知事定例記者会見
・日時/平成27年2月24日(火)15:30~15:50
・場所/記者会見室
・記者数/25名(テレビカメラ1台)
会見項目
記者からの質問
1 日本国憲法について
2 地方創生について
3 次期知事選について
4 西川農林水産大臣の辞任について
記者からの質問
(HBC)
政務についての質問をさせていただきたいんですが、ちょっと大上段の質問で恐縮なんですけれども、知事の憲法観ということについてですね、例えばこれまでも知事選で高橋知事を推薦してきた自民党さんは、この前(去年)の衆議院選挙でですね、憲法改正原案を提出して改憲を目指すということを公約にしておられる一方で、同じく推薦してきた公明党さんの場合は憲法9条(の戦争の放棄や戦力の不保持等)を堅持した上で自衛隊の存在を明記する、この加える憲法と書いて「加憲」という、与党の間でもこう違いがございましてですね、知事が改憲、加憲、あるいは護憲、どういったスタンスを今持ってらっしゃるのかお聞きしたいんですけれども。
(知事)
憲法に関する問題というのは、道政上の政策課題というわけではないので、あまりこういう記者会見の場とか、それから道議会の場でも、聞かれたことがあったなぐらいの印象でありますけれども、私自身は、やはり日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義というこの理念というのは、これまで長年にわたって広く国民の間に定着してきたものでありますし、また戦後70年を迎える日本の平和ということに大きく寄与してきたものだというふうに一国民として考えているところでありますので、こうした憲法の理念というのは最大限尊重されるのは当然であると、このように考えているところでございます。
その上で、その加憲、護憲、改憲、この言葉の定義というのはなかなか難しいことがあるので、一般的に憲法改正についてどう考えるかということについてはですね、これは前もこの記者会見の場(平成25年4月25日)でどなたかから質問があって答えたかもしれないのですけれども、今申しましたような基本理念は尊重すべきというのは当然なのですけれども、ただ、やはりそうは言っても、この70年の間に日本国民の価値観というものも変わってまいりましたし、それからわが国を取り巻く情勢、環境も大きく変わってきているわけでありますので、大いに憲法について議論をするということは私はやるべきことだと思うし、現に(去年の)衆院選の時、今(ご質問の中で)自民党と公明党の公約の、その(内容の)充実ぶりについてはちょっとお話がありましたけれども、民主党も、文言そのものは忘れましたけれども、大いに議論すべしというようなことを(公約として)出しておられたやの理解もありますけれども、私としてもやはり大いに議論をすべきというふうに思います。
それで、とりわけ地方の立場からしますと、地方自治の部分、国と地方の関係のところ(条文)が、これはやはり約70年前にこの日本国憲法ができた時の状況なども踏まえてということだと思うのですけれども、今これだけわれわれが地域主権ということを進めている中で見るとですね、あまりにも表現がちょっとシンプルすぎるというか、もっともっときちんと書き込んで、今の国と地方の関係をどう考えるべきか、国民の目から見てどういうふうに規定すべきとかですね、そういうところもちょっと物足りないなと思いますし、それから環境権の問題ですよね。人権としての位置付けだと思うのですが、こういうことも、時代の変化の中で、今日の現状を考えた場合に、やはり法律の基礎となる日本国憲法の中でもうちょっといろいろな記述というのがあってもいいかなと個人的に思う部分もありますので、大いに改正については議論をし、そして議論を尽くしたところについて改正を行っていくというのが、一つの現代のありようではないかなというふうには思うところであります。
(HBC)
地方自治のところというのは改善を加えるべきではないかというようなお話はいろいろ聞くわけなんですけれども、(憲法第)9条ということに関しての改憲か加憲かというところで、自民党と公明党は微妙に違うところがございましてですね、ここについてはいかがでございましょうか。
(知事)
第9条の問題については、ちょっとなかなか私自身の頭の整理はできておりません。もっともっと勉強しなくてはならないと思っております。
ただ、先ほどの繰り返しですけれども、やはり平和がここまでね、保たれてきたという、平和主義というこの考え方はやはり尊重すべきだと、このように思います。
(uhb)
