知事定例記者会見
- 日時/令和2年1月16日(木) 14:30~14:59
- 場所/記者会見室
- 記者数/29名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 民間企業におけるウポポイ(民族共生象徴空間)PRの取り組みについて
- 令和元年度の「北方領土の日」特別啓発期間の取り組みについて
- ベトナム訪問について
記者からの質問
- 底はえ縄漁船の連行について(1)
- 底はえ縄漁船の連行について(2)
- 麻生副総理の「一つの民族」発言について(1)
- 日米共同訓練におけるオスプレイの参加について
- IR(統合型リゾート)について(1)
- IR(統合型リゾート)について(2)
- 小泉環境大臣の育児休業取得について
- 麻生副総理の「一つの民族」発言について(2)
知事からの話題
民間企業におけるウポポイ(民族共生象徴空間)PRの取り組みについて
私から3点、お話をさせていただきます。
まず1点目でございますけれども、4月24日、白老町に開設されますウポポイの一般公開まで100日を切って99日ということでございます。道では、民間企業や関係団体等で構成いたします官民応援ネットワークの皆さま方のご協力をいただきながら、機運醸成の取り組みを進めておりまして、今回も新たな取り組みについて皆さまにご紹介させていただきたいと思っております。皆さまに資料を配らせていただいております。
まず、JR北海道ホテルズでございますけれども、1月14日火曜日から4月26日日曜日まで、JRタワーホテル日航札幌1階ロビーの「タワーズギャラリー」におきまして、布アーティストの川村則子氏のアイヌ文様作品を展示中ということが、まず1点目でございます。
次にNEXCO東日本でございますけれども、1月1日水曜日から、道央道輪厚パーキングエリアの上り線に、アイヌ工芸品コーナーを開設していただきまして、北海道アイヌ協会を通じ募集いたしました優秀工芸師によりますアクセサリーなどを販売していただいております。
次に、佐川急便でございますけれども、梱包用のダンボールにウポポイの応援ロゴを表示し、PRしていただいております。
最後になりますが、マーケットイノベーションでございますけれども、同社の香味オイル「The旨味香油」の容器にウポポイロゴを表示していただき、どさんこプラザなどで販売中ということでございます。
今後とも官民一体となったウポポイのPRを加速させていきたいと考えています。マスコミの皆さまにもご協力を引き続きお願い申し上げます。
これが1点目でございます。
令和元年度の「北方領土の日」特別啓発期間の取り組みについて
2点目でございますけれども、2月7日の「北方領土の日」を中心とする1カ月間は、「北方領土の日」特別啓発期間でございます。1月21日火曜日から2月20日木曜日までになります。日ロ間において領土問題の解決、平和条約締結に向けた外交交渉が進められている中におきまして、道としても一層の世論喚起に向け、道内各地でさまざまな取り組みを実施してまいります。
主な取り組みといたしまして、さっぽろ雪まつり会場では署名活動を行いますほか、2月7日の北方領土の日には、北方領土問題への理解と関心を高めていただくため、「北方領土フェスティバル」を開催いたします。なお、2月7日には北方領土隣接地域でございます根室管内での住民大会や各振興局でのパネル展、街頭啓発など、全道一斉の啓発活動により領土問題をアピールさせていただきます。
また、2月1日土曜日には中高生による「北方領土早期返還祈念合唱コンサート」や、2月1日土曜日から2日日曜日にかけまして、北方領土サポーターにご登録いただいた中高生を対象としたネットワーク会議を開催するなど、返還要求運動を担う後継者育成にも力を入れて取り組んでまいります。
毎年「北方領土の日」をPRするポスターのデザインを募集して作成しているところでございますけれども、今年のポスターは皆さまから見て左手のこちらになります。北方領土イメージキャラクターの「エリカちゃん」も、精力的に活動してまいりますので、皆さまの取材そして報道をぜひお願い申し上げます。
ベトナム訪問について
最後、3点目でございますけれども、ベトナム訪問についてです。1月12日日曜日から15日水曜日までの間、ベトナムを訪問させていただきました。今回の訪問でございますけれども、経済発展著しいベトナムと北海道との観光、経済、人材交流をさらに加速させることを目的として訪問しました。
まず、観光分野では、ベトナム観光総局との間で「観光振興に関する協力の覚書」を締結いたしました。今後、観光プロモーションや情報発信、直行便就航に向けた働き掛けについて、相互に協力して取り組んでいくことを確認することができました。
また、ベトジェットエアやベトナム航空を訪問し、直行便就航に向けたトップセールスを行いました。先方からは、航空路線の開設に向けた前向きなお話もあったところであります。
