知事定例記者会見
- 日時/令和2年3月25日(水) 18:40~19:39
- 場所/記者会見室
- 記者数/30名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 新型コロナウイルスに関する対応について
- 令和2年第1回定例会の開会にあたって
記者からの質問
- 東京オリンピックの延期について(1)
- 東京オリンピックの延期について(2)
- 新型コロナウイルスに関する対応について(1)
- 東京オリンピックの延期について(3)
- キタデミー賞について
- 道議会の喫煙所について
- 受動喫煙防止条例の制定について
- 新型コロナウイルスに関する対応について(2)
- 令和2年第1回定例会の閉会について
- 新型コロナウイルスに関する対応について(3)
- 新型コロナウイルスに関する対応について(4)
- 新型コロナウイルスに関する対応について(5)
- 新型コロナウイルスに関する対応について(6)
知事からの話題
新型コロナウイルスに関する対応について
私から2点、お話をさせていただきます。
1点目は新型コロナウイルスに関する対応についてであります。昨夜、道内において新型コロナウイルスに関連した感染症患者の死亡が確認されました。お亡くなりになった方に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方に心からお悔やみを申し上げます。なお、詳細につきましては、この後ブリーフィングを行いますので、その時にご説明させていただきたいと思います。
現在の道内の患者の発生動向について、ご説明させていただきたいと思います。お手元に配付させていただきました資料1をご覧ください。患者等の発生状況でございます。本日までの検査件数については1888名になっているところでございます。そのうち陽性となった方は167名でございます。お亡くなりになった方につきましては、昨夜お亡くなりになった方も含めまして7名という状況でございます。体調が回復し2回の検査で陰性が確認された方、退院(された方)も含まれているわけでございますけれども、資料1をご覧いただきますと陰性確認済累計の105名ということで、100人を超えるという状況になりました。現在、入院されている方につきましては55名、50人台まで減少しております。
2月28日から実施してまいりました緊急事態宣言については、今月19日をもって予定どおり終了したところでございます。この宣言をきっかけといたしまして、道民の皆さま方の行動スタイルを変えるきっかけとして有効に機能したものと考えております。道民の皆さまや事業者の方々には、危機意識を共有していただきまして大変ご苦労をお掛けする中で、最大限のご協力をいただきましたことにあらためて深く感謝申し上げたいと思います。
国の(新型コロナウイルス感染症対策)専門家会議から、今後の対応については、地域の感染状況別にバランスを取って必要な対応を行っていくことが必要であるとされておりまして、具体的には、感染状況が拡大傾向にある地域、感染状況が終息に向かい始めている地域ならびに一定程度に収まってきている地域、感染状況が確認されていない地域に分けた対応を行うことが提言されておりますが、現状北海道については、二つ目の感染状況が終息に向かい始めている地域ならびに一定程度に収まってきている地域に該当しているものと考えているところであります。
一方、道内の感染状況を見ますと、明確に終息に向かっているとは言えない状況であります。世界的にも感染症の拡大が続いております。ここで皆さまとあらためて共有したいわけでございますが、発生当初は、感染源であった中国の武漢市や湖北省への渡航歴がある方について、熱心に注意喚起が行われていたことは皆さんの記憶にあるかと思いますけれども、今や世界のさまざまな国で同様の状況が発生しているわけでありまして、現に全国的に見ても、さまざまな国からの帰国者の方の感染例が確認されているという状況が続いています。引き続き高い危機意識を持って、この流行に対峙(たいじ)していかなければならない状況であることを皆さまにお知らせしたいと思います。感染拡大防止に向けた取り組みをしっかりとこれからも進めていく必要がございます。
一方、感染拡大防止への取り組みが広がり、事業活動を縮小せざるを得ない事業者の方が存在するなど、社会経済活動に影響が出てきている中において、感染拡大防止の取り組みを行いつつ、社会経済活動への影響を最小限にしていく取り組みも必要でございます。こうした視点に立って、私といたしましては、道民や事業者の皆さまが一丸となって、新型コロナウイルス感染症の危機克服に向け戦っていく新たなステージに移行する旨の呼び掛けを行ったところでございます。
これによりまして、道民の皆さま方や事業者の方々と共に、道民一丸となって、北海道の総力を挙げてこの難局に立ち向かい乗り越えていきたいと考えております。こうした中、このたび、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策を取りまとめたところでございまして、そのポイントについてご説明させていただきたいと思います。
