知事定例記者会見
・日時/平成29年6月9日(金) 13:30~13:49
・場所/記者会見室
・記者数/24名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 北海道大学と道との農林・食分野の連携に関する覚書について
記者からの質問
1 社会福祉施設等の非常災害対策について
2 空港民営化について
3 航空機を利用した北方領土墓参について
4 東京オリンピック・パラリンピックへの道産食材供給について
知事からの話題
北海道大学と道との農林・食分野の連携に関する覚書について
〔配付資料:北海道大学と道との農林・食分野の連携・協力概要(PDF)〕
私からは1点、北海道大学と道の関係部局との農林・食分野の連携に関する覚書の締結についてであります。
道では、2014年の6月に北海道大学大学院農学研究院などと覚書を締結し、人材育成などにおいて連携を進めてきたところであります。
このような中、今年の4月、北海道大学においてワイン生産学などの授業を行う国際食資源学院が新設されたことを契機に、横田北海道大学大学院農学研究院長から、これまでの覚書を発展させ、「食」をテーマとして一層の連携を進めたいとのご提案があったところであります。来週12日月曜日、食をはじめとする生産技術の向上や産業人材の育成を含む新たな覚書を締結することといたしました。
今後、双方の実務者による連携会議の場で具体的な取り組みの検討を進めていくこととしておりますが、第一歩として、北海道大学の土壌学や微生物学の専門家の方々に、道が実施するワインアカデミーの講師を務めていただき、また、国際食資源学院の学生がワイナリーの現場視察に参加するなど、地域で役立つ実践的な内容となるよう努めながら、「食」をキーワードに、幅広く地域経済の活性化に結びつく連携を図っていくということであります。よろしくお願いします。
私からは以上1点です。
記者からの質問
(北海道新聞)
先日、福祉施設の防災対策に関する調査の結果が出まして、風水害対策に関しては6割程度が計画を策定、避難訓練は1割ぐらいという形で、昨年の大雨被害もあるので、心配されるような結果が出たのですけれども、知事の受け止めと、今後の対策についてお伺いしたいと思います。
(知事)
昨年の夏の大雨では、北海道も大きな被害を受けましたが、岩手県の岩泉町では、認知症グループホームの浸水被害により、9名もの尊い命が失われたという事案は記憶に新しいところであります。こうした状況を踏まえて、私どもでは、社会福祉施設等の状況について調査をさせていただきました。このことにつきましては、道議会の保健福祉委員会でご報告をしたのですが、道所管ではない政令指定都市の札幌市、それから中核市の旭川市と函館市の施設を除いて調査をしました。私どもからそれぞれの市にお声掛けはしたのですが、同時に調査を実施することはなかなか難しかったので、その意味ではわれわれの調査は、全道をカバーできていないという前提でお話をしなければならないと思います。
まず、それぞれの施設がどのような場所にあっても策定をしなければならない火災や地震に対する非常災害対策計画については、策定をしている施設が67.2パーセント、未策定が22.6パーセントであります。全部の施設に計画の策定が義務付けられておりますので、そういう意味では、私は率直に未策定が多いと思います。加えて、この火災や地震に対する計画以外に、そもそも今回の調査の一つのきっかけであった昨年のような浸水等の大雨被害に対応する浸水区域のほか、土砂災害警戒区域や火山災害警戒区域など、それぞれの区域に対応する非常災害対策計画を策定しなければならないわけでありますが、これも未策定の施設が27.2パーセントということでありまして、大変厳しい状況にあるというふうに思っております。
このほか、避難訓練の状況については、風水害を想定した訓練の未実施が77.1パーセント、これも多いですよね。そういう現状の中で、昨年夏の大雨災害時には、人命最優先で対応したところでありますが、それでも尊い命が亡くなられました。私どもは、計画が未策定の施設、それから避難訓練を行っていない施設に対して、指導そして改善命令などの権限を持っておりますので、しっかりと指導を行い、全ての施設で達成する形にもっていかなければならないと考えております。このため、指導の一つの形として、例えば計画策定のマニュアルやひな形をお示しするなどの支援を行い、各施設の対応を促していきたいと考えております。
(朝日新聞)
空港の一括民間委託のことで1点お尋ねします。6月7日に7空港の管理者のトップ会談がありましたが、その際に確認をした5原則では、黒字の空港の利益で赤字の空港の負債を埋める、ただ単にそれだけにとどまらず、一括して民間委託することで他の空港の成長につなげることを求めていたかと思います。これまで、道も地元の自治体も空港などを使った地域振興などに努めてこられたかとは思いますが、路線の撤退や減便などでなかなかうまくいかなかった部分もあったかと思います。一括民営化をすれば、民間委託をすれば状況は変わるのかという疑問点もあるのですが、知事なりに期待すること、それから難しさについてお考えをお聞かせ願えればと思います。
(知事)