人口減少問題に関しての質問です。先日、土曜日ですね、弊社の特番をやりまして、「消えてたまるか北海道」という番組をやりまして。
(知事)
石破(地方創生担当)大臣が出演した番組ですね。すみません、(録画を)まだ見ていないのですが、後から見ようと思っています。
(uhb)
ありがとうございます。もう放送は終わったのですけれども、その中で、今おっしゃった石破地方創生大臣がですね、竹下内閣の時に行われたふるさと創生の1億円事業について、あれは失敗だったという認識を示されたのですが、知事はこのふるさと創生1億円事業をどう評価されていますでしょうか。
(知事)
そうですね、私、竹下内閣の頃ってあまりこういう地方創生とか地域振興とか、そういうことをきちんと真正面に捉えて認識するような仕事に携わっておりませんでしたのでね。今振り返ってということでありますけれども、あの時、国から大盤振る舞いで1億円をもらって、それでこの立派なトイレを作ったと、立派なとてもクリーンな公衆トイレが今でも使われているという現場なども拝見したことがありますし、またそれをしっかり基金として貯金して、その果実を使う。今は低金利ですから少し取り崩しもやっているのかもしれませんが、地域のいろいろな地域振興に少しずつ使っているという町もありますし、いろいろだと思うのですよね。石破大臣がどういう思いでそれが失敗だったという評価をされたのかはよく分からない部分もありますけれども、ただ、今、石破大臣が旗を振ってやろうとしておられる地方創生というのは、国から(地方自治体に)ドーンとお金を出して、これで思うようにやりなさいという形の、それを竹下流のというか旧来型の地域振興だとすれば、そうではなくて、ある意味、国民運動というかですね、地域それぞれが知恵を出して、いい規制緩和だったら国は乗るよと、あとはあまりお金をかけずにそれぞれの創意工夫で連携するなり、あるいは広域自治体と力を合わせるなり、それから民間と協働作業をやるなり、いろいろな形を使ってそれぞれの地域特性を生かしながら地域を盛り上げていこうという、そういうことを石破大臣は自分の足で、あの方は全国で人気者ですから、それぞれの地域を回っていろいろとアドバイスしたり、情報収集したり、そしてそれをまた別の場所で発信したり、いろいろなことをやっておられる。今風の地方創生のありようですよね。私はやはり今、石破大臣が旗を振りながらやっておられるこういった地方創生のやり方こそですね、今の時代に合うやり方なのかなという思いをいたしているところであります。
先般(2月1日)東京で、上士幌町が、ふるさと納税(による町への寄附)がたくさん集まったので、その感謝祭(上士幌町ふるさと納税大感謝祭in東京)をやられた際には、石破大臣が特別ゲストで来られて、私も20分から30分くらいご一緒していろいろお話をしていて、本当に詳しいですね、大臣は。上士幌町のこともあれだけ知っておられる、北海道の他の町でも、例えば「音威子府の芸術科を持っている村立高校いいよね」とか。それから(私が)「三笠高校を知っていますかと、調理(の学科)で頑張っているんですよ」と言ったら、「それは今初めて聞いた」とか言っておられましたけれども。本当に全国の市町村のいろいろな取組というのを全部頭の中にインプットされながら、アイデアを出して知恵を出して、地域を盛り上げていこうということをやっておられる、その大臣の姿勢というのはよく分かりましたので、やはりそういう考え方を、私ども広域自治体の立場からも道内179市町村の方々と共有しながら、民間の方々と力を合わせて、これは産業づくりだけではなくて福祉とか医療とかそういったことも含めてトータルの政策ですけれども、進めていくということでありますので、今の政府がやろうとしておられる方向性は、私が認識している限りは、今風のやり方かなというふうに思っておりまして、私どももしっかり広域自治体として道内市町村とも連携しながら、地方の創生ということをやっていきたいと思っております。
(uhb)
ありがとうございます。今のご回答の中では、ふるさと創生事業に関しては一様に評価できないということだと思うのですけれども。
(知事)
どちらかと言うとそういうことかもしれませんね。
(uhb)
ネガティブなイメージではないということでしょうか。
(知事)
ネガティブなイメージではないというか、あの時代の一つの考え方だったのかなと思うんですよ。1億円といったら今でもすごい金額ですけれども、それをドーンと地方に差し出して、これで知恵を出して好きにやってほしいと、それが一つの当時のやり方だったのかなと思いますけれども、今の時代にそれと同じことをやってもうまくはいかないのだろうなというふうに思います。