まず、資料2の1枚目上段でございますけれども、今回の緊急対策に係る補正予算につきましては、今年度予算の補正と来年度予算の補正を合わせて277億円となるものでございます。さらに予備費、既決予算対応のものや融資枠も含めた対策規模といたしましては842億円となるものでございます。
次に対策の内容については、大きく二つの柱で構成させていただいております。1番目の柱については、感染拡大の防止と医療提供体制の強化でありますが、新型コロナウイルス感染症の早期終息に向け、できることは全てやるという考えの下、国の緊急対応策も踏まえ、感染拡大防止や医療提供体制の確保に向け、検査体制の整備等、医療提供体制の強化などの四つの項目を盛り込んだところでございます。
2枚目をご覧いただきたいと思いますけれども、2番目の柱は、道内経済や道民生活への影響の緩和でございます。新型コロナウイルス感染症が道内経済や道民生活に大きな影響を与える中において、事業の継続と雇用の維持に全力で取り組みますとともに、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を目指して、中小、小規模事業者の皆さまの事業継続、雇用の維持や、感染リスクを低減しつつ経済活動を行う取り組みの支援など五つの項目を盛り込んだところでございます。こうした緊急対策に必要となる補正予算案については、本日の道議会に提案させていただきまして、議決いただいたところでございます。この難局を乗り越えるべく、全道が一丸となって総力を結集し、スピード感を持って対策を実行に移していきたいと考えております。
最後に、感染拡大防止の取り組みを進めるとともに、社会経済活動を支援していく観点から何点かお願いがございます。先にも述べましたが、海外では感染拡大が深刻化している地域があり、帰国者からの感染も確認される中で、感染拡大防止を進める観点から、海外出張や留学等から帰国された道民の方につきましては、帰国後2週間はできるだけ人との接触を控えていただきますとともに、体調管理を行った上で、体調不良の場合には、帰国者・接触者相談センターにご相談いただきたいと思います。
また、事業者の皆さまにおかれましては、多様な働き方により、働く方も含めた感染予防に努めていただきますとともに、4月以降、入社式や来年度卒業予定者等を対象とした企業説明会などについて、換気が悪く、多くの人が密集し、近距離での会話や発声が行われるという三つの条件が同時に重なった場を避けるための取り組みを徹底していただきますようお願いを申し上げます。
私からはこちらが1点目でございます。
令和2年第1回定例会の閉会にあたって
2点目でございます。2月27日から始まった第1回定例会が、本日で終了いたしました。このたびの定例会においては、新型コロナウイルス感染症への対応などもございまして、審議日程が大きく変更となりました。そうした中にあって、新型コロナウイルス感染症対策や、道内経済への影響と企業への支援、JRなど交通ネットワーク問題への対応や、第2期北海道創生総合戦略の展開、不適切な事務執行問題への対応など、道政課題について議員の皆さまと議論させていただきました。
そのほか、総額2兆8201億円の一般会計当初予算案や、本日提案いたしました、先ほどご説明させていただいた新型コロナウイルスに関する緊急対策のための総額277億円の補正予算案、そして北海道受動喫煙防止条例案など、65件の条例案についても可決いただいたところでございます。
このたびの議会での議論を踏まえまして、今後とも道政の推進に全力で取り組んでまいる考えであります。
私からの話題は以上でございます。
記者からの質問
(北海道新聞)
私からは、昨夜の五輪の延期について何点かお伺いいたします。1点目は新年度の関連予算の執行のあり方についてで、延期の影響でいつまでにどのように予算を組み直すかということです。予算については、例えば機運醸成ですとか、おもてなしなどの事業は、令和2年度でできると思いますし、一方で警備費とかは開催年度に回しても良いのかなというふうにも思うのですが、そこら辺の整理の仕方というのはどのように認識されていますでしょうか。
(知事)
延期について決定したわけでございますけれども、延期後の開催時期ですとか、開催内容等が明らかになっていません。ですから、この点についてはIOC(国際オリンピック委員会)や組織委員会、そして東京都、国などにおいて、できるだけ早くその内容について決定していただきたいと、まず思っています。そして東京オリパラ関連事業についての執行の時期や執行内容については、当然のことながら、これはいま一度再検討するように庁内に指示をすでにしているところでございます。いずれにしても、大会日程等を踏まえた適切な執行となるように執行時期等について見極めるとともに、大会組織委員会や札幌市などとも連携して、大会の成功に向けて必要な準備をしっかり進めていきたいと思っています。
(北海道新聞)
関連してもう1点なのですが、道庁のほうでも敷地内の赤れんが庁舎も観戦スポットなどとして活用される予定だったと思うのですが、当初は今年の五輪開催を前提に改修工事の延長を予定されていたと思うのですが、今回の五輪の延期によって、例えば今年中に工事を終わらせるとか、そういった工期の変更についても何か想定していることはありますでしょうか。
