知事定例記者会見
・日時/平成26年5月20日(火)14:30~14:48
・場所/記者会見室
・記者数/20名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 民間企業との協働事業『漫画・うんちく北海道』の出版について
記者からの質問
1 集団的自衛権について
2 「農業改革に関する意見」について
知事からの話題
民間企業との協働事業『漫画・うんちく北海道』の出版について
〔配付資料:「あるある家」と『漫画・うんちく北海道』のコラボについて 〕
〔配付資料:『漫画・うんちく北海道』の発売について 〕(※「ゲラ(校正刷り)」は添付省略)
それでは私から、ここ(机上)にも漫画本が置いてありますけれども、民間企業との協働事業『漫画・うんちく北海道』の出版についてであります。
このたび、道と株式会社KADOKAWAとの協働事業の一環といたしまして、『漫画・うんちく北海道』が5月27日火曜日から全国で発売されることになりましたので、ご紹介いたします。道では、昨年8月から9月にかけて、全国の皆さんから、隠れた北海道の文化や歴史、日常の生活にある北海道らしさなどを募集しましたところ、約300件の情報を頂いたところでございます。その中からよりすぐりのネタをストーリー仕立てで披露していく内容になっているのがこの本でありまして、配付資料でゲラ(校正刷り)を少しお示し申し上げておりますが、それをさっと読んでいただくだけでも面白いと思うのですけれども、例えば、記者の方の中には道内出身の方、あるいは道外出身の方、いろいろおられると思うのですけれども、例えば冬場ですね、道民は気温にプラスマイナスを付けないんですね。だから、「今日はちょっと暖かくて5度だ、昨日は10度だった」と言うとですね、道外の方から聞くと何なのだろうかこれはと思われるかと思うのですけれども、「昨日はマイナス10度だったけれど、今日はマイナス5度で暖かい」とか、そういう意味でありまして、プラスマイナスを気温に付けない。それから、「炊事遠足」とかですね、「観楓会(かんぷうかい)」、これは楓(かえで)を観る会というふうに書くのですが。といった、それぞれ説明するとまた長くなるので、関心がおありになる方は担当の者に聞いていただければと思うのですけれども、そういった北海道ならではの行事や、目新しい商品があるとつい購入してしまいたいというふうな、そういう道民気質などが楽しく、興味深く紹介されているところであります。
また、北海道の魅力を発信するキャラクターとして(道が)公募し、今年1月に誕生した、配付資料にもございます「あるある家(け)」も漫画の中に登場しているところでございます。絵を担当していただいたのは札幌在住の女性の漫画家、椿(つばき)かすがさんであります。
今回は、道と出版社が連携して、漫画という多くの皆さんになじみのあるツールを使って、北海道の魅力、北海道らしさというものを全国に発信し、北海道に興味を持ってもらおう、関心を持ってもらおうと、そういう試みでありまして、この本を通じて全国に北海道のファンや応援団を増やすきっかけになるものと大いに期待をしております。全国の書店で販売されますので、ぜひ多くの皆さんに本を手に取って楽しんでいただきたいと思います。
私からは以上であります。
記者からの質問
(朝日新聞)
先週(5月15日)も質問が出たんですが、やはり、ちょっと今トレンドもあるので、あらためて聞かせてください。集団的自衛権の関係です。先週金曜日にですね、安倍首相が正式に記者会見をして、憲法解釈による集団的自衛権行使容認というのを打ち出されました。知事ですね、先週の記者会見では、あらためて考え方を整理することは必要だというふうなことをおっしゃっておられますが、憲法解釈による集団的自衛権の行使容認、この方法についてどうお考えなのかを教えていただきたいというのが一つ。
あと、安倍首相がもう一つ挙げられたのが、グレーゾーン事態というのも挙げておりました。集団的自衛権の行使容認には至らないことですが、いわゆる有事対応だったり、警察権では対応できない武装集団による上陸とか、こういったことのグレーゾーン事態への対処強化ということも打ち出されておられますが、これについてのお考えも聞かせてください。
(知事)
なかなか難しい問題でありまして、前回(5月15日)の記者会見で申し上げたかと思うのでありますけれども、すべての国民が、これは安倍総理も含めて、国会における与野党の方々も含めてみんなだと思いますが、日本国の平和を守っていく、そして今、世界中に日本人がいっぱいおりますよね、私も2年間パリで生活をした経験を持っておりますけれども、そういう世界中にいる邦人の安全というものをどのように守っていくのか、このことをいかに実のあるものとして実現していくかということ、これは誰も疑いの余地のない目標だと思うのですね。それからやはり、いろいろな地域紛争なども目に付く中で、南シナ海のようにその寸前のような状況もある中で、複雑化した国際社会の中でいかに紛争なり戦争というものを回避していくのか、最小限にしていくのか、このことがやはりすべての国民が目指す、願う方向性だと思うのですね。そういったことへ対処する道として、今、総理がこの集団的自衛権ということについて問題提起をされたというふうに私自身は理解をしているところでございます。
ただ、先ほどのグレーゾーン(事態)といわれる状況への対処の仕方についても、集団的自衛権ということを認めるか認めないかというのもあるのですが、それを認めるとした場合に、解釈でいくのか、それとも憲法改正というものも必要なのか、そのやり方、方向性についてもさまざまな議論があるわけでありますので、私自身がどう考えるかというのは、なかなか自分自身の頭の整理もまだ出来ていないところでありますが、やはり大いに議論をしていただきたいと、このように思います。御社を含めて、各新聞社、あるいはテレビ局も、いろいろな議論を展開しておられるわけでありまして、また市民団体でもいろいろな自分たちの主張のアピールということも出てきているのも理解していますし、連立与党の両党の間でも議論が進んでいますし、国会でも議論しようという動きもあります。そういうことを大いにやってですね、そして方向性を出していくと。あまり時間にとらわれることなく、しっかりとした議論を展開することが、私は必要かなと、こんなふうに思います。