また、経済分野では、2017年に「経済交流に関する覚書」を締結したベトナム計画投資省のズン大臣と会談を行いました。ズン大臣からは、これまでの協力関係を評価するとともに、さらなる投資、貿易や直行便開設などについて、積極的な反応がございました。
人材交流分野では、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省のタイン副大臣と会談を行いまして、ベトナムから北海道への人材の送り出し及び受け入れについて、連携・協力した取り組みを促進するため、私から覚書の締結について、副大臣に提案をさせていただきました。タイン副大臣からはご賛同いただき、スピード感を持って取り組みたいとの発言がございましたので、でき得る限り早期に締結できるよう、しっかり取り組みを進めてまいりたいと思います。
今回の訪問により、観光や人材に関する交流の拡大や、直行便の就航に向けた手応えを得たところでございまして、今回の訪問の成果を最大限活かしながら、スピード感を持ってしっかりと取り組みを進めてまいります。
私からの話題は以上でございます。
記者からの質問
(北海道新聞)
北方四島沖合で操業中の漁船が、昨日ロシア当局の臨検を受けて、国後島に連行された件で、現在把握されている事実関係と今後の対応をお聞かせください。
(知事)
漁船の連行事案についてでございますけれども、1月15日の水曜日に地先沖合漁業協定に基づく底はえ縄漁船「第六十八翔洋丸」がロシア側によります臨検を受けた後に、詳細な検査を受けるために国後島の古釜布港に連行されたと、所属する歯舞漁協からお聞きしております。漁船には船長を含めまして6名が乗船しておりまして、連行当時、乗組員に体調の悪い方はいなかったとのことでございます。
どのような違反内容で連行されたかなどについては、現在事実関係を確認中でございます。
(北海道新聞)
昨年12月にも、たこから釣り縄漁の漁船が連行されまして、同様の事例が相次いでいるわけですけれど、その点について知事はどのように受け止められているでしょうか。
(知事)
昨年末の出来事と今回の事案を同一の内容とすることはできないのではないかと思っているところでございますけれども、いずれにしても、現在事実関係を確認中でございますので、まず事実関係をしっかり確認をしていくことと、できるだけ早期に帰港できるよう働き掛けをしていきたいと思っています。
(北海道新聞)
その事実関係というところで、一部報道でカレイの加工物の所持をロシア側が問題視して連行したのではというのがほぼ明らかになってきているわけですけれども、それが今年の日ロ漁業委員会でカレイの加工物に関するルールが変わったと。このルール変更というのはどういうものなのでしょうか。
(知事)
まず歯舞漁協から「カレイの頭をカットしたことで指摘をされている模様」との連絡がございましたけれども、現在、この点についても水産庁を通じて事実関係を確認中でございます。
一部その内容の変更についての中身でありますけれども、私のところにその詳細な資料がないわけでございますけれども。
後ほど説明させます。変更があった部分についての、確かに今、「カレイの頭をカットしたことで指摘された模様」の部分については、内容が変わっているところでございます。ただ、そのことが今回の連行の事実関係の中で、報道があるというご質問でございましたけれども、われわれとしてはその事実関係について確認中ということでございます。
(NHK)
今の質問に関連して、事実関係確認中ということではあるのですけれども、ルールが変わって、その中で一部の話としてはそのカレイの頭をカットしたことで連行されているのではという報告もあったと、今、知事もおっしゃいましたけれども、このルールの変更について周知徹底が漁業者の方に対してなされていなかったのではという話もあるわけですけれども、この点に関して、知事の受け止めはいかがでしょうか。
(知事)
事実関係を確認中であるということは申し上げましたけれども、いずれにしてもその協定内容等を順守することは大切なことでございますし、適切に操業が行われるように指導していくということについて、しっかり行っていきたいと思っています。
(NHK)
これまでの指導の内容については、十分だったか不十分であったかという点においては、知事の受け止めはどうでしょうか。
(知事)
指導内容、どの程度実施して、どのような形で皆さまが受け止められているのかということについて、この場で私が申し上げられるような状況ではないわけでございますが、いずれにしてもそういった内容を順守することについて徹底を図っていきたいと思っています。
(朝日新聞)
13日に、麻生太郎財務大臣兼副総理が、福岡で「2000年の長きにわたって一つの民族が続いている」といったような発言をされたとの報道がありました。北海道では、アイヌ民族を先住民族としたアイヌ施策推進法が施行されて、ウポポイが開業まで90日ということで迫っているわけですけれども、地元の知事として、受け止めというか感想をお聞かせ願えればと思います。
(知事)