(知事)
赤れんが庁舎については、改修工事を1年延長して、まさにコースの中の象徴的な建物になりますので、一般開放して、アイヌ文化、観光などさまざまな情報の発信などをやっていこうということで想定したのですけれども、昨日の時点で、遅くても来年の夏までの延期ということが決定されましたので、今、(工期を)1回、1年延期した上で、さらにオリンピックそのものが延長することが決定しましたので、これは改修工事の受注事業者と協議をするなどして、工事のスケジュール調整の可能性などについて、まずは精査していきたいと思っています。今の時点で、こうしますということは申し上げることは叶わないのですが、当然予定が変わるわけですから、しっかり精査していきたいと考えています。
(読売新聞)
五輪の聖火リレーの関係なのですけれども、道の実行委員会のほうではコース選定であったり、あとスポンサー枠以外の46名の走者を、もうすでに発表されているかと思います。昨日の組織委員会の会見では、現在の姿を尊重すべきだというような考えが示されていますけれども、知事としても基本的には変わらないというような考えでしょうか。
(知事)
組織委員会の記者会見の中でも、そういった皆さんが楽しみにされている中で、配慮に言及する言葉がありました。当然、皆さま大変楽しみにされてきたわけでありまして、その残念な思いを組織委員会に受け止めていただいた上で、対応についてご検討いただければ大変ありがたいと思っています。
(読売新聞)
道が決めているコースであったり、走者であったりという部分については、基本的には尊重するというか、今の形のままでというようにお考えですか。
(知事)
新たな聖火リレーの日程などが、当然のことですけれどもまだ決まっていないわけでありまして、そういったことも踏まえて、しっかり皆さんの思いをどう実現するかという観点から考えていくことになると思います。
(朝日新聞)
毎年5月から始まっている北方領土のビザなし交流事業の件なのですけれども、代表者間協議はまだ開かれていないという情報もありまして、一方でロシアのほうも感染拡大防止の観点から、外国人の流入に原則禁止のような通達も出しているというような情報もありまして、現在の進行状況というか、知事の認識と今後の見通しについて、言える範囲でお願いします。
(知事)
今ご質問にありましたけれども、新型コロナウイルスの感染拡大防止ということを目的として、ロシア連邦政府が3月18日から5月1日までについては、外国人の入国を制限するということで対応されていると承知しています。今お話のあった、北方四島との交流等事業の部分でございますけれども、実施計画案について四島側の代表者と協議する代表者間協議が、本年の3月12日にユジノサハリンスク市で開催予定だったのですが、四島側の実施団体から、対面での協議を中止して、必要な調整は文書のやりとりで行いたいという連絡を受けまして、書面によることとして現在継続して協議しているという状況です。 われわれとしては、高齢化しております元島民のための北方墓参を含む交流等事業は、極めて重要な事業であると認識しておりまして、引き続き関係団体や国と連携しながら、その実施計画の合意や実施に向けた調整に努めていきたいと考えています。
(朝日新聞)
92年に始まって以来、まだ一度も年間を通して中止というのはなかったと思うのですけれども、これいつごろまでにやる、やらないを判断するという形になるのでしょうか。
(知事)
そこが今、見通せていないのですけれども、やはり早期に結論を得なければならないと思っていますので、関係団体や国とそういった思いを持った上で、しっかり調整して、協議が終了した段階で皆さんにお知らせしていきたいと思っています。
(北海道新聞)
先ほどのオリンピックの延期の関係で、知事、新年度予算の発表の際に、北海道のロードマップを提示されましたが、その中でもオリンピックの存在というのは中心的な存在だったのかなと思うのですけれども、このロードマップへの影響についてはどのようにお考えになりますでしょうか。
(知事)
予定していた時期が延期されるわけですから、当然それに応じてロードマップについての見直しも必要になってくると思います。いずれにしても、開催時期だとか、そういったものが早く決まることによって、準備もしっかりできるというところがあるかと思いますので、その点についてぜひIOC、組織委員会、東京都などでスケジュールを早く決定していただきたいという思いがございます。
(北海道新聞)
今年度予算では、オリンピック関連経費以外で、海外プロモーションですとか、このコロナの影響によって、予定どおり実施できるかどうか懸念される予算というのが結構計上されていると思うのですけれども、これらへの対応については指示とかはされていらっしゃるのでしょうか。
(知事)
これはオリンピックの関係ももちろんですけれども、新型コロナウイルス感染症が、日本国内のみならず世界全体の課題として大きな影響を与えているわけであります。ですから、そのことを受けて、当初予定していなかった状況が起きていることについて、各部局においてその対策等を検討するように、今指示しているところでございます。
(北海道新聞)