(十勝毎日新聞)
政府の産業競争力会議で、農協改革をはじめとする農業改革が議論されてますけれども、中央会制度の廃止とか、北海道に関係する内容も含まれていると思います。知事の受け止めをお聞かせいただきたいんですが。
(知事)
今、TPPの議論もシンガポールで続いていると認識しておりますが、そういったことと並行する形で、政府のほう(規制改革会議・農業作業部会)で、特に有識者委員と称する方々の意見開陳という形を中心に、農業改革ということについても問題提起がなされ、そして、19日に行われた産業競争力会議(課題別会合)において、安倍首相から農業改革を進めるべしという指示がなされたというふうに、報道を通じて理解をしているところであります。農業協同組合、農業生産法人、農業委員会(の3本柱)というふうに理解をするわけであります。
まず、農協(農業協同組合)というのは、言わずもがなでありますけども、農業者という生産者の方々の協同組織。一戸一戸の農業者ではなかなか対処できないようなことを、みんなでグループを組んで対処していこうということでスタートしたわけであります。 (農協)傘下の生産者の方々が作られる農産物を共同で販売すると価格交渉力が高まりますし、流通ルートの確保も個々にやるより良くなるといったことであるとか、それから、(農産物を)生産するための資材の購入、これも個々で買うよりもやはり共同でやった方がいろいろな面でいい、というような形でこの農協組織というのはできたわけでありまして、それが単協の農業協同組合、それからそれを束ねる都道府県単位の連合体である中央会、それからそれを全国で束ねる全中(全国農業協同組合中央会)、そういう三層構造といった形になっているのが農業協同組合制度ですよね。この、それぞれの農業協同組合が、専業性の高い北海道における農業の発展というこれまでの歴史の中で、大変に大きな、しっかりとした役割を果たしてきていただいていたと、そして、いただいていると。これは、論をまたない点であるということは、やはりまず私は踏まえなければならないと、こんなふうに思うわけであります。ただ、環境というのはどんどん変わっているわけでありますので、そういった中で、これまでも役割を果たしてきた農業協同組合が、さらに新しい環境変化の中でその機能を十分に果たしていくためにどういうことをやらなければならないのかということは、これは私は議論を大いにすべきではないかなというふうに、まず思うわけであります。
それから、この改革の一つのポイントになっている農業委員会について、少し前に政府との間でいろいろ議論を交わす際に、私どももあらためて道内市町村の農業委員会の状況や組織の位置づけ、役割、機能がどれだけ働いているかなどを把握させていただいている中で、率直に感じたのは、他府県では農業の発展の足を引っ張っているという認識をしておられる地域もあるようでありますけれども、どうもやはり、北海道における位置づけと他の都府県における位置づけというのはだいぶ違うなあという、そういう実感というか感覚を持っていると。農業委員会についてそういうふうに感じたという、例として申し上げたのですが、やはり、専業農家が多い、日本の中で最も一戸あたりの平均耕地面積も広く、EU並みでありますしね。この、専業性の高い北海道農業における、いろいろな農業に係るルールや制度というものと、他府県の兼業農家が多い、サラリーマンもやりながらちょこっとお米を作っておられるようなところの農業に係る組織とは、だいぶ違うのだろうなという中で、われわれはやはり北海道における農業を取り巻く環境、規制、ルールというものをどのようにとらえるかという議論を深めていかなければならないのかなと、そんなふうな思いもございます。
既得権とか抵抗勢力とか、すぐ政治の世界ではそういうことを言われるのでありますが、農業を取り巻くさまざまな改革ということをやるにしても、その視点は唯一であります。すなわち、北海道の農業という日本一ポテンシャルの高いこの農業のありようをより発展させていくために、今あることがいいのか、悪いのか、そういう観点からの議論をですね、政府任せではなくてわれわれ自身も、やはりしっかりやっていかなくてはならないのかなというふうな思いを強く持ったところであります。
それから、この3本柱とは別に、ローソンCEOの新浪さんが産業競争力会議の中で出されたという、酪農業に特化した改革の提案というものがありまして、その中に、「北海道の酪農輸出拠点化」ということをご提案いただいているところであります。
ご承知のとおり、酪農業の中心となる生乳の品質が、北海道は日本一、あえて言えば世界一ではないか、北海道はそのような状況にあると私は認識しております。ソフトクリームだっておいしいじゃないですか、北海道で食べると。これは一つの卑近な例でありますが、やはりこの生乳の品質がどこよりも高いレベルにある北海道の酪農業をさらに発展させていくために、どういう戦略、どういうことがあり得るのかという議論も、ぜひわれわれも積極的に関与していきたいと、そんなふうに思っているところであります。
農業関係に詳しい方がおられるとすれば、そんなこと言ってもこの北海道でも生産量がどんどん減ってきていて、生産者も減ってきていると(おっしゃるかもしれませんが)。そういう実態にあることも私自身は認識をしていて、そういう中で、法人化ということも担い手確保の中でやっぱり考えていかなくてはならないし、この話もすればきりがないわけでありますけども、大いにいろいろな議論をしていただく。ただ、やはりわれわれ北海道は、いつも言っておりますけども、食料供給基地として日本の中で最も高い生産性、専業性をもって農業を展開している地域でありますので、われわれ自身の問題として、この農業改革ということをしっかり考えていかなければならないのかなと。その観点から、政府がおっしゃることに、イエスという場合もあるでしょうし、これは違うのではないかと明確に申し上げることも出てくるのかなと、そんなふうに、今段階では思っているところであります。
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