麻生副総理が13日に開きました国政報告会で、今ご質問にあったような趣旨のご発言をされたと報道等で承知しています。昨年の5月に施行されましたアイヌ施策推進法では、アイヌの人たちが先住民族であるとの認識を示しており、副総理もこの政府の方針を否定する意図はないということで、既に謝罪と訂正をされたと報道されていたのも承知しております。
今ご質問の中にもございましたが、現在、国はもとより道、市町村も含めましてアイヌ施策推進法に基づく各種施策の推進、そしてウポポイが(開業まで)99日という状況でございますけれども、開設を間近に控えまして、さまざまな取り組みを積極的に進めているところでございます。
道としては、今後もアイヌ施策が着実に推進されるように、国や市町村などとも連携して、これまで以上にしっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。
(朝日新聞)
政府の極めて高い地位にいる方が、このような認識の発言を、今回だけではなくて、複数回にわたってされたということについて、国についてはその新法について、新法の1条で、アイヌ施策の責務を負っていると自治体もそうですけれども、条文もある中でこのような発言が出たということで、知事の感想というか、そのあたりの発言への思いというのはどうでしょうか。
(知事)
政府方針を否定する意図はないということと、謝罪と訂正をしているということがありますので、先ほど申し上げましたけれども、これまで以上にしっかり、私は取り組みを進めていきたいと思っていますので、国としても私の思いと同じ思いでしっかり取り組みを進めていただきたいと思っています。
(北海道新聞)
米海兵隊の輸送機オスプレイについてお尋ねいたします。今後、オスプレイが参加する日米共同訓練が来週の22日から始まります。オスプレイを巡っては、事故やトラブルが多くて安全性への懸念が根強く、あと今回厳冬期の訓練は初めてでして、安全性への疑念というのが強まっております。副知事も、安全管理の徹底を北海道防衛局のほうに求められたわけですけれども、道としてあらためて今回の訓練、どのように向き合っていかれるのかお考えをお聞かせください。
(知事)
まず、私としては、本道で実施されるいかなる訓練においても、道民の皆さまの安全・安心が確保されることが何よりも重要だと認識をしています。昨年12月12日木曜日に訓練の概要が公表されたことから、翌週の16日月曜日に関係する9市町の首長と副知事で北海道防衛局の末永局長に対しまして、国による十分な説明のほか、安全管理の徹底や規律の維持などについて万全を期すように要望を行ったところでございます。
オスプレイについてでございますけれども、国において一昨年の12月に機体の安全性を確保しているとの評価がされておりますが、今後とも国の責任において、その安全管理の徹底を図っていただきたいと考えております。
(HBC)
IRの収賄事件に絡みまして、先日14日に加森観光の会長が在宅起訴されました。道内の有名企業のトップが収賄に絡んでいるという疑いでの起訴ということなのですが、受け止めをお願いします。
(知事)
報道内容については、承知しています。加森氏においては、長年にわたりまして本道の観光をけん引されてきた方でございまして、在宅起訴ということでありますので、この点について非常に残念に思っています。いずれにしても、今後の推移について注視してまいりたいと考えております。
(HBC)
IRにつきましては、道が現在、IR事業に挑戦するというお立場で、苫小牧市を優先候補地、留寿都村と釧路市を候補地としていると思います。事件を受けて、留寿都村の候補地につきまして、例えば考え直すですとか、そういった検討はあるのでしょうか。
(知事)
優先候補地は苫小牧市の植苗地区でございます。
(HBC)
留寿都村は、候補地にはまだ入っていると思うのですが。
(知事)
留寿都村への可能性ということだと思うのですが、それで良いですか。
(HBC)
はい。
(知事)
昨年の候補地検討の際に、留寿都村の候補地は、交通アクセスや事業者の関心度などの面で課題があると整理されておりまして、こうした課題が解決されない限りは難しいと考えています。
(HBC)
今回の事件と関係なく難しいというような判断をされているということですね。
(知事)
そうですね。
(時事通信)
IRの汚職の関係ですけれども、今の関連で、留寿都村は今回、風評被害というのが大分懸念されるような声も上がっていると思うのですけれども、この辺というのは、知事はどのようにご覧になっていますか。
(知事)
北海道、留寿都という名前が、今回さまざまなIRの一連の事件での報道で繰り返し流れるということについて、村長をはじめとして、議会の議長や地域の方々から心配の声があるという状況がございます。この点については、やはりそういう思いを皆さん持っていらっしゃると私も受け止めています。
(北海道新聞)