話題がちょっと変わりまして、キタデミー賞問題についてお伺いいたします。今日、調停案の関連議案について可決されたわけですけれども、審議の過程で、予算特別委員会でしたけれども、知事は、責任を感じて心からおわびするというふうに陳謝されました。この問題が表面化したのは1月下旬ごろだったと思うのですけれども、2カ月ほどたったこの段階になって陳謝された理由と、あと知事の責任というのはどういったものなのでしょうか。そこをお聞かせください。
(知事)
まずはこの間、事実関係を解明して、報告書として取りまとめ、議会においても議論をいただく中で、さらにその報告書も最終的に精査し、議会での議論も反映をさせた形で取りまとめたところであります。そういった一連のキタデミー賞の問題について、最終的な取りまとめが行われた中で、私としては道民の皆さまの信頼を失うことになった、そのことに対しておわびを申し上げたところです。
(北海道新聞)
その報告書、私も読みましたけれども、例えば、前知事の関与の部分ですとか、あと虚偽の契約書を作成された経緯など、ちょっと不透明、不明点が多いなという印象を持っていたわけですけれども、昨日、担当部長が常任委員会のほうで議論された際には、第三者による検証を行わないというふうにおっしゃっていたわけなのですが、今後この問題への検証というのは、いったんは区切って、これ以上はないという、これで十分だという認識なのでしょうか。
(知事)
報告書については、最終の報告書として取りまとめをさせていただいたところでございます。
(北海道新聞)
道議会新庁舎の喫煙所設置問題についてお聞きします。本日、議長と各会派の代表が集まって、設置の是非について協議しましたけれども、今日も意見がまとまらず、当初目指していた1定(第1回定例会)での結論を得るというのは叶いませんでした。それでまずその受け止めをお聞きしたいのと、あとちょっと以前にも聞いたのですけれども、知事がその設置を最終判断する際、知事は「私の基本的な考え方の中で判断する」と以前おっしゃっていましたけれども、もし仮に全会派が一致して議会の総意として設置するというふうに決めた場合、知事の考えというのをやっぱり尊重されるのか、それとも議会の総意というのを尊重されるのかというのを、あらためて教えていただければと思います。
(知事)
まず議会において、本日そのような話し合いが喫煙所設置に関して行われたという状況を私は把握しておりませんので、どういうやりとりが行われたかについても分かりません。ただ、繰り返し申し上げていますけれども、この問題について道民の皆さんも大変関心を持たれていますし、新議会庁舎の喫煙専用室をどうするかということについては、しっかり議会において議論を深めていただいて、答えを出していただきたいということで繰り返し言ってきましたので、そこに尽きるかなと思っています。
仮定のお話で仮にこうだったらどうだという話については、お答えを差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても今のさまざまな情勢がある中で、道民の皆さまが大変注目を集めている中において、議会においてしっかり議論を深めていただいて、答えを出していただくということに尽きると思います。
(北海道新聞)
受動喫煙防止条例について、お尋ねいたします。この条例策定を巡っては、当初は議員提案で制定を目指すとしていたのが、議論が頓挫するなど紆余(うよ)曲折があったわけですけれども、本日の道議会本会議で可決されました。まずは、その条例ができたことへの受け止めをお聞かせいただきたいと思います。
(知事)
受動喫煙防止条例についてご理解いただきました。この条例が目指す受動喫煙ゼロの実現に向けては、道はもちろんですけれども、道民の皆さま、事業者の皆さま、関係団体の皆さまに、受動喫煙のない社会づくりの大切さをご理解いただいて、それぞれの責務の下で、道民運動として協働して取り組んでいくことが重要であると認識しております。条例制定において、今後、受動喫煙防止対策推進プランを策定して、目指すべき目標や実効性ある施策など、しっかりと掲げながら、道民の皆さまの一層の健康増進に向けて、オール北海道で推進してまいりたいと考えております。
(北海道新聞)
この条例に関しては、医療関係者などからは法律を上回る道独自の規制がないとか、罰則がないですとか、そういった内容について甘すぎるという指摘があったりもします。この、今知事がおっしゃったような対策を講じる上で、実効性をいかに持たせていくかということについてはどのようにお考えになっているか教えてください。
(知事)
条例が制定されることによって、具体的に、先ほど申し上げた受動喫煙防止対策推進プランを策定しますので、目標を実効性あるものにしていかなければ当然ならないわけです。受動喫煙ゼロという目標は非常に高い目標として掲げるわけでありますので、そういったものを、まず道民の皆さま、関係する方々に理解していただいて、そしてそういう機運をしっかり盛り上げて、より実効性あるものにしていくということがまずは大事だろうと思いますので、この条例制定を契機としてそういう意識をしっかり醸成していく取り組みを着実に進めていきたいと思っています。
(北海道新聞)