ご承知のとおり、北海道に対するインバウンドはどんどん増えているという現状がありますが、中身を見ますと、やはり新千歳空港への一極集中という感が否めないところであります。そういう中で今回4管理者、なぜ7空港で4管理者なのかと申し上げますと、国管理空港のトップとして国土交通大臣、そして道管理空港のトップとして北海道知事、それから市管理空港のトップとして、旭川市長と帯広市長が管理者としておりますので、その意味で7空港のそれぞれの管理者が会談をしたということが一昨日の会議であります。そして、その会議でわれわれは5原則を確認いたしましたが、一番重要なポイントは、七つの空港で四つの運営主体ということはすなわち四つの契約になるわけであります。一つのSPC(特別目的会社)に対して、四つの契約という全国でも例のない形の民間委託をどこも劣後することなく一体として実施するということをそれぞれの空港管理者のトップが意思の疎通を図ったということに、私は一番の意義があるというふうに思っているところであります。
そして、これが今のご質問へのお答えにもなると思うわけでありますが、この民間委託がスムーズに進めば、新千歳空港という今まで一極集中であった空港の運営を任せられる事業者が、稚内空港や女満別空港、それから帯広空港、そして旭川空港については乗降客は多いですけれども、いずれも赤字です。そういうところの全体としての底上げを企業の理念に基づいて、効率的な経営判断のもとに進めていただけるというところに一番の意義があり、それを実現することを四者で決め、合意をしたということに意味があると思っております。そのことを通じて、七つの空港において満遍なく、バランス良く戦略的な路線誘致を行い、それが広域観光ルートの形成をバランス良く行っていくということにもつながってくるということが一番期待するところであります。
ただ、そのように期待をするところではありますが、難しさは前例のない、日本で初めての取り組みであり、国も前例がない中で模索をしなければならない、言うまでもなく、道も両市もみんなそのような状況にありますので、いかにこれから情報を共有しながら、しっかりとした運営権者を選び、そして運営権者を選ぶだけではなくて、運営権が設定される30年以上の長きにわたって、われわれ道民の思い、すなわち、道内がバランス良く発展をしていくということを一歩一歩進めていくことに尽きるわけであります。運営権が設定される長い期間、常に相手方にそのように行動していただくための仕組みをどのようにつくっていくか、その知恵というものを一昨日の5原則を踏まえて、それぞれが考え、情報共有をして実現していくということだと思っております。
(読売新聞)
北方領土の関連ですが、今日、国で外務大臣から航空機墓参を6月18日に正式決定という、これはニュースで見ただけなのでうちの社でまだ確認をしていないのですけれども、そういうニュースが流れていまして、あらためて知事の受け止めをお願いします。
(知事)
私も昼のニュースで映像を見ました。同時に事務的にも報告を受けたところでございます。首脳レベルで決定した航空機を利用した墓参の具体的な日程が日本国政府として正式に外務大臣から発表されたということでございます。
国後島は標津町から羅臼町に行くあたりの海岸線からは晴れているとよく見えます。近いのにいつも船で根室港から行っており、元島民の方々の高齢化等も進み、航空機を利用した墓参に対する期待も高まってきた中で、首脳間で合意をされてそれが実現するということは、元島民の方々の多くが住んでおられる北海道の知事として、また、国境線という問題が解決していない地域を含む北海道の知事として、大変評価をさせていただくところでございます。
使用する機材はそれほど大きくなく、70人程度の機材で、ロシア側の航空会社が運航するようであります。あまり多くの方が乗れる状況ではないようでありますが、この墓参に私どもから担当の辻副知事が参加させていただくということを考えているところでございます。
そして、外務省から明確に発表されているのか私もまだ確認をしておりませんが、今回は1回目でありますが、できれば複数回にわたって、来年以降もこのことを続けていけるようになることが必要かなと、こんなふうに思っております。
(北海道新聞)
本日、午前中に道庁で、東京オリンピック・パラリンピックに向けて道産食材を供給しようということで、ホクレンや道漁連などと協議会が立ち上がったと思うのですが、供給に向けて、どのような点を期待されるか、また、課題など知事の受け止めをお聞かせいただければと思います。
(知事)
2020年東京オリンピック・パラリンピックに世界からいらっしゃるアスリートの方々に北海道の食をアピールするという方針は、以前から私ども関係者で議論を深めていたところであります。そういう中で、GAP(農業生産工程管理)を取得しなければ、そもそも採用するかしないかの議論の外になってしまうということが分かりましたので、今年度は予算化をしておりますが、生産者の方々にもご協力をいただいて、北海道の食材について、GAPの取得ということに取り組んでいかなければならない、こんなふうに思っているところであります。これはベーシックな条件でありまして、あとは、GAPを取得した各地域間の競争になります。今、北海道の食は国内外で大変人気が高まっているという追い風もございますので、関係者が心を合わせて、売り込みをしていきたいと考えております。
このことは、国や大会組織委員会など、公の組織への売り込みが当然重要でありますが、食材調達というのは結局、民間の方々に委託されると思いますので、公のところに売込みをするだけではなく、民間で受託するようなところにも、積極的に売り込んでいく、これはわれわれ道も行いますけれども、協議会のメンバーであります民間の方々にもご協力をいただいて、どんどん売り込みをしていきたい、そんなふうに思っております。
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