昨日ですが、小泉進次郎環境大臣が、いわゆる育児休業を取得する意向を表明されました。第1子誕生後の3カ月間に合計2週間という形で、働き方を変えながら育児にも協力するという姿勢を示しましたが、小泉氏は、知事の選挙の際にも応援に駆け付けるなど、知事との関係もあると思いますが、今回の小泉大臣の決断についてどんなふうに見られますでしょうか。
(知事)
やはり発信力のある方ですから、男性の育児参加、そういったものの機運の醸成につながる、そういった判断、メッセージになるのではないかと思っています。
(北海道新聞)
一方で、男性の育児休業の取得率というのはまだまだ決して高くない状況にありまして、全国で6.2パーセント、北海道内ですと3.5パーセントという取得率で低迷しております。これを機に機運が醸成されるということですけれども、知事として道内の男性の育児休業の取得率を向上させるために、何か取り組んでいきたいというような思い、また具体的な予定等ありますでしょうか。
(知事)
道庁でも平成30年度の取得率は6.9パーセントという状況でございますので、私はこれはまだ低い状況にあると考えています。
男性の育児参加の部分がやはり非常に取り上げられるわけでございますけれども、男性も女性も育児に参加できる機運や環境を整えていくということがやはり大事ですから、ある意味で男性が育児参加の割合が低いから報道されるのですけれども、どういった方であっても育児に参加しやすい環境を作っていくということが何より大事ですので、確かに男性、女性ということでその取得率に大きく差が出ているので注目を集めますけれども、そういった視点でやはりしっかり取り組んでいくことが大事だと思っています。まず一つはその取得率が低いという認識の中で、男性、女性問わず、全ての方が育児に参加しやすい環境づくりに向けて取り組んでいきたいと思っています。
(北海道新聞)
知事も触れられました男性の道職員の育児休業の取得率が6.9パーセントと、道内の一般平均よりは少し高い状況にありますけれども、民間も含めて北海道全体を引き上げていくためには、この北海道庁の職員の男性職員の取得率を上げていく、まさにこう旗振り役になっていくべきかと思いますけれども、知事の足元の道職員の男性の育児休業を広めるために、何か考えられることはありますでしょうか。
(知事)
制度としてはあるのですが、取得率が低いわけです。目標が今、10パーセントなのです。その目標も下回ってますから、しっかり目標を達成するために具体的に何ができるのかというのは、いわゆるトップダウンも大事ですけれども、今回の小泉大臣が発信することによって、その取得のあり方なども、みんなが少なくとも考えますよね。自分の職場に置き換えて、そういった影響というのがあるのですが、一方で実際に取得はしたかったけれども取得できなかった、そういった方がいらっしゃるからこそ数字が伸びていない部分がありますから、そういった皆さんの声をしっかりと丁寧に聞いて、目標を達成できる内容にするために取り組んでいきたいと思っています。
(朝日新聞)
先ほどの麻生大臣のアイヌの関係の発言についてなのですけれども、現時点では道として抗議とか、あるいは申し入れとか、そういったアクションは起こす予定はないということでよろしいでしょうか。
(知事)
そのご発言について、これは当然のことですけれども、政府方針を否定する意図はないということと、謝罪と訂正をしているわけですから、われわれ、国もそうですが、やらなければならないことというのは、アイヌ施策を着実に推進していけるようにしっかり取り組んでいくことだと思いますので、今回のご発言もそうですけれども、アイヌ施策を今まで以上に取り組みを進めていく、そういったことにエネルギーをしっかり割いていきたいと思います。
(朝日新聞)
麻生大臣、謝罪されたということですけれども、ただ、こういうふうな発言が度々繰り返されている状況というのは、まだまだアイヌ民族に対する理解というのが全国的に進んでいないのかなということの証左であると思うのですけれども、こういったなかなか理解が進んでいないという現状に対しては、知事としてはどういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
やはり法律に基づいて各種施策が推進される状況になっているわけでありますけれども、(法律が)昨年の5月に施行された状況の中で、まだ、しっかりと全国隅々まで施策推進に当たっての考え方や取り組み内容が伝わっていないということは、ご指摘はあるのではないかと思っています。ウポポイもアイヌ文化発信の拠点ですけれども、道内の認知度は一定程度伸びてきていますが、全国的にはやはりまだ低い状況もありますので、そういった状況を真摯(しんし)に受け止めて、国とわれわれ道ももちろんそうですし、市町村、関係団体としっかりと施策を進めていく、このことがやはり大事だと思いますので、そういった危機感についてしっかり認識して、進めていくということが大事だと考えています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)