もう1点、話題が変わるのですけれども、新型コロナウイルスへの対応として、昨日の(北海道感染症危機管理)対策本部会議で、休館中の道立の施設ですとか、道主催のイベントについては4月以降の再開に向けて、再開ができるように、具体的に対策を検討するように知事から指示があったと思いますが、これは具体的にどのような対策が講じられれば再開できるというふうにするのか、また再開することによって感染が拡大してしまうようなリスクもあると思うのですけれども、そこの兼ね合いをどうするのかというところの考えをお聞かせください。
(知事)
まさに、そこをみんなで考えていこうということを指示したわけです。新しいステージにみんなで移行しようということで、感染拡大防止と社会経済活動をしっかり両立させていくためには、やはりどうやってその三つの条件をクリアしていくかとか、それぞれの施設においても対策も異なりますし、それぞれの部局においてどうやれば再開できるのだろうということを考えた上で、例えば、感染リスク対策の徹底という観点から、どうしても難しいという場合には、なかなか再開できないということにもなると思いますし、また再開するに当たっても、例えば、スペースを100パーセントで再びオープンしたいのだけれども、残念ながら感染対策を徹底すると30パーセントぐらいの空間でしか再開できなさそうだ。では、そのときに再開するのか、それともしないのかなど、いろんなことを道の中でしっかり考えることによって、いろんなアイデアも出てくると思いますし、また民間の方々にも参考になるような形にもなってくるかと思いますので、そういった意味でちょっと時間も限られていますけれども、みんなで考えようということで指示したと理解していただきたいと思います。
(朝日新聞)
まず、本日閉会しました定例会についてなのですけれども、鈴木知事にとって初めての当初予算の編成という一方で、新型コロナウイルスの感染拡大防止対応ということで、非常に難しいかじ取りであったかと思うのですけれども、本日閉会した率直な感想をお聞かせください。
(知事)
まず議会運営にあっては、議会側に大変な配慮をいただきまして、新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みがまさに大変重要な局面の中で、日程の配慮などもいただきました。そのことによって、そういった感染拡大防止に向けた取り組みについて集中することが議会会期中でもできたと思いますし、また議論においても当初予算のみならず、最終補正予算、そして次年度予算における補正など、そういう意味では通常ではない対応になったわけでありますけれども、本日、多くの理解をいただいた中で議決いただいたということに心から感謝申し上げたいと思います。議会議論の中でもございましたけれども、(新型コロナウイルスの)対策の予算が通っただけでは意味がないと、それをしっかり必要としている方にご利用いただかなければならないということを、議員の皆さまからもご指摘いただいているわけでありまして、その議論も踏まえて必要な方々にそのサービスを適切にお届けできるように、しっかり取り組みを進めていきたいと思っています。
(朝日新聞)
それから新型コロナウイルスの対応について伺いたいと思います。3月19日の夜に政府の専門家会議が記者会見されまして、その中で北海道の感染拡大防止策について、一定の効果があったというふうな言及がありました。北海道のこのやり方が他の自治体でも有効ではないかというふうな言及もありまして、非常に高い評価を得ていたというふうに思うのですけれども、まず、このことについて知事のご所感を伺いたいと思います。
(知事)
これは、緊急事態の宣言をいたしまして、また小中(学校)の一斉休校ということで国に先んじて実施した中で、道民の皆さま、事業者の皆さまをはじめ、医療従事者の方、大変多くの方々がまさに懸命にその期間中に取り組みを進めていただいたことによって、爆発的な感染拡大やそれに伴う医療崩壊ということを避けることができた。このことはまさに道民の底力というか力でありまして、そのことに心から、あらためて皆さんに感謝を申し上げたいと思います。そのように受け止めています。
(朝日新聞)
今おっしゃった、国に先んじての学校の一斉休校の要請とか、緊急事態宣言の発出とか、北海道独自の感染拡大防止策ということで、いずれも国に先んじて、先手を打って対応されていまして、それが逆に言えば、政府の後手後手感というものを際立たせた面もあるのかなというふうに思うのですけれども、このことについてまず知事のご所感を伺いたいと思います。
(知事)
この記者会見の場でも申し上げましたけれども、政府としての対応策というのは、オールジャパンで、日本全体に対してどういった対策を取っていくかということをどうしても考えていくことになるかと思います。今は東京がかなり患者が増えていますけれども、一方であの当時は、北海道が非常に感染者の数が多い中で、国としてのさまざまな日本全体に対する取り組みと、われわれの危機意識や対策の必要性というスピードは違ったと思っていまして、そういった意味では、結果として先んじる形にはなりましたけれども、一手一手が必要だという状況に北海道があったということによって、結果としてそういう状況になったと受け止めています。
(朝日新聞)