(uhb)
ちょっとしつこいのですけれども、もう一つ質問がありまして、その(番組)中で石破大臣からですね、こういう人口減少問題、地方創生を進めていく中で、省庁の縦割りを解消していかなければならないというお話があったのですけれども、知事が通産省で官僚の経験をされていて、そういう縦割りの行政に関して、変える必要性を感じられたことがありますか、という質問なのですが。
(知事)
それはもう、ものすごく感じております。中央省庁に居た時にはそんなに不都合というのは感じませんでしたが、こちらで知事の仕事をやらせていただく中で、何というこの不都合、ということは常に感じておりまして、そのことを政府に対しても常に発信はしております。ただ、人の批判だけでなくて、では道庁の中はどうなんだと。各部がやはりそれぞれ専門家の集団で、それぞれがそれぞれの責任においていろいろなことを(縦割りで)やっている。ただ、そこの連携をどう取るかというのは、これは道民の方々の批判に対して、私自身が3人の副知事と共にこの縦割りを横断的に見ていると。それは人の批判じゃなくて、私自身への批判だと思いますので、できる限りですね、この各部の縦割りを融合していくということに力を使ってきたこの12年だったなというふうにも振り返っております。
(TVh)
公務以外で恐縮なのですが、知事選の告示までまもなく1カ月という、明後日で1カ月になると思うんですけれども、もうすぐ選挙戦が近づいてきたなという感じなんですが、知事の今のご心境をまずお聞かせいただけますでしょうか。
(知事)
告示まで1カ月、そうですね、日々、一日一日進んでいるんだなという感じはいたします。ただ、やはり公務が最優先でありますので、その合間に、知事選に向けての準備ということを少しずつ、今やっているという現状であります。
気を引き締めてしっかりと準備をしていかなければならない、そんなふうに思っております。
(TVh)
今、公務の合間に準備をというお話がありましたけれども、残り1カ月、どういった準備をしてですね、選挙戦に臨もうというふうにお考えでしょうか。
(知事)
私の選挙戦というのは、地域にこだわり続けるということを前から申し上げておりまして、やはり公務の合間にできる限り全道を告示前に回らせていただけるだけ回らせていただいて、お一人でも多くの方にごあいさつをし、ごあいさつという言い方は、頭を下げて「こんにちは」ではなくて、私の思いというかですね、そういうことをお伝えをしていくということが、告示まで1カ月ですか、どれくらいできるかということかなというふうに思っております。
昨日も夜、伊達市と登別市に参ってですね、いろいろなお話をさせていただいたところであります。
(STV)
中央の話の受け止めということで伺いますが、(西川公也)農林水産大臣が辞任されましたけれども、農林水産ということでは北海道も関わりが少なからずあるかと思いますが、受け止めとして伺えればと思います。
(知事)
事柄の真偽はわかりませんが、いろいろな報道を通じてさまざまな問題が出てきていたというのは承知をしているところでございます。私ども北海道は農業、水産業・林業が基幹産業でありますので、それを所管される大臣にはしっかりお仕事をやっていただきたいという思いがある一方で、農協改革であるとか、あるいはTPP交渉などについて、丁寧な説明をきめ細やかにやってほしいということを思っておりましたし、また、この前の記者会見(2月20日)でも申し上げたかと思いますけれども、議会中ではありますけれども、特にTPPはこれから交渉の山場だという閣僚のご発言などもある中で、道議会の皆さま方と一緒に大臣要請というものも、スケジュール調整ができればやりたいなというふうに思っていた矢先でありますので、今回の混乱でそういったことにも若干影響が出るか出ないかということを懸念いたしているところであります。
後任の林(芳正)大臣におかれては、安倍政権の第2次内閣の組閣から1年以上(農林水産大臣を)やっておられたという経緯がございますので、(仕事の)引き継ぎはそんなに時間をかけずやられると思いますが、西川(前)大臣に対して私どもが期待していたのと同様、農協改革、あるいはTPP交渉など、私ども北海道の農業、水産業など大変関連の深い事項については、しっかりと丁寧なご説明を心掛けていただきたいというふうに思いますし、そのことを直接要請させていただければという思いは今も持っております。
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