知事定例記者会見
・日時/平成26年9月3日(水)9:30~9:52
・場所/記者会見室
・記者数/27名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 追加経済対策について
記者からの質問
1 上田札幌市長について
2 内閣改造について
3 土砂災害の防止について
4 MV-22オスプレイの訓練について
5 北海道エアシステム(HAC)について
知事からの話題
追加経済対策について
私から一件話題提供をさせていただきます。追加の経済対策の実施ということについてであります。昨日、3定(平成26年第3回北海道議会定例会)に提案する補正予算の概要という意味では総務部長から説明を申し上げたかと思うわけでありますが、私からも若干この経済対策について皆さま方に背景等をご説明申し上げたいというふうに思う次第です。
今年の3月に、4月1日からの消費税5パーセントから8パーセントへの税率アップに適切に対応するためということで「地域経済の好循環につなげるための推進方針」を策定し、対策を打ってきたところでございます。その後、6月にも追加の取組を行ったのでありますが、昨今の、(北海道電力の)電気料金再値上げ申請というのもありますけれども、原材料、燃料費等の価格上昇、あるいはほとんどの業種において人手不足感があることなど、せっかく持ち直してきている道内景気について、先行きの不透明感が増しているという状況の中で、今回、道内の経済状況を前向きな、確実なものにするために、景気・経済対策というものを実施しようというふうに思い至ったところであります。
(予算)総額は昨日総務部長からも申しましたとおり60億円規模くらいを想定しているところでありまして、その内容を私なりにもう一度整理いたしますと、一つ目の柱は、地域の経済強化対策というふうに考えているところであります。地域それぞれの多様な魅力がある食と観光について、地域の魅力の発掘、発信ということを、道と地域、それから関係機関が連携しながら取り組むというものでありまして、これと併せて、地域経済の中で大変重要な公共事業など、地域の中小企業の受注機会や事業量の確保などにも努めていくと、これが一つ目の柱である地域の経済強化対策であります。
二つ目が、個別企業等の経営安定対策ということで、今回アンケート調査などを実施した際に、さまざまな個別企業のニーズというのが出てきたわけでありまして、それに呼応するための対策であります。あえて企業等と申しましたのは、一般の企業に加えて医療法人であるとか、社会福祉法人、こういったところも事業対象に含める形で、人材不足分野における業務改善、あるいは経営者セミナー、専門家派遣などを通じて省エネや後継者対策など幅広く対応していこうというような内容を考えているわけでありまして、こういった二つ目の柱である個別企業等対策の一環として、中小企業総合振興資金という融資制度の制度改正で、融資条件の拡充ということを考えているところであります。
三つ目の柱は、今年4月以降取り組んでまいりました対策の約80事業、この効果を地域の実情に応じてさらに最大限発揮させるための取組ということで、道庁職員自らが地域に飛び込んで地域と一体となって取組を行う仕組みづくり、これをプラットフォームというふうに経済部ではネーミングをしております。そういった形で、即応性のある形で、前に行った事業からの継続性も重視したそういったことを、三つの柱として考えているところでございまして、3定議会(平成26年第3回北海道議会定例会)にご提案を申し上げ、議論も踏まえて、議了いただければすぐに実施ということを考えているところであります。
なお、今日内閣改造があると聞いております。そして秋の臨時国会に向けて安倍政権においても国の補正予算の提出も検討しておられるのではないかと推察するところでありまして、そういったものの内容なども見極めながら、また道内の景気状況の、これから(北海道電力の)電気料金の再値上げがどういう形で査定されていつごろから実施されてそれがどういう影響かとか、いろいろ見極めなければならないこともありますが、さらなる追加対策ということも想定しつつ、今回のわれわれの独自の政策による補正予算というものを3定議会に提案してまいりたいと、このように考えております。
私からはこの一件でございます。
記者からの質問
(HBC)
先週金曜日ですね、札幌市の上田市長が(札幌市長選)4選は出馬しませんと、そして、一部で取り沙汰されていました知事選への出馬もいたしませんと、政界は引退しますということを明言されたんですけれども、これまで(北海道)新幹線の札幌延伸の誘致その他でですね、共にやってきた上田市長のこの引退発言についてどういうふうに受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
そうですね、上田市長とはいろいろな場でご一緒することが多かったなということを、今ご質問を受けて振り返っております。(北海道)新幹線の(札幌延伸の)誘致活動もずっと一緒にやってまいりましたし、本当にいろいろな場でご一緒しましたけれども、印象的な場面として、例えば、上海万博(2010年上海国際博覧会)に、北海道、札幌市のアピールに一緒に行ってまいりました。それで一緒に、私も慣れない中国語ですけれども、失礼ながら、市長も慣れない中国語を一生懸命お互いに勉強をして、片言の中国語で語り掛けたり、あの時も共同作業でしたね。