確認なのですけれども、これらの北海道独自の防止策というのは、これもあくまで北海道庁サイドとして打ち出したものであるということでよろしいでしょうか。つまり事前に、例えば首相官邸周辺との調整とか、そういうものがあったのかどうかという、そこの確認なのですけれども。
(知事)
そうやって細かく地域ごとに政府が助言してくれるようなことがあれば、こんなに混乱していないのではないですか。ただ、一斉休校だとか緊急事態を宣言する、その取り組みをするということを決定した後に、この場でもお話ししましたけれども、例えば文部科学大臣ですとか、厚生労働大臣に対しては、小中一斉の休業、休校を北海道としては取り組ませていただきますということについて、決定した後に報告しています。
また、緊急事態を宣言した中で、その方針を決定した後には、担当大臣でありました加藤厚生労働大臣に対しても、われわれとしてはこういった対策を打っていきますということについて報告し、そして全面的に政府としても力を貸してくださいということについてお願いもしています。
(朝日新聞)
最後に1点お願いします。一連の新型コロナウイルス対応に関連してなのですけれども、当初まだ、北海道内で患者の発生数が1桁台のころは、例えば、感染者の情報を小出しにしたり、あとは市町村との連携がなかなかうまくいっていないというような、多少ちぐはぐした対応があったかと思うのですが、それが患者が急増した2月22日以降辺りだと思うのですけれども、その辺りから厚労省に専門家の派遣を要請されたりだとか、それから、先ほど言ったような一斉休校の要請とか、緊急事態宣言の発出とか、非常に知事としてはリーダーシップが際立って発揮されてきたのかなというふうに思うのですけれども、この間、知事の中で心境の変化というか、このような行動の変化ということを根拠付けるような心境の変化というのが、もしあったのであればお聞かせいただきたいと思います。
(知事)
記者の皆さまには、(患者の)国籍公表の部分で、厚生労働省との認識の違いがあったりだとか、また公表に当たって、振興局単位で、これは今もそうなのですけれども、陽性反応が出た時に、まずはご本人の告知が終わったら一番最初にマスコミの方にお伝えする、その後またブリーフィングで皆さんに説明する、ここのやり方について、そういう意味ではなかなか定着するまで時間がかかった部分もあるかと思っています。そういったところについては、皆さんにさまざまご迷惑をお掛けしましたし、至らない点もあったのかもしれません。私自身の心境の変化というのは、そういった意味では、やはり北海道で患者が連日確認をされるような状況の中で、また一方でこういった状況についての前例がなくて、どのような形で対策を打っていくことが最適な選択なのかというのは、残念ながら誰も答えを持ち合わせていない。今もそうだと思うのですが、その中で、やはりそういう専門家の皆さんの知見がないと駄目だなということで、そういう要請をしたりとか、それがまた、クラスター班ということで、今クラスター対策というのが全国的なメインになっていますけれども、一番最初に北海道で専門家の方々がそういうクラスター対策というのをやってくれた、これがまたそういったものにつながったというのがあると思いますし、北海道でどんどん患者が増えていく中で、多くの方々が本当に協力してくださって、ただそういった前例がない中で、私の仕事というのはある意味決断していくことと、あとはどういった形で道民の皆さんに対してご協力をお願いしていくかとか、どういった形で、どういった言葉で皆さんにそれをお伝えしていくのかとか、そういったことは絶えず心掛けてはおりました。まだまだ終息に向かっているわけではありませんし、ここ最近、先ほどお話ししたように入院の方が55人という状況で、ある意味では急激に、これ(グラフを)見てもらうと、急激に伸びたところがここ(2月26日ごろ)にありましたけれども、今60人を切っているのですね。やっとこの状況に、ある意味で戻ったと捉えても良いのではないかと思うのですね。ですから、そんな楽観視してはいけないとも思っていまして、そういう意味では、引き続き皆さんにご協力いただきたいと思いますし、そういったこれまでの間の取り組みの考え方ということでやってきたというのが率直な私の思いです。
(朝日新聞)
知事、会見で、よく道民の命と健康を守ることを最優先にということをよくおっしゃっていますけれども、それは現時点でも変わらないし、これからも変わらないという、そういった心持ちということでよろしいでしょうか。
(知事)
当然、命と健康を守るということは、何事にも代えがたいものだと私も思っていますし、オリンピックの(延期の)時も申し上げましたけれども、やはり世界全体の感染状況も踏まえて、アスリートの皆さんの健康や命、そういうものを守ろうという観点で、延期という結論を出されたのだと思います。そういったさまざまな課題はありますが、やはり命というものがしっかり守られれば、さまざまな困難というのは、ある意味みんなで力を合わせて乗り越えることができると私は思っています。
ただ一方で、ある程度、その新型コロナウイルスの性質だとか、われわれ自身が注意しなければならないこと、また、ウイルス側からすればウィークポイントなのだと思いますが、そういうものも見えてきたので、社会経済活動も両立する、非常に難しいのですが、そういうことに取り組んでいかなければならないという思いではいます。
