増しについて、この緊急調整プログラム以外にもね、ご努力いただける余地があるのであればしっかりやっていただきたいと、このように考えております。
(環境・エネルギー室長)
残された時間というのも少ないんですけれども、振興局の協力も得ながら、できるだけ北海道経済産業局と一緒に、要請させていただきたいなと思っております。
(北海道新聞)
昨日の(北海道地域電力需給)連絡会で松宮(経産)副大臣が全国の原発の再稼働をこいねがうというような発言があって、それで北海道の来年の冬でこういう議論が再来しないようにと思っているというような趣旨の発言があったんですけれども、それに対して知事は共感したのか、しなかったのか、受け止めをお聞かせください。
(知事)
先ほど申しましたとおり、電話で松宮経産副大臣に御礼を申し上げた際に、副大臣のほうから自分の発言部分が大変大きく取り扱われて、ちょっとびっくりしているみたいなことを言っておられました。
枝野経産大臣に私が10月、先ほど申しましたいろいろな道の状況をご説明をしに参上した際もですね、野田政権としては、9月に出したエネルギーの基本的な方向性(革新的エネルギー・環境戦略)の中で、現在ストップしている原発については、安全性が確保されれば再稼働について包括的に必要性ということを書いてあるのだということを大臣自身も言っておられまして、ただ個別の原発の安全性については、もちろん(原子力)規制委員会が独立の立場でチェックをするということだということを大臣も言っておられましたので、そういった経産省として、あるいは野田政権としての方向性をそのメンバーの一人である副大臣としておっしゃったということかなというふうに推察をいたすところであります。
私自身としては、泊原発の再稼働については前から申し上げておりますとおり、まずは安全性を国、(原子力)規制委員会の責任において判断をしていただくということがこのことの議論のスタートでありまして、まだその基準作りすら完結していないということで、私どもとして議論をする段階にはないと考えております。
(HBC)
それに関連してなんですけれども、かねてから再稼働については議論する段階にないということなんですが、おおむねですね、(原子力)規制委員会の新しい安全基準がですね、3月までに骨子が出てきて、7月に最終的にまとまるというような大まかなスケジュールが出てきていると思うんですけれども、どの段階になると議論する段階に入るのかということ。
(知事)
それもお答えする段階にないと思います。
(北海道新聞)
集落対策について伺います。近くですね、有識者で作る集落対策促進会議が、集落対策についての意見報告書を提出することになっています。これを受けて、道としては本年度中に集落対策の方向性というものを策定するというふうに聞いていますけれども、現時点で知事としてどのような対策が必要だとお考えになっているかお聞かせください。
(知事)
全国(の総面積)の22%ですか、ほぼ4分の1というこの広大な北海道の中に、約550万の人たちが住んでおられると。やはり過疎化というものがどの県と比較しても一番進んでいるこの道内において、高齢化も進んでいる、やはり集落対策をどのようにやっていくかというのはわれわれ道政にとって大変重要な課題の一つであるというふうに認識をしているところです。
今年に入ってからだったと思いますが、喜茂別町で集落対策として、札幌とか、そういう都会の若者たちを喜茂別町が募って地域おこし協力隊を編成してやっておられた、それに参加しておられた方々と喜茂別町にお邪魔をしてお話をしたこともございました。いろいろな地域の方々が基礎自治体たる市町村を中心に、それぞれ創意工夫を凝らしながら集落対策ということをやっておられる一つの良い例だなというふうにその時も思ったわけでありますけれども、やはり先ほど申しましたような過疎化、高齢化の進んでいる北海道において、この集落対策をどのようにやっていくかということが重要な課題なのですが、ただあまりにも広大だし、また地域によって内陸と海辺でも違いますし、産業の構造によっても違いますし、やはり地域ごと集落ごとの地域特性であるとか、また課題も多様だと思うのですね。
そういったことを考えた場合には、道が一律にこうしたら良いですよというよりも、市町村をはじめとする地域の方々が、それぞれの集落ごとの状況に合った形でまずは考えていただく、工夫をしていただく、そういったところがスタートラインで、それを私どもとしてしっかりサポートしていくというのが、金太郎飴みたいに同じような一律のやり方をやることよりも、地域に根ざしたきめ細やかな集落対策になるのかなと、私自身は今段階ではそのように考えているところです。もとより医療の問題をはじめ、道内、厳しいことはたくさんありますけれども、できればそれぞれの集落に住んでいる方々が、「ここに住んでいて良かった。空気もおいしい。食べ物もおいしい」と思っていただけるような、そういったふるさとづくりというか、集落づくりというか、そういったものを理想としてわれわれとしては進めていきたい、あるいは進めていかなければならない、市町村の方々と連携をしていかなければならない、そんなふうに思っております。
(毎日新聞)
本日、新聞各紙で、野田首相が、早ければ月内にもTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉の参加を表明したいと、検討している意向だという報道がなされていますが、それに対して知事のご見解をお伺いできればと。
(知事)
それ、本人がおっしゃったのですか、首相が。
(毎日新聞)
それは周辺の、という言い方で各紙書いていますね。
(知事)
私も新聞を毎日たくさん読んでおりますので、そのことは報道としては承知をいたしているところです。そういうこともあったので、先週の金曜日(11月2日)、政府主催の全国都道府県知事会議の時に、私は農林商工委員長の立場で発言する機会がございましたので、経済政策のことも言いましたけれども、どうも総理の(衆議院での)所信表明演説の文書を拝見していると、TPPについて前向きなご意向のように見受けられなくもないなと。
しかしながら、われわれ地方の立場からは、TPPについて、まずは農業だけではないと、ありとあらゆる分野についていろいろな疑問点があることについて、知事会を通じて政府に対して質問状を投げ掛けているのに「回答します回答します」と偉い人たちはみんな言うのですよね。古川(国家戦略担当)大臣の時も言いに行きましたけれども、今の前原大臣になられてからはまだ行っていませんけれども、そういうことにもなしのつぶてなのですよね、全然、回答がないと。いろいろな情報収集をしても、それはやはり外交的な問題もあって出せないのだとか、そういう国民不在なことをおっしゃるお役人の方もおられますけれども、そういう情報がない中で議論もできない、議論ができなければ国民同意、道民合意もできない中でTPPに推進、前のめりというのはちょっとお話が違うのではないかというようなことを、もうちょっとソフトに総理に直接申し上げたところであります。
総理は、国益に十分に配慮をして国民的な議論を経た上でこの問題に対処すると、従来と同じご回答をおっしゃいましたので、私はそのようなことと理解をいたしておりますし、ただ、(アメリカの)オバマ大統領の再選とかいろいろな環境変化もある中で、私どもとしては道内の関係機関とも連携をしながら、あるいは心ある他の県の皆様方とも連携をしながら、時機を逸することなくしっかりと政府に対して物申すということは続けていかなければならない、こんなふうに考えております。
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