それから、2008年G8(主要8カ国首脳)サミットが北海道洞爺湖で行われた時に、G8の方々はずっと洞爺(滞在)だったのですが、アウトリーチといって、それ以外の国の首脳の方々も十人以上北海道に来られて、その多くの方々が札幌に宿泊をされて、札幌市内のホテルで道と札幌市、すなわち私と上田市長の共催で、何人かの首脳の方々をお迎えするレセプションをやりました。当時の中国の胡錦濤国家主席、それから韓国の李明博大統領もおられたし、国からは当時の高村正彦外務大臣が来られて、そういった中でご一緒させていただいて精いっぱい地元のアピールをいたしましたし、いろいろな思い出があります。
(上田市長は)優しい顔ですよね、真ん丸の。私はどちらかというと痩せ形なのですが、ああいう温かい表情の市長とご一緒して、大変いい思い出がいっぱいあるかなと、そんなふうに振り返っております。これからもいろいろな形でご一緒できる機会が多ければいいなというふうに思っております。
(HBC)
引退表明の席でですね、上田市長が公約は大半を達成できたと思うという発言があったんですけれども、これについてはですね、高橋知事、客観的に見てどういうふうに評価していらっしゃいますでしょうか。
(知事)
難しい質問ですね。私も道議会でいつも公約達成の質問を受けて大変苦労しておりますけれども、上田市長がどういう公約をこれまで掲げておられるか詳細を承知しておりませんので、ちょっとコメントできませんね。最近は、(札幌市)公契約条例で苦労しておられるのは報道を通じて聞いておりましたけれども、ちょっとそれ以上はコメントできません。すみません。たぶん市議会で議論になるのではないですか。
(STV)
先ほど知事もおっしゃっていましたが、今日、内閣改造がある中で、石破氏(石破茂自由民主党幹事長)が地方創生(担当)大臣におそらく内定と報道があると思うんですね。これに対して期待することですとか、知事自身がどう受け止めていらっしゃるかお願いいたします。
(知事)
石破幹事長は、つい最近も、(衆議院議員の)伊東良孝先生のセミナー(7月7日)の時に北海道に来られましたよね。その時もちょっと話をさせていただきましたけれども、何というか、地方の味方ですよね。地域のことを誰よりも理解しておられるのに、さらにその状況をレベルアップするためにご努力をしておられて、別に北海道だけではなく全国の各地域に(対して)そういうことだと思うわけでありますが、そういうお立場の方が地方創生担当大臣に内定しておられるというのは、地域を預かる知事としては大変心強い限りであります。
あのセミナーの後でしたか、ちょっと別の会合でご一緒した時もお話をした経緯もあるのですが、ぜひ地域の再生に向けてのさまざまな支援というものをですね、しっかり地域の視点で考えていただくように、そういう担当大臣になっていただきたいなというふうに思います。
もとより地域再生の主役はわれわれ自身、地方自身ではありますが、ただ、伴走(ばんそう)支援という、共に走って支援をしていただくということをわれわれ地方は国に求めておりますので、そういった期待に応えていただけるような、そういう大臣になっていただきたいなというふうに思っております。
(UHB)
昨日国土交通省の方から土砂災害の警戒箇所に関して周知を進めてほしいということと、あと危険箇所の再点検の要請がありましたが、これまでもいろいろお話されていますが、あらためて(土砂災害警戒区域の指定に向けて)今後道としてどうされていくのかということをお聞かせください。
(知事)
土砂災害の関連については、これは繰り返しになるわけでありますけれども、土砂災害警戒区域の指定ということに向けて、市町村との連携の面における課題を乗り越えること、住民のご理解を頂く努力をするということの課題を乗り越えるということもありますし、また(基礎)調査を担っておりますわれわれ広域自治体たる都道府県の負担というのも結構大きいわけでありまして、区域指定の前段としての調査の実施に向けての国の補助率のアップ(国の負担割合の引き上げ)であるとか、そういった要請も国に対してやっていかなければならないという両にらみだと思います。いずれにいたしましても今回の礼文島における大変に残念な事案、それから全国的に言えば広島市を中心として本当に多くの尊い命が奪われたというこういったことを踏まえてですね、国も動いておられるでしょうが、われわれも今もう(基礎)調査をして抱えている案件もいっぱいありますので、そういったところから一歩一歩前に進めていく努力を市町村と連携しながらしっかりやっていきたいというふうに思っているところでございます。(今回の内閣改造において)国土交通大臣は太田大臣ご留任という情報も漏れ伺っておりますので、これまでの経緯もよくご存じの方が引き続きやられるということで、私ども地域としても大変心強い限りであります。
(UHB)