(NHK)
今、東京都がかなり感染者が増えていて、累計の感染者数が北海道を超えました。今日1日でも40人を超えるような陽性者が新たに確認されているという状況になっています。全国に先駆けてこれまで対応してきた知事から見て、今の東京都の状態というのはどのように映っていらっしゃるかというのが一つと、それから知事が取られたような不要不急の外出を控えるよう要請するというような対応、今後、東京都がこういった対応、必要性をどのように考えるか教えてください。
(知事)
東京都の状況について、正確な情報を今持ち合わせておりませんが、今日40人以上の(陽性の)方が出たということについて(報道は承知しているが、詳しい)内容は掌握していません。ここ数日、2日間、10数名の人数が確認されているという状況と、また海外からの帰国者や、また明確なリンクが追えない、いわゆる孤発というか初発の方が多いということを考えると、これは一概に同じこととは言えません。ただ、われわれとしては、10人単位の方が連続して発生したときに、以前お話ししましたけれども、(患者が)急増する傾向をたどる可能性があるというのが、専門家の皆さんとディスカッションした時に指摘がありました。今でこそ、各県に対して専門家チームのほうから、例えば大阪府や兵庫県に対して、(検査人数や陽性人数などの)数字も示して情報提供するということをやられていますけれども、私たちが判断した時というのは、本当にざっくりした話でしかなくて、人数がどれぐらい増えるかということもなく、できるだけ人と人との接触を避けたほうが良いですよというぐらいの話でしかなかったのですよ。ですから、その時と比べるとより分析できるようになっていると思いますので、どういう対策を取るかということについて、より具体的に考えられるような状況になっているのだと思います。
その上で、やはり小池(東京都)知事の下で、都市を封鎖するようなこともカードとして切らざるを得ない事態になるかもしれないと、記者会見でお話しされたと思うのですよね。ですから、そういった意味では、知事のほうからアラートを出しているところだと思うのですね。それが結局、大変な状況になるかもしれませんよということを、住民の方がしっかり受け止めていただいて、自らの行動を変容させるということがすごく大事で、北海道の場合は、本当に道民の皆さんがこれは大変なことだということで協力をしてくれて、実際に行動変容させてくれたからこそ効果があったと思うのですね。ですから、そこら辺が結局東京となると、例えば、埼玉県から通勤されている方とか、神奈川県から通勤をされている方だとか、要は都民ではないのだけれども、近隣からの移動も激しいですよね。ですから、そういう意味での何というか注意喚起の難しさ。例えば、北海道はある意味で島国みたいなものですので、例えば毎日のように青森県から通勤をしているという方はほとんどいないのだと思うのですね。そういう地理的な優位性というのも、ある意味北海道の場合はあったのだと思いますし、何よりも道民の皆さまが実際、行動変容ということでしてくださったというのがあると思うのですね。ですから、東京の難しさというのはそういう課題があるかと思いますけれども、一方でこれは単純には考えられませんが、どういうシミュレーションを今、東京がされているのか分かりませんけれども、かなり厳しい状況とは言えるのではないかと私自身は思います。
(NHK)
知事ご自身が出された緊急事態宣言の評価として、道民の行動を変えることができたというような話をされていますが、それとやっぱり東京都も小池知事、先ほどのアラートという話もありましたけれど、知事の話に耳を傾けて、都民についても行動を変える必要性がある。そこら辺のお考えいかがですか。
(知事)
いや、これは道民の皆さまにも引き続きご注意いただく。やっと行動スタイルを変えていただいたので、守らなければならない手洗いだとかも継続していただくだとか、せっかく行動を変えていただいたので、これからもお願いしたいことと、外出のときこういうことを控えてねということは、当然道民の皆さまには継続していただきたいのですけれども、これは私自身が何か調査をしているわけではないのですが、私、東京都の職員でしたので、そういった意味では、例えば通勤だけではなくて、元々人が集まりやすいところなのですね。例えば、週末もそうですし日中もそうですし、近隣のところから人が集まってくるという都市構造上の特徴がありますよね。ですから、そういった意味で、行動を変容していただくことになると、より広い範囲でみんながより呼び掛けないと、結果として通勤をされている方だとか、住んでいる方とかが一致するわけではないですから、そこの難しさというのはやっぱりあるのではないかなと思います。そういった意味では、かなり広域的な取り組みというか、意識の変容というか、行動を変えていくということが求められる難しさがあるのではないかと思います。
(読売新聞)