もう一点、沖縄の(米軍)基地負担軽減についてだったのですが、負担軽減を進めるべきということでいろいろ進めていて、佐賀の知事なり福岡の知事がオスプレイの関係でいろいろと発言をされています。それで沖縄の負担軽減を進めるべきと思うかということとですね、道も積極的に受け入れるべきと思うか、知事のお考えをあらためてお聞かせ願います。
(知事)
沖縄の負担軽減との関係において、オスプレイ等の受け入れということもあろうかと思うわけでありますが、まずはですね、沖縄県の米軍基地負担の軽減ということは、これはやはり(沖縄県以外の)他の自治体がしっかりと取り組んでいかなければならない。このことは全国知事会でもいつも議論しておりますし、各論ではいろいろ議論も出ますけれども、ただ終始一貫して沖縄県以外の都道府県の知事は沖縄の負担軽減をいかに実現していくかということについてはコンセンサスを得ていると、このように理解をいたしておりますし、私自身もそのように認識をいたしております。その上で、オスプレイの訓練移転とか、佐賀県において自衛隊が購入するであろうオスプレイの配備を受け入れてくれるかどうかなどの議論も出ているわけでありますが、そういう議論の中で北海道に国からどういう話があるかどうか。一時(北海道大演習場もオスプレイの訓練移転先の候補にと)報道では出ていましたけれども、まったく国は承知していないということでありましたので、私どももそのように現状認識をいたしておりますが、今後いろいろな議論があればですね、全国知事会で大いに議論をしたわれわれとしてのスタンスというものがありますので、地域の意見を十分に聞きながら対応を検討をしていくということをやっていかなければならないかなというふうに思っております。
(NHK)
HAC(北海道エアシステム)についてなんですけれども、JAL(日本航空)の再グループ化に向けて株の譲渡ができるめどが立ってきたと思うんですけれども、それへのコメントとですね、道は株主としては二番目の株主になるかと思うんですけれども、今後道としてどのようにHACに関わっていかれるかお考えを聞かせてください。
(知事)
これはもう話せば長い経緯があって、JALと合併される前のJAS(日本エアシステム)との経緯の中でHACはスタート(発足)したわけでありますが、その後、JALが経営が厳しいと、実質(経営)破綻という中で少しでも身軽になりたいということで、北海道における地域航空を担っていた子会社HACを、子会社から外したいというお申し出があったのですよね。私どもとしては大変つらいお申し出であったわけでありますけれども、道内各地域、札幌市を含めて、いろいろ議論をして各地域の皆さま方のご理解を得て、道ももちろん引き受けましたけれども、株を引き受けて、今の形のHACとして再生スタートしました。
ただ、(それまでは)株式面でJALの子会社であったということ以上に、さまざまな運営、運航の安全性や、機材の整備とかいろいろな面でやはりJALの後ろ盾があって成り立っていたHACだった中で、再生HACの(スタート)直後に、国土交通省から指摘をされるようなさまざまな重大インシデントがですね、もちろん幸いなことに事故はなかったわけでありますが、いろいろあって、機材調整もなかなかうまくいかなくて、大変経営が厳しく、また、利用者、これは道民、道民以外のいろいろな方々の信頼も失い、そうするとこの悪い状況が重なって、また経営が厳しくなると、そういう状況になったところでありまして、そういう中で、自民党本部の皆さま方、それからもちろん道議会の自民党とも連携して、なんとかJALの子会社に戻そうということでですね、そのプロセスが始まってもう一年以上ですかね。いろいろな水面下の、私といろいろな方々の接触というものもやって、今に至って、元に戻りつつあるという現状であります。
航空事業というのは他のビジネスと違って、安全運航、定時運航、お客さまの信頼性を得るという意味では、やはりそういう面のノウハウをいっぱい持っておられる事業者が行う必要があるものかなということを、今回あらためて認識したところでありまして、今、行おうとしているスムーズなJALによる再子会社化がうまくいけば、HACがさらに安定的に北海道のローカルな空の足を確保する会社としてしっかりと根付いて運航を続けてほしいと、まだそこまでいっていませんけれどもね、このように思っているところであります。
ですから、株の譲渡については、われわれが株を引き受けてほしいということを道内関係者に持ち掛けた時に、本当に血と汗のにじむような努力をわれわれはいたしましたので、そういったことをかみしめながら、しっかりと再再生HACとして羽ばたいてほしいなというのが、今のわれわれのスタンスであります。
それから、いずれにしろ道が第二(位の)株主としてとどまることも今、想定しつつ作業をしておりますので、離島航空路線をはじめ、やはり広大な北海道の中における空のネットワークとしてしっかりと役割を果たしていただけるように、これからも道としての発信はしっかりしていきたいと、このように思っております。
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