最近、パンデミックの中心がヨーロッパだったりアメリカに移りつつあるとかという話がある中で、日本が比較的抑えているのではないかというような評価があって、そういうところを踏まえて、週末のテレビとかで専門家の方々が緩みが生じては困るみたいな話だったり、先ほど知事がおっしゃった小池知事がアラートを出しているというような話だったりありますが、知事の目から見て、日本の全国あるいは緊急事態宣言は終わりましたけれども、道内とかで緩みが生じているというような、そういう認識や見方はありますか。
(知事)
緊急事態宣言によりまして、不要不急の外出を控えていただく取り組みについて、かなりの皆さんがお願いに応じてくださったと思っていまして、その中で新型コロナウイルスに対する意識や、またどういった行動がリスクが高いのかなどについて、理解いただく機会が結果としてかなり多かったのではないかと思っています。
三連休などでも、結構さまざま外出された方が、その前に比べると一定程度多かったというような話も聞いていますけれども、一律に何か緩んだとかということではなくて、大切なことは、屋外での活動における注意点ですとか、また三つの条件が重なるところを回避していただくですとか、そういった特徴をいかに捉えて行動を引き続き実践していただくかということを考えれば、そういった意識を持って行動してくださっている方も多いのではないかと思っています。
ただ、なかなかそこの意識がまだ理解いただけない方もいらっしゃるとは思いますので、そういった方々に対して、われわれはしっかり行動スタイルを変えてくださった多くの方々と共に、こういったところは注意しなくてはいけないということを共有していく、そういった取り組みをより進めなければならないと思っています。
(読売新聞)
あと全国に関しては、例えば先日、K-1の大会が開かれたりということもありましたけれども、その辺を踏まえて、何かご意見ありますか。
(知事)
私もそうですし、専門家会議のメンバーであります西浦先生も、北大のご出身だということもあって(私も)電話でお話をさせていただいたわけでございますけれども、やはり先ほど私も話題の中でお話をさせていただいたとおり、当初は武漢市とか湖北省の方は気を付けてくださいという形で言っていましたよね。それはもう本当に、ある意味で限定的な国を対象として、皆さん意識されていました。
ところが、今そういう地域は、例えば、イタリアをはじめとするヨーロッパやアメリカもそうですけれども、そういったところがかつて患者がすごく増えていた地域に相当するような状況になっているわけです。その方々、そこの地域に旅行されていた方なども含めて今、首都圏をはじめ多くの方が帰国されています。ですから、そういった意味では、危機感というのはむしろ高めていかなければならないということだと思います。北海道においてもそうですし、全国的にも、ある意味では水際対策ということで、各国から日本に飛行機で来る、そういう方々が減少していることによって、そのリスクというのは、結果として低くなっていますけれども、邦人の方は皆さん当然帰ってこられているわけであって、その方々から陽性確認が相次いでいるということを考えると、先ほどから繰り返しですけれども、武漢市や湖北省をターゲットにして、皆さん注意しましょうと言っていたのが、もう世界中になっていると。そういう状況だけを考えても、より厳しい環境に日本全体としては向き合っていかなければならないと思っていますので、われわれ北海道としては、何とかみんなの力で行動を変えて、退院の方も100人を超えて、ここまで何とかベッド(病床数)も持ちこたえているわけですから、皆さんからいただいた結果を最大限生かして、引き続き感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取った取り組みをしていくことが重要だと思っています。全国的な分析を私がするような立場にはないのですが、先ほど申し上げたような、例えば東京の話、難しさというのもあると思いますし、またイベント自粛についても国がなかなか明確な形でお話をされていない中での難しさというのはやはりあるのではないかと思っています。
(STV)
昨日、学校再開に向けたガイドラインが示されて、夕方の対策本部会議の中でも、4月から北海道としても学校再開を目指すということが教育長からお話がありましたが、知事としての、そのガイドラインが通知されたこと、また再開に対することの受け止めと、今後、4月から、新年度からの学校再開に向けた指針か何かを出す予定はあるのでしょうか。
(知事)
学校の部分ですけれども、昨日、文部科学省通知ということで、学校再開に関するガイドラインが示されて、道教委(北海道教育委員会)はこの文部科学省からの通知を踏まえて考えていくということなのですが、私も拝見したのですけれども、結構ざっくりしたガイドラインになっています。明日、道教委のほうで各市町村の教育委員会の皆さんと意見交換をすると聞いていまして、授業再開に向けた注意点などについて、考え方をやはり取りまとめていかないと、ガイドラインだけをそのままみんなが参考にしても、なかなか疑問点がいろいろあるということですので、そういった注意点などについての考え方を取りまとめていくと、道教委のほうで考えていると承知しています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)